11月6日の番付を発表する。東の序二段に落ちたのはソフトバンクグループ(SBG)、1銘柄で日経平均を348円70銭押し下げた。西の序二段はアドバンテスト、317円15銭の押し下げ。勝ち越したのは東証プライムの1,545銘柄のうち、わずか20銘柄だった。日経平均は前日比3,643円13銭安の5万7,434円77銭で引け、下げ幅は歴代3番目の大きさになった。
この終値には、もう一つの意味がある。6月25日の最高値(終値7万2,366円34銭)から20.63%安い。一般に「高値から2割安」は弱気相場の目安とされる。けさ本誌が日経平均、高値から2割安の線|5万7,893円で示したその線を、日経平均は終値で割り込んだ。取引時間中に割ったのではなく、引けで割った。この差は小さくない。
日経平均への寄与度(2026年11月6日、円)
出所:株探ニュースの集計(11月6日大引け)をもとに作成。日経平均はこの日3,643円13銭安で、押し下げ上位5銘柄の合計1,264円14銭は下げ幅の34.7%にあたる(本誌計算)。
番付表——勝者3、敗者3
| 番付 | 銘柄 | 終値 | 前日比 | 日経平均への寄与 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | ダイキン工業(6367) | 21,790円 | +1.51% | +10.96円 | ◎ |
| 西の横綱 | 太陽誘電(6976) | 6,674円 | +1.43% | +3.17円 | ○ |
| 東の大関 | SCREENホールディングス(7735) | 7,778円 | +0.19% | +0.40円 | △ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 西の幕下 | 東京エレクトロン(8035) | 8,263円 | −5.60% | −247.77円 | × |
| 東の序二段 | アドバンテスト(6857) | 28,015円 | −4.99% | −317.15円 | × |
| 西の序二段 | ソフトバンクグループ(9984) | 3,549円 | −10.83% | −348.70円 | × |
この表の読みどころは、前日との違いにある。5日は1,110円安のうち99%をアドバンテスト1銘柄が作った(5日の番付)。6日は違う。押し下げ上位5銘柄(SBG、アドバンテスト、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、リクルートHD)の合計は1,264円14銭で、下げ幅3,643円の34.7%にとどまる。残りの65%は、そのほかの銘柄が少しずつ削った分である。日経平均の構成225銘柄のうち、上げたのは3銘柄だけ。値がさ株の一番勝負ではなく、総当たり戦で全員が負け越した一日だった。
西の序二段・ソフトバンクグループ——×
10.83%安の3,549円。取引時間中には3,350円まで売られ、前日終値からの下落率は一時15.8%に達した。日本経済新聞は一時15%安を「1年3カ月ぶり安値」と報じている。押し下げ寄与は348円70銭で、この日の最大の敗者である。
SBGが売られる理屈は単純だ。保有資産の柱であるアームやAI関連の投資先は、AIデータセンター投資の勢いに価値が左右される。米中間選挙の翌日、米国では「AIデータセンターへの規制が強まる」との見方が広がった。MINKABU PRESSによれば、米10州で行われたデータセンター建設の是非を問う住民投票では、41カ所中40カ所で規制強化か建設禁止が可決された。投資の勢いが鈍るという連想は、まずSBGのような「AIの持ち株会社」に向かった。判定は×。言い訳の余地はない負け越しである。
東の序二段・アドバンテスト——×(ただし敢闘賞)
終値は4.99%安の2万8,015円。数字だけ見れば、前日の14%超安に比べておとなしい。だが取引時間中の安値は2万4,655円で、前日終値から一時16.4%安まで沈んでいる。株探によれば10時時点ではこの1銘柄で日経平均を847円89銭押し下げていたが、引けでは317円15銭まで縮んだ。安値から終値までに3,360円戻した計算になる。
判定は×だが、敢闘賞を贈る。土俵際で残った一番だからだ。日経平均自体も、取引時間中の安値5万6,745円81銭(下げ幅4,332円)から689円戻して引けている。その戻りの半分近くはアドバンテストの戻りで説明できる。逆に言えば、この銘柄の戻りが続かなければ、指数の戻りも続かない。
東の横綱・ダイキン工業——◎
1.51%高の2万1,790円、日経平均を10円96銭押し上げた。寄与度としては小さい。しかし225銘柄中222銘柄が負けた日に勝ち越したこと自体が番付の最上位に値する。空調は、データセンターを含む建物の冷却需要を受け止める事業だ。ただし本稿の執筆時点で、ダイキン工業の上昇理由を説明する会社側の発表は確認できていない。判定は◎。理由は地合いへの耐性であり、材料ではない。
西の横綱の太陽誘電(1.43%高)は、前日すでに大きく売られていた銘柄の買い戻しとみられる。値動きの背景は本誌の注目株:太陽誘電が逆行高、SBGは年初来安値で取り上げた。SCREENホールディングスは0.19%高の痛み分けで、取組としては引き分けに近い。
技能賞・食料品セクター——負けた理由が違う
東証33業種はすべて下げた。意外なのは下落率1位が半導体を含む電気機器ではなく、食料品だった点である。以下、石油・石炭、不動産、非鉄金属、証券・商品先物、その他製品と続いた(株探ニュース)。
食料品の下げを主導したのは日本たばこ産業(JT、2914)だ。ロシアのプーチン大統領が11月5日付の大統領令で、JTグループのロシアの製造会社4社を「一時管理」の対象に加え、株価は前日比1,500円安(19.31%安)の6,269円とストップ安で引けた。AIとは無関係の、地政学の一撃である。この日の食料品の負けはAI売りの巻き添えではなく、別の取組の結果だった。技能賞は皮肉を込めて贈る。指数の下げに紛れて、もう一つの大きな悪材料が出ていたことを示したからだ。
殊勲賞・国債先物——逃げ場になった
株が売られた日に買われたのは国債だった。フィスコによれば、長期国債先物12月限は127円74銭で始まり、128円21銭で引けた。高値は128円41銭。新発10年国債利回りは2.629%で取引を終えている。株から逃げた資金の受け皿として、債券が素直に機能した一日だった。
警戒の温度計も振り切れた。日経平均の予想変動率を示す日経平均VIは、14時25分時点で前日比33.40%高の44.77、この日の高値は48.49だった(フィスコ)。フィスコは同じ記事で、日経平均VIは急上昇の後に20〜30程度のレンジへ戻る傾向があるとしている。40台は、平時の倍近い揺れを市場が織り込んでいる水準である。
場外——アジアも総崩れ、円は動かず
土俵の外も荒れた。MINKABU PRESSによれば、東京時間14時9分時点で韓国総合株価指数は5.13%安。取引開始直後に一時8%超下げ、今年11度目のサーキットブレーカーが発動した。台湾の加権指数は一時9%下げ、過去最大の日中下落率を記録し、TSMCが一時ストップ安となった。
一方で円相場はほとんど動いていない。日本株が6%近く下げても、ドル円は157円台後半にとどまった。過去の急落局面のような円の急騰は起きていない。この「円が逃げ場にならない」構図は、今夜の米雇用統計を前にした為替の論点でもある。
終値で2割安、何が変わるか
終値5万7,434円77銭は、MINKABU PRESSによれば4月13日以来の安値水準である。最高値からの下落率は終値ベースで20.63%、6月22日につけた取引時間中の最高値7万2,831円73銭と比べれば21.14%になる。どちらの物差しでも「2割安」の線を下回った。
番付として順位を付けるなら、この日の判定は明確だ。指数は負け越し、それも大きく負け越した。ただし、安値からの689円の戻りは残った。けさの寄り付き1時間のまとめの時点では、下げ幅は一時4,000円を超えていた。引けにかけて買い戻しが入ったことは、投げ売り一色ではなかったことを示す。来場所の焦点は、この戻りが続くか、安値5万6,745円を試しに行くかである。
来場所の注目取組
- 今夜22時30分(日本時間):米10月雇用統計。フィスコがまとめた市場予想は非農業部門雇用者数5.5万人増(前回2.9万人増)、失業率4.2%(前回4.2%)、平均時給は前年比2.9%増(前回3.0%増)。
- 今夜:植田和男日銀総裁の講演。国際通貨基金(IMF)主催の講演会に登壇する予定で、株安と円相場への言及があるかが焦点になる。
- 週明けの東京:取引時間中の安値5万6,745円81銭を守れるか。アドバンテストとSBGの2銘柄の戻りが続くかが、指数の戻りの目安になる。
主な参照
- 日経平均の終値・寄与度・値上がり値下がり銘柄数・業種別騰落/株探ニュース
- TOPIXの終値/株探(フィスコ)
- 4月13日以来の安値、下げ幅歴代3位/株探(MINKABU PRESS)
- 日経平均VI/株探(フィスコ)
- アジア株、韓国のサーキットブレーカー、台湾株、米住民投票の結果/株探(MINKABU PRESS)
- 国債先物・国債利回り・今夜の指標予想/株探(フィスコ)
- 日経平均の過去の終値と最高値、個別銘柄の終値/Yahoo Finance
- JTのロシア法人をめぐる大統領令/ロシア連邦法令公報(大統領令第817号)、ロイター(ニューズウィーク日本版)
データ基準日:2026年11月6日の東京市場の終値。日経平均VIは同日14時25分時点、アジア株は東京時間14時9分時点の取引時間中の数値で、終値ではない。ドル円は同日の東京市場引け時点の気配値である。最高値からの下落率は本誌計算。寄与度の集計は情報ベンダーにより差がある。ダイキン工業の上昇理由について、会社側の一次情報は確認できていない。米国の住民投票の結果はMINKABU PRESSの報道によるもので、本誌は各州の公式集計を確認していない。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















