- 日時:米7月CPIは8月12日(火)21:30(日本時間)に発表される。9月FOMC前の最重要指標だ。
- 予想:総合は前年比3.4%(前月3.5%から鈍化)、コアは2.5%(同2.6%から鈍化)。前月比はいずれも+0.2%。
- 賭け金:9月利上げの織り込みは約5割。8月初旬の7割超から急速に後退した。
- しきい値:コア2.7%以上なら再加速で利上げ観測が復活し、2.4%以下なら据え置き観測が固まる。
- 波及:結果はドル円・米国債・S&P500(NISAの中身)を同時に動かす。
要点1:なぜこの1本が「最終決定」なのか
結論:9月15〜16日のFOMCまでに残る大型指標はCPIと雇用統計だけだ。根拠:雇用側の証拠は出そろっている。失業保険申請19.9万件、解雇者数は1969年以来の低水準で、労働市場は利上げを止めない。残る変数は物価だけになった。次:13日のPPI、その後のFOMC議事要旨が補助材料になる。
要点2:予想は「鈍化」——だが安心の数字ではない
結論:市場が見込むのはインフレの小幅な鈍化だ。根拠:総合は3.4%と前月の3.5%から低下、コアも2.5%へ小幅低下が見込まれる。前月比はいずれも+0.2%で、6月の総合-0.4%からの反発となる。次:ただし7月の数字は原油が急落していた局面のものだ。8月10日にWTIが1日で5%上げて82ドル台へ戻したことは、来月以降の物価に効いてくる。今回の鈍化は「過去形の安心」にすぎない可能性がある。
図:コアCPIのしきい値——0.2ポイントが9月を分ける
読み方:青い丸が市場予想。右の赤いゾーンに入れば50bp利上げの織り込みが跳ね、左の緑なら利上げ観測の後退で株・債券・円に一斉の安堵が走る。真ん中の帯は「現状維持」の答えだ。
要点3:利上げ織り込みは7割から5割へ、すでに半分崩れた
結論:今回のCPIは「利上げ観測の生死」を決める。根拠:8月初旬に7割強あった9月利上げの織り込みは、原油急落を受けた物価鈍化観測でおよそ5割まで後退した(予測市場では据え置き6割超との集計もある)。50bp利上げという尾のリスクを論じた時点とは前提が変わっている。次:コア2.7%以上なら観測は一気に巻き戻り、2.4%以下なら据え置きが本線として固まる。
要点4:日本の読者への波及経路
結論:結果は円・米国債・米株の3経路で届く。根拠:上振れなら日米金利差の拡大観測でドル円は介入後の帯の上端158円台後半を試し、米国債は5%台の続伸、S&P500は割引率の上昇に直面する。下振れならその逆で、3資産に同時の安堵が走る。次:発表は日本時間21:30——東京の個人が生で見られる時間帯だ。発表の5分間で為替が1円動くことも珍しくないため、指値や逆指値を置いたまま放置しない・発表直後の乱高下で成行を打たない、という実務面の備えも要る。翌朝の東京市場は米国の結果を8時間遅れで消化するため、日本株への影響は13日(水)の寄り付きに現れる。
要点5:先に決めておく判断表
| コアCPIの結果 | 9月の織り込み | ドル円の初期反応の目安 |
|---|---|---|
| 2.7%以上(再加速) | 9月利上げ観測が復活 | 円安加速。159円台からの上抜けで介入第2弾の領域へ |
| 2.5%前後(予想通り) | 五分五分の綱引きが継続 | 159円前後で神経質な推移 |
| 2.4%以下(鈍化継続) | 据え置きが本線に | 金利差縮小観測で円高。157円台への揺り戻し |
この表の使い方はひとつだけだ。発表前に自分のポジションを3つの行に当てはめ、どの行が出たら何をするかを決めておく。発表後に考え始めるのでは、5分間の初動に間に合わない。なお13日にはPPI(生産者物価)が続き、CPIの結果を補強または相殺する。2本セットで見て初めて、9月の絵が固まる。
30秒まとめ。8月12日21:30の米CPIは、9月FOMCの25bpか50bpか据え置きかを事実上決める最後の物価指標だ。しきい値はコア2.7%と2.4%。9月利上げの織り込みは7割超から約5割へ既に半減しており、この1本がその生死を決める。結果はドル円・米国債・S&P500に同時に波及する。
主な参照(データ基準日:2026年8月11日)
Finance Calendar(発表日時・予想)/Kraken(9月FedWatch分布)/米労働統計局(CPI)/centralbank.watch。Morningstar/Kiplinger/CNBC(予測市場)。
【訂正・2026年8月11日】初出時に市場予想を「総合2.8%・コア3.0%程度」と記載したが、複数の集計を再確認した結果、正しくは総合3.4%・コア2.5%(いずれも前年比、前月から鈍化)である。しきい値・判断表も新しい予想値に基づき全面的に改めた。予想値は発表までに改定される可能性がある。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任で行っていただきたい。















