米国の軽油(超低硫黄ディーゼル)先物は10月7日、1ガロン4.7385ドルと前日比3.7%高で推移した(日本時間19時43分時点、取引時間中)。主要7カ国(G7)が10月2日に石油備蓄1億バレルの協調放出を決める前の、1日の清算値4.642ドルを上回った。放出決定を受けた下げは5日で消えた。
国内では、資源エネルギー庁が10月8日から適用するガソリン補助金を1リットル42.4円とした。前週の50.7円から8.3円の縮小となる。10月5日のガソリン全国平均価格は170.2円で、前週比横ばいだった。
国際エネルギー機関(IEA)は7日、放出の進め方を話し合う非公式の理事会を開く。詳細は14〜15日の定例理事会で決める見通しと報じられている。日本政府は追加の放出を予定していない。
主要数値
| 項目 | 10月1日(放出決定前) | 10月2日 | 10月7日 | 区分 |
|---|---|---|---|---|
| 米軽油先物(ドル/ガロン) | 4.642 | 4.5011 | 4.7385 | 7日は19時43分時点の取引時間中、他は清算値 |
| ブレント原油先物(ドル/バレル) | 102.31 | 102.25 | 102.04 | 同上 |
| WTI原油先物(ドル/バレル) | 92.87 | 91.11 | 90.08 | 同上 |
| 米国の軽油小売価格(ドル/ガロン) | 6.382(9月28日) | ― | 6.199(10月5日) | 米エネルギー情報局の週次調査 |
| 日本のガソリン全国平均(円/L) | 170.2(9月29日の週) | ― | 170.2(10月5日) | 資源エネルギー庁の週次調査 |
| 日本のガソリン補助金(円/L) | 50.7(10月1〜7日) | ― | 42.4(10月8〜14日) | 軽油・灯油・重油も42.4円 |
放出決定前(10月1日清算値)からの変化率(%)
読み方:10月1日の清算値と、10月7日の日本時間19時43分時点の取引時間中の値を比べた。軽油4.642→4.7385ドル、ブレント102.31→102.04ドル、WTI92.87→90.08ドル。出所:Yahoo Financeの先物価格、変化率は本誌計算。
放出の中身
G7首脳の共同声明は、10月2日に議長国フランスの大統領府が公表した。IEAを通じて1億バレルを協調放出し、ただちに開始して4カ月かけて実施する。最初の20日以内に軽油を前倒しで放出するとした。声明は同時に、3月の放出の約束を「ただちに全面的に実施する」ようIEAに監視を求めている。原油と軽油の内訳、国別の分担は声明に記載がない。
3月の放出はIEA加盟32カ国による4億バレルで、IEAの協調放出として過去最大だった。日本の分担は7,980万バレル(国家備蓄5,400万バレル、民間の義務備蓄2,580万バレル)で、全体の約2割にあたる。IEAのビロル事務局長はG7の会合で、このうち約3億2,500万バレルが放出済みで、8割を超えたと説明した。
| 放出 | 決定日 | 規模 | 日本の扱い |
|---|---|---|---|
| IEA協調放出 | 2026年3月11日 | 4億バレル(約3億2,500万バレル放出済み) | 7,980万バレル(約2割)を分担 |
| G7協調放出 | 2026年10月2日 | 1億バレル、4カ月、軽油は20日以内に前倒し | 追加放出の予定なし(木原官房長官、ロイター報道) |
日本の石油備蓄は、資源エネルギー庁の統計で6月末時点の合計203日分(IEA基準175日分)だった。内訳は国家備蓄105日分、民間備蓄95日分、産油国共同備蓄3日分である。国家備蓄の放出は3月26日に始まった。民間の備蓄義務は70日分から55日分に引き下げられている。
関係者の発言
- G7首脳声明(10月2日):「必要に応じて追加の軽油放出の可能性を協議するため、数日中にIEAの枠組みで会合を開く」
- G7首脳声明(同):「G7各国の間でエネルギーとエネルギー製品の輸出制限を控える約束を再確認する」
- 木原稔官房長官(10月5日の記者会見、ロイターの英語報道による):日本は「しばらく前から備蓄の放出を続けており、現段階でさらなる放出の予定はない」
- サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相(10月6日、バーレーンでの会合):東西パイプラインの輸送量は日量580万バレルまで回復した
- エネルギー商社大手ビトルのハーディ最高経営責任者(ロイター報道):「何がどこで放出されるのか、完全に透明な発表ではなかった」
市場の動き
放出決定の2日、米軽油先物の清算値は4.5011ドルと前日比3.0%安だった。欧州の軽油先物は一時約8%下げたと報じられた。5日は4.5452ドル、6日は4.5694ドルと戻し、7日は取引時間中に4.7385ドルをつけた。9月30日の清算値4.9569ドルと比べると4.4%低い水準にある。
原油の戻りは軽油より小さい。ブレント原油は5日に100.32ドルまで下げ、7日は102.04ドル。10月1日比で0.3%安。WTI原油は90.08ドルで、同3.0%安にとどまる。軽油は放出の中心となる油種でありながら、3つの先物で唯一、放出決定前の水準を上回った。
価格を押し上げた材料として、イエメンの親イラン武装組織フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃が報じられている。フーシ派は3日、首都リヤド近郊の国営石油会社サウジアラムコの施設などを攻撃したと主張し、サウジ側の連合軍報道官は主張を「誤解を招く」と否定した。6日にはサウジの航空当局が南部ジーザーンとナジュランの空港が標的になったと発表した。米国では、メキシコ湾で熱帯低気圧が発達する確率を米国立ハリケーンセンターが90%としたとロイターが報じた。
国内の補助金は、翌週の想定小売価格から基準価格170.0円を差し引いて決まる。資源エネルギー庁の算式では、今週の価格170.2円に前週の補助50.7円を足し、原油価格の変動分8.5円を差し引いた212.4円が想定小売価格となる。補助金が減っても、店頭価格は170円前後に保たれる仕組みである。原油や軽油の値上がりは、まず補助金の増額に表れる。共同通信によると、10月5日の軽油の全国平均価格は159.6円で、前週比0.1円高だった。
今後の日程
- 10月7日20時(日本時間):IEAの非公式理事会(放出の進め方を協議)
- 10月8日:ガソリン・軽油などの補助金42.4円の適用開始(14日まで)
- 10月14〜15日:IEA定例理事会(G7放出の詳細を決定する見通しと報道)
- 10月22日ごろ:G7声明が定めた「20日以内」の軽油前倒し放出の期限(2日起算)、IEAの追加報告もこの期限内
中国の燃料輸出停止とガソリン補助金の関係は10月2日の記事、米国の軽油高と日本の軽油価格の差は米ディーゼル最高値の記事、原油価格が店頭に届くまでの時間差はこちらの解説にまとめている。
参照
- G7首脳声明(エネルギー安全保障と市場の安定、10月2日)/フランス大統領府
- 3月の協調放出の国別分担/国際エネルギー機関(IEA)
- ガソリン全国平均価格と補助額(10月5日調査、10月8日適用)/資源エネルギー庁 燃料油価格激変緩和対策事業
- 石油備蓄の現況(6月末)/資源エネルギー庁(e-Stat)
- 米国の軽油小売価格(週次)/米エネルギー情報局(EIA)
- 原油・軽油先物の価格/Yahoo Finance
- IEA、G7の放出の詳細を来週決定へ(10月6日)/ロイター
- 日本は追加放出を予定せず(10月5日)/OilPrice.com(ロイター報道を引用)
- サウジの東西パイプライン(10月6日)/ザ・ナショナル
- フーシ派のサウジ攻撃の主張(10月4日)/アルジャジーラ
- 軽油の全国平均価格(10月5日)/共同通信(琉球新報)
データ基準日:2026年10月7日(日本時間19時43分)。10月7日の先物価格は取引時間中の値であり、清算値ではない。10月1日・2日・5日・6日は各日の清算値である。米軽油先物はニューヨーク・マーカンタイル取引所の超低硫黄ディーゼル期近、ブレント原油・WTI原油も期近物。木原官房長官の発言はロイターの英語報道を日本語に訳したもので、日本語の原文は確認できていない。ビロル事務局長の放出済み量はIEAの発表に基づく報道による。フーシ派の施設攻撃は同派の主張であり、サウジ側の連合軍は主張を否定している。IEAの定例理事会の日程と決定内容は関係者への取材に基づく報道であり、IEAの公表資料では確認できていない。7日の非公式理事会の結果は本記事の時点で公表されていない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















