30日の東京市場は、米インテルの急落を抱えたまま、半導体の決算日を迎える。インテルは29日の米国時間外取引で21.7%安となった。7〜9月期は増収だったが、10〜12月期の見通しが売上も利益率も下がる内容だった。同じ30日には東京エレクトロン、キオクシアホールディングス、SCREENホールディングス、レーザーテックが決算を発表する予定で、日銀の金融政策決定会合の結果も出る。
朝の段階で押さえるべき点を5つにまとめた。数値はすべて時刻と出所を付けている。
- インテル21.7%安:時間外で72.05ドル。10〜12月期の売上見通しは150億〜160億ドルで、7〜9月期の165億ドルを下回る。
- アマゾン6.6%安:時間外で227.70ドル。AWSは39%増だが、直近12カ月のフリーキャッシュフローは424億ドルの流出だった。
- イビデン:インテル向けが主力だった基板メーカー。29日夜のPTSは自社決算を受けて3.5%安で、インテルの発表はまだ織り込んでいない。
- 東京エレクトロンとキオクシア:30日が決算日。米半導体株のETFは時間外で3.7%安と、地合いは逆風だ。
- 日銀:30日に会合の結果と展望レポートが出る。円相場が動けば、輸出株の評価も同時に変わる。
29日の米国時間外取引、終値比(%)
読み方:29日の通常取引の終値と比べた時間外取引の値の騰落率。値は米東部時間17時02分〜18時34分(日本時間30日6時02分〜7時34分)の取引時間中の値で、終値ではない。インテル、アマゾン、ツイリオ、レディット、ロブロックスは29日の大引け後に決算を発表した。出所:stockanalysis.com。
要点1:インテルは見通しで売られた
結論:売られたのは過去の数字ではなく、次の四半期の見通しだ。インテルの29日終値は92.07ドルで、時間外では米東部時間18時34分(日本時間30日7時34分)に72.05ドルまで下げた。
根拠:7〜9月期の売上高は前年同期比21%増の165億ドルだった。会社の事前見通し158億〜168億ドルの範囲内である。だが10〜12月期の売上見通しは150億〜160億ドルで、中央値でも7〜9月期を約6%下回る。調整後の売上総利益率は44.1%から38.0%へ下がる見通しで、調整後の1株利益も0.52ドルから0.25ドルへ半減する。
部門別では、データセンターとAI部門が78%増の73億ドルと強かった。一方でパソコン向けの部門は5%減の81億ドルだった。デビッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)は、パソコンの減速が少なくとも来年前半まで続くとの見方を示した。
次:30日の米国の通常取引で、時間外の下げ幅がどこまで残るかを見る。
要点2:アマゾンはAWSより現金の流出
結論:クラウドは加速したが、市場は設備投資による現金の流出を重く見た。アマゾンの29日終値は243.79ドル(4.25%安)で、時間外では米東部時間18時31分に227.70ドルと、さらに6.6%下げた。
根拠:7〜9月期の売上高は12%増の2,019億ドル、AWSの売上高は39%増の460億ドルだった。営業利益は281億ドルで、会社の事前見通しの上限265億ドルを上回った。一方、1株利益は1.89ドルで、前年同期の1.95ドルを下回った。直近12カ月のフリーキャッシュフローは424億ドルの流出で、会社は2026年の現金ベースの設備投資を約2,200億ドルと見込む。
10〜12月期の売上見通しは2,400億〜2,470億ドル、営業利益は285億〜335億ドルとした。発表前の論点はアマゾン決算、想定変動7.4%|過去12回で5回超えで整理した。時間外の6.6%安は、オプション市場が織り込んでいた7.4%の範囲内に収まっている。
次:2,200億ドルの投資計画は、AIサーバーや半導体の発注側の数字でもある。東京の関連株には、売上の追い風として読める材料だ。
要点3:イビデンは二重の重し
結論:インテル急落の連想が最も直接に届く東京の銘柄はイビデンだ。ただし依存度は以前より下がっている。
根拠:東洋経済の2025年12月の記事によると、イビデンは数年前まで売上高の7割以上がインテル向けだった。足元ではエヌビディア向けが過半を占めるという。29日終値は9,859円で、29日夜のPTSは0時31分時点で9,510円(3.54%安)だった。この値は29日15時の自社決算への反応で、30日5時台のインテルの発表より前のものだ。
イビデンの決算と株価の初動はイビデン上方修正、発表1分後に安値9,236円で詳しく扱った。29日の安値9,236円が、まず意識される水準になる。
次:寄り付きで9,236円を割り込むかどうか。割れれば、決算とインテルの二つの売り材料が重なったと読める。
要点4:東エレクとキオクシアは決算当日
結論:半導体株は、米国発の逆風と自社決算を同じ日に受ける。値動きが荒くなりやすい日だ。
根拠:米国の半導体株ETF(iシェアーズ半導体ETF、SOXX)は29日に1.55%安の513.86ドルで引けた。時間外では米東部時間17時02分に495ドルと、終値比3.67%安まで下げた。キオクシアのPTSは30日5時12分時点で1万4,105円(2.76%安)だった。米サンディスクは29日に5.32%安で、時間外でも3.54%安と下げが続いた。
| 銘柄 | 29日終値 | PTS(時刻) | 30日の材料 | 米国の決算との接点 |
|---|---|---|---|---|
| イビデン(4062) | 9,859円 | 9,510円(0:31) | 29日の自社決算への反応が続く | インテル向け基板。数年前は売上の7割超 |
| 東京エレクトロン(8035) | 10,035円 | 10,144円(0:09) | 決算発表予定日 | 半導体の設備投資全般 |
| キオクシアHD(285A) | 14,505円 | 14,105円(5:12) | 決算発表予定日 | メモリー。米サンディスクは29日に5.32%安 |
| SCREEN HD(7735) | 12,075円 | 12,200円(23:37) | 決算発表予定日 | 洗浄装置。半導体の設備投資全般 |
| レーザーテック(6920) | 41,340円 | 41,700円(23:49) | 決算発表予定日 | 先端半導体向けの検査装置 |
| アドバンテスト(6857) | 37,030円 | 37,100円(1:00) | 決算は28日に発表済み | AI半導体向けのテスター |
次:東京エレクトロンは中国向け売上の比率と、来期の装置需要の見方が焦点だ。キオクシアはメモリー価格の上昇がどこまで続くかを、会社がどう説明するかが焦点になる。
要点5:日銀の結果が地合いを左右する
結論:個別の決算の前に、昼の日銀発表で相場全体の向きが変わりうる。日銀の金融政策決定会合は29〜30日に開かれ、30日に結果と展望レポートが公表される。
根拠:円相場は30日7時40分時点で1ドル=157円71銭前後だった(Yahoo!ファイナンス)。利上げの見送りでも、追加利上げを示唆する内容なら円高に振れやすい。円高は輸出株の利益見通しを押し下げる方向に働く。半導体装置株は輸出比率が高く、この影響を受けやすい。
次:日銀の結果と円相場の初動は、別稿で詳しく追う。29日の東京市場の振り返りは日経平均705円高、アドテスト1銘柄で453円にまとめた。
30秒まとめ。インテルは次の四半期の売上と利益率がともに下がる見通しで、時間外で2割超下げた。東京ではイビデンへの連想が最も直接的だが、同社の顧客の中心はすでにエヌビディアに移っている。30日は東京エレクトロンとキオクシアの決算、そして日銀の結果が重なる日である。
主な参照
- インテルの2026年7〜9月期決算と10〜12月期見通し/インテルの決算発表(米証券取引委員会への提出書類、2026年10月29日)
- アマゾンの2026年7〜9月期決算と10〜12月期見通し/アマゾンの決算発表(米証券取引委員会への提出書類、2026年10月29日)
- 米国株の終値と時間外の値(インテル、アマゾン、ツイリオ、レディット、ロブロックス、サンディスク、SOXX)/stockanalysis.com(各銘柄ページ、2026年10月29日)
- イビデンの顧客構成/東洋経済オンライン(2025年12月17日)
- 東京の個別株の終値、PTSの値、決算発表予定日、ドル円/Yahoo!ファイナンス(各銘柄ページ、2026年10月30日7時40分ごろ確認)
- 日銀の金融政策決定会合の日程/日本銀行
データ基準日:米国株は2026年10月29日の終値と、同日米東部時間17時02分〜18時34分(日本時間30日6時02分〜7時34分)の時間外取引の値。東京の株価は10月29日の終値と、表に示した時刻のPTSの値。時間外とPTSの値は取引時間中の値で終値ではなく、30日の寄り付き値を示すものではない。時間外取引とPTSは売買が少なく、値が大きく振れやすい。インテルの見通しの前期比の差と時間外の下落率は本誌の計算である。イビデンの顧客構成は報道にもとづくもので、会社が直近の顧客別比率を開示したものではない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















