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豪ドル見通し:RBA前夜の0.70ドル、利上げ81%織り込み

バヒティヨル マダジモフ バヒティヨル マダジモフ
2026年11月2日
FX, オピニオン, テクニカル, 経済
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豪ドル米ドルは11月2日、日本時間23時15分の時点で0.7007ドル前後と、0.70ドルの節目の上に何とか踏みとどまっている。オーストラリア準備銀行(RBA)の政策決定は3日の日本時間12時30分だ。先物市場が織り込む利上げ確率は81%で、ほぼ全員が同じ方向に賭けている。筆者の見立ては「利上げそのものでは上がらない、上がるかどうかは声明の次の一言で決まる」である。

0.7007ドル
豪ドル米ドル(11月2日23時15分、日本時間)
81%
11月の利上げ確率(ASX金利先物)
4.3%
豪消費者物価(9月までの1年)
4.7%
豪失業率(9月、前月比+0.1ポイント)

月曜のテープ:原油安の日に、豪ドルは静かだった

週明けのテープは拍子抜けするほど静かだった。この日の値幅は0.7003〜0.7036ドルで、わずか33ポイントしかない。米国とイランの協議への期待でWTI原油の先物は一時97ドル台まで売られ、前週末比で6%を超える下げになった。資源国通貨の豪ドルにとっては逆風のはずだが、下げは0.3%足らずにとどまった。原油で投げる向きは少なく、皆がRBAの結果を待っているテープだ。

先週の高値は0.7068ドル近辺で、10月28日に発表された7〜9月期の消費者物価が上振れした後の買いで付けた水準だ。そこから2営業日で60ポイントあまり押した。上値で買った短期筋の一部は、決定前に手じまいを済ませたとみている。逆に言えば、利上げを確信して積み上がっていた買い持ちは、先週ほど重くない。

需給:利上げ8割織り込みの重さ

RBAの政策金利は現在4.60%だ。2026年は2月、3月、5月、9月と4回引き上げており、3日に0.25%上げれば年5回目、水準は4.85%になる。ASXの30日物銀行間金利先物から計算した利上げ確率は81%、据え置きは19%で、利下げは0%だ(シドニー時間3日0時50分の更新)。先物が示す会合後の金利は4.80%で、4.85%までは届いていない。この「残り5ベーシスポイント」が、利上げで豪ドルを買える余地のほぼすべてになる。

相場格言に「噂で買って事実で売れ」がある。今回はまさにその形だ。オーストラリア連邦銀行(CBA)、ANZ、ウエストパックの大手3行はそろって11月の利上げを予想している。織り込みが8割を超えると、利上げは「上がる材料」ではなく「据え置きなら下がる材料」に性格を変える。つまり上下の値幅は非対称で、据え置きのほうが動きは大きい。

材料数字豪ドルへの向き出所・時点
政策金利4.60%(9月30日に0.25%引き上げ)—RBA
11月の利上げ確率81%(据え置き19%)織り込み済みASX金利先物(シドニー時間3日0時50分)
消費者物価(9月までの1年)4.3%上豪統計局(10月28日)
トリム平均(基調インフレ)3.6%上豪統計局(10月28日)
失業率(9月)4.7%(前月比+0.1ポイント)下豪統計局(10月15日)
就業者数(9月)3万9,300人減下豪統計局(10月15日)
出所:オーストラリア準備銀行、ASX(RBAウォッチの集計経由)、オーストラリア統計局。向きの判定は筆者による。

表を見れば、RBAが置かれた立場がわかる。物価は前年比4.3%、基調を示すトリム平均でも3.6%と、目標の2〜3%を上回っている。一方で失業率は4.7%に上がり、9月の就業者は3万9,300人減った。物価は利上げを、雇用は様子見を求めている。だから声明の重みは「上げるか」より「次も上げるか」にかかる。ANZは、12月か2月に政策金利が5.10%まで上がる「無視できないリスク」があるとみている。一方でCBAは、11月の利上げを「保険」と位置づけ、12月と2月は据え置きを予想する。

水準の地図:0.6994ドルと0.7068ドルの間

豪ドル米ドルの水準の地図(11月2日時点)

0.71209月下旬に崩れた起点・中期目標0.7068先週の高値(上値の壁)0.706650日移動平均0.7033100日移動平均0.7007現在値(23時15分)0.699420日移動平均0.6950損切りライン(終値ベース)0.689510月中旬の安値

読み方:現在値は20日線と100日線の間にある。上は先週の高値0.7068ドルと50日線0.7066ドルが重なる壁、下は0.6950ドルを終値で割ると10月中旬の安値0.6895ドルまで支えが薄い。出所:ヤフー・ファイナンスの日足から本誌計算。現在値は取引時間中の気配値。

チャートで見ると、いまの値段は二つの移動平均に挟まれている。下の20日線が0.6994ドル、上の100日線が0.7033ドルだ。その上には50日線の0.7066ドルと先週の高値0.7068ドルがほぼ重なって控える。ここが最初の本格的な上値の壁になる。下は10月中旬の安値0.6895ドルまで目立った支えがない。途中の0.6950ドルは、10月前半に何度か下げ止まった水準だ。

9月30日の利上げのときを思い出したい。利上げの発表後も豪ドルは上がらず、10月半ばの0.6895ドルまで押した。前回の利上げは、豪ドルの下げを止められなかったのである。値動きが「利上げ=豪ドル高」の教科書どおりにならないことは、すでに一度示されている。

筆者の見立て:利上げでも上値は0.7070ドルまで、押し目は買い

結論から言う。筆者は短期でやや強気だ。0.70ドル割れの押し目は買い、利食いの目標は0.7065〜0.7070ドルとみる。根拠は三つある。

  1. 物価の数字が強すぎる。前年比4.3%の物価を前に、RBAが「利上げはこれで最後」と明言するのは難しい。12月の追加利上げの可能性を残す言い回しになりやすい。
  2. 買い持ちが軽くなっている。先週の高値から60ポイントあまり押したことで、決定前の手じまいはかなり進んだ。事実で売られる量は、先週末よりは少ない。
  3. 米ドル側にも重しがある。米10年債利回りは2日に4.90%台へ下がり、前週の5%台から水準を切り下げている。原油安が米国の物価懸念を和らげれば、米ドル買いは鈍る。

シナリオごとの確率と値幅は次のとおりだ。確率の土台には先物の81%を使い、利上げの中身を筆者が二つに分けた。

シナリオ確率(筆者)声明の中身1〜2日の値幅の目安
利上げ+追加に含み35%物価の見通しを引き上げ、12月の追加を排除しない0.7065〜0.7100ドル
利上げ+様子見を示唆45%雇用の弱さに触れ、当面は効果を見極めると表明上ヒゲの後、0.6980〜0.7040ドル
据え置き20%雇用悪化を理由に見送り0.6950ドル、さらに0.6895ドル
確率と値幅は筆者の見立てで、先物の利上げ確率81%(据え置き19%)を土台にした。将来の値動きを保証するものではない。

2〜4週間の中期で見ると、0.6950ドルを守るかぎり、12月8日の次回会合に向けて0.7120ドルを試す流れを本線に置く。0.7120ドルは9月下旬に崩れた起点で、戻り売りが待ち構える水準だ。そこを抜けるには、12月会合での追加利上げの観測が必要になる。

逆になったら:損切りは0.6950ドルの終値割れ

見立てが外れる形ははっきりしている。据え置き、または利上げでも「今回で打ち止め」と読める声明が出て、日足の終値で0.6950ドルを割り込んだときだ。その場合、筆者は強気を撤回する。下は10月中旬の安値0.6895ドルが次の目安で、ここを割れば6月の安値圏0.6866ドルまで支えらしい支えがない。0.6950ドルを割って買い向かうのは、落ちてくるナイフをつかむ行為だ。

もう一つの外れ方は、米国側から来る。3日の米中間選挙の投票、6日の10月雇用統計で米金利が急上昇すれば、RBAの結果がどうであれ豪ドルは押される。米国の発表はニューヨーク時間で出るため、日本時間への置き換えを間違えやすい。米国の夏時間は11月1日に終わり、日本との時差は14時間に広がった。発表時刻を自分の住む地域の時間に直すときは、タイムゾーン変換ツールで確かめておくと取り違えがない。

明日の監視リスト

日本時間イベント見るところ
3日 0時米10月ISM製造業景気指数価格指数が強ければ米ドル買い
3日 12時30分RBA政策決定・金融政策報告政策金利と、物価見通しの引き上げ幅
3日 午後ブロック総裁の会見12月の追加利上げを否定するかどうか
3日(米国時間)米中間選挙の投票開票の流れと米金利の反応
6日 22時30分米10月雇用統計米金利と米ドルの方向
出所:オーストラリア準備銀行の公表予定、各種報道。東京市場は3日が文化の日で休場となる。

先物が8割で利上げを織り込む局面で、利上げを当てても値幅は取れない。勝負は声明の一言と、0.6950ドルを守れるかどうかだ。筆者は0.70ドル割れを拾い、0.7065ドル近辺で降りる。前回の豪ドルの見立ては10月31日の記事に、物価統計の読み方は10月28日の記事にまとめた。為替の基本はFX解説ページで確認できる。

主な参照

  • 政策金利の推移(2026年9月30日に4.60%)/オーストラリア準備銀行
  • 11月3日の公表予定(14時30分、金融政策報告)/オーストラリア準備銀行
  • 消費者物価(9月までの1年で4.3%、トリム平均3.6%、10月28日公表)/オーストラリア統計局
  • 労働力調査(9月の失業率4.7%、就業者3万9,300人減、10月15日公表)/オーストラリア統計局
  • ASX金利先物にもとづく利上げ確率(81%)/RBAウォッチ
  • 大手3行の予想、ANZの5.10%リスク/インベスティング・ドットコム(ヤフー・ファイナンス豪州版)、インベスティングライブ
  • 豪ドル米ドル、原油、米10年債利回りの気配値と日足/ヤフー・ファイナンス

データ基準日:2026年11月2日。豪ドル米ドル、WTI原油、米10年債利回りは同日の日本時間23時前後の取引時間中の気配値で、終値ではない。移動平均と過去の高値・安値は、ヤフー・ファイナンスの日足終値・高値・安値から本誌が計算した。利上げ確率はシドニー時間3日0時50分時点の集計で、その後変わりうる。シナリオの確率と値幅、損切りの水準は筆者の見立てである。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の通貨の売買を推奨するものではない。外国為替証拠金取引は元本を上回る損失が出る可能性がある。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。

Tags: FX見通しRBAオーストラリアオーストラリア準備銀行為替見通し金利金融政策
バヒティヨル マダジモフ

バヒティヨル マダジモフ

投資銀行で5年、リテール証券会社で3年の実務経験を積んだのち、現在もFX・株式・オプションなど幅広い市場で実際にトレードを行っている。FX取引歴は10年以上、株式投資・トレード歴は4年以上におよび、オプションをはじめとする複雑な金融商品の実取引経験も豊富。株式・株式オプション・FX・暗号資産において自己のポジションを保有している。 こうした実務とマーケットでの経験をもとに、金融市場・暗号資産・FX・経済指標について、信頼性・正確性・迅速性の高い情報を届けることを目的としている。記事の内容は特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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