10月30日の米国株の番付を発表する。東の横綱は決算で3割上げたFMC、西の序二段まで落ちたのはレディットとインテルである。番付の外で一番の勝ち越しを決めたのは、利回りを下げた米国債だった。S&P500種株価指数は前日比1.82%安の7,580.07で引け、AP通信によれば6月以来の大きな下げとなった。ナスダック総合株価指数は2.86%安、ダウ工業株30種平均は572.25ドル安の51,770.31ドルだった。
日本の投資家にとって本当の問題は月曜日の東京である。大阪取引所の日経225先物(12月限)は31日朝6時の夜間取引を6万2,420円で終えた。30日の日経平均の終値6万3,290.11円より870円安く、200日移動平均の6万1,898.60円まであと521円しかない。本記事では米国株の勝ち負けを格付けしたうえで、東京の土俵際がどこにあるかを示す。
番付発表:勝ち越し3銘柄、負け越し3銘柄
まず一覧を示す。値はいずれも30日の米国市場の終値ベースの騰落率で、みんかぶ(株探掲載、米東部時間16時24分時点)の数字である。格付けの基準は単純で、値幅の大きさと、その動きが来週以降も続く理由があるかどうかの2点で判定した。
| 番付 | 銘柄 | 終値 | 騰落率 | 材料 |
|---|---|---|---|---|
| 東・横綱 | FMC(FMC) | 6.20ドル | +30.53% | 10〜12月期と通期の見通しが予想を上回った |
| 東・大関 | グローバル・ペイメンツ(GPN) | 96.84ドル | +12.97% | 投資会社CD&Rが買収・非公開化を目指すと伝わる |
| 東・関脇 | リビアン(RIVN) | 12.16ドル | +6.20% | 新型SUV「R2」の滑り出しが好調 |
| 西・序二段 | レディット(RDDT) | 91.73ドル | −29.22% | 決算と閲覧制限の発表 |
| 西・序二段 | インテル(INTC) | 65.76ドル | −28.58% | 10〜12月期の売上高見通しが予想を下回った |
| 西・三段目 | ロブロックス(RBLX) | 42.99ドル | −18.05% | 10〜12月期のブッキング見通しが予想を下回った |
10月30日の米国株 番付(終値ベースの騰落率)
読み方:上位3銘柄はいずれも個別の材料(決算・買収報道)で上げ、下位はAI・半導体と決算失望の銘柄が並んだ。出所:みんかぶ(株探掲載、米東部時間16時24分時点)。
上位と下位の差は約60ポイントに開いた。ただし指数を動かしたのは表の6銘柄ではない。AP通信は、S&P500を最も強く押し下げたのは4.22%安のエヌビディアだったと伝えている。時価総額が大きい銘柄の数%は、小型株の3割より指数への影響が大きい。
取組解説:各銘柄の評価(◎○△×)
インテル:評価×(2日続けて売られた)
インテルは26.31ドル安の65.76ドルで引け、下落率は28.58%に達した。AP通信によると1974年以来で最悪の1日である。前日の決算では7〜9月期の利益は予想を上回ったが、パソコン向けプロセッサーの需要鈍化で10〜12月期の売上高見通しが予想に届かなかった。寄り付き直後の様子は米国株寄り付き1時間の記事で伝えたが、引けまで戻りはほとんどなかった。土俵を割った銘柄に早い反発を期待する理由は、今の材料からは見当たらない。評価は×とする。
AMDとサンディスク:評価×(決算を待たずに売られた)
この日いちばん気になる動きはAMDである。決算発表を11月3日に控え、61.62ドル安の504.80ドル、下落率10.88%と大きく売られた。メモリーのサンディスクも好決算のあとで13.47%安の1,150.89ドルとなった。みんかぶは、巨額のAI投資が業績にどう効くかを投資家が厳しく見ていると解説している。決算前に1割売られた銘柄は、内容が普通でも買い戻しが入りやすい。一方で、見通しが弱ければ下げはもう一段深くなる。来週は値動きの幅が両方向に大きくなる取組だ。
エヌビディアと大型株:評価△(下げは小さいが指数を押し下げた)
エヌビディアは4.22%安の204.64ドル。マイクロソフトは1.55%安、メタは1.53%安、アマゾンは1.41%安、アップルは1.23%安と、大型株の下げは1〜2%にとどまった。前日に12%超下げたアルファベット(C株)も1.45%安で止まった。AI投資の回収を疑う売りが2日続いたが、大型株は総崩れにはなっていない。評価は△である。
米国債:評価◎(この日の横綱)
米財務省の公表値では、10年債利回りは29日の4.98%から30日は4.94%へ、2年債は4.61%から4.56%へ下がった。株から債券に資金が移る、教科書どおりの動きである。ただしフィスコによると、CMEのFedWatchが示す年内利上げの確率は約67%で、ダラス連銀のローガン総裁は少なくともあと2回の利上げが必要だと述べた。利回りの低下は景気後退を織り込んだ動きではなく、株安による一時的な避難と見るのが妥当だ。それでも株が売られた日に価格を上げたのは債券だけだったので、評価は◎とした。
恐怖指数VIX:評価○(警戒は上がったが混乱ではない)
VIX指数は米東部時間16時13分時点で19.48と、前日比2.28ポイント(13.26%)上昇した。取引時間中には節目の20を一時上回った。みんかぶによれば、16を上回る日は13日連続で、3月以降で3番目に長い記録である。20前後は警戒が強まった水準だが、投げ売りが広がる30台にはまだ遠い。評価は○とする。
三賞:殊勲賞・敢闘賞・技能賞
- 殊勲賞:FMC(+30.53%)。全面安の日に、業績見通しの上方修正という正攻法で3割上げた。ただし株価は6.20ドルと低く、値幅の大きさは割り引いて見る必要がある。
- 敢闘賞:モンデリーズ(+3.85%)とイーライリリー(+3.19%)。菓子と医薬品という守りの銘柄に資金が移った。AP通信によれば、エクソンモービルは2.2%高、シェブロンは1.8%高とエネルギー株も上げた。
- 技能賞:グローバル・ペイメンツ(+12.97%)。投資会社による買収・非公開化の報道で上げた。相場全体の向きと関係なく値段が付く、買収の銘柄らしい動きである。
東京の番付:月曜は200日線が土俵際
ここからが日本の読者にとっての本題である。株探によると、大阪取引所の日経225先物12月限は31日6時の夜間取引を前日比1,070円安の6万2,420円で終えた。日中の清算値は6万3,490円だった計算になる。米国の取引終了後、シカゴの円建て日経平均先物は6万2,600円で、大阪の日中終値より890円安かった。TOPIX先物も28.5ポイント安の3,929.5で終えている。
日経225先物:夜間終値と主な節目(円)
読み方:夜間終値(赤)は200日移動平均(橙)の521円上にある。月曜はこの線を終値で守れるかが焦点になる。出所:株探「日経225先物テクニカルポイント(31日夜間取引終了時点)」。
株探が公表した夜間終了時点のテクニカル指標を並べると、位置関係ははっきりしている。5日移動平均(6万3,734円)と30日の現物終値(6万3,290.11円)はすでに上にある。下の目安は200日移動平均の6万1,898.60円で、夜間終値からの距離は521円、率にして0.8%しかない。さらに下にはボリンジャーバンドの−2σ(6万858.74円)がある。
本誌の判定は次のとおりだ。月曜の日経平均は夜間終値の6万2,420円近辺から始まる可能性が高く、200日線を終値で守れるかどうかが最初の取組になる。終値で6万1,898円を割り込めば、トレンドを見る投資家の売りが出やすく、次の目安は−2σの6万858円となる。逆に、AMDやアップルの決算が出る前に6万3,290円台の現物終値を取り戻すのは難しいと見る。30日の東京市場の下げの中身は日経平均1,369円安の記事で詳しく分析した。
月曜の注目2銘柄:売られすぎと過熱
レーザーテック(6920):売られすぎ候補
フィスコ(株探掲載)によると、30日の終値は3,640円安の3万7,700円で、下落率は8.8%だった。米インテルの時間外の急落が重荷になったという。夜間に米国の半導体株がさらに売られたため、月曜も寄り付きは売りが先行しやすい。見るべき点は、寄り付き後に下げ幅が縮むかどうかである。同じ日に下げたイビデンの動きは東京寄り付き1時間の記事にまとめた。2日続けて大きく下げた銘柄が寄り付き後に下げ幅を縮めれば、売りが一巡した合図になる。下げが広がれば、まだ売り切れていないということだ。
日本郵船(9101):過熱候補
同じくフィスコによると、30日は397円高の7,548円で、上昇率は5.6%だった。市場予想を上回る水準まで業績見通しを上方修正したことが材料である。株探の週間まとめでは、中東情勢の緊迫で海運が業種別の上昇率トップだった。ハイテクから逃げた資金の受け皿になった形だが、決算と地政学が重なった上げは、材料がひとつ薄れると反動も速い。月曜に高く始まっても追いかけるかどうかは慎重に判断したい。
来場所の注目取組:11月2日〜6日
来週は取組が多い。みんかぶ(株探掲載)の決算予定によると、11月2日にアップル、3日にAMDとスーパー・マイクロ、4日にアームとクアルコムが決算を発表する。指標では、株探によると2日に10月のISM製造業景気指数、4日にADP雇用統計とISM非製造業景気指数、6日に10月の米雇用統計が出る。3日は米中間選挙の投票日である。
| 日付(米国) | 取組 | 東京への影響の格付け | 判定理由 |
|---|---|---|---|
| 11月2日(月) | アップル決算/ISM製造業 | ○ | 結果は日本時間3日早朝。電子部品株に響く |
| 11月3日(火) | 米中間選挙/AMD決算 | ◎ | AMDは決算前に1割下げた。半導体株の方向を決める |
| 11月4日(水) | アーム・クアルコム決算/ADP・ISM非製造業 | ○ | アームはソフトバンクグループの株価に直結する |
| 11月6日(金) | 10月の米雇用統計 | ◎ | 利上げ観測と円相場を同時に動かす |
最後に結論をまとめる。30日の米国市場はAI投資の回収を疑う売りが2日続いた一日で、指数の下げは大型株の小幅安の積み重ねだった。東京は月曜に200日線という土俵際から取組が始まる。本誌は、200日線を終値で割り込むかどうかを、来週前半の最初の判断材料とする。
主な参照
- 米主要3指数の終値、インテル・エヌビディア・エネルギー株の騰落率/AP通信(HuffPost掲載、10月30日16時26分=米東部時間)
- 同記事の配信版/AP通信(KSL掲載)
- 米国株概況と個別銘柄の終値(米東部時間16時24分)/みんかぶ(株探)
- 日経225先物の夜間取引終値(31日6時)/株探
- 日経225先物のテクニカルポイント(夜間取引終了時点)/株探
- シカゴ日経平均先物(10月30日)/株探
- VIX指数(米東部時間16時13分)/みんかぶ(株探)
- 米国債利回り(10月29日・30日)/米財務省
- 米債券市況、FedWatchの確率、ローガン総裁の発言/フィスコ(株探)、フィスコ(株探)
- レーザーテック・日本郵船の終値/フィスコ(株探)
- 週間の市況と来週の指標予定/株探
- 来週の米主要企業決算/みんかぶ(株探)
データ基準日:2026年10月31日(日本時間7時45分)。米国株の指数と個別銘柄は10月30日の終値(米東部時間16時24分時点の集計)、VIX指数は同16時13分時点の値である。日経225先物は大阪取引所の夜間取引終値(日本時間31日6時)、シカゴ日経平均先物は米国市場終了後の値、日経平均株価は30日の現物終値を使った。米国債利回りは米財務省の公表値(終値ベース)で、取引時間中の値ではない。エヌビディアがS&P500を最も押し下げたという点はAP通信の報道による。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の終値は一次資料で確認できなかったため掲載していない。番付・評価・水準の判定は本誌の見方であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。












