米商務省経済分析局(BEA)は10月29日、2026年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)速報値が前期比年率3.4%増だったと発表した。4〜6月期の2.2%増から伸びが加速した。同時に発表された9月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比3.6%上昇で、8月の3.4%から伸びを高めた。
市場予想は、ダウ・ジョーンズ集計で3.1%、別の集計で3.2%と報じられている。いずれの予想も上回った。同日に米労働省が発表した新規失業保険申請件数(10月24日終了週)は19万4,000件で、前週から1,000件減った。
主要指標(10月29日 米東部8時30分発表)
| 指標 | 今回 | 前回 | 単位・期間 |
|---|---|---|---|
| 実質GDP | +3.4% | +2.2% | 前期比年率、7〜9月期速報値(前回は4〜6月期確報値) |
| 名目GDP | +5.6% | — | 前期比年率、7〜9月期 |
| 国内民間最終需要(実質) | +4.9% | +4.6% | 前期比年率。個人消費と民間固定投資の合計 |
| PCE物価指数(四半期) | +2.1% | +5.0% | 前期比年率、7〜9月期 |
| コアPCE物価指数(四半期) | +2.5% | +3.3% | 前期比年率、食品・エネルギー除く |
| 国内総購入価格指数 | +3.0% | — | 前期比年率、7〜9月期 |
| PCE物価指数(9月) | +3.6% | +3.4% | 前年同月比(前回は8月、9月30日発表時点) |
| PCE物価指数(9月) | +0.5% | +0.3% | 前月比 |
| コアPCE物価指数(9月) | +3.1% | +3.0% | 前年同月比 |
| コアPCE物価指数(9月) | +0.3% | +0.2% | 前月比 |
| 個人所得(9月) | +0.2% | — | 前月比(545億ドル増) |
| 個人支出(9月) | 1,130億ドル増 | — | 前月比、名目 |
| 貯蓄率(9月) | 3.8% | 4.1% | 可処分所得比 |
| 新規失業保険申請 | 19万4,000件 | 19万5,000件 | 10月24日終了週、季節調整済み(前回は改定値) |
| 同4週移動平均 | 19万6,750件 | 19万8,000件 | 季節調整済み |
| 失業保険継続受給者数 | 170万1,000人 | 172万2,000人 | 10月17日終了週、季節調整済み |
PCE物価指数:四半期と月次(%)
読み方:四半期の年率は5.0%から2.1%へ鈍化した。前年同月比は8月から9月にかけて総合、コアとも上昇した。出所:米商務省経済分析局。
成長の中身
BEAによると、7〜9月期の成長は投資、個人消費、政府支出の増加によるもので、輸出の減少が一部を相殺した。輸入は増加した。投資の増加は在庫と設備が主導し、設備投資は情報処理機器が中心だった。個人消費はサービスと財の両方で増えた。政府支出の増加は連邦政府支出によるものだった。
各部門の伸び率は、BEAの発表文の要約には示されていない。報道によると、企業の設備投資は年率12.7%増、個人消費は3.8%増だった。人工知能(AI)関連のデータセンター投資が設備投資を押し上げたと伝えられている。在庫、貿易、政府支出を除いた国内民間最終需要は4.9%増で、4〜6月期の4.6%増から伸びを高めた。
物価:四半期は鈍化、月次は加速
四半期のPCE物価指数は年率2.1%上昇で、4〜6月期の5.0%から鈍化した。一方、9月単月のPCE物価指数は前月比0.5%上昇、前年同月比3.6%上昇だった。前月比0.5%は8月の0.3%を上回る。食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.3%、前年同月比3.1%だった。
四半期の平均と9月単月とで、数字の向きが異なる。前年同月比は8月の3.4%から9月の3.6%へ上昇した。コア指数も3.0%から3.1%へ上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)が物価目標とするPCE物価指数の2%に対し、9月時点の総合指数は1.6ポイント上にある。
前日のFRB声明
指標は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定の翌日に発表された。FRBは10月28日、政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標を3.75〜4.00%に据え置いた。声明は採決を10対2とした。
「金融政策の決定に反対票を投じたのはリサ・D・クックとベス・M・ハマックで、両氏はこの会合でフェデラルファンド金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げることを支持した」(FRBの声明、10月28日、本誌訳)
今回のGDPとPCEの数字は、いずれも据え置きの決定後に出た。FOMC後の市場の動きはドル円とビットコインの記事で扱った。
市場の反応(米東部10時09分時点)
債券は買われた。米長期国債ETF(TLT)は前日終値比0.41%高の81.33ドル、中期国債ETF(IEF)は0.32%高、短期国債ETF(SHY)は0.12%高だった。債券ETFの上昇は利回りの低下を意味する。ドル指数に連動するETF(UUP)は0.14%高、円に連動するETF(FXY)は0.07%高(9時52分時点)だった。ユーロに連動するETF(FXE)は0.27%安(9時50分時点)で、欧州中央銀行(ECB)が同日に政策金利を据え置いた後の値である。
株式では、S&P500連動ETF(SPY)が10時前後に0.5%前後の下落、ナスダック100連動ETF(QQQ)が1.5%前後の下落だった。小型株のラッセル2000連動ETF(IWM)は1.0%前後上昇した。金ETF(GLD)は1.35%安、銀ETF(SLV)は3.91%安、原油ETF(USO)は0.81%安だった。株式の個別の動きはソフトウェア株の記事にまとめた。
今後の日程
- 10月29日(米国時間)引け後:アップル、アマゾンが決算発表
- 10月30日 正午前後(日本時間):日本銀行が金融政策決定会合の結果と展望レポートを公表
- 11月4日:BEAが9月の貿易統計を発表
- 11月25日 8時30分(米東部):BEAがGDP改定値(7〜9月期)と10月の個人所得・個人支出を発表
主な参照
- GDP速報値(2026年7〜9月期)/米商務省経済分析局(2026年10月29日 8時30分)
- 9月の個人所得・個人支出/米商務省経済分析局(2026年10月29日)、8月分/同(2026年9月30日)
- 新規失業保険申請件数/米労働省(2026年10月29日)
- FOMC声明(10月28日)/米連邦準備制度理事会
- 市場予想、設備投資と個人消費の伸び率/Yahoo Finance、Benzinga
- ETFの値/stockanalysis.com
- 発表日程/米商務省経済分析局
データ基準日:2026年10月29日。経済指標は米政府の発表値で、GDPは速報値のため今後改定される。8月のPCE物価指数は9月30日発表時点の値で、今回の発表で改定されている場合がある。市場予想、部門別の伸び率は報道にもとづく。市場の反応はETFの取引時間中の値(米東部10時09分前後、一部は9時50分台)で、終値ではない。ETFの値動きは指数や為替相場、利回りの動きと一致しない場合がある。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















