片山さつき財務相は8月3日朝、日本と米国が7月31日(金)の米国時間に協調して円買い介入を実施したと発表した。主要国による協調円買いは2011年の東日本大震災後以来、米国が円買いに直接参加するのは1998年以来となる。ベッセント米財務長官も声明で介入への参加を確認し、日米双方が「further joint intervention(さらなる協調介入)をためらわない」と表明した。ドル円は3日の海外市場で一時155円24銭まで下落し、米東部時間14:02時点は157.05円で推移している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表 | 片山財務相が8月3日朝(東京)、7月31日の日米協調円買いを正式に確認 |
| 米側 | ベッセント財務長官「金曜の協調為替行動は無秩序な円の動きに対処した」。追加介入を躊躇しないと言明 |
| 歴史的位置付け | 主要国の協調円買いは2011年以来。米国の円買い参加は1998年以来 |
| 規模 | 日銀当座預金の変動から、金曜の介入額は最大365.8億ドル規模との推計(ロイター) |
| ドル円 | 一時155.24円。7月23日の高値163.99円から8円超の円高 |
| 背景 | 日銀は7月31日、基調的物価が2%を「明確に上回り得る」と初表明。9月利上げの扉を開く |
※ 相場データは米東部時間8月3日14:02時点。
10日間の経路
図:40年ぶり高値から協調介入まで——ドル円の10日間
163円99銭の40年ぶり高値から、単独介入観測、日銀のタカ派的据え置き、そして日米協調介入の確認へ。ドル円は1週間強で8円超下落した。
経路を整理する。7月23日に163円99銭と1986年以来の高値をつけたドル円は、30日深夜に介入とみられる円買いで157円80銭まで急落した(当時の検証記事)。31日昼の日銀会合後に160円台まで戻したところで、米財務省が銀行団に「追加行動への備え」を通告。同日の米国時間に日米が協調して円を買った。これが今回確認された介入である。週明け3日の東京市場で片山財務相が公表し、円は155円台前半まで一段高となった。
発言
- 片山財務相「過度な変動と無秩序な動きに対処するためのものだ。米財務省と緊密に連絡を取っており、さらなる協調介入をためらわない」(8月3日朝)
- ベッセント米財務長官「金曜の協調為替行動は、無秩序な円の動きに対処した。さらなる協調介入への参加をためらわない」(声明)
- 日銀・植田総裁は7月31日の会見で、物価の上振れリスクを「より注意深く精査する」と述べていた。
市場の反応と残る論点
円は主要通貨に対して全面高となっている。一方でアジア市場は荒れた。3日の韓国KOSPIは5.1%安と急落し、サムスン電子は9%近い下げ。円高と株安が併走する構図は、2024年8月の円キャリー巻き戻し局面を思い起こさせる。米国株は3日の取引時間中、S&P500が1%超高と対照的に堅調だった。
論点は三つ残る。第一に持ち高。レバレッジド・ファンドの円ショートは6月末に約13.8万枚と19年ぶり規模だった。協調介入という「当局が本気を見せた」状況で、この持ち高の解消がどこまで進むか。第二に金利差。日米の政策金利差250〜275bpは介入では縮まない。縮めるのは9月の日銀利上げと米側の政策であり、協調介入は時間を買う手段である点は単独介入と変わらない。第三に持続性。4月の単独介入(11兆7,349億円)は6週間で効果が消えた。今回は「米国の参加」と「日銀のタカ派化」という2つの新要素があり、先週の検証で挙げた「今回は違う」側の条件が相次いで満たされた形だ。それでも155円台が定着するかは、9月の日米金融政策が最終的に決める。
この見方が崩れる条件:①ドル円が今週中に160円台を回復し定着する(協調介入の空振り)、②9月の日銀利上げ観測が後退する、③米インフレ再加速でFedの追加利上げ観測が強まり金利差拡大が再び主導権を握る。円高加速の条件は、実際の追加協調介入と、CFTC建玉で確認される円ショートの本格的な解消だ。
今後の日程
- 今週:米ISM・雇用関連指標。9月Fed利上げ観測(7割前後)の変動要因
- 8月末まで:財務省「外国為替平衡操作の実施状況」で7月末〜8月分の介入額が確定
- 9月15〜16日:FOMC。9月中旬:日銀金融政策決定会合。金利差の行方を決める2連戦
主な参照(データ基準日:米東部時間2026年8月3日14:02)
CNBC(日米が協調介入を確認)/ジャパンタイムズ/アルジャジーラ/ブルームバーグ(ベッセント・片山両氏の警告)/ロイター=Yahoo(介入規模推計)。相場水準は執筆時点の値であり、その後変動している可能性がある。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の取引を推奨するものではない。為替取引には預託額を上回る損失が生じるリスクがある。投資判断は自己の責任で行っていただきたい。














