9月18日の米国株の番付を発表する。東の横綱はサンディスク、10.99%高。西の横綱はラムリサーチ、6.98%高。序二段に落ちたのは、前日に上場来高値を付けたばかりのデル・テクノロジーズ、3.46%安である。同じ「AI関連」の看板を掲げた銘柄が、この日は真っ二つに割れた。勝ったのはメモリーと半導体製造装置、負けたのはサーバーの組み立てだった。
番付表(2026年9月18日の終値)
9月18日の騰落率(米国市場の終値)
読み方:上位はメモリー・記憶装置と半導体製造装置。下位はサーバーを組み立てる3社である。メモリー価格の上昇は、作る側には売上高、組み立てる側には部品代として効く。S&P500は0.17%高で、指数はほとんど動いていない。
| 番付 | 銘柄 | 終値 | 前日比 | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | サンディスク(SNDK) | 1,791.82ドル | +10.99% | ◎ |
| 西の横綱 | ラムリサーチ(LRCX) | 288.11ドル | +6.98% | ○ |
| 東の大関 | シーゲイト(STX) | 858.79ドル | +6.93% | ○ |
| 西の大関 | アプライド・マテリアルズ(AMAT) | 444.57ドル | +6.51% | ○ |
| 東の関脇 | マイクロン・テクノロジー(MU) | 1,015.80ドル | +3.92% | ◎ |
| 西の関脇 | ウエスタンデジタル(WDC) | 441.36ドル | +4.13% | ○ |
| 幕下 | ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE) | 60.76ドル | −0.46% | △ |
| 三段目 | スーパー・マイクロ(SMCI) | 39.09ドル | −3.12% | × |
| 序二段 | デル・テクノロジーズ(DELL) | 568.06ドル | −3.46% | × |
土俵全体の成績も記しておく。フィラデルフィア半導体株指数は2.78%高。S&P500種株価指数は0.17%高、ナスダック総合指数は0.40%高にとどまった。指数はほぼ動かず、その下で資金だけが大きく移動した一日だった。
東の横綱・サンディスク——◎
10.99%高で1,791.82ドル。1日で177ドル上げた。この銘柄には、この日ひとつの日程が控えていた。9月21日の取引開始前に、S&P100へ採用されることである。デル、パロアルトネットワークス、アリスタ・ネットワークスと同時で、外れるのはナイキ、コルゲート・パルモリーブ、サイモン・プロパティ・グループ、ハネウェル・エアロスペースだ。ただし、採用だけで11%は説明できない。同じ日にシーゲイトが6.93%、ウエスタンデジタルが4.13%上げている。買われたのは1社ではなく、記憶装置という土俵そのものだった。評価は◎。ただし、6月に付けた高値2,354.39ドルからは、なお23.9%下にいる。これはサンディスクだけの話ではない。この日買われた銘柄は例外なく深い傷を負ったままで、ウエスタンデジタルは6月の高値から44.8%安、アプライド・マテリアルズは39.9%安、ラムリサーチは34.3%安、マイクロンも19.1%安の水準にある。フィラデルフィア半導体株指数自体が18.7%下だ。しかも17日にもサンディスクは上げている。18日は反発の2日目にあたる。この勝ち名乗りは、3か月続く下落相場のなかでの戻りに対するものである。
東の関脇・マイクロン——◎
3.92%高の1,015.80ドルで、1,000ドル台を回復した。上げ幅では横綱に及ばないが、評価は◎とする。理由は日付だ。9月30日に2026年度第4四半期の決算を発表する。メモリー各社の決算は、需要の強さと価格の方向を同時に示す。AIサーバーの部品代がどこまで上がるのか、その答えがこの日に出る。番付の上位が勝ち続けられるかどうかは、この一番にかかっている。
序二段・デル——×
前日17日に588.40ドルと終値で最高値を付けたばかりの銘柄が、18日は3.46%安の568.06ドルで引けた。しかも寄り付き直後には595.51ドルと、取引時間中の最高値を更新している。もっとも、前日17日の高値593.98ドルを1.53ドル、率にして0.26%上回っただけの更新だった。そこから27ドル下げ、終値は568.06ドル。この日の安値ちょうどである。相撲でいえば、立ち合いで一気に押し込みながら、土俵際で逆転されたようなものである。負け越しの評価は×。
ここで注意がいる。デルもスーパー・マイクロも、18日に会社側の発表はなかった。アナリストの評価変更も報じられていない。つまり、負けの理由は会社の中にはない。考えられる背景は2つある。1つは前日17日の上げの反動だ。デルは17日に4.46%高で終値の最高値を付け、スーパー・マイクロも9.50%高だった。もう1つは、この日が株価指数と個別株のオプションの同時満期日だったことだ。規模は約7兆ドルと推計され、シタデル・セキュリティーズによると、その6割が寄り付きに集中した。3銘柄がそろって寄り付き近辺を高値に崩れた形は、この需給と整合的である。ただし、18日の値動きを明示的に説明した主要メディアの報道は確認できていない。
幕下・HPE——△
0.46%安の60.76ドル。下げた3銘柄では最も小さく、評価は痛み分けの△とした。むしろ見るべきは位置取りである。HPEの株価は6月2日に付けた52週高値64.25ドルから5.4%下にすぎず、デルも高値から4.6%下だ。対してこの日買われたウエスタンデジタルは44.8%下、アプライド・マテリアルズは39.9%下にいる。負けた側のほうが高値に近く、勝った側のほうが深い傷を負ったまま。18日の番付は、その差をわずかに縮めた一日でもあった。
三賞
殊勲賞はキオクシアホールディングス。東京市場で9.40%高の5万4570円、高値引けだった。同じ日の東京では、アドバンテストが5.99%高、東京エレクトロンが4.20%高。日経平均は882円70銭高の6万5018円95銭で引けたが、TOPIXは0.07%安である。日経平均を構成する225銘柄のうち、上げたのは63、下げたのは161。東証プライムでも値上がり509に対し値下がり998だった。米国と同じ「指数は動かず、中身だけが入れ替わる」構図が、先に東京で起きていた。
敢闘賞はラムリサーチとアプライド・マテリアルズ。それぞれ6.98%高、6.51%高。メモリーの価格が上がれば、増産のための装置が売れる。記憶装置の土俵で相撲を取っていないのに、同じ流れで勝ち越した。
技能賞はエヌビディア。1.34%高と地味だが、評価の根拠は9月14日にさかのぼる。「AI減速論」で半導体株が総崩れになったあの日、マイクロンとサンディスクが6%前後、インテルが7%前後下げたのに対し、エヌビディアの下落率は3.4%にとどまった。同じ週の値動きの荒さを考えれば、値幅を出さずに勝ち越したことは技能である。
なぜ土俵が割れたのか
説明の軸は1本だ。メモリーの価格が上がることは、作る側の利益であり、買う側の費用である。サンディスク、マイクロン、ウエスタンデジタル、シーゲイト、キオクシアは作る側。デル、スーパー・マイクロ、HPEはそれを仕入れてサーバーに組み立てる側だ。デルの四半期報告書は、AI需要とメモリーメーカーの供給制約で、メモリー部品のコストが大幅に上昇していると記している。コストを販売価格へ転嫁できなければ、利幅は薄くなる。
同じ構図はエヌビディアがAIサーバーを15%超値上げした8月の記事でも扱った。あのときは値上げが通る前提だったが、いま試されているのは、どこまで転嫁できるかである。番付の上位と下位を分けた線は、AIへの強気か弱気かではなく、メモリー価格の上昇を収入として受け取る側か、費用として支払う側かにあった。これが本誌の見立てである。ただし、18日の値動きをこの理由で説明した報道は確認できていない。値動きと各社の収益構造からの推論にとどまる。
来場所の注目取組
- 9月21日(米国時間) S&P100の入れ替えが取引開始前に実施された。デルとサンディスクが採用される側に回った。結果は下記のとおり。
- 9月24日 東京市場が3連休明けで再開する。日銀の新しい政策金利1.25%が適用される日でもある。キオクシアとアドバンテストの続きは、この日から。
- 9月30日〜10月1日 米8月のPCE物価指数が9月30日21時30分(日本時間)。マイクロンの決算は米国時間30日の引け後で、日本時間では10月1日午前5時30分にあたる。東京市場が世界で最初に反応する。
- 10月2日21時30分 米9月の雇用統計。米長期金利が5%前後にある局面では、高PERの銘柄ほど反応が大きくなりやすい。
デルとスーパー・マイクロの17日の急伸はデルの5つの要点とスーパー・マイクロの記事で、9月14日の急落はAI減速論の記事で扱っている。
追記:番付は1営業日で崩れた
この番付は9月18日のものである。翌営業日の21日、土俵はもう入れ替わっていた。序二段に置いたデルは1.10%高、東の横綱サンディスクは1.34%安。18日に勝った側と負けた側が、そのまま入れ替わった形になる。東の大関シーゲイトは1.80%高、西の関脇ウエスタンデジタルは0.21%高と、上げ幅を大きく削っている。三段目のスーパー・マイクロは4.73%高、幕下のヒューレット・パッカード・エンタープライズは0.51%高だった(いずれも米東部時間21日11時42分時点)。
21日に買われたのはメモリーではない。アーム・ホールディングスが14.75%高、インテルが14.42%高、AMDが9.06%高、クアルコムが7.41%高と、CPUを手がける銘柄に資金が集まった。フィラデルフィア半導体株指数は3.59%高だが、エヌビディアは1.27%高、ブロードコムは0.39%高にとどまる。18日の主役だったメモリーは、マイクロンの2.32%高が目立つ程度である。
番付の使い方。1日の番付は、その1日の資金の向きを記録したものであって、次の場所の予想ではない。18日の「メモリー買い・サーバー売り」は、わずか1営業日で入れ替わった。三場所続けて同じ顔ぶれが上位に並ぶかどうかを見るほうが、1日の勝ち負けよりも意味がある。21日のCPU高についても、各社からこの値幅を説明する発表は出ていない。
主な参照
- 米国株・半導体株指数の終値/CNBC、Nasdaq
- S&P100の入れ替え(2026年9月21日実施)/S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス
- オプション同時満期の規模/Investing.com(シタデル・セキュリティーズの推計)
- メモリー部品のコスト上昇/SEC(デルの四半期報告書)
- 9月18日の東京市場/日本経済新聞、財経新聞(フィスコ)
- マイクロンの決算日/マイクロン・テクノロジー
データ基準日:2026年9月18日の終値。追記部分のみ9月21日(米東部時間11時42分)。番付と評価は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。9月18日の値動きについて、各社から発表はなく、主要メディアによる理由の特定も確認できていない。追記の9月21日の株価は取引時間中の気配値であり、終値ではない。同日の取引終了は日本時間22日午前5時で、その後の変動は反映していない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















