10月21日、東京市場の寄り付き1時間の番付を発表する。東の横綱はイビデン、4.43%高で電子部品・半導体の上げを先導した。西の横綱は太陽誘電で3.88%高。一方、寄り付き直後に5%超上げたキオクシアホールディングスは2.59%高まで失速した。土俵際で踏ん張れず負け越したのは自動車株で、トヨタ自動車は0.26%安、ホンダは0.42%安と、全面高の中で逆行した。
日経平均は10時01分時点で6万4,772円03銭、前日比696円61銭高(+1.09%)。寄り付きは810円53銭高の6万4,885円95銭で、その後に上げ幅は一時1,329円21銭まで広がった。そこから632円60銭を吐き出し、最大の上げ幅のおよそ半分を手放した。TOPIXは4,051.79、42.58ポイント高(+1.06%)。前日の841円安に対しては、8割強を取り返した位置である。きっかけは、東京が閉じていた間に米国で出た宇宙企業スペースXの決算だった。人工知能(AI)関連の売上高が前年同期の9倍超に膨らみ、上場後初の黒字を出した。前日まで東京を覆っていた「AIへの投資は回収できるのか」という不安が、ひとまず後退した。ただし買いは寄り付き直後に集中し、10時にかけては利益確定の売りに押されている。
寄り付き1時間の騰落率(10時01分時点、%)
読み方:電子部品と半導体が上位を占め、自動車とファーストリテイリングが逆行した。上位の銘柄も、寄り付き直後からは上げ幅を縮めている。出所:Google Financeの気配値(10時01分時点、取引時間中の値)。
寄り付き1時間の番付表
| 番付 | 銘柄 | 株価 | 前日比 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | イビデン(4062) | 9,573円 | +4.43% | ◎ |
| 西の横綱 | 太陽誘電(6976) | 9,448円 | +3.88% | ◎ |
| 東の大関 | ソフトバンクグループ(9984) | 4,712円 | +3.47% | ○ |
| 西の大関 | 村田製作所(6981) | 6,838円 | +2.94% | ○ |
| 東の関脇 | キオクシアHD(285A) | 13,480円 | +2.59% | ○ |
| 西の関脇 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) | 3,421円 | +2.09% | ○ |
| 小結 | アドバンテスト(6857) | 34,210円 | +1.00% | △ |
| — | (以下、負け側) | |||
| 東の幕下 | トヨタ自動車(7203) | 3,094円 | -0.26% | × |
| 西の幕下 | ファーストリテイリング(9983) | 75,060円 | -0.40% | × |
| 東の三段目 | ホンダ(7267) | 1,796円 | -0.42% | × |
この表の読み方は一つだ。上位は電子部品と半導体、つまり前日まで売られていた銘柄の買い戻しである。キオクシアは20日に本誌が決算プレビューで取り上げたとおり高値から大きく下げていた。下げた分だけ戻りも大きい。一方で、指数への影響が大きいファーストリテイリングは0.40%安で、上げに加わっていない。
東の横綱・イビデン——◎
9,573円、4.43%高。半導体パッケージ基板を手がける同社は、AI向けの高性能半導体の需要に最も素直に反応する銘柄の一つである。前日はデータセンター関連株に逆風が吹き、韓国のエリスの上場初日の急落も重なった。その流れが、スペースXの決算で1日で反転した。判定は◎。材料と値動きの向きが、この日いちばん素直にそろった一番である。
東の関脇・キオクシア——○(ただし失速)
13,480円、2.59%高。記憶用半導体(メモリー)の大手で、AI向けデータセンターの投資が続くかどうかに業績が直結する。スペースXの決算資料によれば、7〜9月期のAI部門(同社は「スーパー・インテリジェンス」と呼ぶ)の売上高は75億6,000万ドルで、前年同期の8億1,300万ドルから約9.3倍になった。AIに巨額を投じる企業が、その投資で稼ぎ始めたことを数字で示した形だ。メモリーの買い手が増えるという連想が、寄り付き直後のこの銘柄に強く働いた。9時47分には5.48%高の1万3,860円まで買われていた。それが10時過ぎには上げ幅を半分以下に縮めている。前日まで大きく売られていた銘柄だけに、戻り売りも待ち構えていた。判定は○にとどめる。
大関・ソフトバンクグループ——○
4,712円、3.47%高。前日は寄り付き1時間で日経平均の下げの約3割を1銘柄で作った銘柄である。この日は逆に、上げの担い手に回った。米オープンAIなどへの投資を通じてAI相場の浮き沈みをそのまま受ける構造は変わらない。判定は○。前日の負けを取り返しただけで、勝ち越しを決めたわけではない。値幅の大きさは、AIへの期待と不安が日替わりで入れ替わる今の相場をそのまま映している。
負け越し・自動車株——×
トヨタ自動車は3,094円で0.26%安、ホンダは1,796円で0.42%安。東証の33業種では、輸送用機器が−0.18%、ゴム製品が−0.55%と下げた。全33業種のうち下げたのは11業種で、最も下げたのは小売業の−0.68%だった。原因は米国にある。米ゼネラル・モーターズ(GM)は20日、7〜9月期の利益が市場予想を上回り、200億ドルの自社株買いも発表した。それでも株価は6.84%安の77.09ドルで引けた。株探(MINKABU PRESS)は、GMの電話会見で鉄鋼などの資材や物流のコストが直近で急に上がったとの認識が示されたと伝えている。北米で稼ぐ日本の自動車大手にも、同じ費用の波が押し寄せるという連想が売りを呼んだ。判定は×。決算が良くても売られた米国の一番が、そのまま東京に持ち込まれた。
殊勲賞・スペースX——場所の流れを決めた
この日の勝敗を決めたのは、東京の土俵にいない力士だった。スペースXが米証券取引委員会に提出した資料によれば、7〜9月期の売上高は145億7,500万ドルで前年同期比161%増。営業損益は前年同期の2億7,300万ドルの赤字から27億9,100万ドルの黒字に転じ、純利益は44億400万ドルだった。人工衛星通信のスターリンクを含む通信部門は52億4,800万ドルで69%増、ロケット打ち上げなどの宇宙部門は17億6,700万ドルで6%増。売上高の半分以上を、AI部門が稼いだことになる。
株価は20日の通常取引を147.79ドルで終えたあと、時間外取引で159.70ドル(8.06%高、日本時間21日9時30分時点)まで上げた。ロイター通信などによれば、イーロン・マスク氏はテスラとの合併を「良い考えだ」と述べ、両社が検討のための委員会を設けたと明らかにした。テスラ株も時間外で1.80%高の380.45ドルをつけている。
敢闘賞・銀行株
業種別の上昇率の首位は精密機器で+2.90%、2位は非鉄金属で+2.49%、銀行業も+2.26%と3位に入った。三菱UFJフィナンシャル・グループは3,421円で2.09%高。日本経済新聞は前日の東京の下げについて、クレジット不安の広がりを挙げていた。本誌は19日に米銀行株の6週続落を取り上げた。20日のダウ平均は1.02%高と大きく上げており、その流れが金融株の買い戻しにつながったとみられる。ただし、銀行株の上げを直接説明する新しい材料は確認できていない。判定は○にとどめる。
場外——円と貿易収支
ドル円は10時01分時点で158.26円と、朝方の158円10銭台から小じっかり。8時50分に財務省が発表した9月の貿易収支は5,365億円の赤字で、ロイター通信によれば市場予想より赤字幅が大きかった。2026年度上半期の貿易赤字は2兆8,184億円である。円安を後押しする材料ではあるが、この日の相場への影響は限られた。ドル円の水準の見方はけさの見通し記事にまとめている。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 10月21日 15時 | 英国の9月消費者物価指数 | 英利上げ観測とポンド |
| 10月21日 23時30分 | 米エネルギー情報局の週間石油在庫統計 | 原油の反落が続くか |
| 10月22日 5時30分 | 米メタの決算説明会(決算は21日の米国市場の終了後) | AIへの設備投資の規模 |
| 10月22日 6時30分 | 米テスラの決算説明会(決算は21日の米国市場の終了後) | スペースXとの合併検討への言及 |
| 10月23日 8時30分 | 9月の全国消費者物価指数 | 日銀の12月利上げの確度 |
| 10月29〜30日 | 米連邦公開市場委員会と日銀の金融政策決定会合 | 日米の次の一手 |
前日の寄り付き1時間の番付は741円安の記事に、前日の大引けは841円安の記事にまとめている。決算後のネットフリックス株の急落はこちらで扱った。
主な参照
- 日経平均の始値・高値・安値/株探、東証33業種別の騰落/株探
- 個別銘柄・指数・ドル円の気配値、米国株の終値と時間外の値/Google Finance
- 自動車株の逆行安とGMの電話会見の内容/株探(MINKABU PRESS)
- スペースXの2026年7〜9月期決算/米証券取引委員会(2026年10月20日提出)
- マスク氏のテスラとの合併に関する発言/ロイター、ウォール・ストリート・ジャーナル(いずれも2026年10月20日)
- GMの決算と自社株買い/CNBC、ロイター(2026年10月20日)
- 9月の貿易収支と上半期の貿易赤字/財務省、ロイター(2026年10月21日)
データ基準日:2026年10月21日10時01分時点の東京市場(取引時間中の値で、終値ではない)。Google Financeと株探の気配値は配信の遅れを含み、取引所の公表値と数分の差がある。上げ幅の最大値は株探の日中高値(10時01分時点まで)から本誌が計算した。米国株の値は20日の米国市場の終値と、日本時間21日朝の時間外取引の気配値である。スペースXとテスラの合併の検討はマスク氏の発言にもとづくもので、両社が正式に合意したものではない。銀行株の上げの理由は本誌の推測を含む。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















