ビットコインは日本時間24日午前7時57分、米コインベースで8万547ドル(取引時間中、約1264万円)だ。23日の本誌記事は、22日の急落で清算された買い方を追った。その後に出た新しい数字は、ETFからの6.36億ドルの流出、50日線の下抜け、イーサの一段安の三つだ。来週は29日午前3時のFOMCを前に、8万ドルを守れるかが問われる。
- 資金:22日の米現物ETFは6億3,560万ドルの純流出。6月以来の大きさで、週前半の流入の6割弱を消した。
- 価格:50日線8万1,779ドルとETFの平均取得単価(約8.15万ドル)を下回った。
- 借金:資金調達率は中立圏、建玉も増えていない。下げを加速させる燃料は小さい。
- イーサ:1カ月で14.5%安と、ビットコインの6.6%安の2倍を超える下げだ。
- 見通し:FOMCまでは7.96万〜8.5万ドルのレンジ継続が50%。日足終値で7万9,600ドル割れなら弱気に切り替える。
1. 資金:ETFは週の後半に逆回転した
結論:週前半の買いは続かなかった。木曜1日の流出が、月曜から水曜までの流入の6割弱を打ち消した。
根拠:ザ・ブロックの集計では、米国の現物ビットコインETFは22日に6億3,560万ドルの純流出だった。19日は5億2,670万ドル、20日は2,320万ドル、21日は5億2,840万ドルの流入である。週の累計は木曜までで4億4,270万ドルの流入に縮んだ。
流出の中心は大手だ。ブラックロックの「IBIT」が2億5,410万ドル、フィデリティの「FBTC」が2億1,750万ドルを失った。アークの「ARKB」も1億940万ドルの流出だ。
コインデスクはファーサイドの集計として、6月25日以来の大きさだと伝えた。10月の累計は約1億7,600万ドルの流出に戻った(ディクリプト集計)。
次:23日金曜分は本稿の作成時点で未公表だ。週明け26日の朝に出る数字で、週累計が流入のまま残るかを確かめたい。19日の大口流入はこちらの記事で過去と比べた。
2. 価格:ETFの「平均取得単価」を割り込んだ
結論:上値の壁を語る局面は終わった。いまは下の床がどこにあるかが問題だ。
根拠:本誌がコインベースの日足から計算した50日移動平均は8万1,779ドル(22日の終値まで)。米コインテレグラフも8万1,781ドルとしている。分析会社グラスノードは、ETF保有分の平均取得単価を約8万1,500ドルと推計した(19日までのデータ)。現在値は、両方をわずかに下回る。
平均取得単価の下では、ETFの買い手の多くが含み損になる。22日の流出は、価格がこの水準に近づくなかで起きた。週間では、18日(日)の始値8万1,387ドルから-1.0%だ。21日には一時8万4,856ドルまで上げていた。
ビットコインの節目と現在値(ドル)
読み方:青が現在値、橙が本誌の撤退線の目安。現在値は50日線(8万1,779ドル)とETFの平均取得単価の推計(約8万1,500ドル)をわずかに下回る。下には10月15日の安値7万9,676ドル、その下にグラスノードの「真の市場平均」約7万7,600ドルがある。出所:コインベースの日足(本誌計算)、グラスノード(クリプトスレート経由)。現在値は日本時間24日7時57分の取引時間中の値。
次:最初の床は10月15日の安値7万9,676ドル。グラスノードは、8万ドルを終値で割れた場合の次の目安に「真の市場平均」の約7万7,600ドルを挙げる。
3. 借金:レバレッジは戻っていない
結論:22日の強制決済で、借金で買う投資家はいったん退場した。その後、買い戻しは起きていない。
根拠:OKXの無期限先物(BTC-USDT)の資金調達率を見る。日本時間24日午前1時の精算で、8時間あたり0.0069%だった。標準的な水準とされる0.01%を下回る。22日午前9時の精算では、一時マイナスに沈んだ。
建玉も膨らんでいない。OKXの公開データでは、ビットコイン先物の建玉は15日以降、32億〜35億ドル前後にとどまる。デリビットの予想変動率指数(DVOL)は37前後で、静かな水準が続く。
次:燃料が小さいことは、下げが連鎖しにくいことを意味する。一方で、上げを押し上げる買い方の勢いもない。資金調達率が0.01%を大きく超えて建玉が増えれば、再び清算の連鎖に注意したい。
4. イーサ:ビットコインの2倍下げている
結論:暗号資産の弱さは、ビットコインよりイーサリアムに強く出ている。
根拠:コインベースで、イーサは9月22日の終値2,753ドルから24日朝の2,354ドルへ約14.5%下げた。同じ期間のビットコインは約6.6%安だ。イーサ建ての比率(ETH/BTC)は0.0319から0.0292に下がった。50日線の2,551ドルも約7.7%下回る。
ETFの資金も逃げている。米国の現物イーサETFは22日に1億1,060万ドルの流出だった。10月の累計は約11億8,000万ドルの流出だ(ディクリプト集計)。
開発面では、大型更新「グラムステルダム」の試験網への導入が延期された。予定日は26日だったが、コインデスクによると新しい日付は決まっていない。
次:イーサが2,300ドル台を守れるか。15日の安値は2,313ドルだ。比率の構造はこちらの解説にまとめた。
5. 見通し:FOMCまではレンジ、確率は5対3対2
結論:本誌の基本シナリオは、7万9,600〜8万5,000ドルのレンジ継続だ。弱気に30%、強気に20%を置く。期間は11月6日までの2週間とする。
根拠:米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に利上げし、政策金利は3.75〜4.00%だ。9月の米消費者物価指数は前年比3.7%(14日公表)。コインデスクが引いたCMEフェドウォッチでは、来週の利上げ確率は8%だった。年内据え置きは16%で、関心は12月にある(米東部時間22日午前10時25分)。
| シナリオ | 確率 | 想定レンジ | 引き金 |
|---|---|---|---|
| レンジ継続 | 50% | 7.96万〜8.5万ドル | FOMCは据え置き、12月の示唆も控えめ |
| 8万ドル割れ | 30% | 7.6万〜7.96万ドル | ETF流出の継続、12月利上げの強い示唆、ハイテク決算の失望 |
| 上抜け | 20% | 8.5万〜8.73万ドル | ETF流入の再開、PCE物価の鈍化 |
日程は29日に集中する。午前3時にFOMCの声明、早朝にマイクロソフトとアルファベットの決算が出る。21時30分には米7〜9月期GDPと9月のPCE物価指数が続く。
30日早朝にはアマゾン、コインベース、ストラテジーの決算が続く(いずれも日本時間、予定)。同じ30日には日銀の決定と、デリビットのオプション満期(建玉約13.7万BTC)が重なる。
次:撤退線は日足終値で7万9,600ドル。15日の安値を割れれば、レンジ観を捨てて弱気に切り替える。上は終値8万5,000ドル超で強気に寄せる。
中国の6万1,896BTC没収申し立ては公告期間中で、前回の記事以降に新しい動きはない。来週の中銀日程はこちらに並べた。
30秒まとめ
30秒まとめ:ETFの流出で、ビットコインは50日線とETFの平均取得単価を割り込んだ。借金の買いは戻っておらず、下げも上げも加速しにくい。来週はFOMCとハイテク決算が重なる29〜30日まで、7万9,600ドルの終値が分かれ目になる。
主な参照
- ビットコイン・イーサリアムの現在値と日足(ドル建て、UTC基準)/Coinbase、円換算はCoinGecko
- 米現物ビットコインETFの日次・週間フローと銘柄別内訳/The Block
- 6月25日以来の流出規模(ファーサイド集計)/CoinDesk
- 10月累計のビットコイン・イーサETFフロー/Decrypt
- ETFの平均取得単価と真の市場平均(グラスノード推計)/CryptoSlate
- 50日移動平均の水準/Cointelegraph
- 資金調達率と建玉/OKXの公開データ、DVOLとオプション建玉はDeribitの公開データ(本誌集計)
- グラムステルダムの試験網導入の延期/CoinDesk
- FedWatchの利上げ確率(米東部時間22日午前10時25分)/CoinDesk
- FOMCの日程と政策金利/米連邦準備制度理事会、政策金利の推移
- 9月の米消費者物価指数/investingLive
- GDP・PCEの公表日程/米商務省経済分析局、日銀会合の日程は日本銀行
- 米企業の決算予定日/Nasdaq(ザックス・インベストメント・リサーチ提供)
データ基準日:2026年10月24日(日本時間午前7時57分)。ビットコインとイーサリアムは週末も取引が続くため、現在値は取引時間中の値であり、終値ではない。日足の終値は協定世界時(UTC)の0時区切りで、23日分は日本時間24日午前9時に確定する。50日線と1カ月の騰落率は本誌がコインベースの日足から計算した。ETFの平均取得単価は推計であり、コインデスクは8万2,313ドルとする別の推計も伝えている。FedWatchの確率は22日時点の報道によるもので、その後に変わっている可能性がある。オプションの建玉は本誌がデリビットの公開データから集計した。決算日は会社が確定していない予定日を含む。シナリオの確率は本誌の主観である。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産の売買を推奨するものではない。投資判断は各自の責任において行われたい。
















