11月2日、米国株の寄り付き1時間の番付を発表する。東の横綱は動物病院向け検査のアイデックス・ラボラトリーズ(IDXX)で、決算を好感して15.82%高。西の横綱は電気自動車のリビアン(RIVN)で、10.12%高だった。西の序二段に落ちたのは光通信のルメンタム(LITE)で、マーベルによる買収が決まった朝に10.03%安。米東部時間10時31分(日本時間3日0時31分)の時点で、S&P500は0.98%高、ナスダック総合指数は1.28%高と、先週末の急落からそろって反発している。
反発の土台は原油だ。米国とイランの協議への期待で、WTI原油の先物は6.80%安の97.04ドルまで下げた。米10年債利回りは4.882%に下がり、10時に発表された10月のISM製造業景気指数は55.5と、市場予想の54.5を上回った。景気は強く、原油は安い。株にとっては都合のよい組み合わせの朝だった。
番付表:寄り付き1時間の勝敗
| 番付 | 銘柄 | 株価 | 前営業日比 | 材料 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | アイデックス・ラボラトリーズ(IDXX) | 638.41ドル | +15.82% | 7〜9月期決算が予想を上回り、通期見通しを引き上げ | ◎ |
| 西の横綱 | リビアン(RIVN) | 13.39ドル | +10.12% | UBSが「買い」に引き上げ、目標17ドル | ◎ |
| 東の大関 | アマゾン・ドット・コム(AMZN) | 252.58ドル | +5.09% | フィリップ証券が「買い」に引き上げ、目標330ドル | ○ |
| 西の大関 | スペースX(SPCX) | 141.23ドル | +4.84% | エコースターの携帯事業をめぐる協議が報道 | ○ |
| 東の関脇 | エヌビディア(NVDA) | 209.27ドル | +2.26% | 半導体株の買い戻し | △ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 東の幕下 | マーベル・テクノロジー(MRVL) | 186.61ドル | −4.98% | ルメンタムを株式交換で買収 | × |
| 西の幕下 | オクタ(OKTA) | 197.82ドル | −5.00% | 理由は確認できていない | × |
| 東の三段目 | オラクル(ORCL) | 123.88ドル | −5.20% | 100億ドルの新株発行と100億ドルの社債 | × |
| 西の三段目 | セレブラス・システムズ(CBRS) | 100.93ドル | −7.56% | UBSが目標株価を330ドルから250ドルに | × |
| 西の序二段 | ルメンタム(LITE) | 756.41ドル | −10.03% | マーベルによる買収、交換比率は1株に4.5株 | × |
番付に載せた10銘柄の騰落率(寄り付き1時間、%)
出所:ヤフー・ファイナンス、米東部時間10時31分ごろの取引時間中の値(終値ではない)。前営業日の終値比。
この表の要点は一つだ。勝ち側には「決算」と「格上げ」という、はっきりした材料が並ぶ。負け側には「株が増える」話が並ぶ。マーベルとルメンタムは株式交換、オラクルは新株の発行である。株数が増えて1株の取り分が薄まる話は、指数が上がる日でも容赦なく売られた。
東の横綱・アイデックス——◎
15.82%高の638.41ドル。時価総額は500億ドル規模で、この大きさの会社が1日で15%動くのは珍しい。寄り付き前に発表した7〜9月期決算が市場予想を上回り、2026年通期の見通しも引き上げた。取引時間中には一時662ドル台まで買われている。動物病院の来院数の伸び悩みが懸念されていた銘柄で、その不安を数字で押し返した一番だった。判定は◎。
西の横綱・リビアン——◎
10.12%高の13.39ドル。UBSが投資判断を「中立」から「買い」に上げ、目標株価を17ドルとした。前の週のジェフリーズに続く2社目の格上げである。取引開始前は3%台の上げだったが、寄り付き後に上げ幅を広げた。株価は7月6日の終値20.14ドルから、10月26日には11.43ドルまで下げていた。売られすぎた土俵際からの、押し出しのような一番だ。判定は◎。2銘柄の数字の詳細はリビアンとクラウドストライクの注目株の記事にまとめた。
大関の二人:アマゾンとスペースX——○
アマゾンは5.09%高の252.58ドル。フィリップ証券が判断を「買い」に上げ、目標株価を330ドルとした。10月29日の決算後に売られた分を取り戻す動きで、前営業日の終値240.35ドルから12ドル余り上げた。時価総額2兆7,000億ドル超の巨体がこれだけ動けば、指数への効き目も大きい。判定は○。勝ち越しだが、決算前の水準に戻ったにすぎない。
スペースXは4.84%高の141.23ドル。衛星通信の会社が、エコースターの携帯電話事業「ブースト・モバイル」をめぐって協議していると報じられた。協議は報じられている段階で、会社からの発表はない。判定は○とする。
負け越し組:株が増える話は売られる——×
西の序二段のルメンタムは10.03%安の756.41ドル。マーベルが1株にマーベル株4.5株を渡す形で買収する。発表上の買収価格は1株約1,132ドルだが、これは10月28日のマーベル株価で計算した値札だ。マーベル株はこの朝も4.98%安の186.61ドルで、4.5株の価値は839.75ドルまで縮んでいる。買われる側が下がる理屈はマーベルとルメンタムの講義記事で解説した。
オラクルは5.20%安の123.88ドル。米証券取引委員会への提出書類によると、同社は2日、100億ドルの普通株の発行と、100億ドルの社債の発行を同時に進める。データセンター投資の資金を、株と借金の両方で集める格好だ。書類に記された10月30日の株価は130.67ドルで、そこから約5%下げた。AI向け半導体のセレブラス・システムズは、UBSが目標株価を330ドルから250ドルに下げ、7.56%安となった。判定はいずれも×。
ソフトウェア株にも売りが目立った。オクタは5.00%安、データドッグ(DDOG)は4.83%安、チェック・ポイント・ソフトウェア(CHKP)は5.65%安。この3銘柄の下げについて、本稿の執筆時点で理由を特定できる一次情報は確認できていない。一方、同じサイバーセキュリティでも、ドイツ銀行が格上げしたクラウドストライク(CRWD)は取引開始前の上げを保てず、0.68%安の248.73ドルにとどまった。
三賞
- 殊勲賞:フィラデルフィア半導体株指数——10月30日に7.20%下げた指数が、1.48%高の10,846.53まで戻した。インテルの急落で土俵際まで追い込まれた相撲を、ひとまず残した。
- 敢闘賞:WTI原油(の下げ)——6.80%安の97.04ドル。株高と金利低下の両方を呼び込んだ、この朝の陰の主役である。原油安で産油株は売られ、ノルウェーのエクイノール(EQNR)は4.97%安となった。
- 技能賞:金——金の先物は1.78%高の3,968.3ドル。株が買われる朝でも、金利の低下を追い風に上げた。
日本の投資家への持ち越し
東京市場は3日が文化の日で休場だ。シカゴの日経平均先物(12月物)は、同じ時点で63,570円と、2日の東京の日経平均の終値63,081円86銭を約488円上回る。ドル円は157.76円近辺で、ほとんど動いていない。4日の休場明けの東京は、この先物の水準と、3日の米中間選挙の行方を合わせて織り込むことになる。
来場所の注目取組
| 日本時間 | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 3日 早朝 | アップル、パランティアの決算(米2日の取引終了後) | 時間外の値動きと、AI関連株への波及 |
| 3日 12時30分 | オーストラリア準備銀行の政策決定 | 利上げ確率81%の織り込みどおりか |
| 3日(米国時間) | 米中間選挙の投票 | 開票の流れと米金利の反応 |
| 4日 | 東京市場の休場明け | 日経平均先物との差を埋めるか |
| 6日 22時30分 | 米10月雇用統計 | 景気の強さと利上げ観測 |
番付をまとめる。勝ち越したのは、決算と格上げという「材料のある株」だった。負け越したのは、株数が増える話を抱えた株だった。指数の反発は、原油安と金利低下という外からの追い風に乗ったものだ。中身の伴った勝ち越しかどうかは、今夜のアップルとパランティアの決算が最初の試金石になる。先週末の急落の番付は10月30日の寄り付き1時間の記事にある。
主な参照
- 株価、株価指数、先物、利回り、為替、暗号資産の気配値と、値上がり・値下がりの上位銘柄/ヤフー・ファイナンス
- 10月のISM製造業景気指数(55.5、市場予想54.5)/米サプライマネジメント協会、インベスティングライブ
- オラクルの100億ドルの普通株発行(目論見書補完、10月30日の株価130.67ドル)/米証券取引委員会
- マーベルによるルメンタムの買収(交換比率4.500、1株約1,132ドル)/マーベル・テクノロジー
- リビアンの判断引き上げ(UBS、目標17ドル)/CNBC
- アマゾンの判断引き上げ(フィリップ証券、目標330ドル)/インベスティング・ドットコム
- アイデックスの7〜9月期決算と通期見通しの引き上げ、セレブラスの目標株価引き下げ、スペースXの協議の報道/各社の発表と各種報道(ヤフー・ファイナンス、マーケットスクリーナー、インベスターズ・ビジネス・デイリー)
データ基準日:2026年11月2日の米東部時間10時31分ごろ(日本時間3日0時31分ごろ)。株価と株価指数は取引時間中の値で、終値ではない。米10年債利回りとVIX指数は米東部時間10時04分ごろ、原油と金の先物、日経平均先物は同10時09分ごろの気配値である。日経平均の63,081円86銭は11月2日の東京市場の終値。4.5株の価値と先物と現物の差は本誌の計算。スペースXの協議は報じられている段階で、会社による発表はない。オクタ、データドッグ、チェック・ポイントの下落理由は確認できていない。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。











