10月5日の東京市場の番付を発表する。東の横綱はアドバンテスト、1銘柄で日経平均を360円30銭押し上げた。西の横綱は東京エレクトロンで336円26銭。そして西の序二段に落ちたのはキオクシアホールディングスだ。この日の東証で7,000億円を超える売買代金を集めながら、終値は0.93%安。225銘柄のなかで最も大きく指数を押し下げた。
日経平均の終値は前営業日比1,637円40銭(2.40%)高の6万9,946円86銭。午前10時44分には7万0,072円13銭を付け、取引時間中としては7月6日以来、3カ月ぶりに7万円を上回った。前引けも7万0,037円61銭と大台の上にいた。だが大引けでは高値から125円27銭を手放し、7万円まであと53円14銭のところで終わっている。終値で7万円台を守った最後の日は7月1日のままだ。
中身は10月1日とは違う。あの日の日経平均は3.30%高、TOPIXは0.57%高で、東証プライムの値上がりは748銘柄、値下がりは744銘柄とほぼ半々だった。この日のTOPIXは1.33%高の4,145.22ポイントで、プライムの値上がりは860銘柄、値下がりは633銘柄。2つの指数の上昇率の差は約6倍から約1.8倍に縮んだ。値がさ株だけの相撲ではなかった、というのがこの日の番付の出発点である。
日経平均への寄与度(2026年10月5日の終値ベース、円)
読み方:上位5銘柄の合計は1,210円00銭で、上げ幅1,637円40銭の73.9%。押し下げ側は最大でも12円台にとどまった。出所:株探ニュースの大引け集計(10月5日15時32分配信)。
番付表——日経平均への寄与度で見た勝敗
| 番付 | 銘柄 | 終値 | 前営業日比 | 日経平均への寄与 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | アドバンテスト(6857) | 40,300円 | +4.32% | +360.30円 | ◎ |
| 西の横綱 | 東京エレクトロン(8035) | 12,765円 | +5.50% | +336.26円 | ◎ |
| 東の大関 | ファーストリテイリング(9983) | 74,690円 | +4.07% | +236.24円 | ◎ |
| 西の大関 | ソフトバンクグループ(9984) | 6,497円 | +2.96% | +151.29円 | △ |
| 東の関脇 | TDK(6762) | 3,447円 | +7.79% | +125.91円 | ○ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 西の序二段 | キオクシアHD(285A) | 19,120円 | −0.93% | −12.74円 | × |
| 東の三段目 | 塩野義製薬(4507) | 2,661円 | −4.49% | −12.64円 | × |
| 西の三段目 | フジクラ(5803) | 5,566円 | −0.57% | −6.47円 | × |
上位5銘柄の寄与を足すと1,210円00銭で、上げ幅1,637円40銭の73.9%にあたる。数字だけ見れば、10月1日の記事で扱った「5銘柄相場」とほぼ同じ比率だ。違うのは土俵の広さである。アドバンテスト1銘柄の比率は32.8%から22.0%に下がり、プライムの値上がり銘柄は748から860に増えた。主役は同じでも、脇役が仕事をした一日だった。
東の横綱・アドバンテストと西の横綱・東京エレクトロン——◎
アドバンテストは4.32%高の4万300円。寄り付きは4万円ちょうどで、午前9時22分に4万700円まで買われた。売買代金は6,229億円にのぼる。東京エレクトロンは5.50%高の1万2,765円で、高値は昼休み明けの12時30分に付けた1万2,820円だった。2銘柄で日経平均を696円56銭押し上げ、上げ幅の4割強を作っている。
追い風は前週末の米国から吹いた。10月2日発表の米9月雇用統計で、非農業部門の雇用者数は2万9,000人増と予想の9万人前後を大きく下回った。この記事で整理したとおり、7月と8月の数字も合わせて6万人下方修正されている。早期の追加利上げ観測が後退し、米国では半導体株を中心に買われた。株探(MINKABU PRESS)は前引けの市況で、フィラデルフィア半導体株指数の上昇が東京の関連株への資金流入を促したと伝えている。
判定はどちらも◎。ただし体格で勝った一番でもある。日経平均は株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きい仕組みで、この2銘柄はその代表格だ。上昇率でいえばTDKのほうが上だった。寄与度の番付と上昇率の番付が別物であることは、寄与度の解説記事にまとめてある。
東の大関・ファーストリテイリング——◎(この日いちばん中身のある勝ち)
4.07%高の7万4,690円。高値引けである。午前9時の安値7万2,580円から一度も崩れず、大引けの15時30分にこの日の高値を付けた。寄与度は前引け時点の187円70銭から大引けの236円24銭へ、午後に入ってからも積み上がっている。半導体株が午後に伸び悩んだのとは逆の動きだ。
材料は同社が10月2日に公表した9月の国内ユニクロ売上推移速報である。既存店とEコマースを合わせた売上高は前年同月比110.8%。客数は99.5%と前年を下回ったが、客単価が111.3%と大きく伸びた。会社側は「気温が低下し、秋冬商品が好調な販売となった」と説明している。8月は98.7%と前年割れだったので、2カ月ぶりのプラスになる。2ケタの伸びは5月の110.1%以来だ。
一つ割り引いて読むべき点がある。前年の2025年9月は99.0%と弱かった。比べる相手が低いと、伸び率は大きく出やすい。それでも、この日の上位5銘柄のなかで、自社の数字という具体的な材料で買われたのはこの銘柄だけである。判定は◎。同社は10月8日に通期決算の発表を予定しており、今回の買いが続くかどうかはそこで試される。
西の大関・ソフトバンクグループ——△、東の関脇・TDK——○
ソフトバンクグループは2.96%高の6,497円で、151円29銭の押し上げだった。ただし午前10時8分の高値6,570円から、13時47分には6,400円まで売られた。前引けでは寄与度が187円70銭とファーストリテイリングと並んでいたが、大引けでは36円以上縮んでいる。勝ちは勝ちだが、午後に押し戻された一番として△とした。
TDKは7.79%高の3,447円で、上位5銘柄のなかでは上昇率が最も大きい。東証33業種で電気機器が上昇率1位になった原動力の一つである。株価水準が低いぶん寄与度は125円91銭にとどまるが、取組内容は良い。判定は○。
西の序二段・キオクシアHD——×(売買代金は最大級、それでも負けた)
この日いちばん説明を要する負けである。寄り付きは1万9,620円と前営業日終値の1万9,300円を上回り、午前9時8分に1万9,750円を付けた。そこから売られ、9時33分には1万9,085円まで下げた。終値は1万9,120円で0.93%安。高く始まって安く終わった一日である。
売買代金は7,221億円で、アドバンテストの6,229億円を上回った。買い手も売り手もこれだけ多いなかで、値段は下がったことになる。株探(MINKABU PRESS)は、信用倍率が16倍前後と依然高いこと、10月1日に効力が発生した株式3分割で株数ベースの戻り売りが嫌気されていることを、需給の重さの理由として伝えている。業績面の悪材料が出たわけではない。判定は×。半導体株が総じて買われた日に、需給の重い銘柄だけが置いていかれた。
東の三段目・塩野義製薬——×(理由は分からない)
4.49%安の2,661円。下落率では負け側で最も大きい。安値は大引け直前の15時20分に付けた2,649円で、引けにかけて売られ続けた形だ。寄与度は12円64銭の押し下げで、キオクシアとほぼ並んだ。
ここは正直に書く。本稿の執筆時点で、この下げの理由を特定できる一次情報は見つかっていない。同社からの開示も、理由を伝える主要な報道も確認できなかった。判定は×。負けた理由は、番付編成会議にもまだ分からない。
殊勲賞・TOPIX——最後まで上を向いていた
日経平均とTOPIXは、同じ日に違う形の一日を過ごした。日経平均の高値は午前10時44分で、その後は上げ幅を削った。TOPIXの高値は4,147.97ポイントで、付けたのは大引け直前の15時14分である。終値4,145.22ポイントは高値からわずか2.75ポイント下だった。
前引けと大引けを比べても同じことが言える。プライム市場の値上がり銘柄は前引けの834から大引けの860へ増えた。寄与度の大きい半導体株が午後に伸び悩む一方で、裾野の銘柄は午後も買われていたことになる。その結果、日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は前営業日の16.70倍から16.87倍に上がったものの、10月1日ほど極端な日経平均独走にはならなかった。7〜9月期にNT倍率がどう動いたかはこちらで扱っている。
敢闘賞・日経平均VI——株と一緒に上がった「不安の指数」
市場が見込む日経平均の先行きの変動の大きさを示す日経平均VIは、14時10分時点で前営業日比6.64ポイント(29.41%)高の29.22だった。株価が大きく上がる日にVIも大きく上がるのは、ふだんの関係とは逆である。フィスコの解説によれば、VIは株価が急落するときに急上昇し、株価とは通常弱い逆相関になる指数だからだ。
フィスコは理由として3つを挙げている。内外の長期金利が高い水準にあること。日経225先物が9月29日からの4営業日で3,080円上がり、短期的な過熱感があること。そして前週末の日経VIが取引終了にかけて低下に転じた反動である。株価が上がったのに安心が広がったわけではない、というのがこの数字の読み方になる。判定は敢闘賞。上げ相場のなかで、慎重さを数字で残した。
技能賞・長期金利——土俵の外から相撲を決めている
VIを押し上げた金利の水準も確認しておく。フィスコの集計で、5日の新発10年国債利回りは3.064%、2年債は1.896%だった。米10年債利回りは日本時間の夕方時点の気配で5.25%前後にある。米雇用統計が弱かったのに米長期金利が下がりきらない点は、7〜9月期の米金利の記事で見た流れの延長線上にある。
為替も同じ方向を示した。株探(MINKABU PRESS)によると、東京市場のドル円は午前10時20分過ぎに157円40銭台まで円高に振れたが、午後1時20分過ぎには158円10銭台まで円安が進み、午後3時時点では157円84銭前後だった。同じ記事は、米金利の先高感の強さと、1バレル90ドル前後で高止まりする原油価格をドルの支えに挙げている。株が上がっても、金利と為替は「利上げはまだ終わっていない」と言い続けている。
7万円は通過点か、壁か——節目を地図で確認する
日経平均の節目(終値と取引時間中の高値、円)
読み方:10月5日の終値は最高値まで3.46%、7月29日の安値から13.86%上にある。取引時間中に7万円を上回ったが、終値では届かなかった。出所:株探の日足、日本経済新聞(6月25日の最高値)。
日経平均の終値の最高値は6月25日の7万2,366円34銭である。この日の終値からは2,419円48銭、率にして3.46%上にある。逆に、最高値をつけたあとの安値は7月29日の終値6万1,434円19銭で、そこから13.86%戻したことになる。9月29日の終値6万5,481円27銭からの4営業日だけでも4,465円59銭、6.82%の上昇だ。
7万円という数字そのものに特別な意味があるわけではない。ただ、7月は1日に終値7万474円96銭を付けたあと、6日の取引時間中に7万384円59銭まで上がったのを最後に崩れている。この水準で売りが出やすいことは、この日の値動きでも確認された。株探に掲載されたフィスコの13時台の解説も、7万円乗せで「目先達成感から上値では利益確定売りが出やすい」と書いている。
本誌の見立てを数字で置いておく。終値で7万円を回復し、翌営業日もその上を保つなら、7月の高値圏までの戻りを試す流れが本線になる。一方、終値で6万8,309円46銭(10月2日の終値)を割り込むなら、この日の上げは雇用統計の一日分の材料を織り込んだだけと判断する。後者のほうが、VIと金利の数字とは整合的である。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 10月5日 22時45分 | 米9月ISM非製造業景況指数 | 予想55.2、前回55.4。雇用統計の弱さがサービス業でも確認されるか |
| 10月8日ごろ | 米FOMC(9月15〜16日開催)の議事要旨 | これまでの例どおり会合の3週間後なら米国時間7日の公表。追加利上げをめぐる議論の温度 |
| 10月8日 | ファーストリテイリングの通期決算(予定) | 9月の既存店の伸びが今期の見通しにどうつながるか |
| 10月12日 | スポーツの日で東京市場は休場 | 3連休中の米国市場の動きは、13日の寄り付きにまとめて表れる |
| 10月27〜28日 | 米FOMC | 利上げを続けるかどうかの本番 |
3連休前の取引は9日の金曜日までである。休場中に東京の外で値段が動いたとき、翌朝の寄り付きをどう読むかは夜間PTSの記事で扱った。ドル円の見通しはこちらにまとめている。
主な参照
- 日経平均とTOPIXの終値、寄与度上位・下位、業種別、騰落銘柄数(10月5日大引け)/株探ニュース、株探(フィスコ)
- 前引けの日経平均、寄与度、値上がり銘柄数/株探ニュース、株探(MINKABU PRESS)
- 日経平均の始値・高値・安値と時刻、過去の日足/株探、TOPIXの日中値/株探
- 日経平均の終値の最高値(2026年6月25日、7万2,366円)/日本経済新聞
- 9月の国内ユニクロ売上推移速報(2026年10月2日公表)と過去の月次/ファーストリテイリング、決算発表予定/同IRカレンダー
- キオクシアの需給(信用倍率、株式3分割)/株探(MINKABU PRESS)
- 日経平均VI(14時10分時点)/株探(フィスコ)、13時台の市況解説/株探(フィスコ)
- 国債利回り、米10年債の気配、ISM非製造業景況指数の予想/株探(フィスコ)
- 東京外国為替市場のドル円/株探(MINKABU PRESS)
- FOMCの日程と議事要旨の公表日/米連邦準備制度理事会
- 国民の祝日(2026年10月12日スポーツの日)/内閣府
- 米9月雇用統計/米労働省労働統計局
データ基準日:2026年10月5日の東京市場の終値(15時30分)。日経平均VIは14時10分時点の値で、終値ではない。米10年債利回りは日本時間10月5日夕方の時間外の気配値、ドル円は同日15時時点の値で、いずれも取引時間中の数値である。国債利回りは情報ベンダーの集計で、日本相互証券の公表値とは差が出ることがある。寄与度の集計は情報ベンダーにより差がある。キオクシアの下落理由は報道にもとづくもので、同社からの説明ではない。塩野義製薬の下落について、本稿の執筆時点で理由を特定できる一次情報は確認できていない。FOMC議事要旨の公表日は本誌の推定である。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















