NZドルは対ドルで0.56ドル台前半にとどまり、10月13日に付けた過去1年の安値0.5567ドルが近い。11月3日の日本時間22時50分時点で0.5620ドル。日本時間4日朝6時45分に、ニュージーランド統計局が7〜9月期の雇用統計を公表する。
問われているのは、10月28日に利上げを見送ったニュージーランド準備銀行(RBNZ)が12月に利上げへ戻るかどうかだ。同じ日にオーストラリア準備銀行(RBA)は政策金利を4.85%へ引き上げており、両国の金利差は2.10ポイントまで開いた。雇用統計はその答えを左右する最初の材料になる。
- 失業率:4〜6月期は5.6%で、2015年以来の高さ。Westpacは7〜9月期を5.5%と予想する。
- RBNZ:10月28日に政策金利2.75%を据え置き。4対3の僅差で、市場は利上げを見込んでいた。
- 金利差:RBAは3日に4.85%へ利上げ。RBNZとの差は2.10ポイントで、豪ドル/NZドルは1.24台。
- 値位置:過去1年の安値は0.5567ドル、戻りの節目は10月21日高値の0.5711ドル。
- 見通し:本誌は年末までの中心レンジを0.555〜0.575ドルとみる。0.5567ドル割れなら0.55ドルを試す。
1. 失業率5.5%が予想の中心
結論:失業率が5.5%以下なら、利上げ再開の材料になる。
根拠:統計局によると、4〜6月期の失業率は5.6%で前期から0.2ポイント上がった。失業者数は17万1,000人だった。Westpacは10月28日付の予測で、7〜9月期は5.5%へ小幅に下がるとみる。月次の雇用指標で就業者が増えているためだ。ただし、労働参加率が上がれば失業率は下がりにくいとも指摘している。
次:失業率に加え、賃金の伸びを見る。Westpacは賃金の伸びは鈍いままとみており、賃金が強ければ予想外の材料になる。
2. RBNZは「いずれ利上げ」、時期で割れた
結論:RBNZは利上げを止めたのではなく、時期を先送りした。
根拠:Westpacのまとめによると、10月28日の金融政策委員会は4対3で据え置きを決めた。ブレマン総裁は据え置き側だった。委員会は「政策金利はいずれ上がる」との見方を保ちつつ、時期については意見が分かれたという。市場は利上げをほぼ織り込んでいたため、NZドルは決定直後に売られた。経緯は10月28日の見通し記事で扱った。
次:次回は12月9日の金融政策声明。Westpacは12月に0.25ポイント上げて3.00%とする予想で、2027年9月に4.00%でピークとみる。ただし燃料価格や物価予想しだいで確実ではないとしている。
3. 豪州との金利差2.10ポイント
結論:NZドルの弱さは、ドル高よりも隣国との差で説明できる部分が大きい。
根拠:RBAは3日、政策金利を4.60%から4.85%へ上げた。理事9人のうち6人が利上げ、3人が据え置きに投票した。声明では、インフレが2027年後半まで目標の上限に戻らないとの見通しを示した。豪ドル/NZドルは3日に1.2438で、過去1年の高値圏にある。豪ドル側の詳細は本日の豪ドル記事を参照してほしい。
次:雇用統計が強ければ、金利差の拡大が止まるとの見方から豪ドル/NZドルの反落が先に出やすい。
4. 0.5567ドルと0.5711ドルの間
結論:下は0.5567ドル、上は0.5711ドル。この幅から出た方向に動きやすい。
NZドル/ドルの節目(ドル)
読み方:現在値は1年来安値まで約0.9%の位置。上の節目0.5711ドルまでは約1.6%。出所:Yahoo Financeの日足データ、本誌整理。
根拠:10月13日に0.5567ドルの安値を付けた後、21日に0.5711ドルまで戻した。RBNZの据え置きで0.56ドル台前半に押し戻され、その後は0.56〜0.565ドルの狭い幅で動いている。8月20日の高値0.5989ドルからは約6%低い。
次:0.5567ドルを終値で割り込めば、心理的な節目の0.55ドルが視野に入る。0.5711ドルを超えれば、10月28日の下げをすべて取り戻すことになる。
5. 短期と年末までの見通し
結論:雇用統計の後の数日は、失業率の数字で方向が決まる。年末までの中心は0.555〜0.575ドル。
| 失業率(7〜9月期) | 確率 | NZドル/ドルの反応 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 5.4%以下 | 30% | 0.5711ドルを試す | 12月利上げの観測が戻る |
| 5.5〜5.6% | 45% | 0.56〜0.57ドルで横ばい | 予想どおり。米中間選挙の結果が主役に |
| 5.7%以上 | 25% | 0.5567ドルを割り0.55ドルへ | 利上げ先送りの見方が強まる |
根拠:中心シナリオを5.5〜5.6%に置くのは、Westpacの予想と前期の水準に挟まれているためだ。発表は米中間選挙の開票と重なる。ドル全体の動きが大きくなれば、雇用統計の効果は打ち消されやすい。
次:年末に向けては12月9日のRBNZと、米国の利上げ観測の綱引きになる。米国側の材料は米雇用統計の見通しにまとめた。
30秒まとめ:NZドルは過去1年の安値0.5567ドルの近くにある。4日朝の雇用統計で失業率が5.4%以下なら12月利上げ観測が戻り、0.57ドル台を試す。5.7%以上なら0.55ドルが次の目安になる。
主な参照
- 失業率(4〜6月期5.6%)と次回公表日(11月4日)/ニュージーランド統計局
- 7〜9月期の失業率予想/Westpac(10月28日)
- RBNZの10月28日の決定と投票/Westpac
- RBAの利上げと投票結果/オーストラリア準備銀行(11月3日)
- 12月9日の金融政策声明の日程/スクワレル
- 為替レートと日足の高値・安値/Yahoo Finance
データ基準日:2026年11月3日(日本時間22時50分)。為替レートは取引時間中の気配値で、終値ではない。高値・安値はYahoo Financeの日足データによる。RBNZの10月28日の決定内容と投票は、RBNZのサイトに本誌の環境から接続できなかったため、Westpacの解説で確認した。次回会合の日程も民間の日程表による。失業率の予想はWestpacのもので、市場予想の平均ではない。シナリオの確率は本誌の判断であり、将来の為替水準を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。外国為替証拠金取引は元本を上回る損失が生じるおそれがある。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














