まず下の1枚を見てほしい。28日10時の日経平均は前日比856円50銭高の6万4,124円87銭だった(株探、10時0分11秒時点)。上げ幅のうち634円69銭、74%を5銘柄が稼いでいる。その一方で、東証プライムの値上がりは718銘柄、値下がりは778銘柄と、下げた銘柄のほうが多い。指数は大きく上げているが、市場全体が上げているわけではない。
きっかけは前夜の米国市場だ。フィラデルフィア半導体株指数は3.60%高と急伸し、シカゴの日経平均先物は6万4,455円で終わっていた。寄り付きから1時間の東京市場を、寄与度、銘柄の明暗、決算への反応の3枚の図で整理する。
図1:上げ幅の4分の3は5銘柄
日経平均への寄与度(10時時点、円)
読み方:上位5銘柄の押し上げ634円69銭は、上げ幅856円50銭の74%。下位5銘柄の押し下げは120円08銭。出所:株探ニュース(10時0分11秒時点の集計)。
寄与度の首位はアドバンテストで213円59銭、次いで東京エレクトロンが171円92銭。この2銘柄だけで上げ幅の45%になる。ファーストリテイリングとソフトバンクグループがそれぞれ90円61銭で続き、5位にキオクシアホールディングスが67円96銭で入った。前日の上げに乗り遅れたキオクシアが、きょうは半導体の買い戻しに加わっている。
寄り付きの水準も確認しておく。ヤフーファイナンスの5分足では、9時の始値は6万3,738円98銭で、前日終値を470円61銭上回って始まった。その後に上げ幅を広げ、10時には856円高まで来ている。ただし、前夜のシカゴ先物の6万4,455円にはまだ330円ほど届かない。先物の示した水準まで買い上がるには、半導体株以外の買いが要る。
図2:銘柄の明暗、半導体とゲーム株
主な銘柄の前日比(9時47分時点、%)
読み方:上げは半導体、下げはゲーム株に集中した。出所:株探(15分遅れの株価)。
個別の値動きを見ると、上げ下げの理由がはっきり分かれる。9時47分時点(株探、15分遅れの株価)で、キオクシアは7.66%高の1万3,570円、東京エレクトロンは3.05%高、アドバンテストは2.54%高の3万4,720円だった。アドバンテストはきょう15時30分に決算を発表する。前日に8.98%上げた後だけに、上げ幅は控えめである。
下げ側の主役はゲーム株だ。カプコンは9.73%安の3,954円。27日に発表した4〜9月期の営業利益は前年同期比54%増の607億円と大きく伸びたが、通期の業績予想を据え置いたことが失望を誘ったと伝えられている。同じ業種のコナミグループが3.88%安、バンダイナムコホールディングスが2.31%安と、つれ安している。日東電工も5.53%安だった。同社は4〜9月期の純利益が11%増え、最大500億円の自社株買いを発表していた。
図3:決算への反応は「上方修正」で分かれた
| 銘柄 | 9時台の値動き | 決算の中身(27日発表) | 読み方 |
|---|---|---|---|
| シマノ(7309) | 8.08%高 | 今期の経常利益予想を11.3%上方修正 | 上方修正が素直に買われた |
| MARUWA(5344) | ストップ高 | 今期の営業利益予想を13.6%上方修正 | 最高益予想の上乗せ |
| 信越化学工業(4063) | 3.74%高 | 4〜9月期の経常利益が13.0%増、通期計画に対する進捗率53.9% | 据え置きでも進捗の良さが評価 |
| カプコン(9697) | 9.73%安 | 4〜9月期の営業利益54%増、通期予想は据え置き | 増益でも予想の据え置きに失望 |
| 日東電工(6988) | 5.53%安 | 4〜9月期の純利益11%増、最大500億円の自社株買い | 還元策でも売られた |
この表から読めるのは、市場が「増益」ではなく「予想の引き上げ」を求めているということだ。カプコンと日東電工はどちらも増益で、日東電工は還元策も出した。それでも売られた。きょう引け後のアドバンテスト、日立製作所、NECの決算でも、同じ物差しが当てられるとみたほうがよい。
業種と市場の広がり
株探によると、10時時点で33業種のうち20業種が上げている。上昇の1位はガラス・土石で、電気機器、機械、化学が続く。下落の上位は保険、石油・石炭、食料だった。石油・石炭の下げは、前夜にWTI原油先物が1バレル100ドルを割り込んだ流れと整合する。原油の背景はこちらの記事にまとめた。
値下がり銘柄が値上がり銘柄を上回る形は、前日27日の前場(値上がり698、値下がり801)と同じだ。2日続けて、指数の上げが一部の値がさ株に偏っている。ドル円は10時2分に157円88銭前後と、朝方からほとんど動いていない(ヤフーファイナンス)。為替が株価を押し上げている局面ではない。
大引けまでのシナリオ
| シナリオ | 確率 | 日経平均の目安 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 上げ幅を保って引ける | 45% | 6万3,900〜6万4,300円 | 半導体株が高値圏を維持する |
| 決算前の利益確定で伸び悩む | 40% | 6万3,500〜6万3,900円 | アドバンテストが前日比マイナスに沈む |
| 先物水準の6万4,455円を試す | 15% | 6万4,400円超 | 値上がり銘柄数が値下がりを上回るまで広がる |
きょうの残り時間のチェックリスト
- 値上がり銘柄数が値下がりを上回るか。上回れば、上げが半導体の外へ広がったサインになる。
- アドバンテストが前日比プラスを保てるか。15時30分の決算を前に、寄与度首位の銘柄がどこで引けるかが指数を左右する。
- キオクシアの上げが続くか。SKハイニックスが28日に発表する決算と株主還元策が材料になる。
- 夜のFOMC(日本時間29日3時)。結果を前に、後場は持ち高を軽くする動きが出やすい。
朝の段階で見た注目銘柄の整理はこちら、前日の大引けの番付はこちらにある。
主な参照
- 10時の日経平均と寄与度・業種別/株探
- 寄り付きの話題株(シマノ、MARUWA、信越化学工業など)/株探
- 28日の相場見通しと前夜の米国市場/株探
- カプコンの4〜9月期決算/カプコン、株価の反応/gamebiz
- 日東電工の4〜9月期決算と自社株買い/日本経済新聞
- 日経平均の5分足・ドル円・シカゴ日経平均先物/ヤフーファイナンス
データ基準日:2026年10月28日(日本時間10時0分)。日経平均と寄与度、業種別、値上がり・値下がり銘柄数は株探の10時0分11秒時点の集計で、取引時間中の値であり終値ではない。個別株の株価は株探の9時47分時点の値(15分遅れ)で、寄与度の時点とは十数分ずれる。始値はヤフーファイナンスの5分足による。シカゴの日経平均先物は日本時間28日7時32分の気配値。カプコンの値下がりの理由は報道による見方である。確率は本誌の判断であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















