アップルとエヌビディアの時価総額を足すと、S&P500種株価指数の15%を超える。投資助言会社クリエイティブ・プランニングのピーター・マルーク社長は「S&P500がこれほど2銘柄に集中したことは過去にない」と述べた。ITバブル末期の1999年、マイクロソフトとゼネラル・エレクトリック(GE)の合計構成比は9.1%だった。今日の集中度は、その水準をすでに超えている。まず下の数字を見てほしい。
この15%は、ITバブルの記録を超えている
S&P500の2銘柄集中度:現在 vs ITバブル末期
出所:クリエイティブ・プランニングのピーター・マルーク氏のコメント(Yahoo Finance/The Wealth Advisor)、2026年9月分は本誌が時価総額(companiesmarketcap.com、9月27日時点)とS&P500時価総額(Seeking Alpha、8月12日時点)から算出。
エヌビディアの構成比は単独で約8%、アップルは約7%。本誌が時価総額から算出しても、エヌビディア約5.63兆ドル・アップル約4.99兆ドルの合計約10.6兆ドルは、S&P500全体の時価総額(米調査によれば8月12日時点で約70.3兆ドル)の15.1%にあたり、報道の「15%超」とおおむね一致する。ドットコム相場では、マイクロソフトとGEという当時を代表する2社が9.1%。四半世紀を経て、その水準を6ポイント近く上回る集中が生まれている。
上位10社は10年で17%から40%へ
S&P500上位10社の合計構成比、10年で2倍以上に
出所:The Wealth Advisor(2026年9月24日時点の報道)。上位10社の顔ぶれ自体もこの10年で大きく入れ替わっている。
集中しているのは2銘柄だけではない。S&P500上位10社の合計構成比は、10年前の約17%から現在は約40%まで拡大した。この動きを押し上げているのが、まさにアップルとエヌビディアの直近の株価である。アップルは9月9日のイベントで初の折りたたみ式スマートフォン「iPhone Duo」(1,999ドル)を発表し、8月末から9月にかけて取引時間中に345.34ドルの上場来高値をつけた(終値ベースの最高値は7月28日の339.79ドルのまま)。年初来では約25%高い。
エヌビディアは年初来で約21%高。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、AIインフラ需要を背景に来期の事業成長率が「少なくとも70%」、供給制約がなければ「100%超」もあり得るとの見方を示したと報じられている。本誌が7月に扱った世界時価総額ランキングの集中リスクの記事で指摘した傾向は、この2カ月余りでさらに強まった形である。
オルカン・S&P500に100万円なら、いくらが2銘柄に化けるか
S&P500連動ファンドに100万円投資した場合の内訳(概算、合計100万円)
読み方:時価総額加重比率をそのまま乗じた概算。実際の組み入れ比率はファンドごとに運用会社の公表資料で確認されたい。
日本のNISA口座で人気の高い米国株式(S&P500)インデックスファンドに100万円を投じていれば、単純計算でエヌビディアに約8万円、アップルに約7万円、合計約15万円がこの2銘柄への実質的なエクスポージャーになる。「500銘柄に分散している」という感覚とは裏腹に、投資額の15%が2つの値動きに左右される構造だ。全世界株式(オルカン)でも、時価総額加重である以上、米国株式比率と主要2銘柄への集中度は連動して動く。両ファンドの性格の違いはオルカンとS&P500を比較した記事で扱った。
これは「悪い」という話ではない。時価総額加重指数は、成長している企業の比率が自動的に増える設計であり、過去にもマイクロソフトやアップル単体が指数をけん引した局面はあった。問題は、投資家自身が「分散されている」と思っている資産の中身が、実際には少数の企業の業績・株価に強く連動しているという事実を、多くの人が把握していない点にある。
3つのシナリオ
| シナリオ | 何が起きるか | 確かめる材料 |
|---|---|---|
| 強気 | AI関連投資と新製品需要が続き、2社の利益成長が構成比の拡大を正当化する。集中は「合理的な結果」として続く | エヌビディアの次期決算でフアン氏の成長率見通し(70〜100%超)が裏付けられるか。アップルのiPhone Duo販売動向 |
| 基本 | 集中度は高止まりするが、大きくは動かない。他の上位銘柄(マイクロソフト、アマゾンなど)が追いつき、10社内での分散が進む | 上位10社内での構成比の変化。新規指数採用・除外の動き |
| 弱気 | どちらか一方に業績・規制・需要面の失望が出て急落し、指数全体を押し下げる。集中度が高いほど下落時の指数への影響も大きい | AI設備投資の減速シグナル。独禁法・関税など規制動向。決算での利益率の変化 |
個人投資家のためのチェックリスト
- 「S&P500=分散投資」という前提を疑ってみる。500銘柄に分散していても、値動きの15%超は実質的に2銘柄の動向次第である。
- 保有ファンドの上位組み入れ銘柄を確認する。運用会社が毎月公表する月次レポートで、エヌビディア・アップルの組み入れ比率を確認できる。
- 集中度そのものは売買シグナルではない。指数に連動する投資を続けるなら、集中度の上昇は「受け入れるべき前提」であり、個別株の代わりに指数を選んだ時点で織り込まれているリスクである。
- 個別株としてのリスクも意識する。指数経由でも、2銘柄のどちらかに決算・規制面の悪材料が出れば、資産全体への影響は比率相応に大きくなる。
主な参照
- アップル・エヌビディア合計で15%超、マルーク氏のコメント/Yahoo Finance、The Wealth Advisor
- アップル時価総額(2026年9月27日時点)/companiesmarketcap.com
- エヌビディア時価総額(2026年9月27日時点)/companiesmarketcap.com
- S&P500全体の時価総額(2026年8月12日時点、約70.3兆ドル)/Seeking Alpha
- iPhone Duo(折りたたみ式)発表、9月9日イベント/Fox Business
- アップル株の年初来高値・終値最高値/stockanalysis.com
- エヌビディア、フアンCEOの成長率見通し/The Wealth Advisor














