ドル円は10月30日のニューヨーク市場で157.56円で取引を終え、3営業日続けて下落した。日中の安値は156.96円で、157円を一時割り込んだ。来週は11月3日の米中間選挙、6日の米10月雇用統計が続き、日銀の金融政策決定会合を通過した後の水準が試される。
本誌は30日に植田総裁の会見直後のドル円を取り上げた。本稿はその後に確定したニューヨーク終値、同日の米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言、来週の日程を加えたものだ。
10月30日の主要数値
| 項目 | 数値 | 前日・前回 | 基準・出所 |
|---|---|---|---|
| ドル円 始値/高値 | 157.71円/157.90円 | — | 30日の四本値(みんかぶ) |
| ドル円 安値/終値 | 156.96円/157.56円 | 3日続落 | 同上、終値はNY市場 |
| ユーロ円 終値 | 175.78円 | 安値175.07円 | 同上 |
| 米2年債利回り | 4.56% | 29日 4.61% | 米財務省(終値ベース) |
| 米10年債利回り | 4.94% | 29日 4.98% | 米財務省(終値ベース) |
| 日本2年債/10年債利回り | 1.901%/2.876% | 29日時点 | 財務省「国債金利情報」 |
| ドル円1週間物の予想変動率 | 7.78% | 1カ月物 7.21% | 30日16時7分(東京)時点 |
| IMM通貨先物の円買い越し | 10万1,591枚 | 前週比3万1,713枚増 | 10月27日時点(米商品先物取引委員会) |
| 欧州中央銀行(ECB)参照レート | 157.25円 | 23日 156.80円 | 週間で0.45円のドル高・円安 |
日米の2年債利回りの差は29日時点で2.709%ポイントだった。米2年債利回りは30日に4.56%へ下がり、28日の4.67%から2日で0.11%ポイント低下した。一方、円の買い越しは投機筋の集計で10万枚を超えた。
円高が3日続いた理由
日銀は30日、無担保コール翌日物金利の誘導目標を1.25%程度に据え置いた。採決は8対1。高田創審議委員が1.5%程度への引き上げを提案し、否決された。上場投資信託(ETF)の売却ペースは年3,300億円程度から8,600億円程度(簿価ベース)に引き上げ、2027年1月から実施する。詳細は日銀会合の速報にまとめた。
ニューヨーク市場の序盤、ドル円は一時156円台に下げた。みんかぶは、円高の主因は日銀会合ではなく、アマゾンとインテルの決算後に広がったAI関連株の売りだと伝えた。短期金融市場では日銀の12月利上げを約8割織り込むとの見方も同記事に示された。米国債には買いが入り、利回りは低下した。米国株の下げはAI株急落の記事で扱った。
FRBは28日、政策金利の誘導目標を3.75〜4.00%に据え置いた。採決は10対2で、クック理事とハマック・クリーブランド連銀総裁が0.25%ポイントの利上げを主張して反対した。FRBは9月に利上げしている。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は12月8〜9日だ。
30日の当局者発言
- ローガン・ダラス連銀総裁「FOMCは少なくともあと2回、0.25%ポイントの利上げを実施する必要がある」「その後は一時停止し、経済と金融の動向を点検するのが理にかなう」(ロイター)
- ムサレム・セントルイス連銀総裁「追加の引き締めが必要になると判断している。それも早期に」(ロイター)
- ウォーシュFRB議長(28日の会見)「短期間で成し遂げた進展に勇気づけられている」(ロイター)
- 植田日銀総裁(30日の会見)次の会合も含め、点検して判断すると述べた(みんかぶ)
ムサレム総裁は2026年のFOMCで投票権を持たない。投票権を持つのは2027年からである。ロイターによれば、金融市場は12月会合での追加利上げを見込んでいる。
来週の日程と日本時間
米国は11月1日(日)に夏時間が終わる。米東部時間の午前8時30分は、来週から日本時間の午後10時30分になる。10月より1時間遅い。発表時刻を手元の時間帯で確かめる場合は、タイムゾーン変換ツールで米東部時間を入力すると日本時間に直せる。
| 日付(日本時間) | 予定 | 前回・参考値 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 11月2日(月)14時 | 日銀「経済・物価情勢の展望」全文 | 基本的見解は10月30日に公表済み | 日銀 |
| 11月3日(火) | 米中間選挙の投票。日本は文化の日で休場 | 開票は日本時間4日朝から | ロイター、時刻は本誌換算 |
| 11月5日(木)8時50分 | 日銀 9月会合の議事要旨 | — | 日銀 |
| 11月5日(木) | 英中銀の政策金利発表 | 市場は利上げを見込む | 英中銀、みんかぶ |
| 11月6日(金)22時30分 | 米10月雇用統計 | 9月は雇用者数2万9,000人増、失業率4.2% | 米労働統計局 |
| 11月10日(火)8時50分 | 日銀 10月会合の「主な意見」 | 反対票1(高田委員) | 日銀 |
| 12月8〜9日 | FOMC | 現行3.75〜4.00% | FRB |
| 12月17〜18日 | 日銀 金融政策決定会合 | 現行1.25%程度 | 日銀 |
9月の雇用統計では、平均時給が前月比0.1%増、前年同月比3.0%増だった。10月分の市場予想は本稿の執筆時点で確認できなかった。
中間選挙について、ロイターは予測市場カルシとポリマーケットで民主党の上下両院制覇が最も有力とされていると伝えた。ロイターの最近の世論調査では民主党が11ポイントの差をつけた。野村は上院を接戦とみて、議会のねじれを予想する。コーペイのシャモッタ氏は、民主党が勢力を伸ばせば米国資産のリスクプレミアムが下がり、短期的にドルを押し上げうるとの見方を示した。議会は2027会計年度の予算合意の期限を12月11日に設けている。
テクニカル上の水準
ドル円の節目(2026年10月30日時点)
読み方:30日終値157.56円は、30日安値156.96円より0.60円上、200日移動平均線158.55円より0.99円下にある。終値で156.65円(26日安値)を割るか、158.55円を超えるかが来週の分岐になる。出所:みんかぶ(四本値・テクニカル分析、10月30日)。移動平均線は概算。
みんかぶの30日付テクニカル分析は、下値の分岐点を157.00円割れとした。その下は26日安値156.65円、23日安値156.08円、156.00円が並ぶ。上値は21日移動平均線の157.93円付近、28日高値158.35円、200日移動平均線の158.55円、9月24日高値159.04円である。30日終値157.56円は21日線を下回り、200日線との差は0.99円だった。
ECB参照レートでみると、ドル円は7月31日に160.24円、9月9日に153.27円を付けた。10月の参照レートは156.80円から158.60円の範囲に収まった。参照レートは欧州中部時間の午後2時15分ごろの値で、終値ではない。
来週と12月までの見通し
本誌は11月2日から6日の週を156.00〜158.60円のレンジと想定する。中心は157円台。雇用統計とFOMC高官の利上げ論が12月の米利上げ観測を支える一方、日銀の12月利上げ観測とAI関連株の売りが円の買い材料になり、方向が相殺されやすい。確率は本誌の推計である。
| 来週の値動き | 本誌推計の確率 | 想定レンジ | 前提となる条件 |
|---|---|---|---|
| 157円台中心のもみ合い | 45% | 156.65〜158.35円 | 雇用統計が9月並みの小幅増、選挙結果が事前予想どおり |
| 下落(156円割れ) | 30% | 155.00〜156.65円 | 雇用者数の減少、AI関連株の売り継続、米2年債利回り4.5%割れ |
| 上昇(158.55円超え) | 25% | 158.55〜159.50円 | 雇用統計の上振れ、12月FOMCの利上げ観測の強まり |
12月18日の日銀会合までの中期の想定は154〜160円とする。日米ともに12月に利上げがあれば金利差はほぼ変わらない。どちらか一方だけが動く場合、ドル円は1〜2円単位で振れる可能性がある。7月31日の参照レート160.24円は年内の上値の目安になる。
見通しが外れる条件
| 確認する項目 | 円高方向を示す動き | 円安方向を示す動き |
|---|---|---|
| ドル円の日足終値 | 156.65円を下回って引ける | 158.55円(200日線)を上回って引ける |
| 米2年債利回り | 4.50%を下回る | 4.67%(28日)を上回る |
| 米10月雇用統計 | 雇用者数が減少、失業率が4.2%超 | 雇用者数が9月の2万9,000人増を大きく上回る |
| IMM円買い越し | 10万枚超を維持・拡大 | 買い越しが縮小に転じる |
| 日銀 | 「主な意見」で利上げ支持の意見が複数 | 12月見送りを示す発言 |
日中に節目を割り込んでも、終値で戻せば判断は変わらない。雇用統計の発表直後は値幅が広がりやすく、指値と逆指値の約定価格が想定とずれることがある。予想変動率は1週間物で7.78%と、1カ月物の7.21%を上回っていた。来週に値動きが集中するとの見方が価格に表れている。
FX口座や業者の比較はFX解説ページにまとめている。
主な参照
- 当面の金融政策運営について(2026年10月30日12時2分公表)/日本銀行
- 金融政策決定会合の日程・公表予定/日本銀行
- FOMC声明(2026年10月28日午後2時、米東部夏時間)/FRB
- FOMCの開催日程/FRB
- 米国債利回り(10月30日まで)/米財務省
- 国債金利情報(10月29日まで)/財務省
- 雇用統計の公表日程・9月分の結果/米労働統計局、同9月分
- 金融政策委員会の日程/英中銀
- 30日の四本値/みんかぶ、NY序盤の円高/みんかぶ、テクニカル/みんかぶ、予想変動率/みんかぶ、IMM建玉/みんかぶ
- ローガン総裁の発言/ロイター(キトコ転載)、ムサレム総裁の発言/ロイター(キトコ転載)
- 中間選挙と米財政/ロイター(キトコ転載)、来週の米国市場/ロイター(キトコ転載)
- ECB参照レート(米ドル/円)/フランクファーター(ECB公表値)
データ基準日:2026年10月30日(ニューヨーク市場の終値)。ドル円の四本値はみんかぶの集計で、配信元により終値は数銭ずれることがある。米国債利回りは米財務省の公表値、日本国債利回りは10月29日時点の財務省公表値である。日米金利差は両国の29日時点の値で計算した。ECB参照レートは欧州中部時間午後2時15分ごろの値で、終値ではない。移動平均線の値はみんかぶの10月30日時点の計算による概算である。11月6日の雇用統計の市場予想は執筆時点で確認できず、記載していない。英中銀の発表時刻は確認できず、日付のみ記載した。中間選挙の予測市場と世論調査の数値はロイターの報道による。来週の確率とレンジは本誌の推計であり、将来の相場を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















