3日ぶりに東京が開く。筆者の画面では、シカゴの日経平均先物が6万6,010円で点滅している。9月18日の現物終値は6万5,018円95銭だから、991円高、率にして1.52%だ。市場によって水準は割れており、各社の気配を並べると、寄り付きに織り込まれている上げ幅はおよそ880円から990円、率にして1.35〜1.52%といったあたりになる。連休前に持ち高を落とした向きは、この数字を見て舌打ちしているだろう。だが筆者は、この寄り付きを買わない。理由を順に書く。
テープの描写——先物は高値から1,190円落ちている
大事なのは水準ではなく、そこへ至る道筋だ。先物の値動きを並べる。
| 時点 | 日経平均先物 | 9月18日の現物終値との差 |
|---|---|---|
| 9月18日(現物終値) | — | 6万5,018円95銭 |
| 9月21日(米国時間) | 6万6,300円 | +1,281円(+1.97%) |
| 9月22日(シカゴ清算値) | 6万7,020円 | +2,001円(+3.08%) |
| 9月23日(高値) | 6万7,200円 | +2,181円(+3.35%) |
| 9月23日(安値) | 6万5,735円 | +716円(+1.10%) |
| 9月23日 14時00分 | 6万6,010円 | +991円(+1.52%) |
この表の読み方はひとつしかない。東京が休んでいる間に、先物はいったん2,000円超の上げ幅を作り、そこから1,190円吐き出した。いま残っている991円は、高値から半分以上削られた後の残骸である。連休明けの寄り付きだけを見れば「991円高」だが、それは3日間の物語の結末であって、出発点ではない。
日経平均の水準地図(連休中の先物と18日の現物終値)
読み方:先物はいったん6万7,200円まで買われ、そこから1,190円削られた。24日の寄り付きは、この削られた後の水準から始まる。
需給の解剖——誰が売っているのか
削られた原因は、日本にはない。米東部時間23日午前9時45分に出た米9月のPMI速報値が、総合58.4と2021年7月以来の高さになった。製造業は57.0(予想53.6)、サービス業は58.7(予想56.0)で、いずれも大幅な上振れである。同時に、企業の投入コストの上昇ペースが2022年10月以来の速さになった。
これで米10年債の利回りが5.122%、取引時間中には5.135%まで跳ねた。2007年以来の水準だ。前日終値の4.967%から15.5bpである。金利先物から算出される10月27〜28日の会合での利上げ確率は73%へ飛んだ(CME FedWatchの集計、CNBCによる)。
金利が跳ねれば、高PERの銘柄から投げが出る。米国市場ではナスダック総合が1.10%安、フィラデルフィア半導体株指数が1.50%安。ブロードコム2.69%安、インテル2.59%安、マイクロン2.13%安、エヌビディア1.63%安である。日経平均の値がさ株は、この並びとほぼ連動する顔ぶれだ。
ただし、ここで冷静になっておきたい。半導体株指数は9月21日に4.29%、22日に2.06%上げている。今日の1.50%安を引いても、9月18日の水準からはなお5%近く上だ。売られたのではなく、上げ足が止まったというのが正しい。東京勢はこの「上げた後の一服」を、上げも一服もまとめて寄り付きで受け取ることになる。
もうひとつ需給で効くのが為替だ。ドル円は158円20銭、取引時間中の高値は158円39銭。9月2日以来の円安水準である。輸出採算という意味では追い風だが、後述するとおり、この水準は別の懸念を連れてくる。
寄り付きで動く銘柄を、先に洗っておく
東京が休んでいた間に、米国は4営業日を消化している。18日の東京は15時に引けており、その後に始まった18日の米国市場から21日、22日、23日までが、現物にとって未消化だ。ここを取り違えると寄り付きの判断を誤る。3営業日ではない。4営業日である。
その4営業日でフィラデルフィア半導体株指数は、21日に4.29%高、22日に2.06%高、そして23日は1.50%安。差し引き4.85%高だ。上げた後に少し戻した、という形である。この「差し引き」を現物が一度に受け取る。
個別で効きそうなものを並べる。値がさの半導体関連は、米国の対応銘柄の4営業日の騰落を見ておけば見当がつく。
| 東京の銘柄 | 9月18日終値 | 見ておく米国銘柄 | 9月18日終値比 |
|---|---|---|---|
| アドバンテスト(6857) | 32,050円 | フィラデルフィア半導体株指数 | +4.85% |
| 東京エレクトロン(8035) | 53,110円 | フィラデルフィア半導体株指数 | +4.85% |
| キオクシア(285A) | 54,570円 | マイクロン・テクノロジー | +5.61% |
| ソフトバンクグループ(9984) | 6,315円 | アーム・ホールディングス | +19.71% |
この表で目を引くのはアームだ。4営業日で19.71%高。9月21日にCPU関連銘柄だけが買われた日があり、そこで17%上げた。ソフトバンクグループはアーム株の8割超を保有する親会社である。18日の終値6,315円は、この上げをまったく織り込んでいない。連休明けに最も値幅が出やすいのは、筆者の見るところこの1銘柄だ。
ただし注意がいる。アームの19.71%は21日と22日に作られたもので、23日は0.98%安だ。上げの部分だけを見て寄り付きから飛びつくと、高値づかみになりやすい。寄り付き前の気配で、どこまで織り込んで始まるかを確認してからでも遅くない。
逆に、金利上昇の直撃を受ける側も見ておく。米10年債が5%台に乗った局面では、内需のディフェンシブ株や高配当株より、PERの高い成長株が売られやすい。東京でも同じ並びになる公算が大きい。連休前の18日に日経平均を押し上げた3銘柄が、そのまま押し下げ役に回る展開もありうる。
水準の地図
筆者が見ている線を書き出す。上から6万7,200円(23日の先物高値)、6万7,020円(22日清算値)、6万6,010円(現在値)、6万5,735円(23日の先物安値)、6万5,018円95銭(18日の現物終値)。そして下に6万4,136円25銭(18日の現物始値)がある。
寄り付きが6万6,000円前後で始まるとして、当日の勝負どころは6万5,735円だ。先物が23日に一度つけた安値であり、ここを日中に割り込むようなら、連休中の上げを現物が受け取り損ねたことになる。逆に6万7,020円を終値で回復すれば、連休の分断はなかったものとして扱ってよい。
日柄の話もしておく。9月18日の上げ幅882円70銭のうち、436円86銭はアドバンテスト1銘柄が作った。東京エレクトロンが215円21銭、キオクシアが110円05銭。3銘柄で86.4%である。同じ日のTOPIXは0.07%安、値上がり509・値下がり998だった。この偏りは別記事で書いたとおりで、連休を挟んでも解消されていない。
筆者の見立て
結論から言う。筆者は24日の寄り付きに手を出さない。高く寄って、そこから売られる展開を本線とみている。根拠は3つだ。
第一に、先物がすでに高値から1,190円落ちている。現物は連休明けに、その「落ちた後」の水準から取引を始める。つまり東京の参加者は、上げの部分だけを見て買い、削られた部分を知らずに入る危険がある。寄り付き直後の板が薄い時間帯は、その情報差が最も出やすい。
第二に、24日は材料が重なりすぎている。日銀の新しい政策金利1.25%の適用開始日であり、ワシントンでは米中首脳会談が開かれる。半導体の輸出規制が議題に上れば、値がさの半導体株はそこで振られる。会談は日本時間の夜になるため、東京の日中はその結果を知らないまま推移する。持ち越しリスクが片方向に偏る日だ。
第三に、為替だ。158円台は、9月18日深夜から19日にかけて当局がレートチェックを入れたと報じられた水準である。東京が開けば、財務省や日銀が口を開く機会も戻ってくる。連休中の5日間、当局は一言も発していない。24日は当局が発言できる最初の日でもある。円安で買われた輸出株が、当局の一言で戻される局面は何度も見てきた。
逆になったら
見立てが外れる条件を先に置く。日経平均が6万7,020円を終値で上回れば、筆者はこの見方を捨てる。22日の先物清算値であり、ここを現物が抜くなら、金利上昇は東京にとって大きな材料ではなかったという判定になる。その場合は素直に押し目を拾う側に回る。
逆に6万5,018円95銭、つまり18日の現物終値を割り込むなら、連休中の上げは完全になかったことになる。そこから下は6万4,136円まで目立った節がない。値幅が出る。
なお、ここに書いた水準はすべて筆者の考え方であって、他人に損切りの位置を指図するものではない。自分の建値と資金量で線を引き直してほしい。
明日の監視リスト
| 時刻(日本時間) | 見るもの | 判断の材料 |
|---|---|---|
| 9月24日 8時45分 | 気配とドル円 | 158円台を維持しているか。当局の発言が出ていないか |
| 9月24日 9時00分 | 寄り付き | 先物6万6,010円に対し、高く寄るか安く寄るか |
| 9月24日 前場 | TOPIXと騰落銘柄数 | 日経平均だけが上げていないか。値上がり銘柄数が値下がりを上回るか |
| 9月24日 日中 | 6万5,735円 | 先物安値を日中に割り込むか |
| 9月24日(日本時間夜) | 米中首脳会談 | 半導体の輸出規制に言及があるか |
| 9月28日 8時50分 | 日銀議事要旨 | 7月30〜31日会合の議論の温度 |
| 10月1日 8時50分 | 日銀「主な意見」と9月短観 | 7対2に割れた9月会合の内訳 |
連休中に何が起きたかの整理はこの記事に、9月21日にCPU関連株だけが買われた局面はこの記事に書いた。日銀の利上げと円安の関係はこちらにある。
主な参照
- 日経平均先物・株価指数・為替・国債利回りの気配値(9月23日14時11分=米東部時間)/CNBC
- 米9月PMI速報値(2026年9月23日公表)/S&Pグローバル
- 10年債利回りが2007年以来の水準/AP通信
- 9月18日の東京市場(日経平均・TOPIX・寄与度)/日本経済新聞、財経新聞(フィスコ)
- 日銀の金融政策決定(2026年9月18日、適用開始は9月24日)/日本銀行
- レートチェックの報道/日本経済新聞
- 米中首脳会談の日程/CNBC
- 休場日程/日本取引所グループ
データ基準日:2026年9月23日(米東部時間14時11分)。先物・米国株・為替・国債利回りはいずれも取引時間中の気配値であり、確定値ではない。米国市場の取引終了は日本時間24日午前5時で、その後の変動は反映していない。日経平均先物の水準は期近の値であり、24日の寄り付きを保証するものではない。先物の清算値・気配値は取引所や情報ベンダーにより差があり、シカゴ市場と大阪市場でも水準が異なる。見立てと撤退の水準は筆者の考え方であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















