ユーロドルが1.1340を割り込んだ。本誌が9月25日の記事で取り上げたMUFGの「次の重要サポート」である。欧州中央銀行(ECB)の10月1日の参照レートは1.1298で、2025年5月以来の安さだった。問われているのは、この下げがどこまで続くかだ。
- 割れた:ECB参照レートは1.1298。2025年5月29日の1.1281以来の安値。
- 米金利ではない:米10年債利回りは日中に下がった。それでもユーロは0.9%安い。
- 震源はフランス:仏10年債利回りは一時4.96%。独との差は債務危機以来の広さ。
- 次はユーロ圏物価:9月の速報値は10月2日18時。8月は3.2%だった。
- 次の節目は1.12:MUFGの地図では1.10〜1.12。1.1340を終値で回復したら見方を戻す。
1. ユーロドルは1.1340を割ったのか
結論:割った。参照レートと取引時間中の値の両方で確認できる。
根拠:ECBの参照レートは9月30日の1.1355から、10月1日に1.1298へ下がった。1年4か月ぶりの安さだ。取引時間中には、米東部時間12時台に1.1223まで下げた。12時38分時点は1.1231で、前日終値1.1334から0.91%安い。
ユーロドルの節目(ドル)
読み方:参照レートは9月9日の1.1652から10月1日の1.1298まで3.0%下げ、MUFGの節目1.1340を割った。取引時間中の安値は1.1223(米東部時間12時台)で、目安の上限1.12まで23pips。出所:欧州中央銀行、MUFGのFXデスクノート(9月24日付)、Yahoo Finance。
次:9月9日の1.1652からの下げ幅は3.0%に達した。この間の戻りは、9月21日と25日の小幅なものだけだった。日足の終値が1.13を下回って引けるかを、まず確かめたい。
2. 米金利差で説明できるか
結論:10月1日に限っては説明できない。
根拠:米財務省によると、米10年債利回りは9月30日に5.29%だった。10月1日は一時5.34%まで上げた。だが米東部時間12時23分には5.24%と、前日より低い。米金利が下がる中で、ユーロは対ドルで下げ続けた。ドル指数は同じ時間帯に102.02と0.56%上げている。
次:9月の下げは米金利の上昇で説明しやすかった。米10年債利回りは7〜9月期に大きく上げ、ドルを押し上げた。10月1日はユーロ自身が売られた日である。売りの理由が欧州側に移ったかどうかが、今後の下げの深さを決める。
3. フランスで何が起きているのか
結論:国債売りの震源の一つがフランスにある。
根拠:ロイターによると、仏10年債利回りは10月1日に一時10bp上げて4.96%を付けた。仏30年債利回りは2011年の債務危機以来の高さだという。独10年債との利回り差は、ユーロ圏債務危機以来の広さに達した。背景には予算案を巡る議会の難航がある。英30年債利回りも6%を超え、1998年以来の高さとなった。
次:ユーロ圏の製造業PMIは好調でも、ユーロは買われなかった。景気より財政が材料になっている。仏独の利回り差が縮まらない限り、ユーロの戻りは鈍いとみる。
4. 10月2日のユーロ圏物価はどう効くか
結論:高い数字はユーロの支えになりうる。ただし効き目は限られる。
根拠:ユーロスタットによると、8月のユーロ圏消費者物価は前年同月比3.2%だった。エネルギーは14.3%上がった。食品などを除くコアは2.4%にとどまる。9月の速報値は10月2日の日本時間18時に出る。物価が高ければ、ECBの追加利上げ観測が強まる。
次:エネルギー主導の物価高は、景気を冷やす面もある。コアが2.4%から上がるかを見たい。コアが上がらなければ、利上げ観測はユーロの支えになりにくい。
5. 次の節目と、見方を戻す条件は何か
結論:次の節目は1.12。1.1340の終値回復で弱気の見方を取り下げる。
根拠:MUFGのFXデスクは9月24日付のノートで、1.1340を割れば1.10〜1.12へ下げが延びると見ていた。10月1日の安値1.1223は、その上限まであと23pipsである。米雇用統計は10月2日の日本時間21時30分に出る。強い数字ならドル買いが続き、1.12割れを試す展開になりやすい。
円から見ると:ユーロ円は米東部時間12時43分時点で177.22円だった。ECB参照レートの2026年の最安値は9月30日の178.27円で、それを下回って推移している。ドル円は157円台後半と円安方向にあるが、ユーロ安がそれを上回った。ユーロ建ての資産を持つ人は、円換算での目減りが続いている。
| 見るもの | 下げ継続を支持 | 反発を支持 |
|---|---|---|
| ユーロドルの終値 | 1.12を下回って引ける | 1.1340を上回って引ける |
| ドル指数 | 102台を保つ | 101を割る |
| 仏独10年債の利回り差 | さらに広がる | 予算の進展で縮む |
| ユーロ圏コア物価(10月2日) | 2.4%から横ばい以下 | 2.4%を上回る |
| 米雇用統計(10月2日) | 雇用者数が強く、賃金も高い | 雇用者数が弱く、利上げ観測が後退 |
次:本誌の見立ては、今後数週間で下げ継続が60%、1.13〜1.1340への戻りが40%である。9月25日の評決は「弱気65対強気35」だった。1.1340割れは予想どおりだが、米金利が下がる日にも売られた点は想定外だった。取引時間中の割れだけで飛びつく売買は、だましに遭いやすい。レバレッジをかけるなら、終値での確認を待ちたい。
30秒まとめ。ユーロドルはMUFGの節目1.1340を割り、参照レートは2025年5月以来の安値を付けた。10月1日の売りは米金利ではなく、フランスの財政不安で説明しやすい。10月2日のユーロ圏物価と米雇用統計を経て、1.12を守れるかが次の焦点だ。
1.1340という節目の根拠は9月25日の反対尋問の記事で詳しく扱った。ECBの利上げ後の値動きは9月10日の記事、ユーロ円の動きはユーロ円178円の記事にある。海外FX業者の比較はFX解説ページを参照してほしい。
主な参照
- ユーロの対ドル・対円参照レート(日次)/欧州中央銀行
- 米国債利回り(9月30日)/米財務省
- 10月1日の世界的な国債売り(仏10年債4.96%、仏独利回り差、英30年債)/ロイター(BOE Report掲載)
- ユーロ圏の製造業PMIの好調とユーロ安、ドル指数の位置/ActionForex
- ユーロ圏の8月の消費者物価(確報)/ユーロスタット
- 9月の雇用統計の公表日程/米労働統計局
- ユーロドル・米10年債利回り・ドル指数の取引時間中の値/Yahoo Finance
- MUFGのFXデスクノート(2026年9月24日付、本誌の9月25日の記事で紹介)
データ基準日:2026年10月1日。ECBの参照レートは中央ヨーロッパ時間14時10分ごろの相場をもとに公表される値で、取引の終値ではない。ユーロドル、ユーロ円、ドル円、米10年債利回り(CBOEの指数)、ドル指数の10月1日の値は、米東部時間12時23分〜12時43分時点の取引時間中の値で、終値ではない。米10年債利回りの9月30日の値は米財務省の公表値である。仏独の国債利回りはロイターの報道による。確率は本誌の主観的な見立てで、将来の相場を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の通貨の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。












