木曜の夜に豪ドル円を買い持ちしていた向きは、ナスダックの引け値を見て肩を落としただろう。豪ドル円は5日、111.13円まで上げた後に109.16円まで売られた。日本時間6日7時43分には109.30円(取引中の値)で、4日の終値110.42円から1.01%安い。5日の引け値は過去3カ月で最も低い終値になった。
筆者の見立ては弱気だ。豪州準備銀行(RBA)が3日に利上げしたにもかかわらず、豪ドル円は株安の波に押し流された。金利差よりもリスク回避が勝つ地合いでは、まず10月14日の安値108.65円を試すとみている。撤退線は50日移動平均の110.98円、終値での上抜けである。
テープ:高値から2円の吐き出し
5日の値幅は111.13円から109.16円まで、ほぼ2円だった。下げを決めたのは米国株の急落である。5日のナスダック総合指数は5.52%安、S&P500は4.36%安。恐怖指数と呼ばれるVIXは16.61から28.18に跳ねた。半導体株の総崩れについては米国株寄り付きの記事で取引開始直後の様子を追っている。
同じ時間帯、豪ドルは対ドルでも0.7027ドルから0.6928ドルまで下げ、0.70ドルを割り込んだ。円は対ドルで0.50%上げている。豪ドル円の下げは、豪ドル安と円高の両方から来た。両方から叩かれる通貨ペアは、値幅が出やすい。
| 通貨ペア | 現在値 | 4日終値比 | 5日の値幅 |
|---|---|---|---|
| 豪ドル円 | 109.30円 | −1.01% | 109.16〜111.13円 |
| 豪ドル・ドル | 0.6934ドル | −0.49% | 0.6928〜0.7027ドル |
| ドル円 | 157.67円 | −0.50% | 157.53〜158.50円 |
需給:利上げの買いは、株安の投げに負けた
本来なら豪ドル円は買われてよい局面だった。RBAは3日、政策金利を0.25%引き上げて4.85%とした。日銀は10月30日に政策金利を1.25%程度で据え置いている。金利差は3.6%に開いた。円を借りて豪ドルで運用する、いわゆるキャリー取引には追い風のはずである。
ところが、RBAの利上げは割れた決定だった。採決は6対3で、3人が据え置きを主張した。声明は「インフレは高止まりし、幅広い品目に広がっている」としつつ、「景気は減速し、住宅価格は大きく下がり、失業率は上昇している」とも書いている。正直、これは追加利上げを約束する文面ではない。利上げの翌日以降、豪ドルの上値が重かったのはこのためだろう。
そこへ米国株の急落が来た。キャリー取引は、株が崩れると真っ先に巻き戻される。借りた円を買い戻す動きが円高を呼び、円高がさらに買い持ちの投げを呼ぶ。5日の2円の値幅は、その連鎖の初日とみている。銅先物が4日の6.403ドルから6.213ドルへ約3%下げたことも、資源国通貨の豪ドルには重しになった。
水準の地図
豪ドル円の水準地図(11月6日朝)
現在値は日本時間6日7時43分の取引中の値。移動平均はYahoo Financeの日足から本誌計算。目標と撤退線は筆者の見立て。
上から順に見る。200日移動平均は111.92円、50日移動平均は110.98円で、5日の高値111.13円は50日線をわずかに上抜けたところで売り戻された。戻り売りの壁は50日線だ。下は10月14日の安値108.65円が3カ月の底で、ここを割れると8月以降の値幅の下限を抜ける。日柄で見ても、10月14日の安値から3週間で再び同じ水準に迫っており、二番底を試す形になっている。
筆者の見立て:弱気、まず108.65円
根拠は3つある。第一に、5日の終値が3カ月で最も低く、50日線と200日線の両方を下回っている。トレンドは下向きだ。第二に、日経平均先物は大阪の夜間取引で5日の現物終値を約6%下回っており、東京の株安が円買いをもう一段呼ぶ可能性が高い。第三に、RBAの割れた決定で、金利差という買いの支えは見た目ほど厚くない。
短期の目標は108.65円、割れれば108円ちょうどまでの値幅を見る。中期、12月のRBA(7〜8日)と日銀(17〜18日)の会合までは、108〜111円の下半分での推移を本線とする。押し目買いは、108.65円で下げ止まりを確認してからで遅くない。
逆になったら:撤退線は110.98円
50日移動平均の110.98円を終値で上抜けたら、この見立ては外れたと認める。米雇用統計が弱く、米株が急反発するような展開なら、その可能性はある。その場合は5日の高値111.13円、続いて200日線の111.92円までの踏み上げを想定し直す。中途半端に粘るのが一番まずい。
為替介入の話は、この水準では材料になりにくい。片山さつき財務相は2日、為替市場の安定に向けて対応する用意があると述べたと報じられたが、焦点はドル円の円安方向だ。豪ドル円の円高方向で当局が動く理由は今のところ見当たらない。円の動きはドル円の記事も併せて見てほしい。
監視リスト
| 日時(日本時間) | 対象 | 見る水準・ポイント |
|---|---|---|
| 6日 9時 | 東京株の寄り付き | 日経平均先物の夜間終値5万7,400円に寄るか |
| 6日 取引時間中 | 豪ドル円 | 108.65円(10月14日安値)を割るか |
| 6日 22時30分 | 米10月雇用統計 | 市場予想は就業者数6.5万人増、失業率4.2% |
| 6日 夜 | VIX、ナスダック100先物 | VIXが28を超えて上がるか、落ち着くか |
| 12月7〜8日 | RBA理事会 | 6対3の割れ方が変わるか |
| 12月17〜18日 | 日銀金融政策決定会合 | 政策金利1.25%からの次の一手 |
豪ドルそのものの対ドルの見通しは、豪ドル・ドルの記事で扱った。0.70ドル回復は米ドル安頼みとみたが、5日はその0.70ドルを再び割り込んでいる。
主な参照
- RBAの11月3日の決定と声明、次回日程/豪州準備銀行、日程
- 日銀の10月30日の決定と次回日程/日本銀行、日程
- 11月5日の米国株の終値/AP通信(WTOP)
- 大阪取引所の夜間取引/株探
- 片山財務相の発言(11月2日)/ブルームバーグ
- 雇用統計の市場予想/ファクトセット
- 為替・銅先物の日足/Yahoo Finance
データ基準日:2026年11月6日7時43分(日本時間)。為替の現在値は取引中の値で、終値ではない。移動平均と3カ月の高値・安値はYahoo Financeの日足(グリニッジ標準時の日付区切り)から本誌が計算したもので、データ提供元により差が出る。片山財務相の発言は報道によるもので、発言の全文は確認できていない。見立て、目標水準、撤退線は筆者の判断であり、将来の相場を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の通貨の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















