11月2日、東京市場大引けの番付を発表する。東の横綱は東京エレクトロン、5.16%高で1銘柄が日経平均を248円28銭押し上げた。西の序二段に落ちたのはキオクシアホールディングス、15.78%安で150円43銭の押し下げである。日経平均は208円25銭安の6万3,081円86銭で続落した。TOPIXは0.88%安の3,930.28と、日経平均の2倍以上の下落率だった。
中身はもっと厳しい。東証プライムの値上がりは505銘柄、値下がりは1,011銘柄で、下げた銘柄が上げた銘柄の2倍に達した。日経平均の構成225銘柄でも上昇89、下落135である。売買代金は7兆6,403億円と8兆円を割った。米中間選挙を翌日に控え、しかも明日3日は文化の日で東京は休場だ。積極的に買う理由は乏しく、決算の中身で勝ち負けがはっきり分かれた一日だった。
日経平均への寄与度 上位5・下位5(11月2日大引け、円)
読み方:緑は日経平均を押し上げた銘柄、赤は押し下げた銘柄。東京エレクトロンとアドバンテストの2銘柄で+444.61円、指数全体の下げ幅は208.25円だった。出所:財経新聞(フィスコ)の大引け寄与度集計。
番付表:日経平均への寄与度で見た勝敗
| 番付 | 銘柄 | 終値 | 前営業日比 | 日経平均への寄与 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | 東京エレクトロン(8035) | 10,005円 | +5.16% | +248.28円 | ◎ |
| 西の横綱 | アドバンテスト(6857) | 35,770円 | +2.61% | +196.33円 | ○ |
| 東の大関 | レーザーテック(6920) | 40,720円 | +8.01% | +40.72円 | ◎ |
| 西の大関 | NGK(5333) | 5,118円 | +10.95% | +17.02円 | ○ |
| 東の関脇 | 第一三共(4568) | 2,892.5円 | +5.03% | +14.01円 | △ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 西の序二段 | キオクシアHD(285A) | 11,345円 | −15.78% | −150.43円 | × |
| 東の序二段 | リクルートHD(6098) | 17,970円 | −6.41% | −124.39円 | × |
| 西の三段目 | SCREENホールディングス(7735) | 9,218円 | −18.96% | −58.17円 | × |
| 東の三段目 | ソフトバンクグループ(9984) | 4,410円 | −1.58% | −57.44円 | △ |
| 西の幕下 | 京セラ(6971) | 3,269円 | −4.69% | −43.42円 | × |
表の要点は一つだ。東京エレクトロンとアドバンテストの2銘柄だけで日経平均を444円61銭押し上げている。この2銘柄がなければ、日経平均は単純計算で約653円安だった。実際の下げ幅208円は、2本の柱で支えられた数字である。TOPIXの0.88%安のほうが、この日の市場全体の体感に近い。
値上がりした89銘柄の寄与度を合計するとプラス605円17銭、値下がりした135銘柄の合計はマイナス813円42銭になる。差し引きがこの日の下げ幅208円25銭である。買われた銘柄は少数で、しかも値がさの半導体装置株に偏っていた。
東の横綱・東京エレクトロン:◎
5.16%高の1万5円で、12時37分には1万210円まで買われた。材料は10月30日の大引け後に出た決算である。4〜9月期の営業利益は5,067億8,000万円で前年同期比67.2%増。あわせて初めて示した通期予想は売上高3兆7,000億円、営業利益1兆1,690億円(87.1%増)だった。上限2,500万株・1,500億円の自社株買いも発表している。
フィスコによれば、7〜9月期の営業利益2,954億円は市場予想の約2,600億円を上回り、通期予想も市場予想の約1兆円を超えた。数字が予想を上回り、そのうえ自社株買いまで付いた。前週末の米国で半導体株指数が大きく下げた直後でも買われたのは、このためである。判定は◎。米国の嵐の中で、自分の決算だけで勝った一番だった。
なお日本経済新聞などは、この日の買いを半導体の「スーパーサイクル」への期待と結びつけて伝えている。これは報道上の表現で、会社自身の言葉ではない。決算の詳しい中身は東京エレクトロン決算の分析で扱った。
西の序二段・キオクシアHD:×
15.78%安の1万1,345円。15時17分には1万1,135円まで売られ、10月23日に付けた安値1万1,380円を下回った。売買代金は1兆1,320億円と、東証全体でも群を抜いて大きい。1銘柄で日経平均を150円押し下げ、この日の下げの主役になった。
決算そのものは悪くない。フィスコによると、7〜9月期の営業利益は1兆9,947億円で市場予想をやや上回った。売られたのは見通しのほうだ。10〜12月期の非GAAP営業利益を約2兆円と、前四半期とほぼ横ばいで示した。市場予想は約2兆3,000億円だったと伝えられている。メモリー価格の上昇がどこまで続くかに賭けていた投資家にとって、「横ばい」は天井の合図に見えた。判定は×。決算発表の夜にPTSで6%安だった経緯はキオクシア決算の記事にまとめてある。
西の三段目・SCREEN:×(好決算でも売り)
この日のプライム市場で下落率首位だったのがSCREENホールディングスである。18.96%安の9,218円。15時12分の安値9,100円は、前営業日比で20.0%安にあたる。
決算は数字だけ見れば好調だった。4〜9月期の売上高は3,084億5,000万円(12.5%増)、営業利益は545億2,000万円(17.4%増)。だが7〜9月期だけを取り出すと、営業利益402億円はフィスコが示した市場予想の約420億円に届かなかった。通期の営業利益予想1,565億円も据え置きで、上方修正を期待していた買い手は肩すかしを食った。株探はこれを「上期好決算も利益確定売り」と表現している。増益でも、期待を上回らなければ売られる。半導体関連株の期待水準がそれだけ高い、という記録である。
東の序二段・リクルートHD:×(理由は不明)
6.41%安の1万7,970円で、日経平均を124円39銭押し下げた。寄与度では負け側の2位である。サービス業は3.66%安と業種別で下から2番目で、その大半はこの銘柄の分だ。ただし本稿の執筆時点で、同社からの発表や、下げの理由を特定した一次情報は確認できていない。負けは負けとして記録するが、理由は書けない。
技能賞・レーザーテック、殊勲賞・NGK
技能賞はレーザーテックに贈る。8.01%高の4万720円。2027年6月期の受注見通しを4,000億〜5,000億円に引き上げたことが買われた。キオクシアやSCREENが売られる中で、同じ半導体関連でも「先の受注が増える」と示した銘柄は買われた。半導体株が一括りで売られた日ではない、という証拠である。
殊勲賞はNGK(旧日本ガイシ)だ。10.95%高の5,118円で、業績予想と配当予想を引き上げた。ガラス・土石製品は3.05%高と33業種のトップで、その原動力になった。このほか、業績予想と配当を引き上げた丸文(7537)は400円高の2,180円でストップ高、上場来高値を付けている。
敢闘賞は該当なし、ほかの負け越し。アルプスアルパイン(6770)は10.96%安の1,856.5円。4〜9月期の純利益は29億5,000万円と前年同期の132億8,000万円から77.8%減った。トルクセンサーのリコール費用88億8,900万円を特別損失に計上したためだ。本業の営業利益は132億1,000万円で会社計画の90億円を上回っており、通期予想は据え置いた。住友化学(4005)は9.47%安、三菱倉庫(9301)は業績予想の引き下げで14%安となり、倉庫・運輸関連業は5.54%安と33業種で最下位だった。
場所の流れ:朝の577円安から一時プラス圏へ
この日の取組は朝が一番苦しかった。前週末の米国市場ではインテルが30%前後急落し、ナスダック総合指数は2.9%安、ダウ平均は572ドル安だった。これを受けて日経平均は318円安で寄り付き、寄り付き直後に6万2,712円91銭(577円安)まで下げた。
そこから土俵際で踏みとどまった。米株価指数先物が時間外で反発し、韓国の総合株価指数(KOSPI)も上昇した。東京エレクトロンなど装置株への買い戻しも重なり、13時30分ごろには6万3,615円32銭(325円高)とプラス圏に浮上した。だが引けにかけて再び売られ、マイナス圏で終えた。日中の値幅は約902円ある。高値から533円押し戻されての大引けで、祝日前に持ち高を軽くする動きが最後に出た形である。
為替は落ち着いていた。日本銀行の集計で、17時時点のドル円は1ドル=157円74〜76銭。日中の値幅は157円45銭〜157円99銭にとどまった。片山財務相は米中間選挙をめぐり、無秩序な動きや投機的な動きがあれば対応すると述べている。ドル円の見方は本日公開のドル円見通しで扱った。
来場所の注目取組:祝日をはさんで4日へ
東京の現物株は3日休みだが、大阪取引所の先物は祝日取引で動く。日経平均先物12月物は日中取引を6万3,260円で終え、夜間取引では19時時点で6万3,340円だった。現物の終値を258円上回る水準である。4日の寄り付きを占う手がかりは、この先物の値段になる。
- 11月2日(米国、日本時間3日0時):10月のISM製造業景況指数。前回は54.5。
- 11月3日(米国):中間選挙の投票日。大勢判明は日本時間4日の東京市場の取引時間中になる見込みと伝えられている。同日、AMDなどの決算発表。オーストラリア準備銀行(RBA)の政策金利発表もある。
- 11月4日(東京):三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、三井物産、NTTなどが取引時間中に決算発表。引け後にアステラス製薬、川崎汽船など。
- 11月5日(東京):トヨタ自動車、ソニーグループ、任天堂の決算。
来場所の番付を占うなら、焦点は2つある。1つは選挙結果を受けた米国の半導体株だ。東京エレクトロンとアドバンテストの2本柱が崩れれば、日経平均はTOPIX並みの弱さが表に出る。もう1つは商社決算である。この日、豊田通商(15円57銭)と伊藤忠商事(9円35銭)は日経平均を押し下げる側にいた。4日の決算で巻き返せるかどうかが、半導体以外の買い手が戻るかの目安になる。今週の決算全体の日程は今週の決算まとめ、中間選挙の影響は中間選挙と株価の記事にある。
主な参照
- 11月2日の東京市場(日経平均の四本値、売買高、売買代金、値上がり・値下がり銘柄数)/株探(大引け)、株探(市況)
- 日経平均寄与度ランキング(大引け)と構成銘柄の騰落数/財経新聞(フィスコ)
- 業種別騰落と個別銘柄(キオクシア、SCREEN、丸文など)/財経新聞(フィスコ)、同(SCREEN)
- 東京エレクトロンの決算短信と自社株買い、SCREENとアルプスアルパインの決算短信・特別損失/東証適時開示情報閲覧サービス(TDnet)
- 17時時点のドル円相場/日本銀行
- 日経平均先物の夜間取引/株探、祝日取引の実施/日本取引所グループ
- 今週の決算と経済指標の日程/株探
データ基準日:2026年11月2日の東京市場の終値(15時30分)。日経平均先物の夜間取引は同日19時時点の取引時間中の値で、終値ではない。ドル円は日本銀行が公表した17時時点の値である。寄与度の集計は情報ベンダーにより差がある。7〜9月期や10〜12月期の市場予想はフィスコが伝えた数値で、本誌が独自に集計したものではない。リクルートHDの下落について、本稿の執筆時点で理由を特定できる一次情報は確認できていない。米中間選挙とISM製造業景況指数の結果は反映していない。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。













