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普通預金0.5%、短プラ2.625%——11月2日から家計に届く日銀利上げの中身

Takashi Suzuki Takashi Suzuki
2026年9月22日
経済
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日銀が利上げしても円安
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普通預金に100万円を置いている人の利息が、年5,000円になる。税引き前の話で、しかも11月2日からだ。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行は9月18日、普通預金の金利を年0.4%から0.5%へ引き上げると発表した。1992年以来、34年ぶりの水準である。日銀がその日の昼に決めた利上げは、まずこの形で家計に届く。

同じ日に、逆向きの発表もあった

ただし、発表はこれだけではない。同じ18日、三菱UFJ銀行は短期プライムレートを年2.375%から2.625%へ引き上げると発表した。適用は預金と同じ11月2日である。みずほ銀行も同様に引き上げると報じられている(本稿執筆時点で、両行の公式ページには改定後の数字が掲載されていない)。三井住友銀行については、短期プライムレートの改定は報じられていない。

短期プライムレートは、銀行が優良企業に1年以内で貸すときの基準金利だ。そして日本の変動金利型の住宅ローンは、この短プラを基準に金利が決まる仕組みになっている。つまり同じ日の発表で、預ける人は年0.1%ぶん受け取りが増え、借りている人はいずれ0.25%ぶん支払いが増える。

日銀の利上げが家計に届くまで

19/18日銀が政策金利を1.25%へ引き上げ(票決7対2)29/18メガバンク3行が普通預金0.5%を発表。三菱UFJ銀行は短期プライムレート2.625%も発表39/24新しい誘導目標1.25%の適用が始まる410/1多くの銀行で住宅ローンの基準金利を改定(6月の利上げ分)511/2普通預金0.5%と短期プライムレート2.625%が適用開始62027/16月利上げ分が変動金利の返済額に反映(見込み)72027/49月利上げ分が基準金利に反映(見込み)82027/79月利上げ分が返済額に反映(見込み)反映時期は各行の規定と民間調査による見込み。契約内容により異なる。

読み方:預金金利は11月2日に上がるが、住宅ローンの返済額が動くのは早くて2027年1月。決定から返済額までは、基準金利の改定が年2回しかないため10か月前後かかる。

私たちの家計に、いくら届くのか

預金額年0.4%(現在)年0.5%(11月2日から)差額(年・税引き前)
50万円2,000円2,500円+500円
100万円4,000円5,000円+1,000円
300万円12,000円15,000円+3,000円
500万円20,000円25,000円+5,000円
1,000万円40,000円50,000円+10,000円
読み方:いずれも税引き前の単純計算。実際には利息の約20%が源泉徴収される。100万円を1年置いた場合、手取りの増加は800円ほどになる。

正直に書けば、大きな金額ではない。100万円を1年預けて、増えるのは税引き後で800円ほど。缶コーヒー6本分といったところだ。それでも、2024年までのゼロ金利の時代には、同じ100万円の利息が年10円だった。桁が3つ変わったことになる。

より大きな差は、置き場所の選択で生まれる。あおぞら銀行のBANK支店は、普通預金に年1.0%を付けている(残高100万円まで。100万円を超える部分は年0.65%)。報道によれば10月1日から年1.20%(100万円超は年0.75%)へ引き上げる予定だが、本稿執筆時点で同行の金利ページに改定後の数字は出ていない。高い金利が付くのは100万円までで、それを超える資金は別の置き場所を考える必要がある。100万円なら、メガバンクの0.5%との差は年5,000円になる。9月に募集された個人向け国債の変動10年は、適用利率が年1.95%だった。2003年の発行開始以来の最高である。

借りている側には、すぐには届かない

では、変動金利で住宅ローンを借りている人の返済額は、11月2日から増えるのか。増えない。ここに時差がある。

多くの銀行は、住宅ローンの基準金利を年2回、4月1日と10月1日にしか改定しない。三菱UFJ銀行の場合、4月の改定は7月の返済分から、10月の改定は翌年1月の返済分から反映される。6月の日銀利上げ(0.75%→1.00%)が10月1日の改定に乗り、2027年1月の返済から効いてくる見込みだ。9月の利上げ(1.00%→1.25%)は、さらにその次、2027年4月の改定を経て、2027年7月の返済から反映されるとみられている。決定から返済額が動くまで、およそ10か月かかる計算になる。

この時差は、銀行によって違う。ネット銀行のなかには、基準金利を毎月見直すところもある。2026年7月から8月にかけては、PayPay銀行が0.35%、ドコモSMTBネット銀行と楽天銀行がそれぞれ0.25%、基準金利を引き上げている。自分の借入先がどの周期で改定するかは、契約書か銀行のサイトで確認しておきたい。

「5年ルール」は、すべての銀行にあるわけではない。変動金利には、返済額を5年間据え置く「5年ルール」と、見直し後の返済額を従前の125%までに抑える「125%ルール」がある。三菱UFJ銀行はどちらも採用している。だが、ソニー銀行、SBI新生銀行、PayPay銀行などは採用していない。この場合、金利が上がればその都度、返済額が上限なく見直される。また5年ルールがある場合でも、利息が減るわけではない。返済額が据え置かれる間は元金の減りが遅くなり、状況によっては未払利息が生じることもある。

上流をたどる——なぜ11月2日なのか

日付をさかのぼると、仕組みが見える。日銀が政策金利を1.25%へ引き上げたのは9月18日。ただし新しい誘導目標が実際に適用されるのは9月24日からだ。銀行が短期プライムレートや預金金利を動かすのは、そのさらに後になる。前回もそうだった。6月16日の利上げに対し、三菱UFJ銀行とみずほ銀行が短プラを2.125%から2.375%へ引き上げたのは8月3日である。決定から1か月半。今回の11月2日も、ほぼ同じ間隔だ。

預金金利の歩みも記しておく。2026年2月2日に0.2%から0.3%、8月3日に0.3%から0.4%、そして11月2日に0.5%。1年で0.3%ポイント上がった計算になる。日銀の政策金利が0.5%から1.25%まで上がった動きに、遅れてついてきている。

次に店頭へ届く日付

  • 9月24日 日銀の新しい政策金利1.25%が適用開始。東京市場も3連休明けで再開する。
  • 10月1日 多くの銀行で住宅ローンの基準金利が改定される日。6月の利上げ分がここに乗る見込み。
  • 10月1日8時50分 日銀が「主な意見」と9月短観を同時に公表。次の利上げの距離感が分かる。
  • 11月2日 メガバンク3行の普通預金が0.5%に。三菱UFJ銀行の短期プライムレートは2.625%へ。
  • 2027年1月の返済分から 6月の利上げが変動金利の返済額に届く見込み。9月分は2027年7月からとみられる。

金利が動く局面での預け先の考え方は長期金利3%と「お金の置き場所」の記事に、金利5%時代の資産配分はこちらの記事にまとめている。日銀が利上げした当日に円安が進んだ理由は別記事で扱った。

主な参照

  • メガバンク3行の普通預金金利引き上げ(2026年9月18日発表)/時事通信
  • 短期プライムレートの引き上げ/日本経済新聞、現行の水準は三菱UFJ銀行
  • 基準金利の改定時期と返済額への反映、5年ルール・125%ルール/三菱UFJ銀行(FAQ)、SBI新生銀行
  • 変動金利への反映時期の見通しと各行の基準金利引き上げ/モゲチェック
  • 日銀の金融政策決定(2026年9月18日)/日本銀行
  • 個人向け国債の適用利率/財務省
  • 日銀の公表予定(短観・主な意見)/日本銀行

データ基準日:2026年9月20日。預金金利と短期プライムレートは各行の発表および報道にもとづく。三菱UFJ銀行とみずほ銀行の公式ページには、本稿執筆時点で改定後の短期プライムレートが掲載されていない。住宅ローンの反映時期は各行の規定と民間調査による見込みで、契約内容により異なる。利息の計算は税引き前の単純計算であり、実際には約20%が源泉徴収される。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品を推奨するものではない。

Tags: インフレ日銀為替金利
Takashi Suzuki

Takashi Suzuki

大手マーケットメイカーのFXトレーディングデスクで8年以上にわたりキャリアを積み、うち3年は為替フォワードデスク、その後2年は金利(レート)デスクを担当した。さらにシンガポールではアジア・トレーディングデスクのヘッドとして4年間チームを率い、地域全体のフローとリスク管理を統括してきた。 現在もFX・金利・株式など幅広い市場で実際にトレードを行っており、機関投資家の最前線で培った実取引経験は豊富。FX・株式・暗号資産において自己のポジションを保有している。 こうした実務とマーケットでの経験をもとに、金融市場・暗号資産・FX・経済指標について、信頼性・正確性・迅速性の高い情報を届けることを目的としている。記事の内容は特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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