今週後半の決算番付を発表する。東の横綱はソニーグループ、過去8回の決算のうち6回で翌日に株価が上がった。西の横綱は任天堂で、会社予想と市場予想の差がいちばん大きい。土俵際に立つのはクアルコムで、過去8回のうち7回、決算の翌日に下げている。日本時間5日朝のクアルコム、アーム、アップラビンから、同日午後のトヨタ自動車、そして任天堂とソニーまで、日本時間5日の1日で6社が土俵に上がる。
番付は、決算翌日に株価が上がる確率を本誌が見積もって並べた。土台にしたのは各社の過去8回の決算後の値動きで、そこに会社予想と市場予想の差、株価の位置を加味した。確率は本誌の見立てで、計算式から出したものではない。勝ち越しが見込める順に並べている。
決算翌日の上昇確率(本誌の見立て、%)
読み方:確率は過去8回の決算後の値動きに、会社予想と市場予想の差、株価の位置を加味した本誌の見立て。出所:ヤフーファイナンスの日足から本誌計算。
番付表——上昇確率と過去の勝敗
| 番付 | 銘柄 | 発表(日本時間) | 過去8回の勝敗 | 平均の値幅 | 上昇確率 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | ソニーグループ(6758) | 11月5日 | 6勝2敗 | 5.37% | 60% | ◎ |
| 西の横綱 | 任天堂(7974) | 11月5日 | 5勝3敗 | 5.79% | 55% | ○ |
| 東の大関 | トヨタ自動車(7203) | 11月5日13時55分 | 5勝3敗(2日間) | 1.82% | 50% | △ |
| 西の大関 | アップラビン(APP) | 11月5日朝(米4日引け後) | 6勝2敗 | 17.57% | 50% | △ |
| 東の関脇 | アーム(ARM) | 11月5日朝(米4日引け後) | 3勝5敗 | 6.44% | 45% | △ |
| 西の関脇 | クアルコム(QCOM) | 11月5日朝(米4日引け後) | 1勝7敗 | 6.28% | 35% | × |
この表の読み方を一つだけ書いておく。平均の値幅が大きい銘柄ほど、確率が五分でも損益の振れは大きい。アップラビンの平均17.57%はトヨタの約10倍である。同じ△でも、土俵の広さがまるで違う。
東の横綱・ソニーグループ——◎
過去8回の決算の翌日は6勝2敗、平均3.36%の上昇だった。決算で買われやすい力士である。会社は今期(2027年3月期)の税引前利益を1兆7,100億円と見込む。これに対し、株予報に載る市場予想は1兆7,860億円で、会社予想より4.4%高い。4〜6月期の税引前利益は4,775億円で、通期予想に対する進み具合は27.9%だった。
焦点は、会社が予想を引き上げるかどうかだ。市場予想が会社予想を上回っている以上、据え置きなら物足りなさが出る。それでも◎としたのは、株価が52週高値から15.6%下にあり、期待が過熱していないからだ。11月4日の終値は3,933円。上昇確率は60%と置く。
西の横綱・任天堂——○
過去8回は5勝3敗。ただし直近では2月に10.98%安、5月に8.44%安と大負けが続き、8月に5.26%高で持ち直した。会社予想と市場予想の差はこの番付でいちばん大きい。会社は今期の税引前利益を4,300億円と見込むが、株予報の市場予想は5,938億円である。4〜6月期の税引前利益は2,062億円で、すでに通期予想の約48%に達した。
上方修正はほぼ織り込まれているとみてよい。勝負どころは、ニンテンドースイッチ2の年間販売計画1,650万台に対する進み具合と、メモリー価格の高止まりが利益をどれだけ削るかだ。4〜6月期には関税の還付による一時的な利益が約3億ドル含まれていたと報じられており、その分を差し引いて見る必要がある。株価は年初から19.6%安と、期待はすでに一度しぼんでいる。上昇確率は55%で○。
東の大関・トヨタ自動車——△
時事通信によると、トヨタは4〜9月期の決算を11月5日13時55分に開示する。取引時間中の発表なので、反応は5日の大引けまでの約1時間半と、翌6日に分かれる。過去8回を発表前日の終値から翌営業日の終値までの2日間で見ると5勝3敗、平均の値幅は1.82%と小さい。大型株らしい、動きの少ない相撲を取る。
会社は今期の税引前利益を4兆5,700億円と見込み、株予報の市場予想は5兆2,600億円。ここでも市場は上方修正を待っている。日本経済新聞は、中国での販売の苦戦をハイブリッド車の堅調さで補えるかが焦点と伝えた。円相場は1ドル158円台で、会社の想定より円安なら利益の上振れ材料になる。ただし上方修正への期待が株価にどこまで入っているかは読み切れない。上昇確率は50%、判定は△とする。
米国の3番——アップラビン、アーム、クアルコム
米国の3社は、いずれも米国時間4日の取引終了後に発表する。米国は11月1日に冬時間に切り替わり、日本との時差は14時間になった。米東部時間16時の引けは日本時間の翌朝6時にあたる。決算説明会はクアルコムが日本時間6時45分、アームとアップラビンが7時からだ。発表時刻を自分の予定に置き換えて確かめたいときは、タイムゾーン変換ツールが手早い。株価の反応が本番を迎えるのは、日本時間5日23時30分からの米国の通常取引である。
西の大関・アップラビン——△
過去8回は6勝2敗で、勝率なら横綱級だ。だが負けた2回はいずれも19%台の大負けで、直近3回のうち2回である。会社は7〜9月期の売上高を20億5,500万〜20億8,500万ドルと見込み、調整後EBITDAの利益率は83%とした。市場予想の売上高は20億7,000万ドル。広告主の受け入れを広げてから最初の四半期で、その成果が問われる。株価は52週高値から66.5%安い。オプション市場は上下15〜18%前後の値動きを織り込んでいる。上昇確率50%の△だが、土俵の広さはこの番付で最大である。
東の関脇・アーム——△
日本の投資家にとっては、ソフトバンクグループの株価を通じて効いてくる銘柄だ。過去8回は3勝5敗。株価は年初から85.2%高い一方、この1カ月で34.1%下げた。7〜9月期について会社が示した売上高見通しは13億8,000万ドル前後と報じられており、市場予想とほぼ同じである。ロイヤルティー収入の伸びはスマートフォンの弱さで小幅にとどまる見通しで、データセンター向けがどこまで補うかが焦点になる。上昇確率は45%。ソフトバンクグループの決算の見どころはこちらの記事で整理した。
西の関脇・クアルコム——×
過去8回で1勝7敗。唯一の勝ちは4月の15.12%高だった。会社は7〜9月期の売上高を97億〜105億ドル、調整後の1株利益を2.05〜2.25ドルと見込む。市場予想は1株利益2.16ドル、売上高101億4,000万ドルで、会社予想の中央に近い。アップル向けの通信用半導体の取引が想定より早く減るという7月の見通しが、まだ重しになっている。オプション市場は上下9〜10%前後の値動きを織り込む。株価は52週高値より33.9%安く、悪材料の多くは出ているとの見方もできる。それでも決算翌日の負け癖を重くみて、上昇確率35%の×とする。
殊勲賞の候補——市場予想と会社予想の差
番付とは別に、日本の3社に共通する点を記録しておく。3社とも、市場予想が会社予想を上回っている。差はトヨタが15%、任天堂が38%、ソニーが4.4%だ。つまり3社とも、上方修正は「出て当然」の扱いになっている。修正の幅が市場予想に届かなければ、増額でも売られる。殊勲賞は、市場予想まで一気に引き上げた会社に贈る。今朝のAMDの決算のように、時間外で買われても翌日の東京で半導体株が売られる例もある。決算の数字と株価の向きは、必ずしも一致しない。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見どころ |
|---|---|---|
| 11月5日 6時ごろ〜7時 | クアルコム、アーム、アップラビンの決算と説明会 | 時間外の値動き |
| 11月5日 13時55分 | トヨタ自動車の4〜9月期決算 | 通期予想の修正幅 |
| 11月5日 | 任天堂、ソニーグループの4〜9月期決算 | スイッチ2の販売、上方修正 |
| 11月5日 23時30分〜 | 米国株の通常取引 | 米国3社の本番の反応 |
| 11月6日 9時〜 | 東京市場 | 任天堂とソニーの反応、アームを受けたソフトバンクG |
| 11月10日 | ソフトバンクグループの決算 | アーム株の評価の反映 |
主な参照
- 株価の日足(過去の決算反応の計算)/ヤフーファイナンス
- クアルコムの会社見通し(7月29日の決算資料)/米証券取引委員会
- アップラビンの会社見通し(8月5日の決算資料)/米証券取引委員会
- アームの決算発表日/アーム
- トヨタの開示時刻/時事通信
- 任天堂の決算発表日/任天堂
- 日本3社の会社予想/株探(トヨタ)、株探(任天堂)、株探(ソニーG)
- 日本3社の市場予想/株予報(トヨタ)、株予報(任天堂)、株予報(ソニーG)
- 任天堂の4〜6月期の一時的な利益/ゲームビジネス
データ基準日:2026年11月4日20時(日本時間)。株価は米国株が11月3日、日本株が11月4日の終値。過去の決算反応はヤフーファイナンスの配当調整後終値から本誌が計算したもので、ほかの情報源の数値とは差が出ることがある。米国株の市場予想はヤフーファイナンスの集計(11月4日時点)、日本株の市場予想は株予報の集計で、集計日は明示されていない。アームの会社見通しは報道にもとづき、同社の資料本文は確認できていない。アップラビンの発表が取引終了後であることは同社の過去の慣行から判断した。オプション市場が織り込む値動きは、11月3日時点のオプション価格から本誌が試算した値と報道の値の幅で示した概数。任天堂の一時的な利益約3億ドルは報道による。上昇確率と判定は本誌の見立てであり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















