金曜のソウルは、7月15日から発動がほぼ日常化していたサイドカー(売り注文の一時抑制)がまた鳴った。KOSPIは−5.72%の6,690.62——6月高値からの下げは約3割に達し、サムスン電子とSKハイニックスがそろって6%級の下げを主導した。売りの理由は今の業績ではない。証券各社の解説が指すのは「2027年後半のNAND平均価格が鈍化する」という、1年半先の懸念だ。恐怖は海を渡り、米国でマイクロン−6%・サンディスク−9%、東京でキオクシア−9.5%・ディスコ−12.3%。メモリーを巡る世界同時の投げ売りで週は閉じた(基準日2026年7月26日)。
7月24日:世界メモリー株の成績表
読み方:震源はソウルだが、下げ幅の最大は東京勢。「純粋メモリー度」が高い銘柄ほど深く売られた。
出所:ソウル経済・24/7 Wall St・株探(7月24日。SKハイニックスは日中ベース、米国は概数)。
構図:現在は絶好調、賭けの対象は「1年半先」
この売りの奇妙さは、目の前の数字と真逆であることだ。SKハイニックスは水曜朝の決算で営業利益率74〜77%と、1-3月期の72%を超える過去最高更新が観測されている。DRAMもHBMも逼迫し、決算前の1週間で株価は14%上げていた。つまり市場は「今」を疑っていない。疑っているのは、キオクシア・ショックで一度値付けした「中国発の供給増が2027〜28年に価格を壊す」という未来であり、金曜はその恐怖のNAND版が再燃した形だ。ディスコの「最高益なのに未達」と同じく、メモリー株はいま、実績ではなく18カ月先の期待の曲線で裁かれている。
今週の3つの審判と、シナリオの分岐
| 審判 | 何が判明するか | 強気の合図 | 弱気の合図 |
|---|---|---|---|
| ①CXMT初値(月・上海) | 「中国メモリー自給」に市場が付ける最初の値段。公開価格8.66元・評価額約850億ドル | 初日高騰=資金は中国半導体を「成長」と読む→装置株に追い風の解釈も | 公開価格割れ=過剰評価の自白→供給過剰説の裏付けに使われる |
| ②SKハイニックス決算(水9:00) | メモリー好況の実額。利益率74〜77%観測、HBM4の出荷・価格コメント | 利益率77%接近+HBM4強気ガイダンス→金曜の売りは「過剰反応」認定 | NAND価格見通しへの慎重発言→2027年懸念が「本人公認」になる |
| ③週後半の東京の値動き | キオクシア・ディスコ・アドバンテストが①②をどう消化するか | 悪材料に下げ渋る=売り尽くしのサイン | 好材料に上げ切れない=戻り売り相場の継続 |
本稿の見立てを数字で置く。本線(55%):②が観測通りの最高益で、金曜の売りは自律反発へ——ただし戻りは「純粋メモリー度」の低い装置株が先行し、キオクシアのようなβの高い銘柄は遅れる。弱気(30%):①の初値高騰と②の慎重NANDコメントが重なる最悪の組み合わせ——「中国は増産の資金を得て、王者は価格を警戒している」という物語が完成し、東京メモリー勢は7月安値を試す。強気サプライズ(15%):②でHBM4の想定超の価格・数量が示され、2027年問題が「HBMシフトで吸収可能」と再解釈される——この場合のみ、金曜の下げは全戻しになる。無効化ラインは明快で、キオクシアが7月安値52,110円を終値で割れたら本線を捨て弱気へ、SKハイニックス決算翌日のKOSPIがプラスで引ければ弱気説を棄却する。
- KOSPI・韓国メモリー:ソウル経済(サイドカー・下落率)、Korea JoongAng Daily
- 米メモリー株:24/7 Wall St(MU・SNDK・WDC)
- CXMT上場:Caixin、SCMP(評価額850億ドル)
- SKハイニックス観測:韓国投資証券ほか(利益率74.6〜77%・報道経由。売上84兆ウォン予想は単一ソース)
免責事項:本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を勧誘・推奨するものではない。シナリオの確率・無効化ラインは編集部の分析であり将来を保証しない。決算観測値は報道ベース。数値は2026年7月26日時点。投資判断はご自身の責任で行われたい。
















