11月4日の米国株、寄り付き1時間の番付を発表する。東の横綱はノボノルディスク、5.56%高。西の横綱はマクドナルドで4.65%高。いずれも同日朝に決算を発表した銘柄である。そして西の序二段に落ちたのはCVSヘルス、11.73%安。こちらも同じ朝に決算を出し、通期見通しを引き上げ、会社の分割まで発表した銘柄だ。
指数は全面高に見える。米東部時間10時31分(日本時間5日0時31分)、ダウ工業株30種平均は2.13%高の5万2,889.89、S&P500種株価指数は1.50%高の7,682.62、ナスダック総合指数は1.99%高の2万5,877.21。米中間選挙で民主党が上下両院を制したことを受けた買いである。だが土俵の中身は割れている。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は1.97%安と、主要指数で一人負けだ。上がった指数の下で、半導体株は負け越していた。
寄り付き1時間の主な値動き(前日終値比、%)
読み方:上位は同日朝に決算を出した銘柄と内需株。下位はメモリー・AIインフラ関連と、決算と分割を発表したCVSヘルス。出所:ナスダックの気配値(米東部時間11月4日10時31〜33分)。
番付表——寄り付き1時間の勝敗
| 番付 | 銘柄 | 株価 | 前日終値比 | 土俵に上がった理由 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | ノボノルディスク(NVO) | 42.43ドル | +5.56% | 7〜9月期決算と通期見通しの引き上げ | ◎ |
| 西の横綱 | マクドナルド(MCD) | 275.28ドル | +4.65% | 7〜9月期の1株利益が10%増 | ◎ |
| 東の大関 | ウォルマート(WMT) | 128.80ドル | +3.16% | 選挙後のディフェンシブ買い | ○ |
| 西の大関 | クアルコム(QCOM) | 169.16ドル | +2.88% | 同日の取引終了後に決算 | ○ |
| 東の関脇 | AMD | 492.31ドル | +1.74% | 前日夕の決算、寄り後に514.60ドルまで上昇 | △ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 東の幕下 | エヌビディア(NVDA) | 204.46ドル | −1.08% | 半導体株全体の下げ | × |
| 西の幕下 | マイクロン(MU) | 818.71ドル | −4.26% | メモリー関連の売り | × |
| 東の三段目 | サンディスク(SNDK) | 1,067.00ドル | −5.28% | 同上 | × |
| 西の三段目 | キャタピラー(CAT) | 587.67ドル | −5.81% | 前日まで売られすぎとされた銘柄がさらに下落 | × |
| 東の序二段 | マーベル(MRVL) | 161.38ドル | −6.16% | AIインフラ関連の売り | × |
| 西の序二段 | CVSヘルス(CVS) | 80.69ドル | −11.73% | 決算と分割の発表後に急落 | × |
東の横綱・ノボノルディスク——◎
5.56%高の42.43ドル。肥満症治療薬ウゴービの飲み薬が効いた一番である。同社が4日に出した1〜9月期の決算によると、7〜9月期のウゴービ飲み薬の売上高は53億9,400万デンマーククローネだった。米国、アラブ首長国連邦、英国、ドイツで発売済みで、その後4カ国が加わり、計8カ国に広がった。
数字で見れば、7〜9月期の調整後営業利益は為替変動の影響を除いて27%増の317億2,000万クローネ。会社は2026年通期の調整後売上高と調整後営業利益の伸びの見通しを、いずれも「−6%〜0%」から「−2%〜+2%」に引き上げた。マイク・ドゥストダー社長兼CEOは「予想を上回る第3四半期を達成し、通期見通しを引き上げる」と述べている。判定は◎。土俵際から押し返した一番だ。
西の横綱・マクドナルド——◎
4.65%高の275.28ドル。米国の既存店売上高は0.2%減だった。それでも買われたのは、利益が伸びたからである。7〜9月期の希薄化後1株利益は3ドル51セントで10%増、特別費用を除くと3ドル57セントで11%増。全世界の既存店売上高は1.5%増、システム全体の売上高は4%増の380億ドル超だった。四半期配当は4%増の1株1ドル93セントとした。
クリス・ケンプチンスキー会長兼CEOは「米国では、価値(バリュー)への介入のあと、四半期が進むにつれて改善が見られたことを心強く思う」と述べた。国別では、ドイツとオーストラリアが伸びをけん引し、フランスがそれを一部打ち消したという。米国の客数は減ったが、1回あたりの単価が上がって補った形である。判定は◎。守りの相撲で勝ち越した。
西の序二段・CVSヘルス——×
11.73%安の80.69ドル。寄り付きの高値85.05ドルから、10時31分までに下げ幅を広げた。安値は77.33ドルである。この日の朝、同社は7〜9月期の売上高が5.4%増の1,084億ドル、調整後1株利益が2ドル9セントと、前年同期の1ドル60セントから伸びたと発表した。通期の調整後1株利益の見通しも「少なくとも8ドル20セント」へ引き上げている。さらに、約9,000店の薬局部門を切り離して2社に分割すると表明した。
好材料が3つ並んで、株価は1割以上下げた。市場が何を嫌ったのか、本稿執筆時点で会社の説明は確認できていない。バロンズは同日、米国の薬剤費補助制度「340Bプログラム」をめぐるリスクが本当の焦点だと指摘している。医療保険株も弱く、ユナイテッドヘルス・グループは1.51%安だった。分割の中身と、アエトナ買収から8年の経緯は別の記事にまとめた。判定は×。勝てる取組を落とした一番である。
殊勲賞・半導体株——上がる指数の下で負け越す
この日いちばん説明を要するのは、SOXの1.97%安だ。ダウが2%上げるなかで、半導体だけが逆を向いた。個別ではマーベル・テクノロジーが6.16%安、サンディスクが5.28%安、マイクロン・テクノロジーが4.26%安、インテルが3.26%安。エヌビディアも1.08%安である。
一方で、前日夕に決算を発表したAMDは1.74%高。寄り付き直後には514.60ドルまで買われ、その後に上げ幅を縮めた。同日の取引終了後に決算を控えるクアルコムは2.88%高である。つまり半導体のなかでも、決算を出した銘柄と、AI向けのメモリー・インフラ関連とで、資金の向きが分かれた。選挙の結果で買われたのは内需・ディフェンシブの側で、AI投資の持続性を問う売りは選挙の前から続いている。4日の東京市場で半導体株が売られた構図も同じだった。
敢闘賞と痛恨——選挙が仕分けた銘柄
選挙の結果に素直に反応した銘柄もある。トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループは10.67%安の5ドル31セント。テスラは2.60%安の388.12ドルで、同社とスペースXをめぐる思惑も重なった。逆にウォルマートは3.16%高と、ディフェンシブの代表格が買われた。
痛恨は本誌の見立てのほうである。前日の注目株の記事で、キャタピラーを売られすぎ、ウォルマートを過熱と整理した。寄り付き1時間では、キャタピラーが5.81%安、ウォルマートが3.16%高と、いずれも逆の方向に動いている。短期の逆張りは、資金の流れが変わる日には通じない。この一番は本誌の負けである。
土俵の外——雇用とサービス業の指標
この日は指標も2本出た。ADPが発表した10月の民間雇用は8万6,000人増で、市場予想の6万7,000人を上回った。業種別では小売・運輸・公益が3万9,000人増、教育・医療が2万8,000人増と伸びた一方、専門・ビジネスサービスは2万7,000人減と3カ月続けて減った。給与の伸びは、同じ職場にとどまる人が前年比3.0%、転職した人が4.8%である。
米東部時間10時には、米サプライマネジメント協会(ISM)の10月のサービス業景況指数が54.5%と発表された。9月の54.9%から低下し、市場予想の54.8%も下回っている。50%が好不況の分かれ目なので、拡大は続いているが勢いは鈍った。米10年債利回りは10時17分時点で4.956%と、前日の4.952%からほぼ動いていない。株高と債券安が同時に進む「選挙後の素直な反応」には、まだなっていない。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 11月5日 6時 | 米国市場の引け | 寄り付き1時間の勝敗が引けまで続くか |
| 11月5日 朝 | クアルコム、アーム、アップラビンの決算 | 半導体の中の勝ち負けがさらに割れるか |
| 11月5日 13時55分 | トヨタ自動車の4〜9月期決算 | 円安の寄与と中国事業 |
| 11月5日 21時 | 英中銀の政策金利発表 | ポンドと世界の金利 |
| 11月6日 22時30分 | 米10月雇用統計 | ADPの8万6,000人増と整合するか |
4日の東京市場の値動きは米中間選挙とAI株の記事に、大引け後に開示が相次いだ日本株はPTSの記事に、選挙を受けた為替の動きはユーロドル見通しにまとめている。
主な参照
- 株価・指数の気配値(米東部時間11月4日10時31〜33分)/ナスダック、ヤフーファイナンス
- ノボノルディスクの1〜9月期決算(会社発表第65号)/米証券取引委員会(提出書類)
- マクドナルドの7〜9月期決算/米証券取引委員会(提出書類)
- CVSヘルスの7〜9月期決算と通期見通し/米証券取引委員会(提出書類)、340Bをめぐる指摘はバロンズ
- 米10月のADP民間雇用/ADP、市場予想はストリートインサイダー
- 米10月のISMサービス業景況指数(54.5%、9月は54.9%)/米サプライマネジメント協会、市場予想はinvestingLive
データ基準日:2026年11月4日の米東部時間10時31〜33分(日本時間5日0時31〜33分)。株価と指数はいずれも取引時間中の気配値で、終値ではない。寄り付き1時間の勝敗はこの時点の値によるもので、引けまでに入れ替わる可能性がある。ノボノルディスクの株価は米国預託証券(ADR)で、デンマーク市場の本体株とは値動きが異なる。CVSヘルスの下落理由について、本稿執筆時点で会社の説明や確定的な報道は確認できていない。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。












