10月27日火曜、米国株の寄り付きから約1時間(米東部時間10時25分、日本時間23時25分)の番付を発表する。東の横綱はソーファイ・テクノロジーズ、決算で通期見通しを引き上げて12.97%高。西の横綱はウエスタンデジタルで7.07%高、記憶装置株がそろって買われた。西の序二段に落ちたのはHSBCの米国預託証券(ADR)で6.27%安。決算日の勝ち負けが、そのまま番付を決めた朝である。
指数の土俵は静かだった。ナスダック総合指数は2万6,261.22で前日比0.35%高、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は1.56%高(いずれも10時23分時点)。一方、S&P500は0.1%前後の小幅高、ダウ平均は0.2%前後の小幅安にとどまった。時価総額の大きい銘柄ほど比重が高い通常のS&P500連動ETF(SPY)が0.08%高なのに対し、全銘柄を同じ比重で持つETF(RSP)は0.34%安。勝ち越したのは一部の大型株で、平均的な銘柄は負け越していた。
寄り付き約1時間の騰落率(米東部時間10月27日10時25分ごろ)
読み方:上位も下位も、多くがこの日に決算を出したか決算を控えた銘柄。指数(ナスダック総合)と均等加重ETFは小動きだった。出所:Nasdaq.comの気配値(取引時間中、終値ではない)。
番付表——寄り付き1時間の勝敗
| 番付 | 銘柄 | 株価 | 前日比 | 材料 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | ソーファイ(SOFI) | 16.34ドル | +12.97% | 7〜9月期決算、通期見通しを引き上げ | ◎ |
| 西の横綱 | ウエスタンデジタル(WDC) | 381.32ドル | +7.07% | 記憶装置株がそろって上昇 | ○ |
| 東の大関 | ロイヤル・カリビアン(RCL) | 298.97ドル | +6.54% | 決算、通期見通しを引き上げ | ◎ |
| 西の大関 | シーゲイト(STX) | 679.85ドル | +5.53% | 決算発表を控えた買い | ○ |
| 東の関脇 | AMD(AMD) | 549.42ドル | +3.41% | 半導体株高 | ○ |
| 西の関脇 | UPS(UPS) | 103.24ドル | +2.91% | 決算、通期見通しを引き上げ | ◎ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 東の幕下 | コーニング(GLW) | 125.71ドル | −1.59% | 好決算でも売られる | △ |
| 西の幕下 | HCAヘルスケア(HCA) | 451.48ドル | −2.96% | 好決算でも売られる | △ |
| 東の三段目 | シャーウィン・ウィリアムズ(SHW) | 324.16ドル | −3.28% | 決算、利益率が低下 | × |
| 西の三段目 | ヒルトン(HLT) | 335.89ドル | −4.55% | 決算、中東の影響に言及と報道 | × |
| 西の序二段 | HSBC(HSBC、ADR) | 85.50ドル | −6.27% | 決算、収入が市場予想に届かず | × |
東の横綱・ソーファイ——◎
個人向けのネット金融を手がける同社は、寄り付き前に7〜9月期決算を発表した。調整後の純収益は前年同期比44%増の14億ドルで過去最高、純利益は2億4,100万ドルだった。会員数は35%増の1,710万人。2026年の調整後純収益見通しを50億4,000万ドルへ引き上げ、2027年は64億ドルという見通しも初めて示した。
決算の数字に来年の数字を上乗せして見せた。判定は◎。個人向け融資の伸びが続いていることは、米国の家計がまだお金を借りて使っていることを示す。その点は、この日10時に出た指標とも重なる(後述)。
西の横綱・記憶装置の一門——○
ウエスタンデジタルが7.07%高、シーゲイトが5.53%高、サンディスクが2.22%高、マイクロン・テクノロジーが1.41%高。記憶装置とメモリーの銘柄が一門そろって勝ち越した。シーゲイトについては、決算発表を控えて寄り付き前から買われていると米ヤフー・ファイナンスが伝えている。
ただし判定は○にとどめる。この一門は最近、好決算でも売られてきた。ウエスタンデジタルは22日の決算で市場予想を上回りながら株価が下がっている。米ブルームバーグは27日、「メモリー株は勢いを失い、強い決算も助けにならない」との見出しで記事を出した。今日の上げが本物かどうかは、シーゲイトの数字が出たあとの値動きで決まる。HDD(ハードディスク)業界の構図はこの記事で整理した。
東の大関・ロイヤル・カリビアン、西の関脇・UPS——ともに◎
クルーズ船大手のロイヤル・カリビアンは、7〜9月期の調整後1株利益が6.57ドルで、会社の見通しを上回った。通期の調整後1株利益の見通しは17.85〜17.95ドルに引き上げた。燃料費と為替の逆風を、強い7〜9月期が上回った形である。2027年の予約も、過去の水準を上回るペースで入っていると会社は説明している。
宅配大手のUPSは、7〜9月期の売上高が6.7%増の229億ドル、調整後1株利益が1.69ドルだった。通期の売上高見通しを約926億ドルへ、調整後1株利益を約7.28ドルへ引き上げた。7月時点ではそれぞれ約912億ドル、約7.22ドルだった。荷物の量は景気の体温計でもある。宅配の会社が年末の需要に自信を見せたことは、単独の勝ち星以上の意味を持つ。
西の序二段・HSBC——×
英金融大手HSBCの7〜9月期の税引き前利益は96億ドルで、前年同期比32%増えた。最大10億ドルの自社株買いも発表している。それでも株は売られた。米CNBCによると、収入は186億ドルで、市場予想の189億3,000万ドルに届かなかった。英ロイターは、富裕層向け事業の伸びの鈍化も挙げている。香港市場でも同社株は下げていた。
利益が32%増えても負け越す。これがこの日の土俵の厳しさだった。同社によると、一時的な項目を除いた税引き前利益は約100億ドルで、伸びは10%ほどにとどまる。市場が見たのは、見かけの増益率ではなく本業の収入のほうだった。判定は×。
三段目・ヒルトンとシャーウィン——×
ホテル大手のヒルトンは、調整後1株利益が2.45ドルと、7月に示した見通し(2.28〜2.34ドル)を上回った。客室1室あたり売上高(RevPAR)も5.8%増えた。それでも4.55%安。米BNNブルームバーグは、収入が市場予想に届かず、中東情勢の影響に言及したと伝えている。同社の四半期報告書も、中東・アフリカと中国で客室1室あたり売上高が減ったと記している。
塗料大手のシャーウィン・ウィリアムズは、調整後1株利益が3.63ドルと前年同期比1.1%増にとどまり、純利益は1.5%減った。最高経営責任者(CEO)は、原材料と物流の費用の上昇が利益率を圧迫したと説明している。通期の調整後1株利益の見通しは11.85〜12.15ドルに狭めた。中央値は変わらず、上振れの余地を削った形だ。判定はともに×。
殊勲賞・消費者信頼感——土俵の外から流れを変えた
10時、米コンファレンス・ボードが10月の消費者信頼感指数を公表した。91.7で、9月の84.2(改定値)から7.5ポイント上昇。市場予想の80.5を大きく上回った。現状指数は120.4、期待指数は72.6で、どちらも上がっている。8時30分に出た9月の耐久財受注も、前月比1.8%増だった。
ただし、コンファレンス・ボードのエコノミストは同時に、物価高が家計の購買力を削っているとも述べている。数字が強いことは、28日に結果が出る連邦公開市場委員会(FOMC)にとって、利上げを急がない理由を減らす材料にもなる。生活必需品株のETF(XLP)が0.69%安、エネルギー株のETF(XLE)が1.46%安と、守りの業種が負け越したのも、この日の空気を表している。FOMCの論点はこちらの記事で整理した。
敢闘賞・コーニングとHCA——寄り付き前の勝ちを守れず
光ファイバーのコーニングと病院大手のHCAヘルスケアは、どちらも市場予想を上回る決算を出し、寄り付き前には買われたと報じられた。HCAは通期見通しを据え置いている。ところが寄り付き1時間後には、コーニングが1.59%安、HCAが2.96%安と、そろって前日終値を下回った。好材料を織り込んだ後の利益確定に押された一番で、判定は△。勝ち越しから一転した取組として記録しておく。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 28日 早朝 | ビザ、ロビンフッドなどの決算(米国の引け後) | 個人の消費と売買の勢い |
| 28日 9時前 | SKハイニックス決算 | メモリー一門の次の材料 |
| 29日 3時 | FOMCの結果発表(30分後に議長会見) | 12月利上げへの距離感 |
| 29〜30日 | マイクロソフト、アルファベット、アップル、アマゾンの決算 | 指数の大型株の勝敗 |
今夜のビザとロビンフッドはこの記事で、大型ハイテク4社の決算翌日の値動きはこの記事で扱った。前日の寄り付き1時間の番付はこちら。
主な参照
- 株価・指数・ETFの気配値(米東部時間10時23〜26分)/Nasdaq.com、S&P500とダウ平均/Yahoo Finance
- 各社の決算資料(米証券取引委員会への提出書類)/ソーファイ、ロイヤル・カリビアン、UPS、ヒルトン、シャーウィン・ウィリアムズ
- HSBCの決算/HSBC、市場予想との比較/CNBC
- 消費者信頼感指数(10月)/コンファレンス・ボード、耐久財受注(9月速報)/米国勢調査局
データ基準日:2026年10月27日、米東部時間10時25分前後(取引時間中)。株価と指数は取引時間中の値で、終値ではない。S&P500とダウ平均の騰落率は情報サイトの表示による概数。ヒルトンの収入が市場予想に届かなかったこと、HSBCの富裕層向け事業の鈍化、コーニングとHCAの寄り付き前の値動き、シーゲイトの買いの理由は報道にもとづく。市場予想は情報源により差がある。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














