日本銀行が10月1日8時50分に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス24だった。6月調査から2ポイント改善したが、民間シンクタンク13社の予測平均プラス26を2ポイント下回った。大企業非製造業はプラス35で、前回から2ポイント悪化し、予測平均のプラス36を1ポイント下回った。
3カ月先の先行きは、大企業製造業がプラス21、大企業非製造業がプラス30。予測平均はそれぞれプラス23、プラス31だった。一方、2026年度の大企業製造業の経常利益計画は前年度比13.6%増で、6月調査の計画から21.7%上方修正された。輸出企業が前提とする想定為替レートは1ドル=153円79銭で、6月調査の151円49銭から2円30銭円安方向に修正された。
業況判断DI:規模別・業種別の結果
| 区分 | 6月調査 | 9月調査 | 変化幅 | 予測平均 | 先行き | 先行きの予測平均 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 大企業・製造業 | +22 | +24 | +2 | +26 | +21 | +23 |
| 大企業・非製造業 | +37 | +35 | −2 | +36 | +30 | +31 |
| 大企業・全産業 | +29 | +30 | +1 | — | +25 | — |
| 中堅企業・製造業 | +17 | +23 | +6 | — | +18 | — |
| 中堅企業・非製造業 | +26 | +24 | −2 | — | +19 | — |
| 中小企業・製造業 | +9 | +14 | +5 | — | +12 | — |
| 中小企業・非製造業 | +15 | +15 | 0 | — | +10 | — |
| 全規模・全産業 | +18 | +21 | +3 | — | +15 | — |
製造業の改善は中堅企業と中小企業で大きかった。中堅企業製造業は6ポイント、中小企業製造業は5ポイント改善した。非製造業は大企業と中堅企業でいずれも2ポイント悪化し、中小企業は横ばいだった。全規模・全産業はプラス21で、3ポイント改善した。
大企業製造業の業種別では、16業種のうち9業種が改善、2業種が横ばい、5業種が悪化した。石油・石炭製品は27ポイント改善のプラス36、鉄鋼は12ポイント改善のプラス6、非鉄金属は9ポイント改善のプラス45だった。生産用機械はプラス43(7ポイント改善)、電気機械はプラス33(4ポイント改善)。自動車はプラス11で1ポイント悪化した。木材・木製品は14ポイント悪化のマイナス7、食料品は6ポイント悪化のプラス3だった。
大企業製造業の業況判断DI、6月調査からの変化幅(ポイント)
大企業製造業16業種のうち9業種が改善、2業種が横ばい、5業種が悪化した。全体は+2ポイントでプラス24。出所:日本銀行「短観(概要)2026年9月」。
大企業非製造業では、宿泊・飲食サービスが8ポイント悪化のプラス38だった。物品賃貸、小売、運輸・郵便、対事業所サービスはいずれも4ポイント悪化した。建設は4ポイント改善のプラス56で、非製造業の業種で最も高い。不動産はプラス52で横ばいだった。
収益計画・設備投資・想定為替レート
| 項目(2026年度計画) | 前年度比 | 6月調査からの修正 |
|---|---|---|
| 大企業製造業・経常利益 | +13.6% | +21.7% |
| うち上期(前年同期比) | +31.1% | +40.9% |
| うち下期(前年同期比) | −3.1% | +3.5% |
| 大企業非製造業・経常利益 | −4.7% | +1.8% |
| 大企業全産業・経常利益 | +4.3% | +11.6% |
| 大企業製造業・売上高 | +7.6% | +3.4% |
| うち輸出 | +10.3% | +6.2% |
| 大企業全産業・設備投資(含む土地) | +11.3% | −0.2% |
| 全規模全産業・設備投資(含む土地) | +7.6% | +0.8% |
| 想定為替レート(大企業製造業の輸出企業) | 153円79銭(6月調査151円49銭、上期154円13銭・下期153円45銭) | |
| 想定為替レート(全規模・全産業) | 154円23銭(6月調査152円57銭) | |
大企業製造業の経常利益の上方修正は、上期に集中した。上期の計画は前年同期比31.1%増で、6月調査から40.9%引き上げられた。下期は3.1%減の計画で、修正は3.5%にとどまる。加工業種の2026年度経常利益は16.9%増の計画で、26.9%上方修正された。売上高経常利益率の計画は12.81%で、6月調査から1.93ポイント上がった。
想定為替レートは円安方向に修正されたが、実勢とはなお差がある。ドル円は短観発表直後の8時50分時点で157円46銭だった(ヤフー・ファイナンスの気配値)。大企業製造業の輸出企業の想定153円79銭との差は3円67銭だった。設備投資計画は大企業全産業で11.3%増、6月調査からの修正は0.2%の下方修正だった。
価格判断と企業の物価見通し
| 項目 | 6月調査 | 9月調査 | 変化幅 | 先行き |
|---|---|---|---|---|
| 販売価格判断DI(大企業製造業) | 40 | 40 | 0 | 40 |
| 仕入価格判断DI(大企業製造業) | 62 | 59 | −3 | 55 |
| 販売価格判断DI(大企業非製造業) | 40 | 38 | −2 | 40 |
| 仕入価格判断DI(大企業非製造業) | 56 | 54 | −2 | 54 |
| 販売価格判断DI(中小企業製造業) | 40 | 41 | +1 | 47 |
| 物価全般の見通し・1年後(全規模全産業) | 2.7% | 2.6% | −0.1 | — |
| 物価全般の見通し・3年後(全規模全産業) | 2.6% | 2.6% | 0.0 | — |
| 物価全般の見通し・5年後(全規模全産業) | 2.6% | 2.5% | −0.1 | — |
大企業製造業の販売価格判断DIは40で横ばいだった。仕入価格判断DIは3ポイント低下の59。企業の物価見通しは、全規模全産業の1年後が2.6%、3年後が2.6%、5年後が2.5%で、6月調査から0.1ポイント以内の変化にとどまった。大企業の借入金利水準判断DIは65で、6ポイント上昇した。雇用人員判断DIは全規模全産業でマイナス38と、人手不足超の状態が続いた。
背景
日銀は9月18日の金融政策決定会合で政策金利を1.0%から1.25%に引き上げた。賛成7、反対2だった。次回の会合は10月29〜30日に開かれる。今回の短観は、その会合で判断材料となる。回答期間は8月26日から9月30日で、調査対象は9,104社、回答率は99.4%だった。
為替市場では、7月30日から8月26日にかけて財務省が円買い介入を実施した。8月27日から9月28日までの介入額は0円だった。前日の米国市場の終値で、ドル円は157円45銭だった。9月30日の東京市場で日経平均株価は1,272円45銭高の6万6,753円72銭で取引を終えた。
市場反応
ドル円は発表直後の8時50分時点で157円46銭、9時6分時点で157円61銭だった(ヤフー・ファイナンスの気配値)。前日の米国市場の終値157円45銭からの変化は16銭の円安方向。東京市場の日経平均株価は9時4分時点で6万7,370円77銭、前日比617円05銭高だった(株探)。9時3分時点で東証の特別買い気配は33銘柄、特別売り気配は24銘柄で、買い注文の金額の上位はキオクシアホールディングスだった(株探)。いずれも取引時間中の値で、終値ではない。
今後の日程
- 10月1日23時(日本時間):米ISM製造業景況指数(9月)
- 10月29〜30日:日銀金融政策決定会合
事前の予測は短観の事前整理、9月の利上げと円相場の関係は利上げ後の円安の検証、9月の為替介入の実績は介入実績のまとめ、7〜9月期の株価指数は日経平均とTOPIXの四半期にある。
主な参照
- 短観(概要)2026年9月、業況判断・収益計画・設備投資・想定為替レート・価格判断・企業の物価見通し/日本銀行、要旨/日本銀行
- 業況判断DIの定義/日本銀行
- シンクタンク13社の予測平均/東京新聞(共同通信)
- 金融市場調節方針の変更(9月18日)/日本銀行
- 外国為替平衡操作の実施状況(7月30日〜8月26日)/財務省、(8月27日〜9月28日)/財務省
- ドル円の気配値(10月1日)/ヤフー・ファイナンス、9月30日のニューヨーク終値/株探(フィスコ)
- 10月1日の日経平均の取引時間中の値(9時4分)と特別気配/株探、株探
- 日経平均株価/株探
データ基準日:2026年10月1日(日本時間9時6分時点。短観は8時50分公表)。短観の数値は日本銀行の公表値。変化幅と業種の集計、想定為替レートと実勢の差は本誌の計算。予測平均は共同通信の集計で、集計元により値が異なる。ドル円と株価は取引時間中の気配値であり、終値ではない。介入額は財務省の9月30日公表の実績による。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














