まず下の1枚を見てほしい。30日の東京市場は、米インテルの急落を受けて半導体株が売られ、日経平均株価は寄り付きから1時間たたずに1,100円を超える下げとなった。9時47分の日経平均は前日比1,257.72円安の63,401.75円(1.95%安)。一方、東証株価指数(TOPIX)は10時2分時点で33.19ポイント安の3,970.09(0.83%安)にとどまる。下げの中心は、日経平均への影響が大きい値がさの半導体株である。
インテル向けの基板を手がけるイビデンは、値幅制限の下限(ストップ安)の8,359円まで売られた。決算発表を今日に控える東京エレクトロンとキオクシアホールディングスも下げた。逆に、前日に業績予想を引き上げたコナミグループは17%を超える上昇となった。寄り付きから1時間の値動きを、図で整理する。
半導体株の下げ:インテルの見通しが直撃
半導体関連株の前日比(10時ごろ、%)
読み方:前日終値と比べた10時ごろの取引時間中の値の騰落率。イビデンは9時40分に値幅制限の下限(ストップ安)で取引が成立した後、取引がない。東京エレクトロン、キオクシア、SCREEN、レーザーテックは30日に決算を発表する予定。出所:Yahoo!ファイナンス。
イビデンは15.21%安の8,359円で、9時40分以降は取引が成立していない。前日終値の9,859円から1,500円の下げで、この価格帯の値幅制限の下限にあたる。29日の米国時間外取引で、インテルは10〜12月期の売上と利益率がともに下がる見通しを示し、21.7%下げていた。東洋経済によると、イビデンは数年前まで売上高の7割以上がインテル向けだった。前日の自社決算への売りに、インテルの連想が重なった形だ。
半導体製造装置株も軒並み安い。10時時点でレーザーテックは11.56%安、キオクシアは8.34%安、アドバンテストは7.83%安、SCREENホールディングスは6.71%安、東京エレクトロンは4.36%安だった。インテルの決算の中身と、今日決算を控える銘柄の論点は注目株:インテル22%安、東エレク・キオクシア決算日で整理した。
日経平均とTOPIXの差が示すもの
指数と主な大型株の前日比(%)
読み方:日経平均の下落率はTOPIXの2倍を超える。日経平均は値がさ株の影響が大きく、半導体株の下げが強く出る。銀行や自動車の大型株はほぼ横ばいだった。個別株は10時ごろの値。出所:Yahoo!ファイナンス。
日経平均の下落率はTOPIXの2倍を超える。日経平均は株価の高い銘柄ほど影響が大きい計算方法をとるため、アドバンテストや東京エレクトロン、ソフトバンクグループのような値がさ株が下げると、指数が大きく動く。TOPIXは時価総額で加重するため、銀行や自動車など半導体以外の大型株の比重が大きい。三菱UFJフィナンシャル・グループは0.14%安、トヨタ自動車は0.06%安と、ほぼ横ばいだった。
つまり、今朝の下げは市場全体の売りというより、半導体と一部の決算銘柄に集中した売りである。前日の東京市場は日経平均が705円高と、同じ値がさ株が上げを引っ張っていた。その振り返りは日経平均705円高、アドテスト1銘柄で453円にある。
決算で明暗:コナミと富士通
29日の決算銘柄:前夜のPTSと30日10時ごろ(%、前日終値比)
読み方:同じ銘柄の2本の棒は、29日夜のPTSの値(19時台)と30日10時ごろの東証の値。コナミと富士通はPTSより値幅が広がり、中部電力は下げ幅を縮めた。出所:PTSの値は本誌の29日の記事(株探の表示から計算)、10時の値はYahoo!ファイナンス。
半導体以外では、前日夕方の決算への反応がはっきり出た。通期の最終利益予想を引き上げたコナミグループは10時時点で17.70%高の2万7,000円、上期の利益予想を上げたタカラトミーは9.89%高だった。一方、上期の調整後営業利益が減った富士通は15.87%安、浜岡原子力発電所をめぐる特別損失を計上した中部電力は6.58%安となった。前日夜の私設取引システム(PTS)の値動きとほぼ同じ方向で、富士通とコナミは下げ幅、上げ幅がPTSより広がった。
指数を支えた側では、ファーストリテイリングが2.82%高、ソニーグループが2.24%高、任天堂が2.92%高だった。半導体以外の値がさ株が日経平均の下げをいくらか和らげている。
昼の日銀と、後場のシナリオ
円相場は10時時点で1ドル=157円35銭前後と、朝方の157円80銭台から円高に振れている。日銀は昼ごろに金融政策決定会合の結果を公表する。過去4回の会合では、11時47分〜12時12分に結果が出ている。円高がさらに進めば、輸出比率の高い半導体装置株には重しが増える。
| 後場のシナリオ | 確率 | 日経平均の目安 | きっかけ |
|---|---|---|---|
| 下げ幅を保ったままもみ合い | 50% | 1,000〜1,400円安 | 日銀が据え置き、円相場は157円台で落ち着く |
| 下げ幅を縮める | 25% | 800円安より小さい下げ | 半導体株に押し目買い、日銀が穏当な内容 |
| 下げ幅を広げる | 25% | 1,500円安より大きい下げ | 日銀が物価2%到達を明記し円高が加速、決算銘柄への売りが続く |
個別では、15時以降に予定される東京エレクトロン、キオクシア、SCREEN、レーザーテックの決算が、今日の下げが行き過ぎだったかどうかを判断する材料になる。イビデンは、ストップ安で売り注文が残ったまま取引を終えれば、週明けにも売りが持ち越される可能性がある。日銀の結果を受けたドル円の見通しはドル円見通し:日銀発表の日、2024年4月の鏡で示した。
主な参照
- 日経平均、TOPIX、個別株の株価、値上がり・値下がり率ランキング、ドル円/Yahoo!ファイナンス(2026年10月30日9時47分〜10時2分に確認)
- 値幅制限の仕組み/日本取引所グループ
- インテルの10〜12月期の見通し/インテルの決算発表(米証券取引委員会への提出書類、10月29日)、時間外の株価/stockanalysis.com
- イビデンの顧客構成/東洋経済オンライン(2025年12月17日)
- 日銀の会合日程/日本銀行
データ基準日:2026年10月30日の東京市場の取引時間中の値。日経平均は9時47分(Yahoo!ファイナンスの15分遅れの配信値)、TOPIXは10時2分、個別株は10時ごろ(イビデンは最後に取引が成立した9時40分)、ドル円は10時ごろ。いずれも取引時間中の値で、終値ではない。値は配信のたびに変わり、本稿の数字は執筆時点のもの。日経平均とTOPIXの動きの差の説明は、指数の計算方法にもとづく本誌の整理である。後場のシナリオと確率は本誌の分析で、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















