米10年国債利回りは9月30日、5.29%で取引を終えた。米財務省の公表値で、2002年5月14日の5.32%以来の高い水準である。7〜9月期の上昇幅は0.85ポイント(85ベーシスポイント)で、1990年以降の四半期では1994年1〜3月期の94bpに次ぐ2位タイだった。
同じ9月30日、米商務省経済分析局(BEA)が発表した8月の個人消費支出(PCE)物価指数は、食品とエネルギーを除くコアで前年同月比3.0%の上昇だった。物価指標が落ち着いた日に、長期金利は上昇した。ダウ工業株30種平均は前日比443ドル安で、6月11日以来の安値で引けた。
年限別の利回り:上昇幅が最も大きいのは5年債
7〜9月期の動きを年限別に並べる。数字はすべて米財務省が公表する各日の終値ベースの利回り(パーカーブ)である。
| 年限 | 6月30日 | 8月31日 | 9月29日 | 9月30日 | 7〜9月期の変化 | 9月の変化 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3カ月 | 3.87% | 3.91% | 4.25% | 4.20% | +33bp | +29bp |
| 2年 | 4.14% | 4.34% | 4.89% | 4.88% | +74bp | +54bp |
| 5年 | 4.19% | 4.49% | 5.06% | 5.09% | +90bp | +60bp |
| 10年 | 4.44% | 4.75% | 5.26% | 5.29% | +85bp | +54bp |
| 20年 | 4.93% | 5.24% | 5.64% | 5.68% | +75bp | +44bp |
| 30年 | 4.91% | 5.25% | 5.59% | 5.64% | +73bp | +39bp |
上昇幅が最も大きいのは5年債の90bpだった。10年債が85bpで続く。3カ月物は33bpにとどまった。9月だけで見ても、10年債は54bp、2年債も54bp上がっている。
9月30日単日の上昇は10年債で3bp、30年債で5bpだった。一方、2年債は1bp低下した。この日の上げは長い年限に偏っている。20年債の5.68%は30年債の5.64%を上回ったままである。
85bpは1990年以降で2位タイ
米財務省のパーカーブは1990年1月から公表されている。この系列で四半期末どうしの10年債利回りを比べた。7〜9月期の85bpを上回ったのは、1994年1〜3月期の94bpだけである。2016年10〜12月期と2022年7〜9月期も85bpで並ぶ。
米10年債利回りの四半期上昇幅(1990年以降の上位、bp)
読み方:2026年7〜9月期の85bpは、1994年1〜3月期の94bpに次ぐ2位タイ。期末の水準が5%を超えたのは1994年と1992年、今回の3例。出所:米財務省パーカーブ(各四半期最終営業日の終値)、本誌計算。
| 四半期 | 10年債(期初→期末) | 上昇幅 | 2年債の上昇幅 | 当時の背景 |
|---|---|---|---|---|
| 1994年1〜3月期 | 5.83%→6.77% | +94bp | +96bp | FRBが2月に利上げを開始 |
| 2016年10〜12月期 | 1.60%→2.45% | +85bp | +43bp | 米大統領選後の財政拡大観測 |
| 2022年7〜9月期 | 2.98%→3.83% | +85bp | +130bp | FRBの0.75ポイント連続利上げ |
| 2026年7〜9月期 | 4.44%→5.29% | +85bp | +74bp | FRBが9月16日に0.25ポイント利上げ |
| 1992年1〜3月期 | 6.71%→7.54% | +83bp | +83bp | 景気後退からの回復局面 |
| 2009年4〜6月期 | 2.71%→3.53% | +82bp | +30bp | 金融危機後の国債増発 |
並んだ2例と比べると、今回は水準が違う。2016年と2022年は期末の利回りが4%未満だった。今回は5%台に乗せた上での85bpである。2年債の上昇幅は10年債を下回った。2022年7〜9月期は2年債が130bp上がり、10年債の上げを大きく上回っていた。
一部の米メディアは見出しで今回の上昇を「一世代で最大」と報じた。比べる期間や系列は示されていない。米財務省の終値で数えると、四半期の上昇幅では2016年と2022年に並ぶ水準であり、単独の最大ではない。月間では9月の54bpが2022年9月の68bp以来の大きさだった。
PCEは鈍化、利回りは上昇
BEAの発表によると、8月のPCE物価指数は前月比0.3%、前年同月比3.4%の上昇だった。コアは前月比0.2%、前年同月比3.0%の上昇。名目の個人消費支出は前月比0.9%増、物価変動を除いた実質で0.6%増えた。
BEAの発表文は次のとおりである。
Excluding food and energy, the PCE price index increased 3.0 percent from one year ago.(食品とエネルギーを除くPCE物価指数は、前年同月比で3.0%上昇した)
米商務省経済分析局、2026年9月30日
今回の発表には国民経済計算の年次改定が含まれ、2021年1月以降の数字が改められた。改定の中身はPCEの解説記事で扱った。物価が落ち着いても、消費は前月比0.9%増と強い。2年債がほぼ動かず長期債が上がった形は、超長期債の上昇を検証した前回の記事の構図と同じである。
日本への波及:金利差は拡大、円は上昇
同じ3カ月の日本の数字を並べる。日米の長期金利差は広がった。それでもドル円は円高方向に動いた。
| 指標 | 6月30日 | 9月30日 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 米10年債利回り | 4.44% | 5.29% | +85bp |
| 日本10年国債利回り | 2.690% | 3.057% | +36.7bp |
| 日米10年金利差 | 1.75ポイント | 2.23ポイント | +0.48ポイント |
| ドル円(ECB参照レートから算出) | 162.44円 | 157.00円 | −3.3%(円高) |
| 日経平均(終値) | 70,062.32円 | 66,753.72円 | −4.72% |
日本の10年国債利回りの上昇幅は37bpで、米国の半分以下だった。金利差は0.48ポイント広がった。一方、ドル円は3.3%の円高である。日本の通貨当局は2026年に入って介入を重ねており、暦年の介入額は過去最大になっている(介入実績の記事)。日本の短い年限の金利も上がり、2年債利回りは9月に1995年以来の水準に達した(金利番付)。
市場の反応
9月30日の米国株は高安まちまちだった。終値は以下のとおり。
- ダウ工業株30種平均:50,906.05ドル(前日比443.87ドル安、−0.86%)。6月11日の50,848.75ドル以来の安値
- S&P500種株価指数:7,651.54(19.30ポイント安、−0.25%)
- ナスダック総合指数:26,861.06(63.52ポイント高、+0.24%)
- フィラデルフィア半導体株指数(SOX):12,628.62(ほぼ横ばい)
10月1日の東京市場では半導体株が買われた。日経平均の前引け(11時30分、日本時間)は68,355.81円で、前日終値比1,602.09円高(+2.40%)だった。ドル円は11時45分(日本時間)時点で1ドル=158.16円近辺で取引された。いずれも取引時間中の値である。
今後の日程
- 10月2日(金):米9月雇用統計(米労働省)。日本時間では2日夜
- 10月27〜28日:米連邦公開市場委員会(FOMC)。経済見通しの公表はなし
- 12月8〜9日:FOMC。経済見通し(ドットチャート)の公表あり
主な参照
- 米国債利回り(日次、1990年〜2026年)/米財務省
- 8月の個人所得・支出とPCE物価指数(2026年9月30日公表)/米商務省経済分析局
- 日本国債の金利(日次)/財務省
- ドル円の参照レート/欧州中央銀行
- FOMCの日程と9月16日の声明/米連邦準備制度理事会
- 米国株価指数・日経平均・ドル円の値/Yahoo Finance
データ基準日:米国債・PCE・米国株は2026年9月30日の終値、日経平均とドル円は10月1日の取引時間中(日本時間11時30分〜45分)。四半期順位は米財務省パーカーブの終値で本誌が算出したもので、日中の高値や他の系列では順位が変わりうる。米雇用統計の公表日は米労働省のサイトに接続できなかったため、複数の報道で確認した。本記事は情報提供を目的とし、特定の金融商品の売買を勧めるものではない。












