今週のビットコイン企業番付を発表する。東の横綱は米ストライブ(ASST)。10月17〜23日の1週間に6,182BTCを買い増し、保有量を4万3,000BTCに積み上げた。西の前頭筆頭に下がったのは、保有量で世界最大の米ストラテジー(MSTR)である。10月19〜25日の購入はゼロで、その資金を自社の優先株の買い戻しに回した。そして日本のメタプラネット(3350)は、9月末を最後に購入の開示がなく、平均取得単価をビットコイン価格が19%下回る土俵際にいる。
ビットコインはGoogleファイナンスの日本時間27日7時51分時点の気配で7万9,880ドル。8万ドルを挟んだ攻防が続く。これまで相場を下支えしてきた「企業の買い」が、上位2社で止まった。番付の入れ替わりは、その変化を映している。
今週の番付表
| 番付 | 企業 | 直近1週間の購入 | 保有量 | 平均取得単価との差 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | ストライブ(ASST) | +6,182BTC | 43,000BTC | — | ◎ |
| 西の前頭筆頭 | ストラテジー(MSTR) | 0BTC | 848,517BTC | +5.9% | △ |
| 東の前頭 | メタプラネット(3350) | 開示なし(9月30日以降) | 44,000BTC | −19.1% | × |
番付の要点は一つだ。3社のうち、買っているのは1社だけになった。保有量はストラテジーが他の2社の合計の約10倍あるが、今週の土俵で動いたのはストライブだけである。
東の横綱・ストライブ——◎
26日にSECへ提出した書類によると、ストライブは10月17〜23日に6,182BTCを購入した。書類の金額から計算すると、平均約8万2,732ドル、総額約5億1,140万ドルの買いになる。保有量は16日時点の3万6,818BTCから4万3,000BTCに増えた。
メタプラネットの保有量4万4,000BTCまで、残りは1,000BTCである。今週のペースなら1週間で届く。ストライブは同日、年15%の配当を払う優先株「SATS」を市場で随時売り出す枠(ATM)として10億ドルを新たに設定した。買いの資金源はこの優先株である。
判定は◎。ただし株価は別の話だ。ASSTの26日の終値は26.32ドルで、前日比9.15%安だった。高い配当の優先株で資金を集めてビットコインを買う手法は、株主にとって割に合うのか。市場はまだ答えを出していない。番付は買いの量で付けたが、株主の勝ち越しを意味しない。
西の前頭筆頭・ストラテジー——△
26日朝(米東部時間8時49分)に提出された書類で、ストラテジーは10月19〜25日にビットコインを1枚も買わなかったと開示した。普通株のATMによる売り出しもゼロだった。代わりに、配当率年12%の優先株「STRC」を206万8,459株、2億490万ドル分買い戻した。支払いは手元のドル現金からである。
ストラテジーの週次ビットコイン購入量(BTC)
読み方:9月下旬の大口の買いのあと、10月は250〜334BTCに細り、10月19〜25日はゼロになった。9月28日〜10月4日は9月28〜30日のゼロと10月1〜4日の334BTCの合計。出所:ストラテジーのSEC提出書類(各週の8-K)。
メディアには「4週連続の買いが途切れた」との表現もあるが、書類を順に見ると、購入は9月14〜20日から10月12〜18日まで5回の週次報告に連続して載っている。ただ、9月下旬の950BTC、1,665BTCに比べ、10月は250〜334BTCと小口だった。買いは止まる前から細っていた。
優先株の買い戻しは3週連続である。10月5〜11日が1億9,240万ドル、12〜18日が1億9,310万ドル、19〜25日が2億490万ドルで、合計5億9,040万ドルになる。その間に「USDキャッシュ」は11日時点の6億4,050万ドルから25日時点の2億4,240万ドルへ減った。配当支払いに備えた「USDリザーブ」48億3,000万ドルは別枠で残っている。
保有量は84万8,517BTC、取得総額は640億2,000万ドル、平均取得単価は7万5,446ドルである。現在値はその5.9%上にある。判定を△にしたのは、含み益を保ったまま買いを止め、資本政策の手当てを優先したからだ。負けではないが、勝ち越してもいない。
東の前頭・メタプラネット——×
日本の投資家にとって最も身近な力士が、最も苦しい位置にいる。メタプラネットが10月5日に開示した資料では、9月30日時点の保有量は4万4,000BTC、平均取得単価は1BTCあたり1,555万5,717円、取得総額は6,845億円(速報値・監査前)だった。ビットコインの現在値を円に直すと約1,258万円で、平均取得単価を19.1%下回る。ドルに直すと同社の平均取得単価は約9万8,800ドルで、今年1月の高値9万7,964ドル(コインベース)よりも高い。
同社は7〜9月期に1万BTCを売却し、1万1,000BTCを買い戻している。資料は目的を「流動性を示すため」と説明しており、差し引きの増加は1,000BTCにとどまる。10月13〜14日に条件を決めた520億円のユーロ円建て転換社債(2031年満期、転換価格339円)では、手取り金の使い道をビットコイン担保の借入金の返済236億円と、最大283億円の自社株買いとし、ビットコインの購入には充てないと明記した。14日には193億円の自社株買いも実施している。
判定は×。買い増しではなく、借入金の返済と自社株買いで財務を固める側に回ったからである。26日の終値は263円、前日比0.75%安だった。ストライブが今週のペースで買いを続ければ、保有量で同社を抜くことになる。
殊勲賞・7万5,446ドル——相場の下に引かれた線
今週いちばん意味を持った数字は、ストラテジーの平均取得単価7万5,446ドルである。最大の保有者が含み損に転じる水準であり、相場の参加者が意識しやすい。現在値からは5.5%下にある。24日(協定世界時)に付けた直近の安値は7万9,107ドルで、まだそこまでは距離がある。
ビットコインの現在値と、3社の取得単価(ドル)
読み方:現在値はストラテジーの平均取得単価の5.9%上、メタプラネットの平均取得単価の19.1%下にある。メタプラネットの値は1,555万5,717円をドル円157.47円で換算した。出所:各社の開示資料、Googleファイナンス、本誌計算。
上を見ると、ストライブの今週の平均購入価格約8万2,732ドルが最初の節目になる。買い手が直近で積んだ値段であり、ここを回復できるかが戻りの強さを測る物差しだ。メタプラネットの平均取得単価約9万8,800ドルは、今年の高値とほぼ重なる。同社が含み損を解消するには、年初来高値の更新が必要になる計算だ。ビットコインは今年の高値から18.5%、2025年10月6日の史上最高値12万6,080ドル(コインゲッコー)からは36.6%下にある。
本誌の見立て——企業の買いは主役から降りた
本誌の見立てを示す。上位2社の買いが止まり、ストライブ1社の優先株頼みでは、企業の買いを相場の支えとして数えることは難しくなった。今週の値動きを決めるのは、FOMCの結果と、ストラテジーの決算で示される資本政策の方針である。8万ドルを明確に回復できなければ、ストラテジーの平均取得単価7万5,446ドルを試す展開を本線とみる。逆に、ストライブの購入価格約8万2,732ドルを終値で上回れば、この見立ては撤回する。
前日の8万ドル割れを検証した記事では崩落説を退けた。その判断は変えていない。番付が示しているのは急落の合図ではなく、下値の買い手が1社減ったという事実である。週末時点の見通しはこちらにまとめた。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 10月28日 23:00 | ストラテジーの臨時株主総会 | 優先株の配当を日次で払う案の採決。STRCの配当率は年12%で据え置き |
| 10月29日 3:00 | FOMCの声明発表(記者会見は3時30分) | 今回は経済見通しの公表がない会合 |
| 10月30日 6:00 | ストラテジーの7〜9月期決算説明(米国29日の取引終了後に発表) | 買いを再開するか、優先株の買い戻しを続けるか |
| 毎週月曜 | ストラテジーとストライブの週次の開示 | ストライブがメタプラネットの保有量を抜くか |
主な参照
- ストラテジーの週次開示(10月19〜25日の購入ゼロ、保有量、平均取得単価、STRCの買い戻し、USDキャッシュ)/米証券取引委員会
- ストラテジーの前週までの開示(10月12〜18日)/米証券取引委員会
- ストラテジーの臨時株主総会の招集/米証券取引委員会
- ストラテジーの決算発表日程/ビジネスワイヤ
- ストライブの購入と保有量/米証券取引委員会、SATSのATM設定/米証券取引委員会
- メタプラネットの保有量と平均取得単価(9月30日時点)/TDnet
- メタプラネットのユーロ円建て転換社債の資金使途/TDnet、自社株買い/TDnet
- ビットコインの日足(年初来高値・安値)/コインベース、史上最高値/コインゲッコー
- FOMCの日程/米連邦準備制度理事会
データ基準日:ビットコインとドル円は2026年10月27日7時51分前後(日本時間)の気配で、取引時間中の値であり終値ではない。MSTR・ASSTは26日の米国市場の終値、メタプラネットは26日の東京市場の終値。メタプラネットの保有量と平均取得単価は9月30日時点の速報値で、監査前の数値である。平均取得単価との差、ストライブの平均購入価格、優先株の買い戻し合計、円換算・ドル換算は本誌が計算した。現物ビットコインETFの26日の資金流出入は一次データで確認できなかったため扱っていない。番付と判定、見立ては本誌の整理であり、将来の価格を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産や銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















