9月末の配当と株主優待の権利付最終日は28日(月)である。29日(火)が権利落ち日となり、日経平均は配当落ち分の約350円だけ理論上押し下げられる。過去5回の権利落ち日で、日経平均が落ち分をその日のうちに埋めたのは1回だった。
| 項目 | 数値 | 出所 |
|---|---|---|
| 権利付最終日 | 9月28日(月) | 野村証券 |
| 権利落ち日 | 9月29日(火) | 野村証券 |
| 権利確定日 | 9月30日(水) | 野村証券 |
| 日経平均の配当落ち分(推計) | 約350円(385円との推計もある) | 株探(ミンカブ・プレス)、日刊ゲンダイ |
| 配当再投資に伴う先物買い(試算) | 約1.6兆円(1.5兆円との見方もある) | 株探(フィスコ)、日刊ゲンダイ |
| 日経平均の終値(9月25日) | 66,364.20円(前日比+850.21円、+1.30%) | 株探 |
| TOPIXの終値(9月25日) | 4,128.59(前日比+53.29) | 株探 |
| 上場株式の配当にかかる税率 | 20.315% | 国税庁 |
背景:配当落ちで指数が下がる仕組み
権利落ち日には、配当を受け取る権利が株価から外れる。その分、株価は理論上配当の額だけ下がる(マネックス証券、東京金融取引所)。日経平均は配当を考慮しない株価指数である。構成銘柄の株価が下がれば、指数もそのまま下がる。配当を再投資したとみなす指数は、日経平均トータルリターン指数として別に算出されている(日本経済新聞社)。
9月末は、3月期決算企業の中間配当と、9月期決算企業の期末配当の権利が確定する。株主優待の権利も同じ日程で確定する。日経平均などに連動する投資信託やETFは、受け取る配当の分を先物で買い入れる。フィスコによると、この買いは28日の大引けと29日の寄り付きに集中する。先物は権利落ち日の前まで、配当から金利分を差し引いた程度だけ現物を下回って取引される(楽天証券)。
配当には20.315%の税金がかかる(国税庁)。課税口座で権利を取り、落ち日に売った場合、申告分離課税を選ぶか、源泉徴収ありの特定口座で配当を口座受け取りにしていれば、株価の下落分の損失は配当と損益通算できる。この場合の手取りは、売買コストを除けばほぼ差し引きゼロになる。落ち日の下落が配当を上回れば、差し引きはマイナスとなる(幻冬舎ゴールドオンライン)。
市場反応:過去5回の権利落ち日
2024年3月以降の5回の権利落ち日で、日経平均が前日比で上昇したのは2024年9月の1回だった。残る4回は前日比で下落し、下げ幅は推計された配当落ち分を上回った。
| 時期 | 権利付最終日の終値 | 権利落ち日の終値 | 前日比 | 配当落ち分(推計) | 当日に埋めたか |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年3月 | 40,762.73円(27日) | 40,168.07円(28日) | −594.66円 | 約264円 | 埋めず |
| 2024年9月 | 38,925.63円(26日) | 39,829.56円(27日) | +903.93円 | 約260円 | 埋めた |
| 2025年3月 | 37,799.97円(27日) | 37,120.33円(28日) | −679.64円 | 300円強 | 埋めず |
| 2025年9月 | 45,354.99円(26日) | 45,043.75円(29日) | −311.24円 | 約300円 | 埋めず(配当落ち分を除いた実質の下げは約10円) |
| 2026年3月 | 53,373.07円(27日) | 51,885.85円(30日) | −1,487.22円 | 約350円 | 埋めず |
権利落ち日の日経平均の前日比(円)
出所:株探の日経平均の時系列。括弧内は当時の市場推計による配当落ち分。
TOPIXの権利落ち日の騰落率は次のとおりだった。2024年3月は−1.73%、2024年9月は+0.73%、2025年3月は−2.07%、2025年9月は−1.74%、2026年3月は−2.94%。
各回の値動きには、配当落ち以外の材料も重なった。2024年9月27日は自民党総裁選の投開票日だった。2025年3月28日は、米国の自動車関税への警戒から自動車株が売られた(株探)。2026年3月30日について、株探は中東情勢の緊迫を下落の要因に挙げた。2025年9月29日の下げ幅は311.24円で、配当落ち分の約300円を除いた実質の下げは約10円だった。
分析:落ち日の下落は配当より大きいのか
野村証券は2025年9月22日の解説で、配当落ち分を早く埋めるかどうかは相場の強さの目安とされる一方、その後の値動きとは逆の関係になりやすいと指摘した。同社は、配当を含めたトータルリターンで成績を評価するよう勧めている。
マネックス証券の吉野貴晶氏は2026年3月4日、配当利回り4%以上のTOPIX500構成銘柄を調べた結果を公表した。2021年から2025年の3月末の権利落ち後、これらの銘柄は配当を含めても下落していた。同氏は、配当取りを終えた投資家の売りが株価の重しになっている可能性があるとした。
投資助言会社のフェアトレードが運営する「システムトレードの達人」は、2022年10月から2026年7月の4,083銘柄、約45万件の日次騰落を集計した。権利付最終日の平均騰落率は+0.443%で、観測の60.7%で上昇した。権利落ち日の平均は3月が−1.528%、9月が−0.600%だった。落ち日の値は配当落ち分を含む株価の騰落率である。
一方、キヨシ・カトウ氏とウリ・ローウェンスタイン氏が1995年に米学術誌で発表した研究では、日本株は権利落ち日にむしろ上昇していた。配当利回りが低かった時代のデータである。
今後の日程
- 9月28日(月)15時30分:権利付最終日の大引け(先物の日中取引の終了は15時45分)。配当再投資の先物買いが集中するとされる。
- 9月29日(火)9時:権利落ち日の寄り付き。日経平均は推計で約350円の配当落ちの影響を受けて始まる。
- 9月30日(水):権利確定日。財務省が月間の為替介入実績を公表する。
- 10月1日(木)8時50分:日銀短観(9月調査)が公表される。
先物と指数の関係はクアドラプル・ウィッチングの解説に、高配当株の選び方は安く見える株を疑う5つの検査とNISAで高配当株を買う場合の比較にまとめている。
主な参照
- 2026年9月の権利付最終日・権利落ち日・権利確定日/野村証券
- 9月の配当落ち分の推計(約350円)と9月25日の市況/株探(ミンカブ・プレス)
- 配当再投資に伴う先物買いの試算(約1.6兆円)/株探(フィスコ)
- 配当落ち分385円・先物買い1.5兆円の見方/日刊ゲンダイ
- 日経平均・TOPIXの時系列/株探(日経平均)、株探(TOPIX)
- 過去の権利落ち日の市況/株探(2025年9月29日)、株探(2026年3月30日)、日本経済新聞(2025年9月29日)
- 配当落ちで株価が下がる仕組み/マネックス証券、東京金融取引所
- 日経平均トータルリターン指数/日本経済新聞社
- 配当再投資の先物買い(過去の事例)/日本経済新聞
- 配当落ち前の先物と現物の価格差/楽天証券トウシル
- 配当所得の課税/国税庁
- 権利取りと損益通算/幻冬舎ゴールドオンライン(川合一啓)
- 配当落ち分と相場の強さ(2025年9月22日)/野村証券
- 高配当株の権利落ち後の値動き(2026年3月4日)/マネックス証券 吉野貴晶
- 権利付最終日・権利落ち日の平均騰落率/システムトレードの達人
- Kato and Loewenstein (1995), Review of Financial Studies/RePEc
データ基準日:2026年9月25日の東京市場終了時点。9月28日の値動きは反映していない。2026年9月の配当落ち分と先物買いの金額は市場関係者の推計・試算であり、推計主体は公表されていない。過去の配当落ち分も当時の推計値で、確定値ではない。「当日に埋めた」は権利落ち日の終値が権利付最終日の終値以上かどうかで判定した。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














