10月27日、東京市場の前場の番付を発表する。東の横綱はアドバンテスト。9.69%高の3万4,080円で、1銘柄で日経平均を649円40銭押し上げた。日経平均の前場の上げ幅1,191円64銭の54.5%にあたる。西の横綱はソフトバンクグループで、231円39銭の押し上げだった。一方、西の序二段に落ちたのは第一三共で、6.78%安。前場のプライム市場では、値下がり銘柄が値上がり銘柄より多かった。
日経平均の前引けは6万3,381円29銭、4営業日ぶりの大幅反発である。数字だけ見れば大勝ちだ。だが、東証プライムの値上がりは698銘柄、値下がりは801銘柄だった。TOPIX(東証株価指数)は23.19ポイント高の3,996.17で、上昇率は0.58%と日経平均(1.92%)の3分の1にも届かない。きっかけは米国にある。26日の米市場で半導体株が買い戻され、AI(人工知能)開発の米アンソロピックが上場申請書類を公開した。その追い風を受けたのは、ほぼ半導体の値がさ株に限られた。
日経平均への寄与度(10月27日前引け、円)
読み方:緑が押し上げ、赤が押し下げ。アドバンテスト1銘柄の649円40銭は、前場の上げ幅1,191円64銭の54.5%にあたる。上位5銘柄の合計1,183円62銭で99.3%。出所:株探ニュース(minkabu PRESS、2026年10月27日11時30分の前引け時点の集計)。
前場の番付表——寄与度で見た勝敗
| 番付 | 銘柄 | 前引け | 前日比 | 日経平均への寄与 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | アドバンテスト(6857) | 34,080円 | +9.69% | +649.40円 | ◎ |
| 西の横綱 | ソフトバンクグループ(9984) | 4,549円 | +6.71% | +231.39円 | ◎ |
| 東の大関 | 東京エレクトロン(8035) | 9,361円 | +2.76% | +126.92円 | ○ |
| 西の大関 | イビデン(4062) | 9,172円 | +11.20% | +124.59円 | ◎ |
| 東の関脇 | TDK(6762) | 2,687円 | +3.93% | +51.32円 | ○ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 西の序二段 | 第一三共(4568) | 2,633.5円 | −6.78% | −19.37円 | × |
| 東の三段目 | ファーストリテイリング(9983) | 73,340円 | −0.87% | −51.78円 | △ |
| 西の三段目 | 中外製薬(4519) | 6,703円 | −2.81% | −19.62円 | × |
| 東の幕下 | KDDI(9433) | — | — | −15.78円 | × |
| 西の幕下 | リクルートHD(6098) | — | — | −12.64円 | × |
この表の要点は一つだ。上位5銘柄の押し上げを足すと1,183円62銭で、前場の上げ幅1,191円64銭の99.3%になる。上位2銘柄だけで880円79銭、73.9%である。つまり、残る220銘柄は差し引きでほぼ横ばいだった。指数は大きく勝ち越したが、土俵で勝っていたのは半導体と、その周辺の数銘柄に限られる。
東の横綱・アドバンテスト——◎
前日終値3万1,070円に対し、3万3,330円と高く寄り付いた。10時14分に3万4,320円の高値を付け、前場は3万4,080円で終えた。前場の売買代金は約2,691億円で、東京市場の主役であることは疑いようがない。株探は、前週後半からの3営業日で3,300円以上下げていたため、目先の戻りを狙う買いが入りやすかったと伝えている。
ただし、番付の判定と株価の位置は別の話だ。前引けの3万4,080円は、10月15日の終値3万4,340円をまだ下回る。15日は1日で14.96%下げた日である。最高値は10月6日の終値4万1,850円で、そこからはなお18.6%下にいる。今日の上げは、急落の起点まで戻り切っていない。判定は◎。取組は完勝だが、場所全体ではまだ負け越しの途中である。
同社は28日に4〜9月期の決算を発表する予定だ。決算の前日に1割近く買われたことになる。過去の上方修正の局面で株価がどう動いたかは、26日の決算プレビューで検証した。決算を先回りした買いが入った以上、28日は「良い数字」だけでは足りない可能性がある。
西の横綱・ソフトバンクグループ——◎
6.71%高の4,549円。前日終値は4,263円で、4,467円で寄り付き、10時15分に4,615円まで上げた。寄与度は231円39銭で2位である。AIへの投資を手がける同社にとって、アンソロピックの上場申請は、AI企業の値付けが公開市場で試される材料になる。同社が出資しているのは競合の米オープンAIで、アンソロピックではない。それでも「AI企業の価値が市場でいくらと評価されるか」という同じ問いにつながる。
本誌は今朝のソフトバンクGの記事で、25日移動平均から24%下に離れた売られすぎの状態と反発の兆しを取り上げた。前場の動きはその見方に沿う。判定は◎。ただし、4,615円の高値から前引けまでに66円押しており、上値では戻り売りも出ている。
殊勲賞・イビデン——上昇率11.20%
寄与度では4位だが、上昇率では横綱を上回った。前日終値8,248円から924円高の9,172円で、上昇率はプライム市場の3位である。株探によると、AI向けのICパッケージ基板の主要な供給元として、AI投資の過剰感が強まった局面で売られていた。10月上旬に1万2,000円台にあった株価は、23日に8,000円を割り込む場面があった。
材料は二つ重なった。アンソロピックの上場申請を受けた半導体株の買い戻しと、26日の米国市場で米インテル株がアナリストの目標株価引き上げを受けて一時6%近く上げたことである。ウエルスアドバイザーは、野村証券がイビデンの目標株価を引き上げたとも伝えている。決算は29日に予定されている。判定は◎。殊勲賞とした。
西の序二段・第一三共——×
6.78%安の2,633.5円。前日終値は2,825円で、2,730円で寄り付いたあとも下げ続け、11時7分に2,622円の安値を付けた。寄与度は−19円37銭と小さいが、下落率ではプライム市場の2位だった。
株探によると、米ブリストル・マイヤーズ・スクイブと米システィミューンが26日、がん治療薬「イザロンタマブ・ブレンギテカン」の臨床試験で良好な結果が得られたと発表した。第一三共の抗がん剤「ダトロウェイ」の競合になるとの見方から売りが出たという。理由は報道ベースで、第一三共からの発表はない。決算は30日に予定されている。判定は×。他社の発表で負けた一番である。
痛み分け・ファーストリテイリングと内需株——△
押し下げの首位はファーストリテイリングで、−51円78銭だった。ただし株価は0.87%安の7万3,340円にとどまる。値がさ株なので、小さな下げでも指数への影響が大きくなる。判定は△とした。
目立ったのは、前日まで買われていた内需株の売りである。時事通信は「直近で買われていた内需のディフェンシブ銘柄には反動の売りが出た」と伝えた。業種別の下落上位は不動産、医薬品、陸運で、三井不動産は3.24%安の1,584.5円だった。26日はTOPIXが上げて日経平均が下げたが、27日はその逆になった。資金は内需から半導体へ戻っただけで、新しい資金が市場全体に入ったわけではない。
最初の1時間——寄り付きで勝負がついた
日経平均の前場の推移(10月27日、円)
読み方:寄り付き直後の9時2分に安値を付け、9時15分までの13分で943円上げた。高値は10時15分。出所:Yahoo!ファイナンス(寄り付き・高値・安値と時刻)、共同通信(9時15分)、日本経済新聞・株探(前引け)。取引時間中の値。
時間を追うと、この日の取組の性格がはっきりする。日経平均は前日比379円43銭高の6万2,569円08銭で寄り付き、9時2分に6万2,389円47銭の安値を付けた。そこから一気に買われ、共同通信によると9時15分には1,142円64銭高の6万3,332円29銭まで上げている。寄り付きから15分で上げ幅の大半を作った計算だ。
高値は10時15分の6万3,684円69銭で、上げ幅は一時1,495円04銭に達した。そこから前引けまでは300円ほど押した。前日の夜間取引で大阪の日経平均先物(12月物)は690円高の6万2,890円で終えており、シカゴの先物は6万3,840円で清算された。前場の高値は、シカゴの清算値の156円手前で止まったことになる。TOPIXも一時4,002.71まで上げたが、4,000ポイントの上にはとどまれなかった。
場外——米国の半導体株と、円
この日の流れを決めたのは26日の米国市場である。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.82%高の1万1,083.47で、主要3指数を大きく上回った。S&P500は0.70%高の7,676.77だった。ロイターは、アンソロピックの上場申請がAI関連株を支えたと伝えている。同社は26日、米証券取引委員会(SEC)に上場申請書類(S-1)を提出した。米国市場でこの日何が動いたかは26日の寄り付き1時間の記事にまとめている。
為替では、フィスコによるとドル円は11時35分時点で157円64銭付近と、朝方よりやや円安だった。円安は輸出株の支えになるが、前場の主役はあくまで半導体株だった。今週の為替の見通しは今朝のドル円の記事で扱った。
後場と来場所の注目取組
後場に見るべき点は一つだ。プライム市場の値上がり銘柄数が、値下がり銘柄数を上回るかどうかである。上回らなければ、今日の反発は「半導体株の買い戻し」で終わる。26日の前場は、アドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄で日経平均を420円押し下げていた(26日の寄り付き1時間の記事)。今日は同じ2銘柄が合わせて776円32銭押し上げた。勝ち負けは入れ替わったが、土俵の主役は変わっていない。26日の大引けの中身はこちらで扱った。
| 日時(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 10月27日 | 中外製薬の決算 | 前場は2.81%安。医薬品株の売りが続くか |
| 10月27日 23時 | 米10月消費者信頼感指数 | 予想80.4、前回81.9 |
| 10月28日 | アドバンテストの4〜9月期決算 | 決算前日に1割近く買われた分を正当化できるか |
| 10月29日 | イビデンの決算 | AI向け基板の受注の見通し |
| 10月29日 未明 | 米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果 | 米金利と半導体株の地合い |
| 10月30日 | 日銀の金融政策決定会合、東京エレクトロン・TDK・第一三共の決算 | 半導体の値がさ株の本決算の週 |
主な参照
- 日経平均の前引け、寄与度、騰落銘柄数、業種別騰落/株探ニュース(Yahoo!ファイナンス、11時31分配信)
- 11時時点の寄与度(参考)/株探ニュース(11時1分配信)
- 前場の概況、TOPIXの前引け、寄り付き値/時事通信(11時41分配信)
- 日経平均の前引け/日本経済新聞
- 9時15分時点の日経平均/共同通信(中日新聞Web)
- 日経平均の日中高値・安値と時刻、TOPIXの高値/Yahoo!ファイナンス(日経平均)、同(TOPIX)
- 個別銘柄の値動きの背景(イビデン、アドバンテスト、第一三共)/株探ニュース「話題株ピックアップ【昼刊】」、ウエルスアドバイザー
- アドバンテストの株価の推移(10月6日、15日の終値)/stockanalysis.com、Yahoo!ファイナンス
- シカゴの日経平均先物の清算値/ウエルスアドバイザー(10時14分配信)
- 26日の米国市場(SOX、S&P500)、大阪の夜間取引、米指標の予想/世界一やさしい投資の学校
- アンソロピックの上場申請書類(S-1、2026年10月26日提出)/米証券取引委員会(SEC)
- ドル円の11時35分の水準/フィスコ
データ基準日:2026年10月27日の東京市場の前場の終値(11時30分)。すべて取引時間中の数値であり、大引けの終値ではない。後場の値動きは反映していない。寄与度は情報ベンダーの集計で、算出元によって差が出ることがある。米国市場の数値は10月26日の終値。第一三共の下落とイビデンの上昇の理由は報道にもとづくもので、両社からの発表は確認していない。アンソロピックの上場の規模や時期は本稿の執筆時点で確定していない。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















