インフロニア・ホールディングス(5076)の株価は10月5日、前営業日比13.56%安の2,330円で取引を終えた。取引時間中には安値2,285円まで下げ、下落率は15.23%に達した。同社は10月2日16時、公募増資とオーバーアロットメントに伴う第三者割当増資で、最大5,500万株を新たに発行すると発表していた。
新株は発行済普通株式2億7,484万株の20.01%に相当する。手取概算額の上限は1,472億3,620万円で、うち1,170億円を2026年12月までに短期借入金の返済に充てる。借入金はアルソシア建設(旧三井住友建設)と水ingの買収資金である。同じ日、日経平均株価は1,637円高の6万9,946円だった。
増資の主要数値
| 項目 | 数値 | 注記 |
|---|---|---|
| 公募(国内) | 1,207万6,100株 | 国内引受会社が買取引受け |
| 公募(海外) | 3,575万株 | 米国は適格機関投資家のみ |
| 第三者割当(上限) | 717万3,900株 | 割当先はSMBC日興証券 |
| 新株の合計(上限) | 5,500万株 | 発行済普通株式の20.01% |
| 発行後の普通株式数 | 3億2,984万5,024株 | 第三者割当を全量発行した場合 |
| 手取概算額の上限 | 1,472億3,620万円 | 3つの発行の合計 |
| うち借入金の返済 | 1,170億円 | 2026年12月までに充当 |
| 残額の使途 | M&A待機資金 | 2028年3月末まで、未使用分は借入返済 |
| 発行価格の決め方 | 決定日の終値×0.90〜1.00 | この範囲を仮条件に需要で決定 |
| 転換社債の潜在株式 | 3,613万5,870株 | 発行後の普通株式数の10.96% |
新株の内訳は海外が3,575万株で、全体の65%を占める。国内外の割り振りは、発行価格等決定日に需要を見て確定する。第三者割当は、オーバーアロットメントで借りた株を返すための仕組みである。市場での買い戻しが多ければ、発行株数は減る。
返済に回る2本の借入金
同社は2025年9月、三井住友建設への公開買付けを完了した。2025年12月23日に完全子会社とし、支払対価は941億2,800万円だった。三井住友建設は2026年10月1日、アルソシア建設に社名を変えた。この買収で三井住友銀行と三井住友信託銀行から950億円を借り、残高は770億円ある。返済期限は2027年3月25日である。
2026年7月1日には水ingの全株式を取得し、支払対価は752億400万円だった。三井住友銀行とSBI新生銀行から400億円を借りた。返済期限は2027年7月1日である。今回の調達で、この770億円と400億円の合計1,170億円を返す。
| 買収先 | 完全子会社化 | 支払対価 | 返済する借入金 | 返済期限 | 貸し手 |
|---|---|---|---|---|---|
| アルソシア建設(旧三井住友建設) | 2025年12月23日 | 941億2,800万円 | 770億円 | 2027年3月25日 | 三井住友銀行、三井住友信託銀行 |
| 水ing | 2026年7月1日 | 752億400万円 | 400億円 | 2027年7月1日 | 三井住友銀行、SBI新生銀行 |
| 合計 | — | 1,693億3,200万円 | 1,170億円 | — | — |
会社の説明
同社はリリースで、資金調達の手法について次のように記した。「新株式発行による資金調達が、『総合インフラサービス企業』の実現に向けた中長期的な収益性向上と事業基盤拡大及び財務体質の健全性確保を両立させ得る最も適切な手法であるとの結論に至りました」。
業績への影響については「本資金調達による当期業績予想への影響はございません」としている。海外を含む募集で「投資家層の更なる拡大及び株式流動性の向上が期待できる」とも記した。
還元方針も同じ資料に載っている。中期経営計画の方針は配当性向40%以上、年間配当の下限60円だった。資料は、2027年3月期以降の下限を90円とすることにしたと記している。2026年3月期の年間配当は120円、基本的1株当たり当期利益は295.46円である。
市場の反応
| 銘柄・指数 | 10月2日終値 | 10月5日終値 | 前営業日比 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| インフロニアHD(5076) | 2,695.5円 | 2,330円 | −13.56% | 安値2,285円(−15.23%)、出来高1,003万株 |
| 鹿島建設(1812) | 4,884円 | 4,838円 | −0.94% | — |
| 大林組(1802) | 2,965円 | 2,948.5円 | −0.56% | — |
| 大成建設(1801) | 12,110円 | 12,095円 | −0.12% | — |
| 清水建設(1803) | 2,089.5円 | 2,110円 | +0.98% | — |
| 日経平均株価 | 6万8,309円 | 6万9,946円 | +1,637円 | 一時7万円台 |
5日の始値は2,296円で、前営業日比14.82%安から取引が始まった。出来高は1,003万1,800株で、2日の141万2,900株の7.1倍だった。2日の終値は前日比2.12%安で、発表は同日の取引終了後だった。
5日の下げ幅365.5円を発行済普通株式数に掛けると、時価総額の減少は約1,005億円になる。調達上限1,472億円の68%に当たる。大手ゼネコン4社の値動きは−0.94%から+0.98%の範囲にとどまった。配当下限90円を5日終値で割った利回りは3.86%である。夜間取引の値動きと翌朝の始値の関係は夜間PTSの読み方で扱っている。
いまの株価で計算した調達額
発行価格は、10月21日から26日のいずれかの日の終値に0.90〜1.00を掛けた範囲から決まる。1,472億円は会社の概算であり、確定額ではない。5日終値2,330円のまま決まると仮定し、5,500万株で計算した。
インフロニアHDの調達額:会社の上限と、10月5日終値で計算した場合(億円)
読み方:発行価格は決定日の終値に0.90〜1.00を掛けた範囲から決まる。5日終値2,330円のまま決まった場合、掛け目0.90では総額1,153.4億円となり、返済予定額1,170億円を下回る。試算は引受人の手取り差額と諸費用を引く前で、第三者割当の全量発行を仮定した。出所:同社の適時開示(10月2日)、Yahoo!ファイナンス、本誌計算。
掛け目1.00なら総額は1,281.5億円、0.90なら1,153.4億円になる。いずれも引受人の取り分と諸費用を引く前の数字である。0.90の場合、返済予定額の1,170億円を下回る。リリースは、M&Aを実施しなかった場合の残額を既存借入金の返済に充てるとしている。
今後の日程
- 10月21日(水)〜26日(月)のいずれかの日:発行価格等決定日。国内外の株数配分とオーバーアロットメントの株数も決まる
- 決定日の翌営業日から2営業日後まで:国内一般募集の申込期間
- 10月27日(火)〜30日(金)のいずれかの日:払込期日(決定日の4営業日後)、受渡はその翌営業日
- 申込期間終了の翌日から30日目まで:シンジケートカバー取引期間(決定日が21日なら10月24日〜11月20日)
- 11月25日(水)〜12月1日(火)のいずれかの日:第三者割当の払込期日
- 2026年12月まで:借入金1,170億円の返済
- 受渡期日から180日目まで:会社と貸株人の光が丘興産のロックアップ期間
安定操作取引とシンジケートカバー取引は、SMBC日興証券が大和証券、みずほ証券、野村證券と協議して行う。ジョイント・グローバル・コーディネーターはSMBC日興証券と大和証券である。配当の比較の考え方はNISAで高配当株を買うなら日本株か米国株かにまとめている。
参照・免責
- 新株式発行及び株式の売出しに関するお知らせ(2026年10月2日16時開示)/東証適時開示(TDnet)
- インフロニアHDと大手ゼネコン4社の株価時系列/Yahoo!ファイナンス
- 「日経平均株価が反発、終値1637円高の6万9946円」(2026年10月5日)/日本経済新聞、「日経平均終値は7万円台に届かず、1637円高の6万9946円」(同日)/読売新聞
データ基準日:2026年10月5日の東京市場の終値。株価はすべて終値で、取引時間中の数値は安値・始値と明記した。時価総額の減少額は発行済普通株式数(自己株式を含む)にもとづく概算である。調達額の試算は、5日終値で発行価格が決まり、第三者割当を全量発行すると仮定した本誌の計算で、引受人の手取り差額と諸費用を含まない。実際の発行価格と株数は発行価格等決定日に決まる。配当の下限は会社の方針であり、配当額を保証するものではない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















