電子部品大手6社の7〜9月期決算が、10月27日から11月5日にかけて相次ぐ。TDKは10月23日の東京市場で5.61%安の2,624.5円となり、日経平均を78.88円押し下げた。同社の決算翌日の株価変動は、過去12回のうち6回で5%を超えている。
本稿は6社の発表日時、会社計画の進み具合、過去の決算後の値動きを数字で整理する。対象はTDK、村田製作所、日東電工、イビデン、京セラ、太陽誘電。10月23日はこの6社がそろって下落した。
発表日程と10月23日の株価
| 銘柄 | 発表日 | 発表時刻 | 10月23日終値 | 前日比 | 年初来 | 過去1年の高値比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 日東電工(6988) | 10月27日(火) | 引け後(過去5回は16時) | 3,568円 | −3.80% | −4.0% | −12.3% |
| イビデン(4062) | 10月29日(木) | 15時20分(取引時間中) | 8,512円 | −1.00% | — | — |
| TDK(6762) | 10月30日(金) | 引け後の見込み | 2,624.5円 | −5.61% | +18.7% | −36.2% |
| 村田製作所(6981) | 10月30日(金) | 14時(取引時間中) | 6,275円 | −2.44% | +93.3% | −48.8% |
| 京セラ(6971) | 11月2日(月) | 未公表 | 3,457円 | −1.73% | +57.4% | −11.7% |
| 太陽誘電(6976) | 11月5日(木) | 引け後の見込み | 8,364円 | −3.86% | +136.3% | −63.1% |
村田製作所とイビデンは取引時間中に発表する。村田製作所は14時、イビデンは15時20分で、いずれも当日の値動きに反応が出る。東証の取引終了は15時30分である。
会社計画と4〜6月期の進み具合
| 銘柄 | 2027年3月期の会社計画(売上高/営業利益) | 4〜6月期の営業利益 | 通期計画に対する進み具合 | 計画の修正 |
|---|---|---|---|---|
| TDK | 2兆5,800億円/2,950億円 | 863億円 | 29.3% | 4月28日の当初計画のまま |
| 村田製作所 | 2兆1,100億円/4,300億円 | 985億円 | 22.9% | 7月31日に引き上げ |
| 日東電工 | 1兆1,100億円/2,000億円 | 492億円 | 24.6% | 7月28日に引き上げ |
| イビデン | 5,500億円/1,270億円 | 269億円 | 21.2% | 8月4日に引き上げ |
| 京セラ | 2兆800億円/1,600億円 | 491億円 | 30.7% | 7月30日に引き上げ |
| 太陽誘電 | 4,240億円/450億円 | 48億円 | 10.7% | 8月5日に引き上げ |
4〜6月期だけで通期計画の25%を超えたのはTDKと京セラの2社。TDKは計画を据え置いており、7〜9月期決算での修正の有無が焦点になる。太陽誘電は10.7%にとどまる。
各社の焦点
TDKの4〜6月期は、営業利益が前年同期比53%増の863億円だった。AI向けデータセンター需要でHDD用ヘッドとサスペンションが伸び、スマートフォン向けの小型電池も増えた。同社の4〜6月期資料によると、想定為替レートは1ドル159.43円だった。
村田製作所は4〜6月期の受注高が6,739億円と過去最高だった。受注を売上で割ったBBレシオは1.34、積層セラミックコンデンサ(MLCC)単独では1.47。データセンター向けがけん引したとEE Times Japanが報じている。
日東電工は7月28日に計画を引き上げた。データセンターと半導体向けの材料、高価格帯スマートフォン向け材料が伸び、想定為替レートを1ドル153円から158円に見直した。イビデンはAIサーバー向けICパッケージ基板の需要を背景に8月4日に計画を引き上げ、翌5日の株価はプライム市場の値上がり率首位の24.49%高だった。
10月23日の東京市場では、メタ・プラットフォームズなどの決算を受けたAI投資の過剰感への懸念から電子部品株に売りが広がった。株探掲載のフィスコによると、前引け時点の日経平均への寄与度はTDKが102.65円の押し下げで4位、イビデンが70.66円で5位だった。
過去の決算後の値動き
引け後に発表した回は、発表日の終値から翌営業日の終値までの騰落率で測った。取引時間中に発表した回は、発表前日の終値から翌営業日の終値までで測った。村田製作所は2025年7月以降の4回、TDKは2024年11月と2025年1月の2回がこれにあたる。
| 銘柄 | 対象回数 | 平均変動幅(絶対値) | 5%超の回数 | 5%超の頻度 | 上昇の回数 | 直近の反応 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| イビデン | 12 | 11.18% | 10 | 83% | 5 | +24.49%(2026年8月) |
| 太陽誘電 | 12 | 8.99% | 7 | 58% | 6 | −10.98% |
| 村田製作所 | 11 | 7.39% | 8 | 73% | 9 | +11.61%(2026年7月) |
| TDK | 12 | 5.59% | 6 | 50% | 7 | +2.79%(2026年7月) |
| 京セラ | 12 | 5.52% | 6 | 50% | 7 | +3.97% |
| 日東電工 | 11 | 4.28% | 3 | 27% | 4 | +2.99% |
決算翌日の平均変動幅(絶対値、過去11〜12回)
平均変動幅は上昇・下落を問わない値動きの大きさ。イビデンは12回中10回、村田製作所は11回中8回で5%を超えた。出所:Yahoo Financeの日足終値(株式分割調整済み)から本誌集計、2023年10月〜2026年8月の発表分。
イビデンは12回中10回で5%を超えた。上昇は5回、下落は7回。2024年8月2日発表分の−15.47%と、京セラの同時期の−6.72%は、日経平均が12.4%下げた2024年8月5日の急落と重なる。
村田製作所は11回中9回が上昇だった。取引時間中に発表した直近4回はすべて上昇し、2025年10月31日は発表当日に11.91%高、2026年7月31日は15.59%高だった。反応の大半は発表当日に出ている。
TDKの12回の騰落率は古い順に−1.54%、+5.48%、−3.12%、+3.84%、+6.38%、−12.31%、+4.25%、−5.06%、−2.92%、+11.43%、+7.98%、+2.79%。直近4回のうち3回が上昇だった。2026年2月の+11.43%は、日経平均が3.92%上げた日と重なる。
過去の頻度から見た確率
過去の頻度をそのまま確率に置き換えると、決算翌日に5%を超えて動く確率はイビデン83%、村田製作所73%、太陽誘電58%、TDKと京セラ50%、日東電工27%となる。上昇する確率は村田製作所82%、TDKと京セラ58%、太陽誘電50%、イビデン42%、日東電工36%。対象は11〜12回で、統計としての精度は低い。相場全体の急変と重なった回も含む。
今回の6社は、10月23日時点でTDKが過去1年の高値から36.2%安、村田製作所が48.8%安、太陽誘電が63.1%安の水準にある。決算前の下落がどこまで悪材料を織り込んでいるかは、過去の頻度には表れない。
関連の日程
- 10月27日:日東電工
- 10月28日:アドバンテスト、日本航空電子工業(株探の予定日)
- 10月29日:イビデン(15時20分)、ルネサスエレクトロニクス、キーエンス(株探の予定日)
- 10月29日3時:米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表
- 10月30日:TDK、村田製作所(14時)、東京エレクトロン、キオクシアHD、レーザーテック(株探の予定日)、日銀の金融政策決定会合の結果
- 11月2日:京セラ
- 11月5日:太陽誘電、ローム(株探の予定日)
半導体関連の決算の過去の値動きは半導体株決算プレビュー、キオクシアとアドバンテストはこちらで扱った。10月23日の東京市場の寄与度は東京市場の番付にある。
主な参照
- 決算発表日・業績計画・四半期業績/株探(TDK)、株探(村田製作所)、株探(日東電工)
- IRカレンダー/村田製作所、イビデン、京セラ
- TDKの2027年3月期4〜6月期決算資料/TDK
- 村田製作所の受注高とBBレシオ/EE Times Japan
- 日東電工の計画引き上げ/松井証券
- 10月23日の寄与度/株探(フィスコ)、株探
- 株価の日足/Yahoo Finance
データ基準日:株価は2026年10月23日の東京市場の終値。発表日時は会社都合で変わる場合がある。TDK、日東電工、太陽誘電の発表日は株探の予定日で、各社のIRページでは確認できていない。TDKと太陽誘電の発表時刻は過去の発表時刻からの見込み。2024年11月より前の発表について、取引時間中か引け後かは一部確認できておらず、引け後として計算した。過去の値動きと確率は本誌の集計で、将来の値動きを保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。













