米中間選挙の投票が、米東部時間11月3日に始まった。予測市場ポリマーケットは、民主党が上下両院を制する確率を75.5%としている(日本時間3日23時41分)。開票は日本時間4日朝から昼にかけて進み、休場明けの東京市場の取引時間と重なる。本稿は株、債券、ドル円、金と原油、ビットコインの5つに絞り、筋書きごとの年末までの見通しを示す。
- 米国株:民主党圧勝なら初動は小幅安。年末のS&P500は7,300〜7,800を見込む。
- 米国債:選挙より利上げ観測が重い。10年債は4.7〜5.0%のレンジとみる。
- ドル円:民主党圧勝はドルの小幅な重荷。年末は154〜159円を中心に置く。
- 金と原油:新議会が始まる1月までのイラン情勢が鍵。原油は上振れの尾が太い。
- ビットコイン:民主党の議会は規制の監視を強める。7万〜8.5万ドルの往来とみる。
議会の勢力図:予測市場の確率(%)
読み方:民主党の両院制覇が4分の3を占める。院ごとでは、民主党が下院を取る確率94.5%、上院77.5%。出所:ポリマーケット(日本時間11月3日23時41分)。
1. 米国株:初動は小さく、年末は横ばい圏
結論:民主党が両院を取っても、株価の下げは一時的とみる。年末のS&P500は7,300〜7,800を見込む。
根拠:CNBCによると、JPモルガンは民主党圧勝ならS&P500が4日に約0.5%下げると試算した。共和党が下院を守れば最大1%上げるという。シティは、共和党が上院を守り下院を失う形なら年末へ追い風になりうるとみる。S&P500は日本時間3日23時40分時点で7,560.67と、前日比0.26%高で推移している(取引時間中)。
一方でBTIGのクリンスキー氏は、選挙後の上昇という通説に疑問を示した。例年は選挙前に株が弱く、その反動で11月に上げる。今年は逆の形だという。同氏によると、中間選挙の年の後半には、S&P500が平均14%の下落をどこかで経験してきた。エバコアISIは、イランでの軍事行動が拡大し民主党が議会を取れば、年末に6,800まで下げる筋もあるとした。
長い目で見れば、歴史は買い手の味方である。CNBCは、1980年代初め以降のすべての中間選挙で、1年後のS&P500は上昇していたと伝えている。本誌は、年末までは横ばい圏、1年後は上昇という2段構えで見る。下値の目安は7,300で、ここを終値で割れば筋書きを見直す。
次:4日の米国市場で、ヘルスケア株とAI関連株のどちらが動くかを見る。業種別の分析は注目株の記事にまとめた。
2. 米国債:選挙より利上げ観測
結論:10年債利回りは年末まで4.7〜5.0%で推移するとみる。選挙の影響は小さい。
根拠:米財務省によると、11月2日の10年債利回りは4.91%、2年債は4.59%だった。インベスティング・ドットコムは、バークレイズの見方として、選挙より原油と金利のほうが市場には重いと伝えた。同記事は、FRBが再び利上げする兆しもあると書く。民主党の議会は大型の財政拡大を通しにくい。国債増発の懸念はやや和らぐ方向である。
次:6日夜の米雇用統計である。見通しは雇用統計の予想記事で扱った。
3. ドル円:民主党圧勝はドルの小さな重荷
結論:年末のドル円は154〜159円を中心に置く。共和党が両院を守る意外な結果なら、160円台を試す筋が出る。
根拠:ドル円は日本時間3日23時40分時点で158.26円(取引時間中)。民主党の議会は関税や財政の拡大を抑える方向に働き、ドルの上値を重くしやすい。ただし日米の金利差は大きく、円高への転換までは見込みにくい。この点はドル円見通しの記事でも整理した。
円で米国株を持つ人にとって痛いのは、株安と円高が同時に来る筋である。民主党圧勝で株が下げ、ドルも売られれば、損失は二重になる。ただし、本誌はこの組み合わせが年末まで続く確率を2割程度とみる。154円を割り込めば、この筋が強まった合図になる。
次:開票が進む4日の東京時間である。米国の投票は東部時間18時(日本時間4日8時)から順に締め切られ、最後のアラスカ州は東部時間午前1時(同15時)だ。手元の時計に置き換えるなら、タイムゾーン変換ツールが早い。
4. 金と原油:鍵は1月までのイラン情勢
結論:原油は上振れの尾が太い。金は政治の不透明感で底堅いとみる。
根拠:CNBCは、トランプ大統領が選挙後にイランへの攻撃を再開する可能性を指摘した。その場合はエネルギー株が相対的に強くなるという。WTIは日本時間3日23時40分時点で96.22ドル、金は3,954.70ドルだった(いずれも取引時間中)。アラムコは紛争前の生産に数日で戻せるとしており、通航が戻れば原油は下げやすい。詳しくはアラムコ決算の記事にある。
次:米国とイランの協議の行方と、新議会が始まる2027年1月までの軍事行動である。
5. ビットコイン:監視の強化は逆風
結論:年末まで7万〜8.5万ドルの往来とみる。共和党が両院を守れば上振れの余地が広がる。
根拠:インベスティング・ドットコムは、民主党が両院を取ればAI、銀行、暗号資産への監視が強まると整理した。ビットコインは日本時間3日23時40分時点で7万7,204ドル(取引時間中)。取引所の流出事件も続き、買いの材料は乏しい。経緯はビットコインの速報にまとめた。
一方、共和党が両院を守る意外な結果になれば、規制の流れは今の延長線上に残る。開票直後の値動きが最も大きくなりやすいのは、この筋である。本誌は8万ドル台の回復を試す展開を想定する。
次:新議会の金融委員会の顔ぶれである。暗号資産の法案の優先順位が変わりうる。
筋書き別の年末見通し(本誌)
| 資産 | 民主党が両院(75.5%) | 上院は共和党・下院は民主党(17.5%) | 共和党が両院(4.5%) |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,300〜7,800 | 7,600〜8,000 | 7,700〜8,100 |
| 米10年債利回り | 4.7〜5.0% | 4.8〜5.1% | 4.9〜5.2% |
| ドル円 | 154〜159円 | 156〜160円 | 158〜161円 |
| 金 | 3,900〜4,300ドル | 3,800〜4,100ドル | 3,700〜4,000ドル |
| WTI原油 | 85〜110ドル | 85〜105ドル | 85〜100ドル |
| ビットコイン | 7万〜8.5万ドル | 7.2万〜9万ドル | 7.8万〜9.5万ドル |
確率はポリマーケットの日本時間3日23時41分の値で、残りの0.75%は「上院は民主党・下院は共和党」などである。レンジは本誌の見立てで、2026年12月31日時点を想定した。
30秒まとめ:民主党の両院制覇は、ほぼ値段に入っている。株とドルの初動は小さく、年末の行方は金利とイラン情勢が決める。意外な結果ほど値動きは大きくなる。
選挙と株価の歴史は、2018年と比べた前日の記事で扱った。休場明けの日経平均先物の動きはこちらにある。
主な参照
- 議会の勢力図の予測市場(日本時間11月3日23時41分)/ポリマーケット
- JPモルガン、シティ、BTIG、エバコアISIの見方(米東部時間11月3日6時37分)/CNBC
- 筋書き別の整理とバークレイズの見方(11月2日)/インベスティング・ドットコム
- 米国債利回り(11月2日)/米財務省
- 投票の締め切り時刻/270toWin
- 株価・為替・商品・暗号資産の気配値(日本時間11月3日23時40分)/グーグル・ファイナンス
データ基準日:2026年11月3日(日本時間23時41分)。株価、為替、商品、暗号資産は取引時間中の気配値で、終値ではない。米国債利回りは11月2日の米財務省の公表値である。予測市場の確率は当選の保証ではなく、開票の進展で大きく動く。年末のレンジと筋書きの判断は本誌の見立てであり、将来の価格を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。












