11月6日、東京の寄り付き前の番付を発表する。西の序二段に落ちたのは日経平均先物だ。大阪取引所の夜間取引で12月物は5万7,400円で引け、5日の現物終値6万1,077円90銭を3,677円90銭、率にして6.0%下回った。東の横綱は原油で、北海ブレントは3.88%高の98.29ドルで清算した。半導体株が売られた夜に、勝ち越したのは株の外にいた資産だけだった。
引き金は米国である。5日のS&P500は4.36%安、ナスダック総合指数は5.52%安、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は12.25%安で引けた。東京の主力半導体株の米国預託証券(ADR)は、5日の東京終値からさらに1割以上下で取引を終えている。東京は5日にすでに1,110円下げたが、その下げに米国の夜の分が上乗せされる形だ。
11月5日の米国時間の番付(騰落率)
先物は大阪夜間取引の終値と5日の現物終値の比較。ADR・米国株・SOXは4日→5日の米国終値。金と円は6日7時40分ごろの取引中の値。出所:株探、ロイター、Yahoo Finance、本誌計算。
番付表——5日の米国時間の勝敗
| 番付 | 資産・銘柄 | 水準 | 変化 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | 北海ブレント原油(1月物) | 98.29ドル(清算値) | +3.88% | ◎ |
| 東の大関 | 金先物 | 4,097.9ドル(取引中の値) | +0.61% | ○ |
| 東の関脇 | 円(対ドル) | 157.69円(取引中の値) | 円高0.50% | ○ |
| — | (以下、負け側) | |||
| 西の小結 | ソフトバンクグループADR(SFTBY) | 11.17ドル(終値) | −14.41% | × |
| 西の幕下 | 東京エレクトロン(TOELF) | 49.52ドル(終値) | −19.88% | × |
| 西の序二段 | アドバンテストADR(ATEYY) | 164.86ドル(終値) | −23.68% | × |
ADRの騰落率は4日の米国終値との比較で、5日の東京市場の下げも含んでいる。東京の投資家にとって重要なのは、そこから先の上乗せ分だ。それは後段の「注目銘柄」で円換算して示す。
西の序二段・日経平均先物——×
大阪の夜間取引で、日経平均先物12月物は5万7,400円で終えた。前日の清算値比で3,520円安、出来高は3万3,158枚である。TOPIX先物は3,781ポイントで、現物終値を159.39ポイント、率にして4.0%下回った。日経平均の6.0%に比べ、下げ幅は2ポイント小さい。
この差が、6日の取組の性格を表している。日経平均は株価の高い銘柄ほど影響が大きい指数で、アドバンテストや東京エレクトロン、ソフトバンクグループの比重が重い。売られているのは東京市場全体というより、AIと半導体に連なる値がさ株である。判定は×。5日の東京は下げの99%がアドバンテストという一番だったが、6日も同じ型の取組になる公算が大きい。
米国の取組——半導体は総崩れ
| 銘柄 | 4日終値 | 5日終値 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| マイクロン(MU) | 795.23ドル | 656.39ドル | −17.46% |
| AMD | 488.78ドル | 404.40ドル | −17.26% |
| ラムリサーチ(LRCX) | 221.43ドル | 185.20ドル | −16.36% |
| アプライド・マテリアルズ(AMAT) | 369.40ドル | 319.25ドル | −13.58% |
| アーム(ARM) | 191.80ドル | 166.72ドル | −13.08% |
| TSMC(ADR) | 395.75ドル | 353.10ドル | −10.78% |
| ブロードコム(AVGO) | 325.48ドル | 291.53ドル | −10.43% |
| エヌビディア(NVDA) | 200.13ドル | 181.60ドル | −9.26% |
AP通信によると、S&P500の4.4%安は2025年4月以来の大きさで、ナスダック総合指数は10月に付けた最高値から11.9%下にある。一般に1割を超える下げは「調整局面」と呼ばれる。前日4日の上げは過去3カ月で最大だったが、それを1日で吐き出した。恐怖指数と呼ばれるVIXは16.61から28.18へ跳ね上がった。
売りの理由として報じられている材料は複数ある。AP通信は、中間選挙で民主党が勝ったことでデータセンター建設の一時停止が政治の議題に上る可能性、借入コストの上昇、AI株のバブル論を挙げた。フォーチュン誌は、データセンター建設を抑える住民投票41件の多くが可決されたこと、テキサス州知事選で建設の即時停止を掲げる民主党候補が勝ったことを伝えた。ただし、特定の法案や当局の発表が売りの引き金になったことを示す一次情報は見当たらない。選挙とAI規制の関係は中間選挙とAI株の記事で検証した。
野村証券のチャーリー・マケリゴット氏は、主力株ばかりが売られる様子を「将軍たちが撃たれている」と表現した。ヴァンダ・リサーチのヴィラージ・パテル氏は個人投資家の売りを「完全な投げ」と呼んでいる。投げとは、損を覚悟で持ち株を手放すことだ。Yahoo Financeによれば、個人投資家の売り越しは3億5,800万ドルで、2020年3月17日以来の規模だった。
注目銘柄——ADRが示す6日の土俵際
ADRを5日の米国終値とドル円157.69円で円に直し、5日の東京終値と比べた。ADRは売買が薄い店頭取引が多く、為替の前提でも数字は動く。あくまで目安だが、寄り付きの気配を読むには最も手近な物差しになる。
| 銘柄 | 5日の東京終値 | ADRの円換算 | 東京終値との差 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| アドバンテスト(6857) | 29,485円(−14.7%) | 約26,000円 | 約−11.8% | × |
| ソフトバンクグループ(9984) | 3,980円(−6.8%) | 約3,520円 | 約−11.5% | × |
| 東京エレクトロン(8035) | 8,753円(−9.4%) | 約7,810円 | 約−10.8% | × |
アドバンテスト。5日の東京ですでに14.7%下げ、ADRはそこからさらに約12%下を示す。2日続けて2桁の下げになれば、10月29日の終値3万7,030円から3割近い調整になる。半導体の検査装置は、AI向けの演算チップが増えるほど需要が伸びる事業だ。売りが需給なのか業績見通しの変化なのかを見分けるには、会社側の受注の発言を待つ必要がある。本誌の判定は×。ただし2日で約25%下げた後の値がさ株は、寄り付き後に買い戻しが入りやすい。初値からの戻りの強さを見たい。
ソフトバンクグループ。ADRの円換算は約3,520円で、52週安値の3,365円に近づく。同社の株価はアームの持ち分の価値に強く結びついており、そのアームは5日に13.08%下げた。米国のAI関連株の下げを最も大きく受けやすい1銘柄である。判定は×。
東京エレクトロン。米国の装置株はラムリサーチ16.36%安、アプライド・マテリアルズ13.58%安だった。ADRが示す約10.8%の上乗せは同業の下げとほぼ並ぶ。判定は×。
殊勲賞・原油——◎
北海ブレントは3.88%高の98.29ドル、WTIは2.72%高の90.52ドルで清算した。4日に8%を超えて下げた反動に加え、ホルムズ海峡周辺でのタンカー被害の報告と、米国とイランの協議の行き詰まりが買い材料になった。株が崩れた日に、地政学の材料で上げた。判定は◎。株式の損失を埋める位置にあるのは、東京市場では資源株である。
敢闘賞・円——○
ドル円は4日の158.47円から157.69円へ、円が0.50%上げた。リスク回避の円買いと米長期金利の低下が重なった形だ。米10年債利回りは約4.84%まで下がった。円高は輸出株には逆風だが、値幅は小さい。判定は○。主役ではないが、土俵を降りずに勝ち越した。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 6日 9時 | 東京市場の寄り付き | 日経平均が5万7,000円台で始まるか。TOPIXとの下げ幅の差 |
| 6日 取引時間中 | 三菱重工業、JFEホールディングスなどの決算 | 防衛・鉄鋼が半導体安の受け皿になるか |
| 6日 15時以降 | KDDI、三井不動産、TOWA、ミネベアミツミなどの決算 | 半導体装置のTOWAの受注コメント |
| 6日 22時30分 | 米10月雇用統計 | 市場予想は就業者数6.5万人増、失業率4.2% |
雇用統計は、12月の米利上げ観測を左右する。CNBCによれば、市場は12月の利上げを8割を超える確率で織り込んでいる。強い数字が出て金利が上がれば、借入コストを売り材料にした今回の半導体安には追い風にならない。東京の週明けは、金曜夜のこの一番を織り込んで始まる。
主な参照
- 大阪取引所の夜間取引(日経平均先物・TOPIX先物の終値)/株探
- 11月5日の米国株の終値、S&P500の下げとナスダックの調整局面入り/AP通信(WTOP)
- 市場関係者の発言、個人投資家の売り越し額/Yahoo Finance
- データセンターをめぐる住民投票と州知事選/フォーチュン
- 原油の清算値/ロイター(Yahoo Finance)
- 6日の決算発表予定/株探
- 米10月雇用統計の市場予想/ファクトセット、12月利上げの織り込み/CNBC
データ基準日:2026年11月5日の米国市場の終値と、6日6時の大阪取引所夜間取引の終値。金とドル円は日本時間6日7時40分ごろの取引中の値で、終値ではない。ADRの円換算は本誌の試算で、ADRの売買が薄いことや為替の前提により実際の寄り付きとは差が出る。売りの理由は報道にもとづくもので、特定の法案や当局の発表との直接の関係は確認できていない。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















