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ポンドドル見通し:英予算とFOMCが同じ水曜日

バヒティヨル マダジモフ バヒティヨル マダジモフ
2026年10月26日
FX, オピニオン, テクニカル, 経済
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英国の予算と米国の金融政策が、同じ水曜日に重なる。10月28日(水)、ヒーリー財務相が就任後初の予算案を議会に示し、同じ日の米東部時間14時(日本時間29日午前3時)には米連邦公開市場委員会(FOMC)が結果を発表する。ロイターによると、ポンドドルは26日の欧州時間に前週末比0.15%安の1.3348ドルで取引された。予算を前に、ポンドは対ユーロでも0.31%下げている。

まず下の4枚を見てほしい。本稿の結論を先に書けば、短期(今週〜2週間)の中心レンジは1.3250〜1.3475ドルで、方向感は「予算待ちの小幅安」である。上抜けには予算の信認と、11月5日の英中銀会合に向けた利上げ観測の維持の両方が要る。

1.3348ドル
ポンドドル(10月26日欧州時間、取引時間中、前週末比−0.15%)
10月28日
英予算案とFOMC結果発表が同じ水曜日
3.5%
英9月CPI(前年同月比、8月は3.1%)
3.75%
英中銀の政策金利(次回会合は11月5日)

3カ月の値動き:1.32ドル台の底から戻り、1.34ドルで止まった

ポンドドルの推移(ECB参照レート、2026年7月27日〜10月23日)

1.3771.3561.3351.31407/2708/1008/2409/0709/2110/0510/198/21 1.365610/2 1.320110/21 1.340210/23 1.3368

読み方:8月下旬の高値から10月初めの安値まで約3.3%下げ、その後の戻りは1.34ドル付近で止まっている。出所:ECB参照レート(フランクファーター経由、各営業日の公表値)。取引時間中の高値・安値とは異なる。

欧州中央銀行(ECB)の参照レートで見ると、ポンドドルは8月21日の1.3656ドルを3カ月の高値として下げ、10月2日に1.3201ドルの安値を付けた。そこから戻り、21日には1.3402ドルまで回復した。21日に英国立統計局(ONS)が公表した9月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.5%と、8月の3.1%から加速したことが買い材料になった。

ただ、1.34ドル台は定着していない。23日の参照レートは1.3368ドルで、26日の取引時間中は1.3348ドルまで下げた。同じ23日に公表された9月の小売売上高(数量ベース)は前月比0.4%減で、8月の0.7%増から反転した。物価は強いが、消費は鈍る。この組み合わせが、ポンドを1.34ドルの手前で止めている。英消費の減速については23日の記事で詳しく取り上げた。

物価と政策金利:英中銀が利上げに傾く理由

英国の物価指標(2026年9月、前年同月比)と政策金利

サービス価格3.70%CPIH(持ち家費用込み)3.60%CPI(総合)3.50%コアCPI2.80%参考:政策金利3.75%

読み方:サービス価格の伸び3.7%は政策金利3.75%とほぼ同じで、実質の政策金利はゼロに近い。これが11月の利上げ観測の土台である。出所:英国立統計局(10月21日公表)、イングランド銀行。

英中銀(BOE)の政策金利は3.75%で、6月、7月、9月の会合で据え置かれた。一方、9月のCPIは3.5%、サービス価格は3.7%、総合指数に持ち家関連費用を加えたCPIHは3.6%である。サービス価格の伸びは、すでに政策金利とほぼ並んでいる。ロイターは21日、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータをもとに、市場が11月の0.25%利上げを「ほぼ完全に織り込んでいる」と伝えた。

米国側も引き締め方向にある。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月16日に0.25%の利上げを決め、誘導目標は3.75〜4.00%になった。今週のFOMCは据え置きが大勢で、インベスティング・ドットコムは26日、CMEフェドウオッチで12月の利上げ確率が約73%だと伝えた。両国とも利上げ方向にあるため、金利差だけでは方向が決まらない。決め手は、今週どちらの国のニュースが予想からずれるかである。

今週の日程:水曜日に2つの山が来る

今週から11月初めの主な日程(日本時間)

110月27日(火)米9月耐久財受注、米10月消費者信頼感210月28日(水)英予算案(ヒーリー財務相の初の予算)310月29日(木)3:00FOMC結果発表(米東部時間28日14時)、続いて記者会見410月29日(木)米7〜9月期GDP速報値、米9月個人消費支出(PCE)物価511月5日(木)英中銀の金融政策発表(利上げはほぼ織り込み済み)

読み方:英国と米国の材料が水曜日から木曜日に集中する。予算で英国債が売られ、FOMCがタカ派に傾けば、ポンドドルには二重の下げ圧力になる。出所:ロイター、米連邦準備制度理事会、イングランド銀行、インベスティング・ドットコム。

予算の焦点は財政の余裕(ヘッドルーム)である。ロイターによると、モルガン・スタンレーのファビオ・バッサニン氏は余裕が約150億ポンドまで回復したとみる一方で、「期待が前向きになるほど、失望のリスクも高まる」と指摘した。シティAMによると、3月時点の見通しでは経常予算ルールに対して240億ポンドの余裕があったが、国債利回りやインフレの上昇で最大150億ポンドが削られた可能性がある。所得税、従業員の国民保険料、付加価値税(VAT)、法人税の基本税率はマニフェストで据え置きを約束しているため、銀行や石油会社、賭博への課税など的を絞った小幅な増税が予想されている。

債券市場はすでに一服している。英10年国債利回りは26日に0.025%下がり5.34%となった。10月8日には5.5267%と2007年7月以来の水準を付けていた。予算が国債市場の安定を優先する内容なら、利回りは落ち着き、ポンドには追い風になる。逆に財源の説明が甘ければ、10月上旬のような国債売りとポンド安が同時に起きうる。

注目の価格帯:1.3302ドルと1.3433ドル

ポンドドルの注目水準

1.3051.3651.3140先週の安値1.324561.8%押し撤退ライン1.33025月の安値短期の分岐点1.3348現在値26日欧州時間1.3433200日線1.3474年初始値1.35587月の高値

読み方:青が現在値、橙が本稿で重視する水準。1.3302ドルを終値で割れば弱気シナリオへ、1.3433ドルを上抜ければ強気シナリオへ切り替える。出所:ストーンX(10月22日)、ロイター(26日)。

テクニカルの節目は、ストーンXのマイケル・ブトロス氏が22日のリポートで示した水準を参考にした。上値は、8月の下げの半値戻しにあたる1.3406ドルを3日続けて試した後、200日移動平均の1.3433ドル付近、2月の安値終値と年初の始値が重なる1.3465〜1.3474ドルが続く。ここを抜ければ7月の高値1.3558ドルが視野に入る。

下値は1.3353ドル、5月の安値にあたる1.3302ドル、61.8%押しの1.3245ドルの順である。同氏は1.3245ドルを日足終値で割り込めば、主導権は売り方に戻ると見ている。本稿も、1.3302ドルを短期の分岐点、1.3245ドルを強気シナリオの撤退ラインとみなす。

シナリオ:今週〜11月5日の英中銀会合まで

シナリオ確率(本誌)条件想定レンジ
基本:予算待ちの小幅安から持ち直し50%予算が慎重な内容で国債市場が落ち着き、FOMCは据え置きで12月の利上げを示唆1.3250〜1.3475ドル
強気:200日線の上抜け25%予算の信認で英国債利回りが低下、英中銀の11月利上げ観測は維持、FOMCは予想ほどタカ派でない1.3433ドルを超え、1.3558ドルを試す
弱気:国債売りとドル高の同時進行25%予算の財源に疑問が出て英国債が売られる、またはFOMCが追加利上げを強く示唆1.3302ドルを割り、1.3245〜1.3140ドル

中期(年末まで)の見方は、1.32〜1.36ドルのレンジ内での推移を中心に置く。英中銀が11月に利上げし、その後も利上げを続ける姿勢を示せば、レンジの上半分に寄る。英国の物価と消費が逆方向に動いている以上、英中銀が利上げを重ねられるかには疑問も残る。なお、主要銀行のポンドドル予想として流通している数字の多くは2025年末〜26年初めのもので、FRBの9月利上げより前に出されたため、本稿では使っていない。

個人投資家向けチェックリスト

  • 28日(水)の予算:英10年国債利回りが5.34%から上がるか下がるか。上がればポンド安のサインと読む。
  • 29日(木)午前3時のFOMC:声明と記者会見が12月の利上げをどこまで示唆するか。強く示唆すればドル高要因になる。
  • 1.3302ドル:日足終値でここを割れば、基本シナリオから弱気シナリオに切り替える。
  • 1.3433ドル:200日移動平均。終値で上抜ければ強気シナリオの確率を引き上げる。
  • 11月5日の英中銀会合:ほぼ織り込み済みの利上げが見送られれば、ポンドは急落しやすい。

対ユーロでもポンドの位置は重要だ。23日には1ユーロ=83.63ペンスと2025年5月末以来のポンド高を付けた。その背景はユーロポンドの記事に、同じ週のユーロドルの見通しはこちらにまとめた。今週の主要中銀の日程は中銀番付で確認できる。FX取引の基礎はFX解説ページにある。

主な参照

  • ポンド相場、英国債利回り、モルガン・スタンレーの見方(10月26日)/ロイター(マーケットスクリーナー掲載)
  • 英中銀の利上げ織り込み(10月21日)/ロイター(マーケットスクリーナー掲載)
  • 政策金利と次回会合日/イングランド銀行
  • 9月の消費者物価指数/英国立統計局
  • 9月の小売売上高/英国立統計局
  • 予算の財政余裕と増税の見通し(10月23日)/シティAM
  • 9月の利上げとFOMCの日程/米連邦準備制度理事会・FOMC日程
  • 12月の利上げ確率(CMEフェドウオッチ、10月26日)/インベスティング・ドットコム
  • テクニカルの節目(10月22日)/ストーンX
  • ECB参照レートの推移/フランクファーター(ECBデータ)

データ基準日:2026年10月26日。ポンドドル1.3348ドルとユーロポンド83.98ペンス、英10年国債利回り5.34%は、ロイターが同日に報じた欧州時間の取引時間中の水準であり、終値ではない。3カ月の推移と高値・安値はECBの参照レート(各営業日の中欧時間16時ごろの公表値、最新は10月23日)で、取引時間中の高値・安値とは一致しない。テクニカルの節目はストーンXのリポートによる。財政余裕の金額はアナリストの推計で、政府の公式数値ではない。シナリオの確率は本誌の判断であり、将来の相場を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。

Tags: FOMCFX見通しイギリスイングランド銀行ドル為替見通し
バヒティヨル マダジモフ

バヒティヨル マダジモフ

投資銀行で5年、リテール証券会社で3年の実務経験を積んだのち、現在もFX・株式・オプションなど幅広い市場で実際にトレードを行っている。FX取引歴は10年以上、株式投資・トレード歴は4年以上におよび、オプションをはじめとする複雑な金融商品の実取引経験も豊富。株式・株式オプション・FX・暗号資産において自己のポジションを保有している。 こうした実務とマーケットでの経験をもとに、金融市場・暗号資産・FX・経済指標について、信頼性・正確性・迅速性の高い情報を届けることを目的としている。記事の内容は特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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