今夜の決算番付を発表する。米国時間10月27日の取引終了後、ビザ(V)とロビンフッド・マーケッツ(HOOD)が7〜9月期の決算を出す。両社とも電話会見は米東部時間17時、日本時間28日午前6時に始まる。過去の決算翌日の値動きを並べると、2社は正反対の力士である。
ビザは直近7回の決算で翌日の値動きが平均2.2%(絶対値)にとどまり、上げ3回・下げ4回とほぼ五分だった。ロビンフッドは直近6回の平均が7.4%で、6回とも翌日に下げている。好決算でも売られる癖が、数字ではっきり出ている。
番付表:決算翌日の値動きで格付けする
| 番付 | 銘柄 | 翌日の平均値幅(絶対値) | 翌日の上げ・下げ | 最大の動き | 10月26日終値 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の大関(値幅の大きさ) | ロビンフッド | 7.4%(直近6回) | 0勝6敗 | −13.2%(2026年4月) | 92.84ドル |
| 西の関脇(安定感) | ビザ | 2.2%(直近7回) | 3勝4敗 | +8.3%(2026年4月) | 404.16ドル |
決算翌日の株価の変化率(%)
読み方:ロビンフッド(HOOD)は直近6回すべてが下げ、ビザ(V)は7回中5回が±1.7%以内だった。決算発表日の終値から翌営業日の終値までの変化率。出所:各社の発表資料(発表日)、stockanalysis.comの日足、本誌計算。
ロビンフッド:6連敗の土俵に7回目
評価は△(下げ寄り)。ロビンフッドの決算翌日は、2025年4月から2026年7月までの6回すべてが下げだった。2025年11月5日の7〜9月期決算は売上高が前年同期の2倍の12億7,000万ドルと過去最高だったが、翌日は10.8%安。2026年2月10日は8.9%安、4月28日は13.2%安だった。前回7月29日の4〜6月期決算でも、売上高13億1,000万ドル(前年同期比32%増)、純入金額217億ドルと過去最高を並べながら、翌日は3.6%下げている。
前回の中身を見ておく。取引関連収入は7億7,600万ドルで44%増、オプションは3億4,200万ドル、株式は1億2,900万ドルだった。一方で暗号資産の収入は1億ドルで38%減っている。純金利収入は3億8,900万ドルで9%増にとどまった。有料会員のゴールドは480万人で39%増えた。
今回の7〜9月期は、月次データで中身の一部がすでに見えている。会社が9月28日に公表した9月1〜24日の速報値は、株式の売買代金が約2,670億ドル、暗号資産の取引額が約170億ドル(うちアプリ約70億ドル、ビットスタンプ約100億ドル)。8月通月の暗号資産は175億ドルだったから、9月はほぼ横ばいのペースである。8月末の顧客資産は3,840億ドルで前年比26%増、入金済み口座は2,860万件だった。
市場予想は、ハドソン・ラボの10月6日時点の集計で売上高14億1,000万ドル(前年同期比16%増)、1株利益0.54ドル。前年同期は売上高が倍増した四半期で、比較のハードルは高い。株価は10月26日終値92.84ドルで、1カ月前の9月28日の116.46ドルから20.3%下げ、52週高値150.47ドルからは38%下にある。「決算前に2割下げたのだから、もう売られにくい」という見方は、過去の記録では支えられない。決算前20営業日の騰落率を見ると、6回のうち3回は下げた状態で発表を迎えている。2026年2月は発表前の20営業日で27.2%下げていたのに、翌日さらに8.9%下げた。上げて迎えた3回(2025年4月、7月、2026年4月)と下げて迎えた3回で、翌日の結果に違いはなかった。
ビザ:高値圏で迎える年度末決算
評価は○(中立)。今夜は2026年9月期の通期決算でもある。前回7月28日の4〜6月期決算は、純収入116億ドル(前年同期比14%増)、調整後1株利益3.32ドル(11%増)だった。決済額は10%増、国際決済額は13%増、処理件数は10%増。この四半期には人員削減費用5億6,300万ドルと訴訟引当金2億3,700万ドルが特別項目として入っている。
株価の位置はロビンフッドと正反対だ。10月26日終値は404.16ドルで、22日に付けた52週高値414.60ドルの2.5%下。2025年末の350.71ドルから15.2%上げている。4月28日の決算翌日に8.3%急伸した後、7月の決算時点で366.59ドル、現在は404ドル台と水準を切り上げてきた。高値圏で迎える決算は、良い数字が「織り込み済み」と受け止められやすい。
7回の内訳を見ると、2%を超えて動いたのは2026年1月(3.0%安)と4月(8.3%高)の2回だけで、残り5回は1.7%以内だった。今夜の焦点は、新年度(2026年10月〜2027年9月)の純収入の伸びの見通しと、国際決済額の伸びが続くかどうかである。
本誌の見立て:翌日の確率と値幅
| 銘柄 | 翌日に上げる確率 | 想定値幅 | 判断の根拠 | 見立てが外れる条件 |
|---|---|---|---|---|
| ロビンフッド | 35% | ±9% | 6回連続の下げ。決算前の下げは支えにならなかった。暗号資産の取引は8〜9月とも横ばい | 売上高が予想の14億1,000万ドルを大きく上回り、10月の取引の強さが示されれば買い戻しが勝つ |
| ビザ | 45% | ±3% | 52週高値の2.5%下。7回中5回は1.7%以内の動き | 新年度の増収見通しが2桁を明確に示せば高値更新もある |
ロビンフッドの想定値幅±9%は、直近6回の平均7.4%に、決算前の1カ月で2割下げた振れの大きさを上乗せしたものだ。上げの確率は35%とした。6連敗をそのまま当てはめれば上げはゼロに近いが、6回という標本は小さい。1株利益が市場予想を0.07ドル上回った2025年11月でも10.8%下げている以上、下げの確率を6割台半ばに置くのが妥当とみる。
ビザは、平均値幅2.2%に通期決算の分だけ上乗せして±3%とみる。上げ45%としたのは、高値圏で「織り込み済み」の売りが出やすいことを重く見たためだ。ビザは方向より値幅に備える決算、ロビンフッドは下げに備える決算である。
殊勲賞と敢闘賞
殊勲賞はビザの2026年4月決算に贈る。翌日8.3%高は、7回の中で唯一2%を大きく超えた上げで、そこから半年の上昇の起点になった。敢闘賞はロビンフッドの2025年11月決算だ。売上高倍増という最高の内容を出しながら10.8%下げた一番は、「数字の良さと株価の反応は別物」という教訓を残した。
来場所の注目取組
- 10月27日17時(米東部時間、日本時間28日6時):ビザ、ロビンフッドの電話会見
- 10月28日14時(米東部時間、日本時間29日3時):FOMCの結果発表
- 今週後半:マイクロソフト、アルファベット、アマゾンなど大型ハイテク株の決算
FOMCの見どころはこちらの記事に、大型ハイテク4社の決算翌日の値動きは決算プレビューに、29日朝のマイクロソフト決算はこの記事にまとめた。ロビンフッドの業績を左右する暗号資産の地合いは、ビットコイン8万ドル割れの記事を参照してほしい。
主な参照
- ビザの決算発表日程(10月27日)/ビザ
- ビザ2026年4〜6月期決算(7月28日)/ビザ
- ビザの過去の決算発表/米証券取引委員会
- ロビンフッドの決算発表日程(10月27日)/ロビンフッド
- ロビンフッド2026年4〜6月期決算(7月29日)/ロビンフッド
- ロビンフッド2025年7〜9月期決算(2025年11月5日)/米証券取引委員会
- ロビンフッド8月の月次データ/ロビンフッド
- ロビンフッド7〜9月期の市場予想(10月6日)/ハドソン・ラボ
- 株価の日足/stockanalysis.com
データ基準日:2026年10月27日(株価は10月26日の終値)。翌日の値動きは決算発表日の終値と翌営業日の終値の比較で、時間外取引の値動きは含まない。確率と想定値幅は本誌の見立てである。本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を勧めるものではない。














