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「品不足は2028年まで」——サムスンの一言とアマゾンの34兆円でメモリー株が暴落から爆騰した48時間【プレ市場で続伸中】

Takashi Suzuki Takashi Suzuki
2026年7月31日
株式
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7月30日木曜の朝、ソウル。サムスン電子が発表した4〜6月期決算は、市場が想像していた「好決算」の枠を壊した。営業利益89兆4,900億ウォン、前年比18倍。半導体部門に限れば利益は250倍を超えた。そして同社は、数字よりも重い一言を添えた——半導体の品不足は2027年、場合によっては2028年まで続く、と。AIデータセンターが広帯域メモリー(HBM)を奪い合い、作る端から売れていく。HBM4の売上は7〜9月期に3倍になる見込みだという。

その一言が、直前まで暴落していたメモリー株を、世界で最も熱いセクターに変えた。マイクロン・テクノロジー(MU)は木曜に+18.4%。サンディスク(SNDK)は+26.0%、ウエスタンデジタル(WDC)も+15.4%。そして金曜のプレマーケットでも買いは止まっていない。

巻き戻し——わずか48時間前、同じ株は投げ売られていた

図:暴落から爆騰へ——メモリー株の1週間

CXMT上場中国発の供給不安で売り7/27(月)FOMC・金利5.2%MU -9.9% 投げの底7/29(水)サムスン決算「品不足は28年まで」 MU +18.4%7/30(木)アマゾン決算設備投資2,200億ドルへ増額30日夜プレ市場続伸中7/31(金)

読み方:赤い点が売り材料、緑が買い材料。水曜の投げ(MU-9.9%)から木曜のサムスン決算で景色が一変し、金曜のプレマーケットまで買いが続いている。

時計を月曜に戻す。7月27日、上海。中国のDRAMメーカーCXMTが上場初日に急騰し、中国が国産露光装置の開発でも前進していると伝わった。市場が読み取ったのは「将来の供給増」——メモリー価格の天井が近いのではないかという不安だ。折しも好決算でも売られる半導体株の地合いが続いていた。

水曜、ニューヨーク。FRBのタカ派的な据え置きを受けて米30年債利回りが5.2%と2007年以来の水準に達すると、売りは投げに変わった。マイクロンはこの日-9.9%。SK hynixに至っては、営業利益率76%という史上最高の決算を出した翌日に11%売られた。「これ以上良くなりようがない」——ピークアウト論が、セクター全体を覆っていた。当サイトがメモリー・スーパーサイクルを検証した記事で警戒した「第二微分の悪化」、つまり価格上昇ペースの鈍化が、売り方の教科書だった。

転換点——サムスンの決算と、アマゾンの22兆円

だからこそ木曜のサムスンは効いた。ピークアウト論への回答が、当のメーカーから、しかも最大手から出たからだ。「品不足は2028年まで」という時間軸は、市場が織り込んでいた「来年どこかで需給緩和」を正面から否定する。ソウルの発表から数時間後、ニューヨークの寄り付きでメモリー株は全面高となり、業界ETFも2桁の上昇を演じた。

そして同じ日の夜、シアトルからもう一発が飛んだ。アマゾン・ドット・コム(AMZN)の決算だ。クラウド部門AWSの売上は前年比+37%と2021年以来の伸びに加速。会社は2026年の設備投資計画を2,000億ドルから2,200億ドル(約34兆円)へ増額し、その理由のひとつに「メモリー・部品価格の上昇」を挙げた。買い手が「高くても買う、むしろ買い増す」と宣言した形で、売り手の値上げが需要を殺していないことの、これ以上ない証明になった。株価は時間外で2桁高。前夜の観戦メモで「AWSと設備投資の増額幅が反応を決める」と書いた通りの展開だが、増額の理由がメモリー価格だったことは、この物語の主役が誰かを示している。

一方、クパチーノの答案は対照的だった。アップルは売上こそ過去最高の6月期を記録したが、サービス部門と中国の減速が嫌気され、株価はプレマーケットで大幅安。同じ夜に出た2つの決算が、資金をメガテックからメモリーへ押し流す形になった。

この瞬間のプレマーケット

東部時間08:08時点のプレマーケットの気配は次の通りだ(CNBC取得の実勢値。寄り付きまでに変動しうる)。

銘柄木曜終値木曜の上昇率プレマーケット気配気配の変化率
マイクロン(MU)874.66+18.36%912.40+4.31%
サンディスク(SNDK)1,279.96+25.99%1,342.00+4.85%
ウエスタンデジタル(WDC)533.04+15.37%563.42+5.70%

残された問い

物語はまだ終わっていない。強気派の手元には、サムスンの「2028年」、SK hynixの利益率76%、そしてアマゾンの34兆円がある。慎重派の手元にも、まだ捨てられていない証拠が残る。SK hynixが史上最高の決算の直後に11%売られた事実。TrendForceが示す7〜9月期の値上がりペース鈍化(DRAM +13〜18%へ減速)。CXMTという将来の供給。つまり争点は「今が良いか」ではなく、「2027年の需給を今日の株価がいくらで買うか」に移った。

東京の読者には、もうひとつ補助線がある。この物語の前半、木曜の東京市場はマイクロソフト効果で半導体だけが買われる「二速相場」だった。サムスンとアマゾンが加えた燃料は、週明けの東京でアドバンテストや半導体製造装置、そして素材まで届く公算が大きい。ただし為替が絡む。前夜の介入とみられる円買いでドル円は一時157円台まで急落し、きょうの日銀の据え置きを経て160円台へ戻した。円建てで米メモリー株を持つ投資家にとって、株の上昇と円高の綱引きが同時に走る、珍しい週末になる。

次の日付は決まっている。マイクロンの次回決算は9月下旬。それまでの間、月次のメモリー価格統計と、ハイパースケーラーの設備投資姿勢が物語の続きを書く。メモリー高はPCやスマホ、そしてサーバーメーカーの原価を圧迫する両刃の剣でもある。値上げの宴の請求書が、いつ、誰に届くのか。48時間で景色を変えたこの相場の、それが次章の主題になる。

主な参照(データ基準日:2026年7月31日 米東部時間08:08・プレマーケット)
CNBC(サムスン決算・2028年まで品不足)/Yahoo Finance(メモリー株全面高)/Seeking Alpha(アマゾン設備投資2,200億ドルへ増額)/MacRumors(アップル決算)/TrendForce(Q3メモリー価格見通し)。プレマーケット気配はCNBC実勢値で、寄り付き価格を保証しない。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任で行っていただきたい。

Tags: アマゾンナスダックマイクロン米国株
Takashi Suzuki

Takashi Suzuki

大手マーケットメイカーのFXトレーディングデスクで8年以上にわたりキャリアを積み、うち3年は為替フォワードデスク、その後2年は金利(レート)デスクを担当した。さらにシンガポールではアジア・トレーディングデスクのヘッドとして4年間チームを率い、地域全体のフローとリスク管理を統括してきた。 現在もFX・金利・株式など幅広い市場で実際にトレードを行っており、機関投資家の最前線で培った実取引経験は豊富。FX・株式・暗号資産において自己のポジションを保有している。 こうした実務とマーケットでの経験をもとに、金融市場・暗号資産・FX・経済指標について、信頼性・正確性・迅速性の高い情報を届けることを目的としている。記事の内容は特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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