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決算をまたぐか、降りるか|直近8本の実測は平均10.6%、デルは発表前日に6.8%下げて翌日15.8%高

バヒティヨル マダジモフ バヒティヨル マダジモフ
2026年9月8日
株式
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9月1日のデルは、まだ何も発表していないのに6.80%下げて引けた。決算はその日の引け後である。中身を誰も知らない段階で、株はひとりでに1割近く動く準備を始めていた。そして翌9月2日、15.81%高。前日に投げた向きは、この上げを見ていることしかできなかった。

決算をまたぐか、降りるか。筆者は30年この問いに付き合ってきたが、いまだに毎回考える。ただし考え方の型は決まっている。今回はその型を、直近8本の実測値と一緒に置いておきたい。

まず、値幅を測る

感覚で語っても仕方がない。直近の主要8本について、決算翌営業日の終値がどれだけ動いたかを実際に測った。

決算発表の翌営業日に何が起きたか(終値どうしの比較)

デル(9月2日)+15.81%マイクロソフト(7月30日)+15.51%エヌビディア(8月27日)+8.74%ブロードコム(9月3日)-2.74%ネットフリックス(7月17日)-7.26%アップル(7月31日)-7.35%メタ(7月30日)-7.95%アップラビン(8月6日)-19.66%いずれも終値どうしの比較。場中の高値・安値を基準にすると、さらに大きな数字になる。

読み方:直近の主要8本の決算で、翌営業日の値動きの平均は絶対値で10.6%だった。上げが3本、下げが5本。またぐという判断は、方向を当てる賭けではなく、この幅の振れを受け入れるかどうかの判断である。

平均は絶対値で10.63%。8本のうち上げが3本、下げが5本だった。ここで肝心なのは平均そのものではなく、下げのほうが多いという点だ。決算をまたぐという判断は、上がるほうに賭けることではない。10%前後の振れを、方向を選ばずに引き受けるということである。

最大はアップラビンの19.66%安。100万円の建玉なら、一晩で約20万円が消える計算になる。逆にデルは15.81%高。同じ100万円が約16万円増える。どちらの側に立つかを、事前に選ぶ手段は基本的にない。

需給の解剖——値段は決算の前から動いている

初心者がいちばん誤解しているのはここだ。決算で株価が動くのは発表の後だけだと思っている。実際には、発表の前から需給は動いている。

デルの前後4営業日終値前日比状況
8月31日456.01ドル−0.05%様子見
9月1日425.00ドル−6.80%決算当日。引け後に発表
9月2日492.20ドル+15.81%決算を受けて急伸
9月3日516.39ドル+4.91%翌日も継続
9月4日524.14ドル+1.50%3営業日続伸
終値ベース。9月1日から4日までの合計では23.3%高となった。

この並びを見てほしい。9月1日の6.80%安は、内容が悪かったからではない。決算前にポジションを軽くする動きが集中しただけだ。中身を知らないまま値段だけが先に動く。そして翌日、実際の中身が出て、逆に振れた。

もう一つ、エヌビディアの例を出しておく。8月27日に8.74%高。ところが翌8月28日は4.57%安。1日で得た上げの半分以上を、その次の日に返した。決算翌日の値段は、まだ決着した値段ではないということである。この決算で最も振れる銘柄はどれかを事前に番付にしたときも、当日より翌日以降のほうが読みにくかった。

「噂で買って事実で売る」という古い言い回しがある。デルの9月1日は噂の段階での売り、9月2日は事実での買い戻しだった。格言どおりに動かないことも多いが、少なくとも「事実が出る前から値段は動く」という部分だけは、いつの時代も変わらない。

何も起きないこともある

ここは強調しておきたい。8本のうち、ブロードコムの決算翌日は2.74%安にとどまった。9月第1週で最も注目された決算のひとつでありながら、値幅は平均の4分の1である。

つまり、またぐことのいちばん多い結末は「大きく儲かる」でも「大きく損する」でもなく、「大したことは起きなかった」なのだ。にもかかわらず、またぐ側は10%動きうる危険を数日間ずっと背負っている。危険の大きさと結果の大きさが釣り合わないことが多い、というのがこの賭けの本質的な性質である。

筆者の見立て——原則はまたがない

結論を先に言う。筆者は原則としてまたがない。ただし次の3条件がそろったときだけ、建玉を半分に減らして残す。両論併記で逃げても仕方がないので、根拠も並べておく。

条件1 その建玉が資産全体の5%以下であること

根拠は単純な算数だ。平均で10.63%動くのだから、資産全体の5%までに抑えておけば、最悪でも全体への影響は0.5%程度に収まる。アップラビンのような19.66%安を食らっても1%だ。これなら翌日も普通に判断できる。逆に3割を1銘柄に入れていたら、19.66%安は全体で5.9%の損になる。この規模になると、次の判断が冷静にできなくなる。損の大きさより、判断が壊れることのほうが高くつく。

条件2 決算前の1週間で、すでに大きく動いていないこと

デルは決算当日に6.80%下げた。エヌビディアは決算前の2営業日で上げてから決算に入った。こうした事前の値動きがあると、発表後の反応が読みにくくなる。良い数字が出ても「すでに織り込み済み」で売られ、悪い数字が出ても「もう下げた」で買われる。事前に動いていない銘柄のほうが、内容と値動きの対応がまだ素直だ。

条件3 決算とは別に、持ち続ける理由があること

これが最も大事だ。決算の数字だけを理由に持っている建玉は、決算が終われば理由がなくなる。数字が良くても悪くても、翌日には手じまいすることになる。それなら最初からまたぐ必要はない。半年後もその銘柄を持っている理由が言えるなら、決算はその途中の1日にすぎない。言えないなら、それは投資ではなく決算という一日への賭けだ。賭けであることを自覚しているなら止めないが、金額は条件1に従うべきである。

逆になったら——降りる線を先に決めておく

またぐと決めたら、降りる線も同時に決める。筆者の線は2本ある。

1本目は「寄りで判断しない」。エヌビディアが8.74%高の翌日に4.57%安を返したように、決算翌日の寄り付きは最も情報の少ない値段である。逆指値を置いていても、大きく開いた寄りでは意図した値段では約定しない。値幅制限や気配の飛びで、想定より不利な値段で成立することを前提にしておく。寄りで逆指値が効かない仕組みは、またぐ前に必ず確認しておきたい。

2本目は「決算翌日の引けで、持ち続ける理由をもう一度言えるか」。言えるなら残す。言えないなら、値段がどうであれ手じまいする。上がっているから残す、下がっているから戻るまで待つ、という判断はいずれも理由になっていない。デルは翌日も4.91%高、その次も1.50%高と続伸した。これは事後的に「持ち続ける理由があった」ケースだが、事前にそれが分かったわけではない。

当面の監視リスト

  • 9月10日(米国時間・引け後) オラクル決算。株価は52週高値から54%下にいる。事前の値動きが大きい典型例で、条件2に照らせば筆者は見送る側だ。
  • 9月10日(米国時間・引け後) アドビ決算。
  • 9月11日 米8月消費者物価指数。個別決算と重なると、決算の内容とは無関係な理由で株が動く。またぐ判断はこの重なりも勘定に入れる。
  • 9月15〜16日 連邦公開市場委員会。この週の決算は、内容よりも金利の反応に振り回されやすい。

最後に一つ。またぐかどうかで悩む時間が長いなら、それは建玉が大きすぎるという合図である。金額を半分にすれば、悩みも半分になる。30年やってきて、これがいちばん役に立った判断基準だった。決算そのものの質をどう検査するかは、また別の話として用意してある。

主な参照

  • 各銘柄の日次終値および騰落率(2026年7月〜9月)/stockanalysis.com
  • 直近終値および52週高値安値(2026年9月4日)/CNBC Markets
  • デルの決算内容(2026年8月期第2四半期)/デル・テクノロジーズ インベスターリレーションズ
  • 今後の決算・指標日程/Seeking Alpha

データ基準日:2026年9月4日の米国市場終値。騰落率はいずれも終値どうしの比較であり、場中の高値・安値を基準にすると数値は大きくなる。決算発表日の対応は各社の公表にもとづくが、時差により日付の解釈が異なる場合がある。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。記載の判断基準は筆者の考え方であり、成果を保証しない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。

Tags: アップルエヌビディアデルブロードコムメタ株価予想米国株
バヒティヨル マダジモフ

バヒティヨル マダジモフ

投資銀行で5年、リテール証券会社で3年の実務経験を積んだのち、現在もFX・株式・オプションなど幅広い市場で実際にトレードを行っている。FX取引歴は10年以上、株式投資・トレード歴は4年以上におよび、オプションをはじめとする複雑な金融商品の実取引経験も豊富。株式・株式オプション・FX・暗号資産において自己のポジションを保有している。 こうした実務とマーケットでの経験をもとに、金融市場・暗号資産・FX・経済指標について、信頼性・正確性・迅速性の高い情報を届けることを目的としている。記事の内容は特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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