アマゾン・ドット・コム(AMZN)は米国時間10月29日の通常取引終了後、2026年7〜9月期決算を発表する。日本時間では30日早朝で、電話会見は30日6時(米西部時間29日14時)に始まる。オプション市場が織り込む決算翌日の値動きは上下約7.4%で、過去12回の決算でこれを超えたのは5回だった。
28日の終値は254.60ドル。7.4%の変動を当てはめると、上は273ドル台、下は235ドル台になる。前回7月30日の決算では翌日に15.32%上げ、過去12回で最大の値動きだった。
主要数値
| 項目 | 会社見通し・市場予想 | 前四半期の実績(4〜6月期) | 出所 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 会社見通し1,970億〜2,020億ドル/市場予想約2,023億ドル | 2,006億ドル(前年同期比+20%) | アマゾン、IG |
| 営業利益 | 会社見通し225億〜265億ドル | 275億ドル | アマゾン |
| 1株利益(EPS) | 市場予想1.96ドル(予想の幅1.72〜2.32ドル) | — | IG(LSEG集計) |
| AWS売上高 | 市場予想456億ドル、伸び率は約35%との見方 | 422億ドル(+37%) | IG、ペッパーストーン、アマゾン |
| 広告売上高 | 市場予想209億ドル | — | IG |
| 2026年の設備投資計画 | 約2,200億ドル(7月に約2,000億ドルから上げた) | — | ペッパーストーン |
| オプションの想定変動 | 上下約7.4% | — | ペッパーストーン |
市場予想の売上高約2,023億ドルは、会社見通しの上限2,020億ドルをわずかに上回る。会社見通しの範囲内に着地しても、上限に届かなければ市場予想には届かない計算になる。IGによると、過去30日でEPS予想を引き上げたアナリストは11人、引き下げたのは3人だった。
過去12回の決算翌日の騰落率
アマゾン株、決算翌営業日の騰落率(過去12回)
読み方:上昇7回、下落5回。オプションが織り込む上下7.4%を超えたのは5回だった。出所:Yahoo Financeの日足終値から本誌計算(発表日の終値と翌営業日の終値の比較)。
| 決算期 | 発表日(米国、引け後) | 翌営業日の騰落率 | 7.4%超 |
|---|---|---|---|
| 2023年7〜9月期 | 2023年10月26日 | +6.83% | — |
| 2023年10〜12月期 | 2024年2月1日 | +7.87% | ○ |
| 2024年1〜3月期 | 2024年4月30日 | +2.29% | — |
| 2024年4〜6月期 | 2024年8月1日 | −8.78% | ○ |
| 2024年7〜9月期 | 2024年10月31日 | +6.19% | — |
| 2024年10〜12月期 | 2025年2月6日 | −4.05% | — |
| 2025年1〜3月期 | 2025年5月1日 | −0.12% | — |
| 2025年4〜6月期 | 2025年7月31日 | −8.27% | ○ |
| 2025年7〜9月期 | 2025年10月30日 | +9.58% | ○ |
| 2025年10〜12月期 | 2026年2月5日 | −5.55% | — |
| 2026年1〜3月期 | 2026年4月29日 | +0.77% | — |
| 2026年4〜6月期 | 2026年7月30日 | +15.32% | ○ |
12回のうち上昇は7回、下落は5回。値動きの絶対値の平均は6.30%だった。7.4%を超えたのは5回で、比率は42%。5%を超えたのは8回あった。直近4回は+9.58%、−5.55%、+0.77%、+15.32%で、方向は一定しない。
確率の目安
過去12回の分布とオプションの想定変動から、本誌は翌営業日の値動きを次のように見積もる。上昇の確率は55%、下落は45%。7.4%を超える大きな値動きになる確率は40%前後とみる。過去の比率42%に近い水準で、オプション市場の値付けと大きな差はない。
| 翌営業日の値動き | 本誌の確率 | 28日終値254.60ドルに当てはめた水準 | 条件 |
|---|---|---|---|
| +7.4%超 | 25% | 273.4ドル超 | AWSの伸びが4〜6月期の37%を上回り、10〜12月期の営業利益見通しが市場予想を超える |
| 0〜+7.4% | 30% | 254.6〜273.4ドル | 売上高が会社見通しの上限前後、AWSは35%前後 |
| 0〜−7.4% | 30% | 235.8〜254.6ドル | 売上高は予想並み、設備投資の上積みが示される |
| −7.4%超 | 15% | 235.8ドル未満 | AWSが35%を下回り、設備投資の大幅な上積みとフリーキャッシュフローの悪化が重なる |
上昇の確率を55%としたのは、過去12回の上昇比率58%に、AWSの供給制約という要因を加味したためである。IGによれば、アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)はAWSの容量について「2026年分は売り切れ、2027年分も大半が売り切れた」と述べている。需要が確認されている一方で、売上の伸びは設備の稼働開始の時期に左右される。
下落側で7.4%超を15%と低めに置いたのは、前日までに株価がすでに調整しているためである。8月3日の終値284.02ドルから、28日の終値は10.4%下にある。年初来では10.3%高だった。
背景
前日28日には、マイクロソフトとアルファベットが決算を発表した。時間外取引でマイクロソフトは2.80%高、アルファベット(A株)は9.60%安だった。アルファベットはクラウド部門の売上高が前年同期比103%増だったが、設備投資が前年同期の2倍を超え、フリーキャッシュフローの赤字が広がった。マイクロソフトは設備投資が会社の示していた水準を下回った。詳細はこちらの記事にある。
アマゾンは7月の決算で、2026年の設備投資計画を約2,000億ドルから約2,200億ドルに引き上げた。同社の4〜6月期の発表資料によると、直近12カ月のフリーキャッシュフローは76億ドルの流出で、設備・機器の購入額は前年同期比661億ドル増えた。7月の決算では、AWSの加速が設備投資の増額を上回る材料と受け止められた。その経緯はこちらで扱った。今回の焦点も、AWSの伸び率と設備投資・フリーキャッシュフローの組み合わせになる。
発表で確認する項目
| 項目 | 基準 | 上回った場合 | 下回った場合 |
|---|---|---|---|
| AWSの伸び率 | 4〜6月期の+37%、市場予想は約35% | 加速の継続 | 減速と受け止められやすい |
| AWS売上高 | 市場予想456億ドル | 上振れ | 下振れ |
| 売上高 | 市場予想約2,023億ドル | 会社見通し上限超え | 見通し内でも予想未達 |
| 営業利益 | 会社見通し225億〜265億ドル | 上限超え | 中央値245億ドル未満 |
| 10〜12月期の見通し | 売上高・営業利益の会社見通し | 年末商戦の強さ | 慎重な見通し |
| 設備投資 | 2026年計画約2,200億ドル | 上積みの規模と2027年の方向 | 据え置き |
日本株への経路
アマゾンの設備投資の規模は、データセンター向けの部材や装置を手がける日本企業の受注見通しに関わる。29日前場の東京市場では、半導体関連のうちアドバンテストが5.41%高、キオクシアHDが3.56%高だった一方、東京エレクトロンは0.88%安、TDKは3.53%安だった。前場の値動きはこちらにまとめた。アマゾンの決算は日本時間30日早朝に出るため、東京市場では30日の取引で反映される。同じ30日には日銀の決定会合の結果と、キオクシアHD、東京エレクトロンの決算発表が予定されている。
今後の日程(日本時間)
- 10月29日 21時30分:米7〜9月期GDP速報値
- 10月30日 早朝:アマゾン・ドット・コムの7〜9月期決算発表、6時から電話会見
- 10月30日:日銀の金融政策決定会合の結果公表、キオクシアHDと東京エレクトロンの決算発表予定
- 10月30日 22時30分:アマゾン株の決算後最初の通常取引
主な参照
- 4〜6月期決算と7〜9月期の会社見通し/アマゾン・ドット・コム
- 決算発表と電話会見の日程/アマゾン・ドット・コム(IR)
- 市場予想(売上高、EPS、AWS、広告)とジャシーCEOの発言/IG
- オプションの想定変動、AWSの伸び率予想、設備投資計画/ペッパーストーン
- 株価の日足終値/Yahoo Finance
データ基準日:アマゾン株は2026年10月28日の米国市場の終値。東京市場の株価は29日前引け(11時30分)の値で、取引時間中の数値であり終値ではない。マイクロソフトとアルファベットの時間外の騰落率は米東部時間28日18時59分時点の気配値。市場予想とオプションの想定変動は各社の集計・報道にもとづき、発表直前に変わることがある。確率は本誌の見積もりで、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。トップ画像:Visitor7「Amazon Datacenter」(Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0)をトリミングして使用。















