石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどでつくるOPECプラスの有志7カ国は11月1日、12月の生産目標を据え置くと決めた。据え置きは3カ月連続で、7カ国の目標は合計で日量約3,100万バレルのままである。週明け2日のアジア時間、ニューヨーク原油先物(WTI)の12月限は日本時間11時41分に1バレル101.20ドルと、10月30日の清算値104.12ドルから2.80%下げた。
据え置き自体は事前の報道どおりだった。原油を押し下げたのは、米国とイランの協議が続いているとの報道である。ロイターは2日、イラン戦争の終結に向けた協議の継続を受けて原油が1%超下げたと伝えた。ホルムズ海峡は2月28日の米イラン間の戦闘開始以来、事実上閉ざされたままだ。
主要数値
| 項目 | 数値 | 比較 | 時点・出所 |
|---|---|---|---|
| WTI 12月限 | 101.20ドル | 10月30日清算値104.12ドル比 −2.80% | 11月2日11時41分(日本時間)、取引時間中/CME(Yahoo Finance経由) |
| WTI 2日の高値/安値 | 102.75ドル/100.98ドル | 値幅1.77ドル | 同上 |
| 北海ブレント 期近 | 110.52ドル | 12月限は10月30日に最終取引日を迎え、117.64ドルで終了 | 11月2日11時41分、取引時間中/ICE(Yahoo Finance経由)、The National |
| OPECプラス有志7カ国の12月目標 | 日量約3,101万バレル | 9〜11月と同水準 | 11月1日決定/The National |
| 2022年からの減産 | 日量約200万バレル | 2026年末まで継続 | 同上 |
| 2023年の自主減産 | 日量165万バレル | 9月に解除を完了 | 同上 |
| ホルムズ海峡周辺の商船攻撃 | 10月に少なくとも35件 | 戦闘開始以来で月間最多 | The National |
| 次回会合 | 11月29日 | 月1回の見直しを継続 | 同上 |
OPECプラス有志7カ国の12月の生産目標(万バレル/日)
読み方:7カ国の合計は日量約3,101万バレルで、9〜11月と同じ水準に据え置かれた。サウジアラビアとロシアで約66%を占める。大半の加盟国は戦争の影響で実際の生産量が目標を下回っている。出所:The National(11月1日)、合計は本誌計算。
7カ国の内訳はサウジアラビアが日量1,047.8万バレルで最大、ロシアが994.9万バレルで続く。この2カ国で合計の66%を占める。イラク443.1万バレル、クウェート267.6万バレル、カザフスタン162.8万バレル、アルジェリア100.7万バレル、オマーン84.1万バレルである。
背景:目標と実際の生産量の差
目標は据え置かれたが、実際の生産量は目標を下回っている。The Nationalによると、戦争の影響で大半の加盟国が目標に届いていない。ペルシャ湾岸の産油国は、ホルムズ海峡を通る輸出が細ったままだ。ブルームバーグは、10月に海峡経由の出荷が増え、サウジアラビアの紅海側の輸出経路も伸びたと伝えたが、湾岸の加盟国の生産は依然として制約を受けているとした。
このため、目標の据え置きは供給量の判断というより、2027年の枠組みを決める前の様子見の性格が強い。OPECプラスは加盟国の生産能力の見直しを進めており、その結果を2027年の生産枠に使う。ロイターは、2027年の扱いが難しい判断になると報じている。供給の上限を決める議論と、実際に船で運べる量の議論が、別々に進んでいる状態である。
関係者の発言
7カ国は会合後の声明で、協力宣言の「完全な順守」に向けた共同の決意を改めて表明した(The National)。12月の生産量は「2026年9月の必要生産量を維持する」とした。新たな増産の日程は示さなかった。
日本では赤沢亮正経済産業相が2日、米国は原油の代替調達先として重要だとの認識を示し、中間選挙の結果を注視すると述べた(ロイター)。ホルムズ海峡の閉鎖が長引くなか、中東以外からの調達をどこまで増やせるかが、日本の政策課題として残っている。
市場の反応
WTIは10月30日に104.12ドルで週を終えていた。The Nationalによると、同日のブレントは2.4%高の117.64ドルで、一時118ドルに達した。ブレントは4カ月続伸で、6カ月ぶりの高値だった。週明けのWTIは102.75ドルで始まった後、101ドル台に下げた。2日の安値100.98ドルは、100ドルの節目まで1ドル足らずの水準である。
10月の動きを期近ベースで見ると、WTIは9月30日の90.42ドルから10月30日の104.12ドルまで13.70ドル上げた。上昇率は15.2%である。ただし、この間に期近は11月限から12月限に切り替わっており、限月をまたいだ比較である。前週末までの上げの経緯は吸着機雷の記事とブレント116ドルの記事で扱った。
ほかの商品市場の動きは小さかった。金先物は11時41分に1オンス3,916.2ドルで、10月30日の3,899ドル前後から小幅高。米国の天然ガス先物は2.902ドルで横ばいだった。
WTIの水準と意味
| 水準 | 根拠 | 到達した場合に確認すべき材料 |
|---|---|---|
| 104.12ドル | 10月30日の清算値 | 協議の決裂報道、海峡周辺での新たな攻撃 |
| 102.75ドル | 11月2日の高値 | 同上 |
| 100.98ドル | 11月2日の安値(日本時間11時41分まで) | 協議の進展報道 |
| 100ドル | 心理的な節目 | 海峡の通航再開に関する具体的な日程 |
| 99.90ドル | 10月27日の清算値(直近1週間の最安値) | 米週間在庫統計の積み増し |
日本の消費者への波及では、ガソリン補助金が12月から月5円ずつ縮小される日程が決まっている。原油高と補助縮小が重なる場合の店頭価格は、ガソリン補助の記事で試算した。
今後の日程
- 11月3日(火):米中間選挙の投票。開票は日本時間4日朝から
- 11月5日(木)0時30分(日本時間):米エネルギー情報局(EIA)の週間石油在庫統計。米国の夏時間終了で、10月より1時間遅い
- 11月6日(金)22時30分(日本時間):米10月雇用統計
- 11月29日(日):OPECプラス有志7カ国の次回会合
主な参照
- OPECプラスの決定、国別目標、ホルムズ海峡の状況、10月30日のブレント/The National
- OPECプラスの決定と2027年の扱い/Bloomberg
- WTI・ブレントの先物価格/Yahoo Finance(CME・ICEのデータ)
- 米週間石油在庫統計の公表日程/米エネルギー情報局
- 原油の下落と米イラン協議、赤沢経産相の発言/ロイター(11月2日配信)
データ基準日:2026年11月2日 日本時間11時41分。WTI、ブレント、金、天然ガスの2日の値はいずれも取引時間中の値であり、終値ではない。10月30日の値は清算値である。ブレントの期近は10月30日に12月限から1月限に移った。米イラン協議の内容はロイターとブルームバーグの報道にもとづくもので、両政府の公式発表で確認できた内容ではない。7カ国の国別目標はThe Nationalの報道による。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品や銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。













