10月29日、米国株の寄り付き1時間の番付を発表する。東の横綱はクロックス、決算と3度目の見通し引き上げで米東部時間10時29分に22.48%高。西の序二段に落ちたのはサービスナウ、決算後の見通しが嫌われて24.22%安だった。そして土俵全体を傾けたのはアルファベットの12.10%安である。
指数は負け越し。10時29分時点で、S&P500に連動するETF(SPY)は前日比0.44%安、ナスダック100連動のQQQは1.37%安、ダウ平均連動のDIAは0.42%安だった。一方で小型株のラッセル2000連動ETF(IWM)は1.03%高と、大型ハイテク株と逆を向いた。決算を出した大型株が両端で2桁動き、その下で中小型株が静かに買われた1時間である。
寄り付き1時間の騰落率(10月29日 米東部10時29分、前日終値比)
読み方:決算や買収のニュースが出た個別株が両端に並び、指数連動ETFは中央の小さな動きにとどまる。小型株のIWMだけがプラス圏にいる。出所:stockanalysis.com(取引時間中の値、終値ではない)。
番付表——寄り付き1時間の勝敗
| 番付 | 銘柄 | 10時29分の値 | 前日終値比 | 材料 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | クロックス(CROX) | 146.60ドル | +22.48% | 7〜9月期決算、通期見通しを引き上げ | ◎ |
| 西の横綱 | イーライリリー(LLY) | 1,380.95ドル | +7.19% | 通期売上高見通しを3度目の引き上げ | ◎ |
| 東の大関 | KLA(KLAC) | 170.13ドル | +7.16% | 10〜12月期の売上高見通し | ◎ |
| 西の大関 | ドアダッシュ(DASH) | 180.14ドル | +6.28% | インスタカートを170億ドルで買収 | ○ |
| 東の関脇 | メルク(MRK) | 147.60ドル | +4.73% | 7〜9月期決算 | ○ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 東の幕下 | キャタピラー(CAT) | 660.37ドル | −7.43% | 決算、通年の伸びの見通しは据え置きと報道 | × |
| 西の幕下 | アルファベット(GOOGL) | 285.58ドル | −12.10% | 前夜の決算 | × |
| 東の三段目 | マーベル(MRVL) | 219.94ドル | −12.60% | ルメンタム買収の協議報道 | × |
| 西の三段目 | スプラウツ(SFM) | 49.61ドル | −19.99% | 利益見通しの引き下げと報道 | × |
| 東の序二段 | フォーティネット(FTNT) | 138.68ドル | −20.34% | サービス収入見通しの下方修正 | × |
| 西の序二段 | サービスナウ(NOW) | 113.77ドル | −24.22% | cRPOの伸びの見通しが予想を下回る | × |
東の横綱・クロックス——◎
22.48%高の146.60ドル。日中高値は150.68ドルまであった。寄り付き前に発表した7〜9月期決算は、売上高が前年同期比4.6%増の10億4,300万ドル、調整後1株利益が3.69ドルで前年の2.92ドルから26.4%増えた。2022年に買収した靴ブランド「HEYDUDE」の売上高は6.1%増の1億7,000万ドルで、会社は「成長への回帰」と表現している。
決め手は通期見通しだ。売上高の伸びを1〜2%から約3%へ、調整後1株利益を13.70〜14.00ドルから14.45〜14.65ドルへ引き上げた。7月の決算では7〜9月期の見通しが弱いとして売られたと報じられており、その分を一気に取り返した形である。判定は◎。上昇率は、本誌が値を集めた主要90銘柄の中で首位だった。
西の横綱・イーライリリー——◎
7.19%高の1,380.95ドル。日中高値1,408.38ドルで、過去1年の高値を更新した。売上高は39%増の244億ドル、通期の売上高見通しを850億〜870億ドルから910億〜920億ドルへ引き上げた。今年3度目である。数量が53%増え、販売価格は15%下がった。値下げを数量で押し切る決算だった。水準と撤退線は別の記事で整理した。
殊勲賞・KLA——前評判を覆した
半導体製造装置のKLAは7.16%高の170.13ドル。前夜発表の7〜9月期(会社の2027年度第1四半期)は売上高41億4,000万ドルで、会社計画の中央値40億ドルを上回った。10〜12月期の売上高見通しは47億ドル(上下2億ドル)、非GAAPの1株利益は1.44ドル(上下0.11ドル)。前四半期から売上高が約14%伸びる計画である。
本誌は28日の決算前の記事で、過去12回の決算翌日のうち8回は下落したと書いた。今回はその少数派に入った。半導体株ETF(SMH)が1.21%安の日に逆行高を取ったことも含め、殊勲賞とする。
西の大関・ドアダッシュ——○
買収する側が買われた珍しい一番だ。ドアダッシュは29日、食料品配達のインスタカート(運営会社メープルベア、CART)を1株65ドル、総額約170億ドルで買収すると発表した。買収の観測が出る前の10月22日の終値に対して26%上乗せした価格で、少なくとも75%を現金で払う。完了は2027年末か2028年前半を見込む。
ドアダッシュは6.28%高の180.14ドル。一方、インスタカートは0.89%安の57.90ドルで、買収価格65ドルを約11%下回る。この差は、市場が独占禁止法の審査を含む完了までの道のりの長さと不確かさを値引きしていることを示す。判定は○。買収の成否はまだ土俵の外にある。
西の序二段・サービスナウ、東の序二段・フォーティネット——×
サービスナウは24.22%安の113.77ドル、フォーティネットは20.34%安の138.68ドル。どちらも今期の数字は会社計画を上回ったが、サービスナウは10〜12月期のcRPO(今後12カ月で売上になる契約残高)の伸びを18.5%と示し、フォーティネットは通期のサービス収入見通しを下げた。ソフトウェア株ETF(IGV)は3.61%安と、10時前の2.86%安から下げを広げている。経緯はこちらの記事にまとめた。判定は×。
西の幕下・アルファベット——×
12.10%安の285.58ドル。前夜の時間外取引では9.60%安の293.70ドルだったから、寄り付き後にさらに売り込まれた。クラウド部門の売上高は前年同期比103%増と倍増したが、設備投資と現金の流出、市場予想との差が嫌われた。米ヤフー・ファイナンスは、上場来で最悪の1日になる勢いだと伝えている。時価総額の大きさゆえ、この1銘柄がQQQの1.37%安の主因になった。詳しくは前夜の決算番付で扱っている。判定は×。
土俵際の逆転負け・マイクロソフト——△
前夜の東の横綱が、一晩で星を落とした。マイクロソフトは前夜の時間外で2.80%高の545.88ドルまで買われたが、29日は540.22ドルで寄った後に売られ、10時29分は0.92%安の526.11ドル。決算そのものは売上高19%増の923億ドル、クラウド「Azure」は48%増と強かった。決算の中身ではなく、アルファベットに始まった大型ハイテク売りに巻き込まれた形だ。判定は△。決算で勝ち、相場で負けた。
幕下の3番——キャタピラー、マーベル、スプラウツ
キャタピラーは7.43%安の660.37ドル。7〜9月期の売上高は17%増の207億ドル、調整後1株利益は7.20ドルと伸びたが、通年の売上高の伸びを「10%台半ばから後半」に据え置いたと報じられており、データセンター向け電源の期待で上げてきた分がはがれた。マーベルは12.60%安。光通信部品のルメンタムの買収を詰めているとブルームバーグが28日に報じ、資金調達と1株利益の希薄化が警戒されている。会社は買収を発表していない。食品スーパーのスプラウツ・ファーマーズ・マーケットは19.99%安で、利益見通しを引き下げ、値下げに踏み切ると報じられた。
場外——債券買い、貴金属売り
8時30分の米7〜9月期GDP速報値は年率3.4%増、9月のPCE物価指数は前年比3.6%上昇と、どちらも強い数字だった(詳細はこちら)。それでも債券は買われ、米長期国債ETF(TLT)は10時29分に0.57%高。株安を受けた逃避の買いとみられる。金ETF(GLD)は1.13%安、銀ETF(SLV)は3.33%安、原油ETF(USO)は0.95%安、ビットコイン現物ETF(IBIT)は1.47%安だった。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 10月30日 早朝(米29日引け後) | アップル決算 | 10時29分は1.75%高。想定変動3.6% |
| 10月30日 早朝(米29日引け後) | アマゾン決算 | 10時29分は3.02%安で決算を迎える。想定変動7.4% |
| 10月30日 正午前後 | 日銀の金融政策決定会合の結果 | ドル円と東京の値がさハイテク株 |
| 10月30日 東京市場 | アルファベット安の波及 | 東京のAI・半導体株が米大型ハイテク売りをどこまで引き継ぐか |
主な参照
- 株価・ETFの値(10月29日 米東部時間10時29〜30分)/stockanalysis.com
- クロックスの7〜9月期決算と通期見通し/クロックス投資家向け発表
- イーライリリーの7〜9月期決算/米証券取引委員会への提出書類
- KLAの決算と見通し/米証券取引委員会への提出書類
- ドアダッシュによるインスタカート買収/ドアダッシュ投資家向け発表
- キャタピラーの7〜9月期決算/米証券取引委員会への提出書類、見通し据え置きの報道/Chartmill
- マイクロソフトの決算/マイクロソフト投資家向け情報
- マーベルとルメンタムの協議報道/Yahoo Finance(ブルームバーグの報道を引用)
- アルファベットの値動き、スプラウツの見通し引き下げ/Yahoo Finance
データ基準日:2026年10月29日 米東部時間10時29〜30分(日本時間23時29〜30分)。株価とETFの値はすべて取引時間中の値であり、終値ではない。前日の値は終値、前夜の時間外の値は本誌の前夜の記事による。ETFの値動きは連動先の指数と一致しない場合がある。キャタピラーの見通し、マーベルの買収協議、スプラウツの見通し引き下げ、アルファベットの「上場来最悪」の勢いは報道にもとづくもので、本誌は一次資料で確認できていない。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














