東京の現物市場が文化の日で休んでいる間に、日経平均先物が先に答えを出し始めた。大阪取引所の祝日取引で、日経平均先物は11月3日15時31分時点で6万2,350円と、前日の日中終値比910円安である。2日の現物終値6万3,081円86銭と比べても約730円低い。米国では2日、半導体株指数が3営業日で約12%下げ、ナスダック100は10月6日の最高値から10.4%安と調整局面に入った。
4日の東京再開までに、市場はさらに2つの材料を抱える。日本時間4日早朝のAMD決算と、同じ朝に始まる米中間選挙の開票だ。まず下の1枚を見てほしい。休場前の東京と、休場中の米国で、半導体株は正反対に動いている。
東京は上げ、米国は下げた——2日の半導体株
11月2日の半導体株:東京の終値と、その後の米国の終値(前営業日比)
読み方:上の4本は2日の東京の終値(装置株3銘柄は決算で買われ、キオクシアHDは見通しで売られた)、下の5本は東京の大引け後に動いた米国株である。東京の装置株は、米国の2日の下げをまだ価格に反映していない。出所:東京は財経新聞(フィスコ)の大引け集計、米国はstockanalysis.comの終値から本誌計算。
11月2日の東京では、決算を手掛かりに装置株が買われた。東京エレクトロンは5.16%高の1万5円、アドバンテストは2.61%高の3万5,770円、レーザーテックは8.01%高の4万720円である。前週末30日に米国の半導体株指数が7%超下げた直後だったが、東京エレクトロンの4〜9月期決算と初の通期予想、自社株買いが売りを跳ね返した。経緯は2日の東京大引けの番付にまとめてある。
ところが東京が閉まった後の米国で、流れは逆になった。2日の米国市場では、AMDが7.52%安の466.84ドル、インテルが8.80%安、マイクロン・テクノロジーが5.78%安と半導体株が売られた。半導体株指数(SOX)の下落率は報道により3.35〜3.5%と幅があるが、30日の7.20%安に続く大幅安で、3営業日の下げは約12%に達した。東京の装置株は、この2日の米国の下げをまだ価格に反映していない。これが4日の最初の宿題である。
先物はどこまで織り込んだか
日経平均先物と、意識される水準(円)
読み方:青が現在値、橙が下値の目安。祝日取引は朝に6万3,900円まで戻した後、夜間終値を下回った。出所:松井証券(先物、3日15時31分)、世界一やさしい投資の学校(夜間終値・200日線)、日本経済新聞(現物終値)。
夜間取引は日本時間3日早朝、2日の日中終値6万3,260円から480円安い6万2,780円で終えた。祝日取引の日中立会は6万3,120円で始まり、一時6万3,900円まで戻したものの、その後は売りに押された。15時31分時点の安値は6万2,240円である。祝日取引の日中立会は15時40分まで続くため、この記事の数字は引け値ではなく取引時間中の値だ。
先物の下げ幅910円は、2日の東京の装置株の上げをほぼ帳消しにする規模にあたる。2日に東京エレクトロンとアドバンテストの2銘柄が日経平均を押し上げた分は合計444円61銭だった。単純な比較だが、先物はすでに「2日の半導体高の巻き戻し」以上を織り込みつつある。下値の目安として市場で意識されているのは200日移動平均の6万1,956円65銭、さらにプットの建玉が厚いとされる6万円である。
再開までの17時間——材料が届く順番
4日9時の東京再開までに届く材料(日本時間)
読み方:材料は半導体、決算、選挙の順に届く。東京の装置株にとって最も重いのはAMD決算までの米国の値動きである。出所:日本取引所グループ(祝日取引の時間)、AMDの発表資料(決算日と説明会の時刻)。
2つ目の宿題がAMDの7〜9月期決算である。会社は8月4日に売上高を約130億ドル(上下3億ドル)、非GAAPの粗利益率を約56%と見通した。市場予想は売上高131億ドル前後、調整後1株利益1.95ドル前後に集まっている。株価は10月28日の578.44ドルから3営業日で19.3%下げた。期待が先に剥がれた分、決算そのものが強ければ反発の余地はある。逆に、データセンター部門の伸びが会社の言う「下期の加速」を示せなければ、東京の装置株にとって2日の上げを返す理由がもう一つ増える。詳しい筋書きは決算週の予習記事でも扱った。
3つ目が米中間選挙である。開票は日本時間4日の朝から進み、東京の取引時間と重なる。議会の構成が変われば、財政や関税をめぐる見通しも変わる。ただし過去の中間選挙では、結果が出た後の株価は方向感よりも「不透明感の解消」で動くことが多かった。その整理は中間選挙と株価の記事に譲る。4日の寄り付きで最も重いのは、選挙よりも半導体である。
4日の東京、3つの筋書き
本誌は4日の寄り付きを、先物の水準とAMD決算の組み合わせで3つに分けて考える。確率は本誌の見立てであり、3日夜の米国株と選挙の開票速報で変わりうる。
| 筋書き | 確率 | 前提 | 日経平均の目安 | 装置株 |
|---|---|---|---|---|
| A:巻き戻し止まり | 45% | AMDが予想並み、3日の米半導体株が下げ止まる | 6万2,000〜6万2,800円 | 東京エレクトロン・アドバンテストは2日の上げを半分程度返す |
| B:底割れ | 30% | AMDの見通しが予想を下回り、時間外で大きく売られる | 200日線(約6万1,957円)割れを試す | 2日の上げを全て返し、キオクシアHDも安値を更新 |
| C:反発 | 25% | AMDのデータセンター売上が加速し、時間外で上昇 | 6万3,000円台を回復 | 2日の上げを維持、出遅れたキオクシアHDに買い戻し |
本誌の基本線はAである。理由は2つある。第一に、先物がすでに900円前後の下げを織り込んでおり、2日の装置株の上げの巻き戻しは価格に入りつつある。第二に、東京エレクトロンとアドバンテストの上げは決算という固有の材料に支えられていた。米国の半導体株安は需給の巻き戻しの色が濃く、両社の受注見通しそのものを否定する材料はまだ出ていない。決算の中身は東京エレクトロン決算の分析を参照してほしい。
一方でBの30%は軽くない。キオクシアホールディングスは2日に15.78%安と、10〜12月期の横ばい見通しで急落した。そこへ米国でマイクロンが5.78%安と追い打ちをかけた。メモリー株は装置株より米国の値動きに素直で、4日も下げの先頭に立ちやすい。
個人投資家向けチェックリスト
- 3日夜の米国株:半導体株指数が4営業日続落なら筋書きBの確率が上がる。下げ止まれば寄り付きの売りは先物の水準で一巡しやすい。
- AMDの時間外取引:決算発表は米国の大引け後、説明会は日本時間4日午前7時。オプション市場が示す変動幅は約9%で、それを超える動きなら東京の装置株にも波及する。
- 夜間取引の終値:4日早朝の日経平均先物が6万2,000円を保てるか。200日線の約6万1,957円を割り込んで終えれば、寄り付きは筋書きBに近づく。
- 寄り付き前の気配:東京エレクトロンとアドバンテストの気配が2日の上げ幅の半分以内の下げに収まるか。収まれば筋書きAである。
- 撤退線を先に決める:押し目買いを狙うなら、2日の安値や10月23日の安値など、自分の銘柄の直近安値を割ったら手放すと決めてから入る。
主な参照
- 日経平均先物の祝日取引の値(11月3日15時31分)/松井証券
- 夜間取引の終値と前日の日中終値、200日移動平均/世界一やさしい投資の学校
- 日経平均先物、大取の夜間取引で480円安/日本経済新聞
- 祝日取引の取引時間と基準値段の扱い/日本取引所グループ
- 米国株の終値(AMD、インテル、エヌビディア、マイクロン、SOXX)/stockanalysis.com
- ナスダック100が最高値から10.4%安、半導体株指数の3日続落/TheStreet
- 半導体株指数の3営業日で12%安/FinancialJuice
- AMDの7〜9月期見通し(8月4日発表)/米証券取引委員会への提出書類
- AMDの決算発表日と説明会の時刻/AMD
データ基準日:2026年11月3日(日本時間15時31分)。日経平均先物は祝日取引の取引時間中の値で、引け値ではない。日経平均と個別株は11月2日の東京の終値、米国株は11月2日の米国の終値である。半導体株指数の前日比は報道により3.35〜3.5%と差があり、図ではETFのSOXXの終値を代わりに用いた。AMDの市場予想とオプションの変動幅は複数の調査会社の数字に幅がある。筋書きの確率は本誌の判断であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。













