11月2日前場の番付を発表する。東の横綱は東京エレクトロン、1銘柄で日経平均を245円75銭押し上げた。西の序二段に落ちたのはキオクシアホールディングスで、13.29%安、126円72銭の押し下げである。指数は前週末比195円00銭安の6万3,095円11銭で前場を終えた。横綱が1人で稼いだ上げ幅より、残りの力士の負けの方が大きかったことになる。
中身はさらに厳しい。東証プライム市場の値上がりは444銘柄、値下がりは1,053銘柄、変わらずは48銘柄。値下がりが値上がりの2.4倍に達した。33業種のうち上げたのは9業種だけだ。3連休前の東京は、決算の勝ち負けで銘柄を選り分けながら、全体としては売りに押された。明日11月3日は文化の日で東京市場は休場、同じ日に米国では中間選挙の投票がある。前場の取組を一番ずつ見ていく。
日経平均への寄与度(11月2日前引け、円)
読み方:東京エレクトロンとアドバンテストの2銘柄で424円82銭を押し上げたが、指数は195円安で前場を終えた。出所:寄与度と指数は株探(11月2日11時31分配信)、騰落率はYahoo Financeの11時30分の株価と10月30日終値から本誌計算。
前場の番付表:寄与度で見た勝敗
| 番付 | 銘柄 | 11時30分の株価 | 前週末比 | 日経平均への寄与 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | 東京エレクトロン(8035) | 10,000円 | +5.11% | +245.75円 | ◎ |
| 西の横綱 | アドバンテスト(6857) | 35,690円 | +2.38% | +179.07円 | ◎ |
| 東の大関 | レーザーテック(6920) | 39,430円 | +4.59% | +23.33円 | ○ |
| 西の大関 | ファーストリテイリング(9983) | — | — | +13.75円 | ○ |
| 東の関脇 | 日本ガイシ(5333) | 5,007円 | +8.54% | +13.28円 | ○ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 西の序二段 | キオクシアHD(285A) | 11,680円 | −13.29% | −126.72円 | × |
| 東の三段目 | ソフトバンクグループ(9984) | 4,353円 | −2.86% | −103.56円 | × |
| 西の三段目 | SCREENホールディングス(7735) | 9,253円 | −18.65% | −57.23円 | × |
| 東の幕下 | リクルートHD(6098) | 18,670円 | −2.76% | −53.60円 | × |
| 西の幕下 | イビデン(4062) | 8,015円 | −4.12% | −46.39円 | × |
表の要点は二つある。一つ目は、上位2銘柄だけで424円82銭を押し上げたことだ。この2銘柄がなければ、前場の下げ幅は600円を超えていた計算になる。二つ目は、同じ半導体の土俵で勝ち負けがくっきり分かれたことだ。東京エレクトロンとアドバンテストが勝ち、キオクシア、SCREEN、イビデンが負けた。「半導体株」とひとくくりにして売り買いする局面は、少なくともこの日の前場では終わっていた。
東の横綱・東京エレクトロン:◎
5.11%高の1万円ちょうど。勝因ははっきりしている。同社は10月30日の取引終了後、それまで未定としていた2027年3月期の業績予想を初めて出した。売上高は前期比51.4%増の3兆7,000億円、純利益は50.6%増の8,650億円である。あわせて、取得総数2,500万株(自己株式を除く発行済み株式の1.1%)、総額1,500億円を上限とする自社株買いを11月1日から2027年3月31日まで実施すると発表した。中間配当は従来予想より31円多い415円で、10月1日の1対5の株式分割を考慮すると83円になる。
寄与度が大きいのは、日経平均が株価の高い銘柄ほど影響を受ける仕組みだからだ。5%の上昇で245円を動かす体格は、東証の中でも数えるほどしかいない。決算の中身は東京エレクトロン決算の記事で詳しく扱った。判定は◎。数字と還元策の両方で押し切った一番である。
西の序二段・キオクシア:×
13.29%安の1万1,680円で、下げ幅は1,790円。前場の高値は1万2,010円、安値は1万1,165円だった。会社が示した10〜12月期の見通しが嫌われた。売上高は2兆5,000億円、純利益は1兆3,600億円で、前年同期比ではそれぞれ4.6倍と15倍になる。ところが前の四半期と比べると、売上高は0.8%増、純利益は0.3%増にとどまる。MINKABU PRESSによると、純利益の市場予想は1兆6,000億円弱とされていた。フィスコは、非GAAPベースの営業利益見通し2兆円が、2兆3,000億円程度とみられていた市場予想に届かなかったと伝えている。
会社側は、10〜12月期の売り上げの一部が7〜9月期に前倒しになり、一部は1〜3月期にずれると説明している。つまり需要が消えたのではなく、計上の時期が動いたという説明だ。それでも株価は2営業日で大きく崩れた。10月29日の終値1万4,505円からの下落率は19.5%になる。判定は×。ただし、負けた理由が「需要の天井」ではなく「四半期の凹み」である点は覚えておきたい。決算の詳細はキオクシア決算の記事にまとめた。
殊勲賞・丸文、敢闘賞・SCREENの逆風
上昇率の土俵では、丸文(7537)がストップ高の2,180円で東証プライムの首位に立った。株探によると、10月30日に2027年3月期の営業利益予想を78億円から98億円へ引き上げ、年間配当予想も77円から100円に増やした。車載向け半導体の需要が想定を上回ったという。指数への寄与は小さいが、前場で最も鮮やかな一番だったので殊勲賞とする。
逆にSCREENは18.65%安と、主力級では最大の下げになった。フィスコによると、7〜9月期の営業利益は402億円で前年同期比82.0%増だったが、420億円程度とみられた市場予想に届かなかった。通期予想の1,565億円は据え置きで、上方修正を期待していた買い手が投げた形だ。増益でも売られる。今期の決算シーズンの東京では、この取組が何度も繰り返されている。
業種の土俵:上げたのは9業種だけ
株探の前引け集計では、値上がりの首位はガラス・土石製品で2.10%高。日本ガイシが業績予想の上方修正と増配で買われ、業種を押し上げた。続いて電気・ガス、食料品、小売が上げた。いずれも景気や半導体の波に左右されにくい業種である。値下がりの上位は倉庫・運輸関連、精密機器、非鉄金属だった。倉庫では三菱倉庫が買収に伴う費用で通期予想を引き下げ、大きく下げた。
11時の時点では値上がり513、値下がり976だった。前引けにかけて値上がりは69銘柄減り、値下がりは77銘柄増えた。前場の後半に、売りが広がったことになる。休場を挟む前に持ち高を軽くする動きと読むのが自然だろう。
注目株:後場と休場明けに見る2銘柄
一つ目はキオクシアである。2営業日で約2割下げ、売られ過ぎの領域に入りつつある。見るべき点は、前場の安値1万1,165円を後場に割り込むかどうかだ。割らずに引ければ、会社が示した「1〜3月期への後ずれ」を買い手が信じ始めたと読める。割り込めば、信用取引の買い手の投げがもう一段出やすい。
二つ目は東京エレクトロンだ。自社株買いは11月1日に始まったばかりで、枠は約5カ月ある。1万円の大台を終値で守れるかが、休場明けの4日に向けた目安になる。前場の高値は1万165円だった。両銘柄とも、休場中に米国で出る半導体関連の決算と、中間選挙の開票の影響を4日朝にまとめて受ける点には注意したい。
来場所の注目取組
- 11月2日(月)14時:日銀「経済・物価情勢の展望」の全文公表
- 11月2日(月)引け後:住友商事、京セラ、SBIホールディングスなど45社が決算を発表予定(株探)
- 11月3日(火):東京市場は文化の日で休場。米国で中間選挙の投票。展望は中間選挙の記事を参照
- 11月4日(水)9時:休場明けの東京市場。選挙の開票結果を織り込む最初の取引になる
- 11月6日(金)22時30分(日本時間):米10月雇用統計
主な参照
- 日経平均の前引け、寄与度、騰落銘柄数/株探
- 11時時点の騰落銘柄数/株探(MINKABU PRESS)
- 東京エレクトロンの通期予想と自社株買い/東京エレクトロン IR、株探
- キオクシアの10〜12月期見通し/キオクシアHD IR、株探(MINKABU PRESS)
- キオクシア、SCREENの市場予想との比較/株探(フィスコ)
- 丸文の業績修正/株探
- 個別株の株価(11時30分)/Yahoo Finance
データ基準日:2026年11月2日の東京市場の前引け(11時30分)。株価と指数はすべて取引時間中の値であり、終値ではない。前週末比は10月30日の終値を基準とする。寄与度の集計は情報ベンダーにより差がある。キオクシアとSCREENの「市場予想」は情報ベンダーの報道によるもので、本誌が独自に集計した数字ではない。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。













