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日経平均993円安、6万9,042円で安値引け 下落の6割は5銘柄

Takashi Suzuki Takashi Suzuki
2026年10月9日
マーケット
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10月8日の東京市場で、日経平均株価は2日続落した。終値は前日比993円60銭安の6万9,042円11銭で、この日の安値で引けた。下げ幅のうち約6割はソフトバンクグループ(SBG)など5銘柄が生んだ。ただし、今回は一部の銘柄だけが売られた日ではない。TOPIXは1.51%安と日経平均の1.42%安より大きく下げ、東証プライムでは1,180銘柄が値下がりした。まず下の1枚を見てほしい。

−993.60円
日経平均の下げ幅(終値6万9,042円11銭、−1.42%)
−1.51%
TOPIXの下落率(日経平均より大きい)
1,180
プライムの値下がり銘柄数(値上がり325)
60.8%
下げ幅のうち上位5銘柄が占める割合

見出しの多くは「米株安」と「金利高への警戒」を理由に挙げた。だが、国内の長期金利はこの日むしろ低下している。本稿では、日中の値動き、寄与度、水準、金利の4枚の図で、この日の下げ方を分解する。

図1:高値は寄り付き、安値は大引け

日経平均の日中の推移(10月8日、5分ごと)

70,03269,66569,29868,930寄付09:5510:5512:4513:4514:4515:309:00 寄り付き=高値 69,8419:40台 午前の安値(69,195)15:25 69,22115:30 終値 69,042(安値引け)

読み方:寄り付きがこの日の高値で、最後の5分(クロージング・オークション)で約179円下げて安値で引けた。前日終値は7万35円71銭。出所:Yahoo Financeの5分足(各5分間の最後の値)、寄り付きと終値は株探。

日経平均は前日比195円07銭安の6万9,840円64銭で寄り付いた。この9時の値がこの日の高値で、そこから戻ることはなかった。9時41分に6万9,195円47銭まで下げたあと、午前は下げ渋り、前引けは662円31銭安の6万9,373円40銭。午後も軟調に推移し、15時0分には729円38銭安の6万9,306円33銭だった。

目を引くのは最後の5分である。連続売買の最後の値は15時25分の6万9,221円06銭だった。そこから15時30分のクロージング・オークションで約179円下げ、安値引けとなった。15時以降の下げは264円22銭で、この日の下げ幅の約4分の1にあたる。引けにまとまった売りが出たことは確かだが、その理由を特定した報道は本稿の執筆時点で見当たらない。

図2:下げの6割は5銘柄、それでも裾野は広い

日経平均への寄与度(10月8日終値、円)

ソフトバンクG(9984)-218.44円東京エレクトロン(8035)-156.75円TDK(6762)-89.50円アドバンテスト(6857)-77.67円イビデン(4062)-62.03円トレンドマイクロ(4704)+9.14円KDDI(9433)+11.33円リクルートHD(6098)+20.23円

読み方:押し下げ上位5銘柄の合計は604.39円で、下げ幅993.60円の60.8%。押し上げ上位3銘柄の合計は40.70円にとどまる。出所:株探の集計(大引け)。

押し下げの首位はSBGで218.44円。株価は4.28%安の6,040円だった。2位は東京エレクトロンの156.75円、3位のTDKは5.01%安で安値引けとなった。上位5銘柄の合計は604.39円で、下げ幅の60.8%にあたる。押し上げ側はリクルートホールディングスの20.23円が最大で、上位3銘柄を足しても40.70円にとどまる。SBGの下げの理由について、会社からの発表はなく、報道も特定していない。

ここで、日経平均の上げを少数の銘柄が作った最近の日と比べておく。10月5日の上昇は、上げ幅の7割を5銘柄が作った。この日は逆に下げ幅の6割を5銘柄が作ったが、残る4割も小さくない。プライム市場の値上がりは325銘柄、値下がりは1,180銘柄で、値下がりが全体の76%を占めた。33業種で上げたのは7業種だけだ。下げの中心は値がさの半導体株だったが、売りはほぼ全面に広がっていた。寄与度の仕組みは日経平均の寄与度の解説にまとめてある。

図3:金利は「高い」が、この日の国内金利は下がった

「金利高」の中身:各国の長期金利(%)

米10年債(10/7終値)取引時間中は一時5.36%台(報道)5.28%米30年債(10/7終値)2026年の終値の最高5.67%日本10年債(10/7)前日は3.10%程度(報道から算出)3.10%日本10年債(10/8大引け)前日から低下3.07%

読み方:米国の長期金利は高水準だが、10年債の終値は10月5日の5.31%を下回った。日本の10年債利回りはこの日むしろ低下した。出所:米財務省(米国債の終値)、時事通信・フィスコ(日本国債、情報ベンダーの気配)。

米国の長期金利は確かに高い。米財務省の公表値で、10年債利回りは10月7日に5.28%、30年債は5.67%で引けた。10年債は7日の取引時間中に一時5.36%台を付けたと伝えられたが、その後の10年債入札が順調で上げ幅を縮めている。終値ベースの年初来高値は10月5日の5.31%で、7日はそれを下回った。

一方、日本の新発10年国債の利回りは8日、3.07%前後に低下した。前日は3.10%程度だった。国内の金利はこの日、株安の理由になっていない。それでも三菱UFJフィナンシャル・グループは3.26%安、みずほフィナンシャルグループは3.40%安で、ともに安値引けだった。金利が上がれば利ざやが広がると見られている銀行株が、国内金利の低下と同時に売られた。「金利高で株安」という一言では、この日の下げは説明しきれない。

図4:いまの水準はどこか

日経平均の終値の節目(円)

66,00073,00066,753.72円9/3010月の上げの起点68,956.72円10/110月の上げの土台69,042.11円きょう10/8終値70,683.98円10/6秋の高値72,366.34円最高値6/25終値

読み方:きょうの終値は10月1日の終値のわずか85円上。ここを終値で割ると、10月に入ってからの上げを埋める方向が意識される。出所:株探の日足(終値)。

終値の6万9,042円11銭は、10月6日の終値7万683円98銭から2日で1,641円87銭(2.32%)下げた水準だ。最高値ではない点に注意したい。終値の最高値は6月25日の7万2,366円34銭で、きょうはそこから4.59%下にいる。10月6日の終値はこの秋の高値にすぎない。

図の中で最も近い節目は、10月1日の終値6万8,956円72銭である。この日、日経平均は1日で2,203円上げて9月30日の6万6,753円72銭からこの水準に乗せた。きょうの終値はそこからわずか85円上にある。10月に入ってからの上げを支えた水準を割るかどうかが、次の焦点になる。

新TOPIXの売りはどこまで効いたか

日本取引所グループは7日、TOPIXの初の定期入替を発表した。10月30日に35銘柄を新たに採用し、683銘柄を「移行措置銘柄」として2028年7月末までに段階的に外す。外される銘柄は2026年10月から四半期ごとに8回に分けて比率を下げる。日本経済新聞は8日、この情報が三菱商事の売りを誘ったと報じた。ただし三菱商事はTOPIXに残る銘柄で、移行措置銘柄のリストにも入っていない。売りの具体的な仕組みは、本稿では確認できていない。三菱商事は1.84%安の4,590円で引けた。

キオクシアホールディングスは、浮動株比率の引き上げが伝わって一時4.07%高の1万8,630円まで上げたが、終値は前日と同じ1万7,900円だった。上げを午後に失ったのは、この日の地合いを映している。入替そのものは10月30日で、指数に連動する資金の売買が集中するのはその日の大引けとなる。

シナリオ表:あすからの3つの道筋

シナリオ本誌の見立て条件日経平均の目安(終値)
A:もみ合い40%米10年債利回りが5.31%(10月5日の終値)を超えず、米株が落ち着く6万8,956円〜7万684円
B:再び7万円台へ25%米金利の低下、ファーストリテイリングの決算を受けた値がさ株の買い戻し7万円を終値で回復
C:10月の上げを埋める35%10月1日の終値6万8,956円を終値で割り込み、米長期金利が年初来高値を更新6万6,754円(9月30日の終値)方向
確率は本誌の主観的な見立てで、将来の株価を保証しない。水準は日経平均の終値(株探)にもとづく。

シナリオCに35%を置いたのは、この日の下げが裾野の広い売りで、しかも安値引けだったからだ。大引けのオークションで179円下げており、売りが一巡したとは言いにくい。一方で、フィスコによれば日経平均先物は9月16日から10月7日まで7,040円上げており、利益確定の売りが一巡すれば下げ止まる余地もある。この見立てが外れたと判断する線は、7万円の終値回復とする。

個人投資家向けチェックリスト

  • 6万8,956円を終値で守れるか。10月1日の終値で、10月の上げを支えた水準。
  • 米10年債利回りの終値5.31%。10月5日に付けた年初来高値で、2002年5月以来の水準。ここを終値で超えるかどうか。
  • ファーストリテイリングの決算。8日15時30分、大引けと同時に発表された。日経平均への影響が大きい値がさ株で、9日の寄り付きに表れる。
  • 値上がり・値下がり銘柄数。値下がりが7割を超える日が続くかどうかで、売りの広がりを確かめる。
  • 10月30日のTOPIX定期入替。指数に連動する資金の売買は、その日の大引けに集中しやすい。

米長期金利の水準そのものは、米30年債利回り5.67%の記事で詳しく扱った。

主な参照

  • 10月8日の日経平均(始値・高値・安値・終値)、TOPIX、騰落銘柄数、寄与度、個別株の終値/株探、株探(大引け概況)、株探(15時時点)
  • 前引けの値/日本経済新聞、新TOPIXと三菱商事の売り/日本経済新聞
  • 引けにかけての下げとクロージング・オークション、プライム市場の売買代金/トレーダーズ・ウェブ(Yahoo!ファイナンス)
  • 日経平均の日中の値動き(5分足)/Yahoo Finance
  • TOPIXの定期入替(10月30日実施、移行措置銘柄683)/日本取引所グループ、同 補足資料
  • キオクシアの浮動株比率の引き上げ/ブルームバーグ(TBS)
  • 米国債利回り(10年・30年の終値)/米財務省
  • 国債利回り(新発10年債)/時事通信、株探(フィスコ)
  • 日経平均の過去の終値と最高値/株探(日足)

データ基準日:2026年10月8日の東京市場の終値(15時30分)。日中の値は取引時間中の値で、時刻を付けて示した。日中の推移図はYahoo Financeの5分足(各5分間の最後の値)に、寄り付きと公式の終値を加えたもので、15時25分から15時30分のクロージング・オークションの間は指数が更新されない。寄与度は株探の集計で、情報ベンダーにより差がある。騰落銘柄数は株探の集計による。米国債利回りは米財務省が公表する10月7日(米東部時間)の終値で、一時5.36%台は報道による取引時間中の値である。日本の10年国債利回りは情報ベンダーの気配で、日本相互証券の公表値とは差が出ることがある。三菱商事の売りと新TOPIXの関係は日本経済新聞の報道にもとづき、具体的な仕組みは確認できていない。キオクシアの浮動株比率の引き上げは報道にもとづく。SBGの下落と大引けにかけての売りについて、理由を特定できる一次情報は確認できていない。シナリオの確率は本誌の主観であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。

Tags: 日本株日経平均金利
Takashi Suzuki

Takashi Suzuki

大手マーケットメイカーのFXトレーディングデスクで8年以上にわたりキャリアを積み、うち3年は為替フォワードデスク、その後2年は金利(レート)デスクを担当した。さらにシンガポールではアジア・トレーディングデスクのヘッドとして4年間チームを率い、地域全体のフローとリスク管理を統括してきた。 現在もFX・金利・株式など幅広い市場で実際にトレードを行っており、機関投資家の最前線で培った実取引経験は豊富。FX・株式・暗号資産において自己のポジションを保有している。 こうした実務とマーケットでの経験をもとに、金融市場・暗号資産・FX・経済指標について、信頼性・正確性・迅速性の高い情報を届けることを目的としている。記事の内容は特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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