7万円の大台を見て買いに飛びついた向きは、大引けの数字を見て少し首をかしげただろう。10月5日の日経平均は一時7万72円13銭まで上げ、取引時間中としては約3カ月ぶりに7万円台に乗せた。だが終値は6万9,946円86銭。前週末比1,637円40銭高(2.40%高)の大幅反発で終えたものの、大台の上では引けられなかった。
前引けは7万37円61銭と大台の上にいた。後場は伸び悩み、前場の終値から90円ほど押して引けた。数字の上では上げた一日だが、テープには「7万円の上では売りたい人がまだいる」と書いてある。筆者はこの一日を、強気相場の中の「節目での小休止」と読む。理由と撤退線を順に書く。
テープ——寄りから窓を開け、後場は大台の手前で足踏み
始値は6万9,113円74銭。前週末2日の終値6万8,309円46銭から800円あまり上に窓を開けて始まった。材料は前週末の米国株高である。2日の米市場では、9月の雇用統計で雇用者数の伸びが予想を大きく下回ったことを受け、米国の追加利上げ観測が後退したと報じられた。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.4%高。この流れが、東京の半導体製造装置株にそのまま流れ込んだ。
日中の安値は6万9,050円23銭で、寄り付き直後につけた。そこからじりじりと値を切り上げ、10時半すぎに7万円を超えた。高値の7万72円13銭は、大台をわずか72円上回ったところで止まっている。後場は7万円をはさんだもみ合いで、最後は大台の下に戻された。日中の値幅は約1,022円。寄り付きで窓を開け、そこから高値までの上積みは約958円にとどまった。
直近の足取りも押さえておく。9月29日の終値6万5,481円27銭から、この日まで4営業日で4,465円(6.8%)上げた。途中、2日に1日だけ下げたものの、上昇の速度は速い。足元はこの速さそのものが、売り手にとっての口実になっている。
需給の解剖——上げ幅の7割は5銘柄、だが値上がり銘柄は過半
まず中身だ。15時時点の集計では、日経平均の上げ幅1,592円88銭のうち、アドバンテスト(6857)1銘柄で345円20銭を押し上げていた。東京エレクトロン(8035)が331円21銭、ファーストリテイリング(9983)が204円69銭、ソフトバンクグループ(9984)が138円35銭、TDK(6762)が116円30銭と続く。上位5銘柄の合計は1,135円75銭で、上げ幅の約71%にあたる。
日経平均の上げ幅1,592円88銭の内訳(15時時点、円)
読み方:上位5銘柄で1,135円75銭、上げ幅の約71%を作った。残る220銘柄の合計は約457円で、アドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄分(約677円)より小さい。出所:株探(10月5日15時0分11秒時点の集計)。「その他」は上げ幅から上位5銘柄を引いた本誌の計算で、値下がり銘柄の押し下げを含む。
値がさ株が指数を引っ張る構図は、10月1日の3.30%高の日と同じだ。違うのは裾野である。15時時点で東証プライムの値上がりは856銘柄、値下がりは642銘柄だった。10月1日は値上がり748、値下がり744と五分だった。今日は過半の銘柄が上げている。TOPIXも4,145.22ポイントと54.22ポイント(1.33%)上げた。日経平均の上昇率には届かないが、指数だけの空騒ぎではない。
個別の材料もある。ファーストリテイリングは9月の国内ユニクロの既存店とEコマースの売上高が前年同月比10.8%増だったことが好感され、4.1%高。業績予想を引き上げたIDEC(6652)は6.3%高で、上場来高値を更新した。単なる先物主導の踏み上げではなく、業績の数字を伴った買いが混じっている。ここは強気の根拠として数えてよい。
気になるのは日経平均ボラティリティー・インデックス(日経VI)だ。14時10分時点で29.22と、前日比6.64ポイント(29.41%)上がっていた。日経VIは本来、相場が急落するときに跳ね上がる指数である。指数が2%以上上がった日に、恐怖指数も3割上がっている。上値での急変に備えたオプションの買いが入っている、と筆者は読む。株探に記事を配信したフィスコは、内外の長期金利の高止まりと、4営業日の急ピッチな上昇による過熱感への警戒を背景に挙げている。
水準の地図——上は2つの最高値、下は窓
日経平均の水準の地図(円)
読み方:上は6月につけた2つの最高値まで3.5〜4.1%。7万〜7万500円は夏に終値で守れなかった帯である。下は前週末の終値6万8,309円が窓の下限で、筆者はここを終値で割れば撤退とする。出所:株探の日経平均の日足四本値。
上から見ていく。取引時間中の最高値は6月22日の7万2,831円73銭、終値の最高値は6月25日の7万2,366円34銭である。今日の終値からそれぞれ約4.1%、約3.5%上にある。その下で、最後に終値で7万円を上回ったのは7月1日の7万474円96銭だった。7月6日には取引時間中に7万384円59銭まで上げたが、引けでは届いていない。7万円から7万500円の帯は、夏に買って捕まった玉が待つ「戻り売り」の帯と見るべきだろう。
下は二段構えだ。一段目は今日の安値6万9,050円23銭。二段目は前週末の終値6万8,309円46銭で、今日開けた窓の下限にあたる。窓は埋めに来るのが相場の常だ。ここまで押しても、上昇トレンドは壊れない。
筆者の見立て——強気。ただし7万円の上で引けるまで追わない
結論から言う。筆者は短期で強気、戦術は押し目買いだ。根拠は3つある。
- 裾野が広がった。値上がり856に対し値下がり642。値がさ株頼みだった10月1日と違い、買いが市場全体に回っている。
- 材料に業績の数字が付いている。ユニクロの月次、IDECの上方修正。米国の利上げ観測の後退だけで上げた相場ではない。
- 半導体の流れが切れていない。SOXは2日に2.4%高。アドバンテストは5日続伸で、最高値圏を走っている。
そのうえで、7万円の真上で新規に買うことはしない。日経VIの上昇は、プロが上値でヘッジを買っている証拠であり、米10年債利回りは2日に5.28%(米財務省)と高い水準にある。4営業日で6.8%上げた直後に、大台の上で引けられなかった。この事実は軽くない。押し目は6万9,050円から6万8,309円の帯で拾う。7万円の上で2日続けて引ければ、6月の高値の帯まで道が開けたと見て、買い増しに転じる。
逆になったら——終値で6万8,309円を割れば撤退
撤退線ははっきり決めておく。終値で6万8,309円46銭(前週末2日の終値)を割り込んだら、見立ては外れたと認めて手じまう。窓を埋めたうえにさらに下で引けるなら、今日の大陽線は「最後の買い」だったことになる。その場合、9月末からの上げの半値押しが視野に入る。日柄で言えば、今週中に7万円を回復できないまま窓を埋めにいく展開が、最も避けたい形だ。
もう一つの撤退理由は金利だ。米国の長期金利がもう一段上がれば、今日の買いの前提だった「米利上げ観測の後退」が崩れる。正直、今日の相場で最も危ういのはここだと筆者は見ている。
明日以降の監視リスト
| 日時(日本時間) | 材料 | 見るところ |
|---|---|---|
| 10月5日 23時 | 米9月ISM非製造業景況指数 | 弱い雇用統計の後でも景気が底堅いか。強ければ米金利上昇で利上げ観測が戻る |
| 10月6日 寄り付き | アドバンテスト、東京エレクトロン | 2銘柄で今日の上げの約4割(15時時点)。ここが崩れれば指数も崩れる |
| 10月6日以降 | 日経VI | 指数高と同時に上昇した29台が落ち着くか。高止まりなら上値は重い |
| 10月8日 3時ごろ | FOMC議事要旨(9月15〜16日会合分) | 追加利上げにどこまで前向きだったか |
| 今週 | ファーストリテイリングの決算 | 寄与度3位の値がさ株。月次の好調が通期見通しに出るか |
| 10月27〜28日 | 次回FOMC | 利上げ再開の有無 |
日経平均の寄与度の仕組みはこちらの解説に、値上がりと値下がりが五分だった10月1日の上げはこの記事にまとめた。今回の米国の利上げ観測の後退の起点になった9月の米雇用統計はこちら、その後のドル円の見通しはこちらで扱っている。
主な参照
- 日経平均の四本値(10月5日と過去の日足、52週高値)/株探
- 日経平均とTOPIXの終値(10月5日15時31分配信)/株探(フィスコ)
- 15時時点の寄与度と値上がり・値下がり銘柄数/株探
- 日経VIの動き(14時10分時点)/株探(フィスコ)
- 個別銘柄の材料(ファーストリテイリング、IDEC、アドバンテスト、SOX指数)/株探
- 前場終値(7万37円61銭)と7万円台回復の報道/日本経済新聞
- 米国債利回り(10年債5.28%、2026年10月2日)/米財務省
- FOMCの日程と議事要旨の公表状況/米連邦準備制度理事会
- 日経平均とSOX指数の日足(過去の比較)/Yahoo Finance
データ基準日:2026年10月5日の東京市場の終値。寄与度、値上がり・値下がり銘柄数は同日15時時点の集計であり、大引けの確定値とは差がある。日経VIは同日14時10分時点の値で、終値ではない。米10年債利回りは10月2日の米財務省の公表値である。個別銘柄の騰落率は株探の当日の引け値ベースの記事による。米国の追加利上げ観測が後退したことは報道にもとづく説明であり、市場の織り込み確率は本稿では扱っていない。FOMC議事要旨の公表時刻は通例からの換算で、FRBは本稿執筆時点で公表日を日程表に記載していない。ファーストリテイリングの決算日は報道による。見立てと撤退線は筆者の見方であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














