9月18日の東京市場で、日経平均株価は882円70銭高の6万5018円95銭で引けた。同じ日、TOPIXは0.07%安。東証プライムの値上がりは509銘柄、値下がりは998銘柄である。上げたのは指数であって、市場ではなかった。まず下の1枚を見てほしい。
指数を動かした3銘柄
9月18日の日経平均への寄与度(円)
読み方:上位3銘柄で762円12銭。日経平均の上げ幅882円70銭の86%にあたる。押し下げ側は1銘柄あたり20円以下で、161銘柄合わせても287円18銭にとどまった。
日経平均の上げ幅882円70銭のうち、762円12銭はアドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアホールディングスの3銘柄で説明できる。残りの222銘柄が積み上げた分は120円ほどだ。日経平均は株価の高い銘柄ほど影響が大きい「株価平均型」の指数である。3万円台、5万円台の値がさ株が動けば、指数はそれだけで動く。逆向きの例も同じ月にあった。9月11日はアドバンテスト1銘柄で日経平均が531円押し下げられている。9月上旬にはソフトバンクグループ1銘柄が3営業日で959円押し上げた局面もあった。
一方のTOPIXは、浮動株調整後の時価総額で重みを付ける。構成銘柄も東証プライムを中心とする幅広い銘柄群に及ぶ。だから値がさの半導体株が3銘柄上げても、内需株や銀行株が広く下げれば、TOPIXは沈む。この日の両指数の差、1.45ポイント分が、そのまま「指数と市場のずれ」である。
買われた銘柄と、売られた銘柄
9月18日の主な銘柄の騰落率(東京市場の終値)
読み方:買われたのは半導体関連。売られたのは、利上げで利ざやが改善するはずの銀行と保険である。政策金利の水準ではなく、この先の利上げペースの見積もりが下がったことが効いている。
買われたのは半導体関連である。キオクシアは9.40%高の5万4570円で、高値引け。前日17日の米国市場でフィラデルフィア半導体株指数が3.14%上げた流れを引き継いだ(CNBCの終値ベース)。決定後に進んだ円安も、輸出採算の改善観測を通じて下支えした。売られたのは、利上げで最も買われるはずだった銘柄群だ。三菱UFJフィナンシャル・グループが0.88%安、三井住友フィナンシャルグループが0.70%安、みずほフィナンシャルグループが0.63%安。保険も東京海上ホールディングスが1.18%安、第一生命ホールディングスが0.91%安だった。
銀行株が下げた理由は2つある。ひとつは材料出尽くしだ。9月の利上げは事前にほぼ織り込まれていた。3行はいずれも、11時54分の発表後に下げ幅を広げている。もうひとつが、金利の先行き観測である。
日銀は同日、政策金利を1.25%程度へ0.25%引き上げた。新しい誘導方針の適用は9月24日からだ。票決は7対2で、浅田統一郎委員と佐藤綾野委員が据え置きを主張した。一方、高田創委員と田村直樹委員は理由が逆で、基調的な物価上昇率はすでに2%の目標に概ね達しているとして、物価見通しの記述に反対している。審議委員は3つに割れた。銀行の利ざやは、政策金利の水準だけでなく、これから何回上げるかの期待で評価される。
ここで見落とされやすいのが、同じ朝に出た8月の全国消費者物価だ。生鮮食品を除くコアは前年比1.7%上昇と、8か月連続で2%を下回った。だが生鮮食品とエネルギーを除くコアコアは1.9%上昇で、コアを上回っている。コアを押し下げているのはエネルギーの0.7%下落、つまり電気・ガス補助金の再開であって、基調の物価が冷えたからではない。据え置きを主張した浅田委員が根拠に挙げたのは、このコアの数字だった。
国債利回りも低下したが、これは利上げを受けた動きではない。10年債利回りは午前の段階で前日比4.5bp低い水準まで下げており、朝方のCPIの下振れ、原油安、前日の米金利低下が効いていた。11時54分の決定後は、むしろ小幅に水準を戻している。なお9月18日の引け値は、日本相互証券と財務省が未掲載のため、フィスコ集計による。FRBの利上げと合わせた金利の地図はこちらの記事に整理した。利上げ当日に円安が進んだ理由と値動きの理屈は重なっている。
33業種のうち、上がったのは7
| 指標 | 9月18日 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 65,018.95(+1.38%) | 3日続伸。終値で6万5000円台は9月10日以来 |
| TOPIX | 4,091.14(−0.07%) | 日経平均と逆方向 |
| 値上がり/値下がり(プライム) | 509/998 | 下げた銘柄が約2倍 |
| 上昇した業種 | 33業種中7業種 | 非鉄金属、電気機器、金属製品などが上位 |
| 日経平均の値上がり寄与合計 | +1,169.88円(63銘柄) | 上位3銘柄で762.12円 |
| 日経平均の値下がり寄与合計 | −287.18円(161銘柄) | 1銘柄あたりは小さい |
| プライム市場の売買代金 | 約10兆4,000億円 | 8月19日以来の高水準 |
売買代金が約10兆4,000億円と8月19日以来の水準に膨らんだ点も押さえておきたい。閑散のなかで指数だけが動いたのではない。資金は動いている。動いた先が、半導体と、それ以外に割れただけである。
業種別の内訳も、同じことを示す。上昇したのは33業種のうち7業種で、非鉄金属、電気機器、金属製品、ガラス・土石が上位に並んだ。下位は電気・ガス、石油・石炭、水産・農林業である。日経平均を構成する225銘柄のうち161銘柄が下げた。指数が1.38%上げた日の実態は、これである。
24日の再開後をどう見るか
| 筋書き | きっかけ | 日経平均 | TOPIX |
|---|---|---|---|
| A:半導体主導が続く | 21〜23日の米国市場でメモリー・半導体株が堅調を保つ | 値がさ3銘柄の寄与でさらに上値を試す | 出遅れたまま。差は開く |
| B:内需・金融が追いつく | 10月1日の「主な意見」で追加利上げに前向きな意見が並ぶ | 上げ幅は限定的 | 銀行・保険の戻りで差が縮む |
| C:円安が巻き戻る | 当局の牽制や米金利の低下でドル円が155円台へ | 輸出関連の重荷で反落 | 同じ方向に下げる |
見ておく数字
- 日経平均とTOPIXの騰落率の差 9月18日は1.45ポイント。差が開き続けるうちは、指数の上昇と保有銘柄の値動きがずれやすい。
- 値上がり銘柄数 509対998。ここが逆転すれば、上昇は広がりを得たことになる。
- アドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄 合計で日経平均の寄与652円。17日は逆に183円押し下げていた。日々の指数の振れは、ほぼこの2銘柄で決まっている。
- 9月24日 東京市場の再開日。日銀の新しい政策金利の適用開始日でもある。
- 10月1日8時50分 日銀「主な意見」。票の内訳は公表文ですでに実名で出ている。ここで読めるのは、据え置き派と「物価はすでに目標に達している」派の温度差である。
日経平均は6月22日に付けた取引時間中の最高値7万2831円73銭から、なお10.7%下にいる。同じ日の米国市場でも、メモリーが買われ、サーバーを組み立てる側が売られた。サンディスクは10.99%高、マイクロン・テクノロジーは3.92%高で引けた一方、デルは3.46%安、スーパー・マイクロ・コンピューターは3.12%安である。東京で起きたことは、東京だけの現象ではない。
この偏りは、24日の寄り付きまで解消されない
東京市場は9月21日から23日まで休場で、次の立会は24日である。つまりこの9月18日の終値が、3営業日にわたって東京の最新値であり続ける。値上がり509・値下がり998という偏りも、そのまま据え置かれる。
その間の海外市場は、上げの側に傾いた。9月21日の米国市場でフィラデルフィア半導体株指数は3.59%高(米東部時間11時42分時点)。18日の2.78%高と合わせ、東京が取引できない2営業日で半導体株指数は6%超上げたことになる。18日の日経平均の上げ幅882円70銭のうち436円86銭を稼いだアドバンテスト、215円21銭の東京エレクトロン、110円05銭のキオクシアには、追い風が残る形だ。
市場の見立ては先物に出ている。日経平均先物の期近は21日の米国時間に6万6,295円で推移した。18日の現物終値6万5,018円95銭に対し、およそ1,270円(1.95%)高い水準である。ただしこれは予想ではなく、いま値の付いている価格にすぎない。
問題は中身のほうだ。18日の上昇は3銘柄で上げ幅の86.4%を作り、TOPIXは0.07%安だった。24日の寄り付きが半導体株の追い風で始まるなら、同じ構図がもう一度現れる可能性が高い。指数の数字と、保有している銘柄の値動きが一致しない日が続くことになる。24日に見るべきは日経平均の上げ幅ではなく、TOPIXが同じ方向を向いているか、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回っているかである。
主な参照
- 9月18日の東京市場(日経平均・TOPIX・売買代金)/日本経済新聞
- 日経平均への寄与度と業種別騰落/財経新聞(フィスコ)、株探
- 個別銘柄の終値/株探
- 日銀の金融政策決定(2026年9月18日)/日本銀行
- 日経平均の過去最高値/日経平均プロフィル
- 9月21日の半導体株指数と日経平均先物の気配値/CNBC
データ基準日:2026年9月18日の東京市場の終値。9月21日の米国市場の数値のみ米東部時間11時42分時点。寄与度はフィスコと株探の集計による。9月21日の数値は取引時間中の気配値であり、終値ではない。日経平均先物の水準は期近の値であって、24日の寄り付きを保証するものではない。筋書きと見立ては本誌のものであり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















