10月29日、東京市場の番付を発表する。東の横綱はアドバンテスト、6.01%高の3万7,030円で、1銘柄で日経平均を453円07銭押し上げた。この日の上げ幅705円28銭の64.2%にあたる。西の序二段に落ちたのは日立製作所、上方修正を出しながら9.77%安で引けた。そしてこの日の勝負を本当に決めたのは、どの力士でもなかった。大引けの板に積み上がった、TOPIX(東証株価指数)の入れ替えに伴う売買である。
日経平均は3日続伸し、終値は6万4,659円47銭。上昇率は1.10%だった。一方でTOPIXは0.29%高の4,003.28にとどまり、JPX日経400は0.13%高とほぼ横ばいだった。値がさの半導体株が日経平均を持ち上げ、市場全体はそれほど上がっていない。ここ数日と同じ構図だが、この日はそこに桁違いの出来高が加わった。共同通信によれば売買高は約41億4,801万株で、前日の約23億8,210万株(日本経済新聞)の1.7倍に膨らんだ。
日経平均への寄与度(10月29日大引け、円)
読み方:上げ幅705円28銭のうち、アドバンテスト1銘柄で453円07銭(64.2%)。押し下げ側は最大でも19円で、勝ちと負けの体格差は20倍を超える。出所:財経新聞(フィスコ)の大引け集計。
番付表——寄与度で見た勝敗
| 番付 | 銘柄 | 終値 | 前日比 | 日経平均への寄与 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | アドバンテスト(6857) | 37,030円 | +2,100円 | +453.07円 | ◎ |
| 西の横綱 | 東京エレクトロン(8035) | 10,035円 | +230円 | +116.30円 | ◎ |
| 東の大関 | ソフトバンクグループ(9984) | 4,765円 | +83円 | +67.15円 | ○ |
| 西の大関 | イビデン(4062) | 9,859円 | +196円 | +26.43円 | ○ |
| 東の関脇 | ファーストリテイリング(9983) | 73,800円 | +280円 | +22.65円 | △ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 東の序二段 | ファナック(6954) | 5,795円 | −113円 | −19.05円 | × |
| 西の序二段 | 日立製作所(6501) | 5,071円 | −549円 | −18.51円 | × |
| 東の三段目 | コマツ(6301) | 6,300円 | −515円 | −17.36円 | × |
| 西の三段目 | 豊田通商(8015) | 7,247円 | −153円 | −15.47円 | × |
| 東の幕下 | ダイキン工業(6367) | 21,140円 | −395円 | −13.32円 | × |
表の要点は一つだ。アドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄で約569円、上げ幅の80.7%を占める。ソフトバンクグループまで加えた3銘柄で636円52銭、90.3%になる。日経平均の構成銘柄では値上がり132、値下がり92と勝ち越しだったが、東証プライム全体では値上がりが47%、値下がりが50%とわずかに負け越している(財経新聞〈フィスコ〉)。売買代金は13兆8,657億円で、前日の8兆742億円(日本経済新聞)の1.7倍に達した。
東の横綱・アドバンテスト——◎
6.01%高の3万7,030円。日中には3万8,120円まで買われた。前日に通期の業績予想を引き上げ、自社株買いも発表したことが材料である(財経新聞〈フィスコ〉)。前場の段階で1銘柄の寄与は約407円に達しており、後場にもう一段上積みした。
この銘柄が上げ幅の64.2%を一人で稼いだという事実は、裏を返せば、残る224銘柄の合計が252円21銭にとどまったことを意味する。判定は◎。ただし、文句なしの勝ちであると同時に、日経平均という指数がどれほどこの1銘柄に依存しているかを示す一番でもあった。決算の中身は前日の記事で詳しく扱っている。
殊勲賞・TOPIX入れ替え——9.6兆円の板
この日の土俵を作ったのは、30日に実施されるTOPIXの見直しである。日本取引所グループ(JPX総研)は10月7日、スタンダード市場とグロース市場から35銘柄を新たに加え、基準を満たさない683銘柄を「移行措置銘柄」として8四半期かけて段階的にウエートを下げると公表した。TOPIXに連動する指数ファンドは、30日の新しい構成に合わせるため、29日の大引けで一斉に売買する必要がある。
日本経済新聞は、この入れ替えに伴う売買需要を9.6兆円、うちキオクシアホールディングスの買いを9,748億円と推計して報じた。キオクシアの出来高は1億4,355万株と前日の1.3倍に増えた。それでも株価は日中高値の1万5,600円から押し戻され、終値は1.15%高の1万4,505円だった。分かっていた買いは、分かっていた分しか株価を押し上げない。判定は殊勲賞。株価ではなく、出来高という形で番付に名を刻んだ。
なぜ指数の入れ替えで株が売買されるのか。TOPIX連動型の投資信託やETFは、指数と同じ銘柄を同じ比率で持つことで指数と同じ値動きを目指す。指数の中身が変われば、ファンドの中身も同じ日に入れ替えなければならない。ずれが出ないよう、売買は入れ替え前日の終値で行うのが一般的だ。だから大引けに注文が集中し、出来高が膨らむ。その会社の価値が変わったわけではない。
西の序二段・日立製作所——×
9.77%安の5,071円。前場の時点で8%台の下げだったが、後場に下げ幅を広げた。業績予想の上方修正を発表しながら、それでも売られた一番である。理由と200日移動平均線の位置は今日昼の記事にまとめた。寄与度ではファナックの19円05銭に次ぐ18円51銭の押し下げだった。判定は×。上方修正が株価の支えにならない場所が、今週の東京にははっきりある。
敢闘賞・銀行株——33業種の首位
財経新聞(フィスコ)によれば、東証33業種別指数で上昇率の首位は銀行業の2.54%高だった。三菱UFJフィナンシャル・グループは2.58%高の3,464円。日銀会合を翌日に控え、長期金利は2.835%(日本経済新聞、15時時点)に上がった。金利の上昇は銀行の利ざやの改善につながると受け止められやすい。判定は○。最下位は機械の1.70%安で、コマツの7.56%安が響いた。日本経済新聞は、コマツが業績予想を上方修正しながら午後に急落し、3カ月ぶりの安値を付けたと伝えている。
技能賞・イビデン——発表1分後の安値から戻す
2.03%高の9,859円。15時20分に中間決算と通期予想の上方修正を発表し、15時21分に9,236円の安値を付けた。そこから引けまでの9分で623円戻している。判定は○。本当の値付けは30日の寄り付きになる。水準と撤退線は別の記事で整理した。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 29日 21時30分 | 米9月の個人所得・支出(PCE物価指数) | 米12月利上げ観測の強弱 |
| 29日 22時15分 | 欧州中央銀行(ECB)の政策決定 | 据え置き予想。12月への含み |
| 30日 寄り付き | 新しいTOPIXの適用開始 | 入れ替えの反動が出るか |
| 30日 昼ごろ | 日銀金融政策決定会合の結果 | 据え置き予想。物価2%到達の表現 |
| 30日 18時45分 | キオクシアの中間決算 | 9,748億円の買いを受けた翌日の決算 |
前場の番付はこちら、前日の大引けはこちら。為替の見通しはユーロ円の記事にまとめている。
主な参照
- 日経平均・TOPIXの終値/財経新聞(フィスコ)、JPX日経400とドル円・長期金利/日本経済新聞
- 売買高(約41億4,801万株)/共同通信(OANDA掲載)、前日の売買高/日本経済新聞
- 大引けの寄与度、構成銘柄の騰落数、プライム市場の騰落比率と売買代金/財経新聞(フィスコ)
- 前場の寄与度とアドバンテストの材料/財経新聞(フィスコ)
- 東証33業種別指数/財経新聞(フィスコ)
- TOPIXの見直し(新規35銘柄、移行措置683銘柄、10月30日実施)/マネクリ(マネックス証券)、日本取引所グループ
- TOPIX入れ替えの売買需要9.6兆円、キオクシア9,748億円の買い(推計)/日本経済新聞
- 個別銘柄の終値・高値・出来高/stockanalysis.com、Yahoo!ファイナンス
- キオクシアの決算発表予定/キオクシアホールディングス
データ基準日:2026年10月29日の東京市場の終値。ドル円と長期金利は同日15時台の気配値で、終値ではない。寄与度の集計は情報ベンダーにより差がある。TOPIX入れ替えの売買需要は日本経済新聞が報じた推計で、実際の売買額は公表されていない。売買高は報道機関の概算値。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。













