10月20日の東京市場は、取引開始から1時間で売りが広がった。日経平均株価は10時時点で前日比741円39銭(1.14%)安の6万4,175円31銭である。米国のハイテク株は前日に反発したが、東京の半導体株には買いが続かなかった。寄り付き1時間の動きを、5つの要点に絞って整理する。数字は断りのない限り取引時間中の値で、終値ではない。
- 指数:日経平均は10時に741円安。シカゴ先物が示した水準より約530円低い。
- 主役:ソフトバンクグループ1銘柄で212円78銭を押し下げた。下げ幅の約29%にあたる。
- 半導体:米SOX指数は1.61%高だったが、東京エレクトロンとキオクシアは下げた。
- 広がり:プライムの値下がりは1,134銘柄で、値上がりの約3倍。上げたのは33業種中6業種だけだ。
- 個別:上方修正銘柄と情報セキュリティ関連にストップ高が出た。不正アクセスを公表した銘柄は売られた。
要点1:シカゴ先物より530円深い下げ
結論:朝の想定より売りが強い。株探によると、10時時点の日経平均は6万4,175円31銭だった。前日19日の終値は6万4,916円70銭である。
根拠:シカゴの日経平均先物(円建て)は19日、大阪の終値比275円安の6万4,705円で終えていた。10時の日経平均はこれより約530円低い。TOPIX(東証株価指数)は10時5分に39.80ポイント(0.98%)安の4,027.68だった。下げは日経平均より小さい。
| 指標 | 水準 | 前日比 | 時点 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 64,175.31円 | −741.39円(−1.14%) | 10時(取引時間中) |
| TOPIX | 4,027.68 | −39.80(−0.98%) | 10時5分(取引時間中) |
| 日経平均の前日終値 | 64,916.70円 | −407.59円 | 19日終値 |
| シカゴ日経平均先物(円建て) | 64,705円 | 大阪終値比−275円 | 19日終値 |
| 東証プライム騰落 | 値上がり366/値下がり1,134 | 変わらず47 | 10時(取引時間中) |
| 米SOX指数 | 11,316.34 | +1.61% | 19日終値 |
意味:フィスコは朝の時点で、日経平均のボリンジャーバンドの-1σ(6万4,230円前後)を下値の目安に挙げていた。10時の水準はこれをわずかに下回る。目安の線で踏みとどまれるかが、前場の後半の焦点になる。
次:11時30分の前引けで、6万4,230円を回復しているかを見る。前日の大引けの経緯は19日の大引けの記事にまとめた。
要点2:ソフトバンクG、1銘柄で212円
結論:指数の下げの約3割は1銘柄が作った。株探の集計では、ソフトバンクグループ(9984)の押し下げは212円78銭で首位だった。日経平均の下げ幅741円39銭の28.7%にあたる。
日経平均への寄与度(10月20日10時、円)
読み方:押し下げ上位5銘柄の合計は435円62銭で、10時の下げ幅741円39銭の58.8%にあたる。押し上げはファーストリテイリングの62円30銭が突出し、2位以下は10円に届かない。出所:株探(10時0分7秒時点の集計、取引時間中)。
根拠:ソフトバンクGの株価は10時5分に4,587円で、前日比258円(5.33%)安だった。前日19日には、同社が米警備大手アライド・ユニバーサルの買収を検討していると報じられた。報道によると規模は最大4.7兆円である。
意味:ただし、20日の下げの理由を示す会社の新たな発表は、10時時点で確認できない。買収報道と下げを結びつけるのは推測の域を出ない。株価は前日までの8営業日で25%下げており、下げ止まりの兆しはまだ見えない。経緯は8営業日で25%安の記事にある。
次:会社が報道に対してコメントを出すかどうか。出せば、値動きの理由がはっきりする。
要点3:SOX高でも半導体は買われず
結論:米国の半導体株の反発は、東京に伝わらなかった。米SOX指数は19日に1.61%高の1万1,316.34で終え、9営業日ぶりに上げた。それでも東京の主力は10時5分の時点で軒並み安い。
根拠:東京エレクトロン(8035)は1.74%安の1万170円で、押し下げは93円55銭だった。キオクシアホールディングス(285A)は2.35%安、ディスコ(6146)は1.35%安である。アドバンテスト(6857)は0.17%安とほぼ横ばいだった。フジクラ(5803)は5.02%安、京セラ(6971)は4.05%安と、データセンター関連の下げが目立つ。
意味:フィスコは朝、半導体株に「自律反発狙いの買い」が入りやすいと見ていた。10時の時点では、その見方は外れている。前週の「コアウィーブ・ショック」以来、AI投資への警戒は解けていない。米コアウィーブ株の現状はけさの記事で扱った。
次:22日のディスコから主力の決算が始まる。日程と過去の反応は半導体決算5社のプレビューにまとめた。
要点4:値下がり1,134、上げは6業種だけ
結論:今回は一部の値がさ株だけの下げではない。19日の大引けは日経平均が下げてもTOPIXは小幅高だった。20日は両指数がそろって下げている。
根拠:10時時点の東証プライムは、値上がり366、値下がり1,134、変わらず47だった。33業種で上げたのは6業種である。首位は鉄鋼で、その他製品、水産・農林、小売が続いた。値下がりの上位は非鉄金属、ガラス・土石、海運だった。
意味:押し上げの首位はファーストリテイリング(9983)で62円30銭だった。株価は10時5分に1.29%高の7万4,800円である。2位のコナミグループは9円27銭にとどまる。指数を支えたのは、事実上この1銘柄だった。
次:前場の値下がり銘柄数が1,000を下回るか。下回れば、売りが値がさ株に絞られてきた合図になる。
要点5:上方修正とセキュリティ株にS高
結論:地合いが悪くても、材料のある銘柄には買いが入った。株探によると、寄り付きのストップ高は5銘柄(気配、一時を含む)で、ストップ安はなかった。
根拠:シライ電子工業(6658)は、今期の経常利益予想を8億円から16億円に引き上げ、配当も増やした。リネットジャパングループ(3556)は3社との資本業務提携を発表した。ユビキタスAI(3858)、ショーケース(3909)、アズジェント(4288)は情報セキュリティ関連として買われた。
意味:逆に、不正アクセスを公表した銘柄は売られた。ユミルリンク(4372)は約900万件の情報の持ち出しを公表し、9時7分時点で6.1%安だった。情報漏えいの公表が続く中で、守る側の銘柄に資金が向かった形である。
次:テーマ株は値動きが荒い。ショーケースとアズジェントは前日まで2日連続のストップ高で、利益確定の売りが出やすい位置にある。
30秒まとめ:日経平均は10時に741円安と、シカゴ先物の示唆より深く下げた。下げの約3割はソフトバンクG、残りは半導体とデータセンター関連が作った。次の節目は前引けの6万4,230円と、15時の英国の雇用統計である。
このあとの予定は次のとおり。11時30分に前場が終わる。15時に英国の失業率(6〜8月)、21時30分に米国の9月の住宅着工件数が発表される。いずれも日本時間である。
主な参照
- 10時の日経平均、寄与度、騰落銘柄数、業種別/株探
- シカゴ日経平均先物の19日終値/株探
- 前場の見通し、ボリンジャーバンドの水準、米SOX指数の終値/株探(フィスコ)
- 寄り付きの材料株、ストップ高銘柄/株探、株探
- ソフトバンクGの米警備大手買収検討の報道/株探、日本経済新聞
- TOPIXと個別株の10時5分の株価/Yahoo!ファイナンス
- SOX指数の8営業日続落と反発/Investrade
- 英米の経済指標の予定/株探(フィスコ)
アイキャッチ写真:「Tokyo Skyline」Andreas Bunen撮影(Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0)。画像はトリミングしている。
データ基準日:2026年10月20日10時5分(日本時間)。日経平均、寄与度、騰落銘柄数、業種別の順位は株探の10時時点(10時0分7秒)の集計で、取引時間中の値である。TOPIXと個別株は Yahoo!ファイナンスの10時5分のリアルタイム株価で、日経平均とは時刻が5分ずれる。ユミルリンクは9時7分時点の値である。シカゴ先物と米SOX指数は19日の終値である。寄与度の集計は情報ベンダーにより差がある。ソフトバンクGの買収検討は報道に基づくもので、会社は買収を発表していない。同社の20日の下げの理由は、本稿執筆時点で特定できていない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。













